HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2004/02/03 19:14
パイオニア、NECのPDP事業を買収へ〜記者会見速報&質疑応答〜
本日の記者会見場にて、左から日本電気(株)金杉氏、パイオニア(株)伊藤氏 |
パイオニアでは同社の事業構造を「選択と集中」の方針の下に改革を進める中で、PDP事業を成長のための重要なコアビジネスとして位置付けている。一方、コンピュータと通信の融合である「IT・ネットワーク統合ソリューション」と「半導体ソリューション」を社のコア領域と定めるNECでは、ディスプレイ事業について今後の大きな成長を見込みながらも、同社独自での事業拡大を実現するための投資戦略に強力なブレイクスルーを見いだせず、今日、ディスプレイ業界に大きな改革が訪れる中で、他社との提携による事業発展を検討してきたという。
業界が大きく変化する中で、両社はこれまで独自に行ってきたプラズマディスプレイの開発、生産において、互いに技術的な親和性を見出し、昨年の秋頃より今回の事業統合を模索してきたという。今後、急拡大が予測されるプラズマディスプレイの需要に対応できるだけの技術力と生産能力を獲得し、引き続き市場のリーディングカンパニーとしてのポジションを維持するため、事業統合が最も効果的であると認識した両社が今回の基本合意に至ったという。パイオニアはこれまでも生産能力の拡大・増強を実現すべく山梨県、静岡県に併せて4つの生産工場を建設してきた。今回NECプラズマディスプレイが持つ鹿児島の生産工場を加えることにより、2005年には年間110万枚のパネルを生産する能力を獲得していく考えであるという。これにより、業界トップクラスの生産規模と世界シェア22%のトップポジションを併せて実現することが目標とされた。
本日の記者会見にはパイオニアからは代表取締役社長の伊藤周男氏、専務取締役の新島昭氏、NECからは代表取締役社長の金杉明信氏、NECプラズマディスプレイからは徳山賢二氏が列席した。会見ではパイオニアの伊藤氏、NECの金杉氏がそれぞれ挨拶を行った。パイオニアの伊藤氏は同社のコア事業の一つであるプラズマディスプレイにおいて、激化する国際競争を勝ち抜くため「生産能力の大幅な拡大とそのスピーディーな実現のため、NECと手を結ぶことが最も効果的であると判断した」ことを語った。また、NECの金杉氏ははじめに、これまで独自のCCF技術を基にブラウン管を凌駕するPDPを生産してきたこと、61インチのPDP商品を世界に先駆けてリリースしてきたことを例示しながら、NECプラズマディスプレイの功績を評価。PDP事業をビジネスの中核に位置付けるパイオニアが、同社がこれまで培ってきたPDPビジネスをさらに育んで行くことのできるベストパートナーであることを指摘しながら「今回の事業統合で、パイオニアとともにグローバルな発展・成長を目指していく」と豊富を明らかにした。
今回の統合において、パイオニアがNECプラズマディスプレイに提示した買収価格は400億円前後と伝えられている。株式譲渡等の条件や日程などについては今後具体的な協議をつめていく段階にあるという。
以下にて、本日の記者会見場で行われた質疑応答の内容をお伝えしていく。
Q:(パイオニアへ)今回業務提携のパートナーにNECを選択した理由は
A:度重なるディスカッションを通じて、弊社の技術にNECの技術が最も親和性が高いとわかったからだ(パイオニア)
Q:今後の株式譲渡完了までのタイムテーブルは。買収価格はいくらになるのか
A:本年3月末を目処に契約を終わらせたい。細部はこれからつめていく。来期上期中に株式譲渡を完了したい。買収金額はおおよそ各メディアで報じられている程度だ(パイオニア)
Q:今後2005年までに民生、業務用をあわせてプラズマディスプレイ年間110万台の生産能力を獲得していくというが、海外企業との国際競争に立ち向かっていく自信はあるか
A:私どもは今でも強い技術力と生産能力を備えていると自負している。両社が協力することで、より強力な力を獲得できるものと考えている。海外企業の攻勢にも充分に立ち向かえるだろう。(パイオニア)
Q:現在の両社併せてのマーケットシェアはどれくらいか
A:2社併せて20%内外になるだろう(パイオニア)
Q:企業のコア事業としてPDP事業を掲げて今後たたかっていく際の豊富について。どうやって競争力を維持していくつもりか
A:大画面商品として、液晶テレビが評価されるのは30インチ以下のフィールドだと考えている。それ以上の大きいサイズはまだまだPDPの独壇場だと考えている。今後はコンテンツも成長し、ますます大画面エンタテインメントが勢いを増すだろう。市場の大きな伸びが訪れた時にそなえ、いま技術力と生産能力を磨き続けることが重要だとかんがえる(パイオニア)
Q:現在赤字となっているPDP事業はいつ頃から企業の営業利益に貢献していくと予測しているか
A:これからの市場の伸びに期待している。心配はしていない(パイオニア)
Q:NECはプラズマ事業を手放したと考えてよいのか。今後自前でディスプレイをつくるのをやめてしまうのか
A:PDPのについては、今後ものづくりにこだわらないつもりだ。液晶ディスプレイはPC向けを既に中国の企業に移管しており、ライセンスビジネスを基本としている。ただし産業分野、ハイエンドの液晶ディスプレイについては自前でつくりつづけていく方針だ(NEC)
Q:今後どのような戦略で液晶ディスプレイの攻勢に打ち勝っていくつもりなのか
A:当然のことながら、大画面化でPDPのアドバンテージを示していくつもりだ。また液晶に比べてPDPは技術的にまだ大きく進化する可能性を持っていると思う(パイオニア)
Q:NECの技術を活かしたパイオニアの新製品はいつ頃登場するのか
A:今の段階では統合の基本合意に達したばかりで、製品を煮詰めている段階ではない。今後をぜひ期待して欲しい(パイオニア)
Q:買収による収益への影響は
A:今期についてはまだ影響は出てこないと思う。来期は細かいところはまだわからないが、プラスに働くものと期待している(パイオニア)
Q:国際競争の中で、LGやサムスンによる巨大PDPの発表など、究極の大画面化の流れをどう評価するか
A:PDPの良さを発揮できるのは40インチ以上60インチまでと考えている。それ以上のサイズについてはつくれと言えばつくれるが、商売として成り立たないと思う(パイオニア)
Q:NECが今回プラズマディスプレイ事業を手放すこととなったきっかけは何か
A:NECグループのコア事業は「IT・ネットワーク統合ソリューション」と「半導体ソリューション」であると考えている。大画面ディスプレイ市場については、もちろん今後も大きく成長していく市場であると認識しているが、当社のビジネスを単独で投資をし、規模を拡大して行くのには限界がある。セットメーカーとのコラボレーション、垂直統合が、当社が育ててきたディスプレイ事業を成長させるのに有効な手段であると判断した結果だ(NEC)
Q:パイオニアは今後PDPのOEMビジネスにも本格的に参入していくのか
A:パイオニアの今のOEM技術は確かに小さいと認識している。NECのOEM販売チャンネルは魅力的であり、今後活かしていきたい。(パイオニア)
Q:パイオニアとNECの現在の生産ラインを今後住み分けて行く考えはあるか
A:今のところはそういうレベルを煮詰めている段階ではないが、インチ別、サイズ別といった基準での住み分けは考えられるだろう。これから話し合って決定していきたい。(パイオニア)
Q:今後大画面製品の供給が需要を追い越してしまうリスクは考えられないのか
A:テレビはホームエンターテインメントに欠かせない存在だと考えている。需要がなくなることはない。コンテンツの高画質化が進めば、他のディスプレイ商品と比べたPDPの優位性も明らかになってくるだろう(パイオニア)
Q:(NECへ)NECの事業にとってPDPは負担となりつつあったのか
A:PDP事業が負担と認識したことはない。我々が生み出してきたPDP関連の財産を今後どう発展させて行くかを真剣に考えたとき、パイオニアがPDP事業にかける意気込みの高さを評価し、信頼を寄せたいと思ったのだ(NEC)
Q:韓国メーカーの攻勢を脅威ととらえるか
A:PDP市場はこれから成長するフィールドだ。韓国企業も含め、まずは皆で市場をおおいに盛り上げていくことが大事だと思う(パイオニア)
【問い合わせ先】
パイオニア(株)
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
TEL/03-3495-9903
日本電気(株)
コーポレート・コミュニケーション部
TEL/03-3798-6511
(Phile-web編集部)