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公開日 2004/11/29 18:03
第5回東京フィルメックス閉会 タイの「トロピカル・マラディ」が最優秀賞
●11月20日より東京有楽町の朝日ホールを中心に開催されてきた国際映画フェスティバル第5回東京フィルメックスが28日閉幕した。
最終日の昨日、朝日ホールにて、アジアの新進監督の作品を対象にしたコンペティション部門の受賞作品が発表された。
最優秀作品賞は、バンコクで生まれアメリカで映画を学んだアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の「トロピカル・マラディ」(Tropical Malady / Thai,France,Italy, Germany/2004/118min./35mm/Color /1:1.85 ) が審査委員の全員一致で授賞。
山中の村を舞台に、二人の青年の日常を描く前半と、人間がトラに変身するという伝承を元にしたなぞめいた物語の後半から構成されている二部構成作品。
審査員のドナルド・リチー氏(映画批評家、映像作家、アメリカ)は、授賞理由について、斬新な構成と大胆な映像詩のミステリーにより、映画の新しい可能性を感じさせ、未来の巨匠の誕生を予感させると語った。サイモン・フィールド氏(プロデューサー,イギリス)は、映画は新しいことを提供してゆくメディアになりうることを、この作品は特に感じさせたと述べた。
ウィーラセタクン監督は、山形映画祭、カンヌ映画祭での授賞歴を持つ、1970年生まれの気鋭の映画監督。副賞として賞金100万円が授与される。
審査員特別賞(コダック VISIONアワード)には、イランのバフマン・ゴバディ監督の「Turtles Can Fly」(Turtles Can Fly/Iran,Iraq/2004/97min/35mm/Color/1:1.85 ) が授賞。
アメリカによるイラク攻撃直前のイラクを舞台に、国連に売るため、地雷堀をしている子供達の姿を描いた本作は、テレビのニュースでは伝えられな戦争の渦中にいる人々、特に最も無力な犠牲者である子供たちの姿を、緊迫した映像で描き出した。
1968年にイランのクルディスタン地区に生まれたクルド人監督であるゴバディ監督は、「酔っ払った馬の時間」「わが故郷の歌」に続いて本作品が長編3作目。
記者会見で、ゴバディ監督は、「イラクの子供たちの現実は非常に悲惨で、撮影中に泣いてしまうこともしばしばあった。しかし、映画では、あまりにもショッキングなシーンはカットし、その代わりにユーモアを入れた。それは、観客をあまりにも悲嘆させたくないためであり、また、泣いてしまうより、この映画の現実をもっと考えてほしいためであった。映画の賞金は、映画に出てくる子供達の怪我の治療や家の問題などの解決のためにも使いたい。」と述べた。監督にはコダック株式会社より、副賞として賞金50万円が授与される。
第5回東京フィルメックスの詳細については以下のURLまで。
(取材・文 :山之内優子 )
最終日の昨日、朝日ホールにて、アジアの新進監督の作品を対象にしたコンペティション部門の受賞作品が発表された。
最優秀作品賞は、バンコクで生まれアメリカで映画を学んだアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の「トロピカル・マラディ」(Tropical Malady / Thai,France,Italy, Germany/2004/118min./35mm/Color /1:1.85 ) が審査委員の全員一致で授賞。
山中の村を舞台に、二人の青年の日常を描く前半と、人間がトラに変身するという伝承を元にしたなぞめいた物語の後半から構成されている二部構成作品。
審査員のドナルド・リチー氏(映画批評家、映像作家、アメリカ)は、授賞理由について、斬新な構成と大胆な映像詩のミステリーにより、映画の新しい可能性を感じさせ、未来の巨匠の誕生を予感させると語った。サイモン・フィールド氏(プロデューサー,イギリス)は、映画は新しいことを提供してゆくメディアになりうることを、この作品は特に感じさせたと述べた。
ウィーラセタクン監督は、山形映画祭、カンヌ映画祭での授賞歴を持つ、1970年生まれの気鋭の映画監督。副賞として賞金100万円が授与される。
審査員特別賞(コダック VISIONアワード)には、イランのバフマン・ゴバディ監督の「Turtles Can Fly」(Turtles Can Fly/Iran,Iraq/2004/97min/35mm/Color/1:1.85 ) が授賞。
アメリカによるイラク攻撃直前のイラクを舞台に、国連に売るため、地雷堀をしている子供達の姿を描いた本作は、テレビのニュースでは伝えられな戦争の渦中にいる人々、特に最も無力な犠牲者である子供たちの姿を、緊迫した映像で描き出した。
1968年にイランのクルディスタン地区に生まれたクルド人監督であるゴバディ監督は、「酔っ払った馬の時間」「わが故郷の歌」に続いて本作品が長編3作目。
記者会見で、ゴバディ監督は、「イラクの子供たちの現実は非常に悲惨で、撮影中に泣いてしまうこともしばしばあった。しかし、映画では、あまりにもショッキングなシーンはカットし、その代わりにユーモアを入れた。それは、観客をあまりにも悲嘆させたくないためであり、また、泣いてしまうより、この映画の現実をもっと考えてほしいためであった。映画の賞金は、映画に出てくる子供達の怪我の治療や家の問題などの解決のためにも使いたい。」と述べた。監督にはコダック株式会社より、副賞として賞金50万円が授与される。
第5回東京フィルメックスの詳細については以下のURLまで。
(取材・文 :山之内優子 )