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公開日 2006/01/11 18:59
シャープ、町田社長が年頭会見 − 亀山第2工場を前倒しし売り上げ3兆円を目指す
シャープ(株)は本日11日、年頭会見を都内で行った。会見には同社取締役社長の町田勝彦氏が出席し、2006年度の計画などを説明した。
冒頭に町田氏は、「景気が回復傾向にあり、06年度は個人消費の増加により需要が伸びると予想している」と語り、液晶テレビ事業について説明をはじめた。「ブラウン管テレビの需要が液晶テレビに置き換わったエポックメイキングな年だった」という05年度は、国内テレビ需要832万台のうち液晶が420万台のシェアを獲得。06年度は867万台の需要の内、570万台のシェアを見込んでいるという。またワールドワイドでの需要の伸びも予想。PDPが強いとされる37型以上においては「06年度HDモデルにおいて拮抗し、08年度には大型モデルでもトップになる」と自信を見せた。液晶テレビ全体の販売台数の予想としては、05年度400万台、06年度600万台という数字を示し、これを達成するための施策を説明した。
第一に、大型液晶パネルの生産体制の強化策として亀山第1工場の増強を図る。05年10月に51,000枚/月であったマザーガラスの投入枚数を06年3月までに60,000枚/月に増強。このために150億円の投資を行う。
第二に、10月に開始予定だった亀山第2工場の稼働時期を可能な限り前倒しする。40、50型に最適な“第8世代マザーガラス”を生産できる同工場を稼働させることで、生産能力を増強する。これについて町田氏は「37〜65型においてフルHDの量産拡大を早期に実現したい」と説明した。
また第三の施策として、亀山工場の第2期展開の前倒しも計画。「07年末までに投入能力を30,000枚/月に増強」としていた予定を「07年3月末(2006年度中)までに」と変更し、急速な需要拡大に対応していく。08年度には90,000枚/月(32型換算で2,000万台/年)を目指す。
第四の施策は、AQUOSのグローバル展開。パネルの実装から製品組み立てを行える生産拠点を世界5箇所に設置し「本年度のクリスマス商戦に亀山第2工場モデルを世界同時発売する」という。
同社は06年、携帯電話およびシステム液晶事業にもさらに力を入れる。ワンセグ放送やナンバーポータビリティの開始により活気づく同事業だが、携帯電話に関しては、これまでのDoCoMo、Vodafonに加え、auにも供給体制を拡大する。また液晶ディスプレイに関しては、コストが低く競争力があり、アモルファス液晶のインターフェースと互換性があるシステム液晶への切り替えを図っていく。
液晶事業全体の連結売り上げの予想は、05年度8,300億円、06年度9,800億円。また太陽電池事業では、05年度1,500億円、06年度2,000億円を目指し、会社全体の06年度の売り上げ目標を過去最高の3兆円と設定した。これを達成するための連結設備投資計画も公表。液晶関係1,900億円を含む約2,750億円を設備投資にあてる計画だ。
町田氏は、「06年、エレクトロニクス業界は好調に推移すると思う。失敗すると大きなリスクを負う業界ではあるが、ダントツの性能、品質で顧客を満足させるよう務め、No.1ブランドとして邁進していきたい」と最後に語った。
会見で行われた質疑応答の主な内容は以下の通り。
Q.08年度に2,000万台の生産を行うとのことだが、この時期になぜ発表したのか?
A.本年度は供給不足で各方面に迷惑をかけ、メーカーの姿勢を問われていると思う。これにどう対応していくかを明確に提示し、ユーザーの信頼を得ることが大事だと思っている。
Q.液晶は海外で苦戦しているようだが、これについてどう考えているか?
A.パネルの供給が追いつかずシェアを落としてしまったが、これは苦戦しているということでは全くない。OEMの供給責任もあり、SHARPブランドの製品の出荷が落ちてしまっただけだ。
Q.06年の液晶への設備投資1,900億円の内訳は?
A.大型1400億円弱、中・小型500億円弱とその他だ。
Q.2010年の海外の液晶テレビの需要はどれくらいと考えているか?
A.年間10〜15%増加していき、2億台/年くらいになると思う。そのうち数十パーセントのシェアをとっていきたい。
Q.海外の5拠点はどこ? またその生産体制は?
A.まだどこにつくるかは考えていない。既存の工場を拡大するのがよいか、新たにつくるのがよいか検討中だ。液晶パネルは日本で生産し、この拠点ではパネル実装から組み立てまでを行う。
Q.06年の売り上げは3兆円を目指すというが、利益率は?
A.まだ達することは難しいが、5%を目標としている。
Q.ソニーなどが液晶テレビに力を入れてきているが、これらライバルについてどう考えているか?
A.ソニーブランドの海外での影響力の高さは十分理解しているし、シャープブランドの力もわかっている。当社は消化能力の範囲内で経営を行っており、さらに販売していく力を持っている。
Q.松下電器のPDP尼崎工場をはじめとする他社の動向は想定の範囲内か? テレビが供給過多になる心配はないのか?
A.計画して進めている。06年の需要と供給はバランスよくいくと考えている。部品は不足しているのが現状で、むやみやたらに生産力を上げているということはない。どちらにせよ、規模が大きく、技術力のあるメーカーが勝つと考えている。
Q.大型液晶テレビの価格低下が予想されているが、06、07年はどう見ているか?
A.30インチ台は下がらないと思う。40、50インチ台が下がると予想しているが、価格は市場の動きにあわせるとしか言いようがない。松下電器がPDP 1インチ5,000円目標というが、それに合わせるという単純なものではない。今はそれらの価格低下に対応していける力を蓄えていきたい。
(Phile-web編集部)
冒頭に町田氏は、「景気が回復傾向にあり、06年度は個人消費の増加により需要が伸びると予想している」と語り、液晶テレビ事業について説明をはじめた。「ブラウン管テレビの需要が液晶テレビに置き換わったエポックメイキングな年だった」という05年度は、国内テレビ需要832万台のうち液晶が420万台のシェアを獲得。06年度は867万台の需要の内、570万台のシェアを見込んでいるという。またワールドワイドでの需要の伸びも予想。PDPが強いとされる37型以上においては「06年度HDモデルにおいて拮抗し、08年度には大型モデルでもトップになる」と自信を見せた。液晶テレビ全体の販売台数の予想としては、05年度400万台、06年度600万台という数字を示し、これを達成するための施策を説明した。
第一に、大型液晶パネルの生産体制の強化策として亀山第1工場の増強を図る。05年10月に51,000枚/月であったマザーガラスの投入枚数を06年3月までに60,000枚/月に増強。このために150億円の投資を行う。
第二に、10月に開始予定だった亀山第2工場の稼働時期を可能な限り前倒しする。40、50型に最適な“第8世代マザーガラス”を生産できる同工場を稼働させることで、生産能力を増強する。これについて町田氏は「37〜65型においてフルHDの量産拡大を早期に実現したい」と説明した。
また第三の施策として、亀山工場の第2期展開の前倒しも計画。「07年末までに投入能力を30,000枚/月に増強」としていた予定を「07年3月末(2006年度中)までに」と変更し、急速な需要拡大に対応していく。08年度には90,000枚/月(32型換算で2,000万台/年)を目指す。
第四の施策は、AQUOSのグローバル展開。パネルの実装から製品組み立てを行える生産拠点を世界5箇所に設置し「本年度のクリスマス商戦に亀山第2工場モデルを世界同時発売する」という。
同社は06年、携帯電話およびシステム液晶事業にもさらに力を入れる。ワンセグ放送やナンバーポータビリティの開始により活気づく同事業だが、携帯電話に関しては、これまでのDoCoMo、Vodafonに加え、auにも供給体制を拡大する。また液晶ディスプレイに関しては、コストが低く競争力があり、アモルファス液晶のインターフェースと互換性があるシステム液晶への切り替えを図っていく。
液晶事業全体の連結売り上げの予想は、05年度8,300億円、06年度9,800億円。また太陽電池事業では、05年度1,500億円、06年度2,000億円を目指し、会社全体の06年度の売り上げ目標を過去最高の3兆円と設定した。これを達成するための連結設備投資計画も公表。液晶関係1,900億円を含む約2,750億円を設備投資にあてる計画だ。
町田氏は、「06年、エレクトロニクス業界は好調に推移すると思う。失敗すると大きなリスクを負う業界ではあるが、ダントツの性能、品質で顧客を満足させるよう務め、No.1ブランドとして邁進していきたい」と最後に語った。
会見で行われた質疑応答の主な内容は以下の通り。
Q.08年度に2,000万台の生産を行うとのことだが、この時期になぜ発表したのか?
A.本年度は供給不足で各方面に迷惑をかけ、メーカーの姿勢を問われていると思う。これにどう対応していくかを明確に提示し、ユーザーの信頼を得ることが大事だと思っている。
Q.液晶は海外で苦戦しているようだが、これについてどう考えているか?
A.パネルの供給が追いつかずシェアを落としてしまったが、これは苦戦しているということでは全くない。OEMの供給責任もあり、SHARPブランドの製品の出荷が落ちてしまっただけだ。
Q.06年の液晶への設備投資1,900億円の内訳は?
A.大型1400億円弱、中・小型500億円弱とその他だ。
Q.2010年の海外の液晶テレビの需要はどれくらいと考えているか?
A.年間10〜15%増加していき、2億台/年くらいになると思う。そのうち数十パーセントのシェアをとっていきたい。
Q.海外の5拠点はどこ? またその生産体制は?
A.まだどこにつくるかは考えていない。既存の工場を拡大するのがよいか、新たにつくるのがよいか検討中だ。液晶パネルは日本で生産し、この拠点ではパネル実装から組み立てまでを行う。
Q.06年の売り上げは3兆円を目指すというが、利益率は?
A.まだ達することは難しいが、5%を目標としている。
Q.ソニーなどが液晶テレビに力を入れてきているが、これらライバルについてどう考えているか?
A.ソニーブランドの海外での影響力の高さは十分理解しているし、シャープブランドの力もわかっている。当社は消化能力の範囲内で経営を行っており、さらに販売していく力を持っている。
Q.松下電器のPDP尼崎工場をはじめとする他社の動向は想定の範囲内か? テレビが供給過多になる心配はないのか?
A.計画して進めている。06年の需要と供給はバランスよくいくと考えている。部品は不足しているのが現状で、むやみやたらに生産力を上げているということはない。どちらにせよ、規模が大きく、技術力のあるメーカーが勝つと考えている。
Q.大型液晶テレビの価格低下が予想されているが、06、07年はどう見ているか?
A.30インチ台は下がらないと思う。40、50インチ台が下がると予想しているが、価格は市場の動きにあわせるとしか言いようがない。松下電器がPDP 1インチ5,000円目標というが、それに合わせるという単純なものではない。今はそれらの価格低下に対応していける力を蓄えていきたい。
(Phile-web編集部)