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公開日 2005/05/19 16:29
TDKテクノフォーラム2005レポート:4層100GBのブルーレイ・ディスクも展示
TDK(株)は5月18日から20日まで、千葉県市川市のTDKテクニカルセンターにおいて、5年に1度の開催となる同社のプライベートショーである“TDKテクノフォーラム2005”を開催している。
本イベントは同社の創立60周年を記念するイベントとして、1995年にスタートし、今回が第3回目の開催となる。今回のフォーラムでは「素材で描く未来地図」をテーマに、同社の招待客を中心とした関係者を招き展示が行われている。
展示の内容については、同社の最先端技術とプロダクトが一堂に集められ、ストレージ、通信、インターフェース、材料など、それぞれにセグメントに分けて行われる。
本年のショーにおいても、TDKが新たに開発した高性能光ディスクの技術や試作製品について注目すべき展示内容がいくつも披露されている。今回はその中から特にオーディオ・ビジュアルに関連する幾つかの注目すべき展示をレポートして行こう。
【4層追記型ブルーレイ・ディスク〜100GBの記録が可能に】
TDKが世界に先駆けて開発した片面4層2倍速100GBの追記型光ディスクである。青紫色レーザー(405nm)、高NA(NA=0.85)システムに対応する。同社が独自に開発を行った記録膜材料により、高感度・高透過率を両立させている。また記録膜やスぺーサー層、カバー層を精密に積み上げるディスクスタック技術などにより、片面で100GBの大容量記録と、72Mbpsの高速記録転送レートを実現。2倍速での安定したデータ記録を可能にしている。
同社は既に本技術を2003年に確立させ、完成度の高いプロトタイプ・モデルを実現している。こちらの技術を応用した商品化についてメーカー説明員に訊ねたところ、現在は「製品としては完成に近いレベルなので、あとはフォーマットの認証を待つのみである」という。
【1層100GBの大容量光記録ディスク:Super-RENS Disc】
こちらはTDKが現在開発中の、新しいデータストレージに関する技術提案と、そのプロトタイプ展示である。「Super-RENS Disc(スーパーレンズディスク)」と名付けられたストレージメディアには、光ディスクの特長とされる可搬性・互換性を維持しながら、超解像高密度の記録を実現しようとする同社の新しい試みが活かされている。
DVDなど、既存の光ディスクでは光の波長と対物レンズの開口数で規定される回折限界が存在するため、決まったサイズ以下の記録マークの再生が不可能であり、高密度化を実現することは原理的に困難とされてきた。Super-RENS Discでは、従来のモデルでは不可能とされてきた回折限界を超えることが可能な技術であり、1998年に工学技術院(現:産業技術総合研究所)が発見した研究成果をTDKがブラッシュアップしたものである。
同社は記録膜、再生材料、媒体構造の設計の3つのアプローチからこの新たなストレージメディアの提案を実現した。同社オリジナルの記録材料は「ほぼ現状と変わらない媒体コストを実現できる(メーカー解説員)」ものであるとしており、同社としては今後、実用に近いレベルでの評価を進めながらこの技術にさらなる磨きをかけていく考えだ。
【全てのDVDフォーマットに対応:スリムDVDスーパーマルチ対応ピックアップ】
こちらはDVD-RAM/±R/±RW、およびCD-R/RWへの記録再生とDVD-ROM/CD-ROMの再生に対応した、スーパマルチ対応の光ピックアップである。同社は本製品を東芝サムスンストレージ・テクノロジー(株)との共同開発により完成させたという。DVD-Rには8倍速での記録ができる。同社はノートPCに搭載されるDVD記録ドライブへの内蔵より、本製品の用途を広げて行きたいとしている。
【2層ブルーレイ・ディスク対応「青色光源ヘッド」】
TDKは光ヘッドのトップブランドの一つとしても名をはせているが、今回のショーでは2層ブルーレイ・ディスクにも適合する次世代青色光源用光ピックアップヘッドも展示された。本製品では、作動距離を大きくとれる単玉の高NA対物レンズを使い、独自設計の可動式コリメートレンズと、高速駆動性に優れる専用のアクチュエーターを搭載し、2層ブルーレイの規格に必要となる球面収差補正機能を実現している。
また同社で早期から開発が行われてきた高速記録再生が可能なメディアにも対応すべく、高速のLD駆動回路を光ヘッドに搭載し、記録モードにおいてクロック周波数400MHz以上の短いレーザーパルス発光を実現している点も大きな特長である。
【さらなる高速化を実現:8倍速DVD-R DL/6倍速DVD-RW】
TDKからは今年2月に6倍速記録対応のデータ用DVD-RW「DVD-RW47T」が発表されているが、今回は本製品の展示とともに、2層DVD-R(DL)の8倍速記録対応を実現したプロトタイプモデルが展示されている。本製品については年内に予想される規格の確定に向け、現在商品化の準備が進められているという。
【外部の電波を完全遮断:UWB通信機器の評価・測定システム】
TDKが5月12日に発表したUWB通信機器の評価・測定システムの製品展示も行われている。こちらは、同社がUWB通信機やアンテナ等の開発用途として提案している評価用広帯域アンテナ、電波暗室、ソフトウェア等からなるシステムについて拡充を図り、測定スピードを向上させる評価設備や、電波暗室を小型化に貢献する電波吸収体等を採用して強化を施したものである。同社はこれを製品化し、2005年6月より日本・米国で販売を開始する。
今回のショーでは、本システムが設置された「電波暗室」が披露されるとともに、全方位アンテナの測定デモンストレーションや24GHz帯のショートレンジレーダーを用いたドライビングアシスタンンス・システムのデモンストレーションが行われた。
【問い合わせ先】
TDK(株)
TEL/03-3278-5111
(Phile-web編集部)
本イベントは同社の創立60周年を記念するイベントとして、1995年にスタートし、今回が第3回目の開催となる。今回のフォーラムでは「素材で描く未来地図」をテーマに、同社の招待客を中心とした関係者を招き展示が行われている。
展示の内容については、同社の最先端技術とプロダクトが一堂に集められ、ストレージ、通信、インターフェース、材料など、それぞれにセグメントに分けて行われる。
本年のショーにおいても、TDKが新たに開発した高性能光ディスクの技術や試作製品について注目すべき展示内容がいくつも披露されている。今回はその中から特にオーディオ・ビジュアルに関連する幾つかの注目すべき展示をレポートして行こう。
【4層追記型ブルーレイ・ディスク〜100GBの記録が可能に】
TDKが世界に先駆けて開発した片面4層2倍速100GBの追記型光ディスクである。青紫色レーザー(405nm)、高NA(NA=0.85)システムに対応する。同社が独自に開発を行った記録膜材料により、高感度・高透過率を両立させている。また記録膜やスぺーサー層、カバー層を精密に積み上げるディスクスタック技術などにより、片面で100GBの大容量記録と、72Mbpsの高速記録転送レートを実現。2倍速での安定したデータ記録を可能にしている。
同社は既に本技術を2003年に確立させ、完成度の高いプロトタイプ・モデルを実現している。こちらの技術を応用した商品化についてメーカー説明員に訊ねたところ、現在は「製品としては完成に近いレベルなので、あとはフォーマットの認証を待つのみである」という。
【1層100GBの大容量光記録ディスク:Super-RENS Disc】
こちらはTDKが現在開発中の、新しいデータストレージに関する技術提案と、そのプロトタイプ展示である。「Super-RENS Disc(スーパーレンズディスク)」と名付けられたストレージメディアには、光ディスクの特長とされる可搬性・互換性を維持しながら、超解像高密度の記録を実現しようとする同社の新しい試みが活かされている。
DVDなど、既存の光ディスクでは光の波長と対物レンズの開口数で規定される回折限界が存在するため、決まったサイズ以下の記録マークの再生が不可能であり、高密度化を実現することは原理的に困難とされてきた。Super-RENS Discでは、従来のモデルでは不可能とされてきた回折限界を超えることが可能な技術であり、1998年に工学技術院(現:産業技術総合研究所)が発見した研究成果をTDKがブラッシュアップしたものである。
同社は記録膜、再生材料、媒体構造の設計の3つのアプローチからこの新たなストレージメディアの提案を実現した。同社オリジナルの記録材料は「ほぼ現状と変わらない媒体コストを実現できる(メーカー解説員)」ものであるとしており、同社としては今後、実用に近いレベルでの評価を進めながらこの技術にさらなる磨きをかけていく考えだ。
【全てのDVDフォーマットに対応:スリムDVDスーパーマルチ対応ピックアップ】
こちらはDVD-RAM/±R/±RW、およびCD-R/RWへの記録再生とDVD-ROM/CD-ROMの再生に対応した、スーパマルチ対応の光ピックアップである。同社は本製品を東芝サムスンストレージ・テクノロジー(株)との共同開発により完成させたという。DVD-Rには8倍速での記録ができる。同社はノートPCに搭載されるDVD記録ドライブへの内蔵より、本製品の用途を広げて行きたいとしている。
【2層ブルーレイ・ディスク対応「青色光源ヘッド」】
TDKは光ヘッドのトップブランドの一つとしても名をはせているが、今回のショーでは2層ブルーレイ・ディスクにも適合する次世代青色光源用光ピックアップヘッドも展示された。本製品では、作動距離を大きくとれる単玉の高NA対物レンズを使い、独自設計の可動式コリメートレンズと、高速駆動性に優れる専用のアクチュエーターを搭載し、2層ブルーレイの規格に必要となる球面収差補正機能を実現している。
また同社で早期から開発が行われてきた高速記録再生が可能なメディアにも対応すべく、高速のLD駆動回路を光ヘッドに搭載し、記録モードにおいてクロック周波数400MHz以上の短いレーザーパルス発光を実現している点も大きな特長である。
【さらなる高速化を実現:8倍速DVD-R DL/6倍速DVD-RW】
TDKからは今年2月に6倍速記録対応のデータ用DVD-RW「DVD-RW47T」が発表されているが、今回は本製品の展示とともに、2層DVD-R(DL)の8倍速記録対応を実現したプロトタイプモデルが展示されている。本製品については年内に予想される規格の確定に向け、現在商品化の準備が進められているという。
【外部の電波を完全遮断:UWB通信機器の評価・測定システム】
TDKが5月12日に発表したUWB通信機器の評価・測定システムの製品展示も行われている。こちらは、同社がUWB通信機やアンテナ等の開発用途として提案している評価用広帯域アンテナ、電波暗室、ソフトウェア等からなるシステムについて拡充を図り、測定スピードを向上させる評価設備や、電波暗室を小型化に貢献する電波吸収体等を採用して強化を施したものである。同社はこれを製品化し、2005年6月より日本・米国で販売を開始する。
今回のショーでは、本システムが設置された「電波暗室」が披露されるとともに、全方位アンテナの測定デモンストレーションや24GHz帯のショートレンジレーダーを用いたドライビングアシスタンンス・システムのデモンストレーションが行われた。
【問い合わせ先】
TDK(株)
TEL/03-3278-5111
(Phile-web編集部)