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公開日 2006/02/23 18:29

<TVF2006レポート>グランプリ審査員評&注目作品をご紹介

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TVF 入賞作の詳細はビクターTVFのホームページで今年の優秀作品について知ることができる。ここでは上記記事でご紹介した作品以外に、グランプリ受賞作についての審査員評と筆者が2月10〜15日にビクター本社で開催された入賞作品上映週間中に視聴した作品からいくつかを紹介しよう。


「羽包(はぐく)む」時間20:00 中井佐和子(奈良県)
18歳で出産して子どもと共にしっかり生きる親友の姿を追ったドキュメント。 「厳しい内容ながらさらっと見られる。モチーフとテーマがしっかり貫かれ、骨太で優しい。これからの日本は女の時代だ」(椎名誠)、「きちんと生きる被写体と作者のキャメラが対話して撮っているので、明瞭で美しい言葉が聞こえる」(大林宣彦)、「作者と被写体との信頼関係が見えてくる。今年なくなったビデオアーティスト、ナム・ジュン・パイクはビデオ作品から未来が見えるといったが、この作品は世の中への提言だ」(小林はくどう)など審査員一致で大賞を受賞した。


「Family 家族」19:20 Sung Woo Ji (韓国)
全南道の田舎に一人で住む祖母のもとに、離れて暮らす家族や親類が集まってキムチ作りをする。その3日間を孫である監督が撮影した。「全編にミディアム・ロング・ショットがうまく使われ、集まっている人たちの心が伝わってくる。家族のあり方が変わる中、愛情や批判を含む会話が続き深い感動がある」(羽仁進)、「感心した。人をよくとれていてうらやましくなる」(高畑勲)、「おきて破りの撮り方でも人と人との関係が描かれていて力があった」(佐藤博昭)、「この作品は社内評価が低かったがこの作品を選んでよかった」(北見雅則)など温かく冷静に家族の姿を追った映像と監督の姿勢に高い評価が与えられた。


「一本曲げかんじき」時間02:59 有沢準一(北海道)
雪山を歩く時に昔から使われてきたかんじき。名人の巧の技を取材して紹介した。自然に則した素晴らしい技術は日本人の誇りだ。各地でこんな身近な匠がいるのだろう。


「Vivre SDF a Paris (パリの路上生活者達)」時間18:48 Lea Moszkowicz (フランス)
パリの現実の一端を10代の若い女性監督がドキュメント。世界の都市の様々な現実を身近な視点で伝えることができるビデオならではの作品。フランスからは100作品の応募があった。


「Ohayo」20:00 岡田信也(東京都)
若い夫婦が料理したり食事したりする日常を不思議な感覚から切り取った新感覚の短編ドラマ。どこか温かでどこかクールな美しい映像。登場する二人がキッチンで踊る場面も堂にいっておりかっこいい。「この作品には”今”が息づいている。」(羽仁進)。


「水色のしずく」  浦岐実子(神奈川県)
交換ノートの相手は自分に冷たくしていた仲良しグループの一人だった。中学生の視点と映像がさわやか。日本映画学校が支援する若い中学生の映像制作グループの作品。今回最年少の受賞者だがテーマ、メッセージ性、映像技術は高レベル。


「レモン」07:54 松原ルマユリアキズキ(兵庫県)
国籍はブラジル人でも、言葉も見た目も日本人の私。作品作りを通して自分を見つめる。国際化の中で様々なルーツを持つ人々の存在を感じさせる作品。ピープル賞作品の一つ。作者は授賞式で、受賞で自分に自信が持てましたと語った。


「たっぷりの自由時間−光郎さんの定年後1年半後の生活記録−」川嶋邦枝(東京都)
パラグライダーに取り組む夫の姿を妻がキャメラにおさめた。夫の姿を見つめるゆるがない視点と構図。往年の名女優原節子さんを思わせる語り。こんな奥さんがいるのかと驚いた。作者はビデオ制作を始めて数年だが、以前にも入賞経験あり。

滋賀県に住む作者が母と共に、母と祖母が以前暮らした小倉市の常磐橋を尋ね、働きながら母を育てた祖母の姿や当時の町をしのぶ。まだ若い作者が自分が生まれる以前の家族が生きてきた姿を思いやる成熟した視点に感銘を受ける。撮影は旅行中の二日でおこなったという。

TVFの詳細については以下を参照のこと。
東京ビデオフェスティバルURL:http://www.victor.co.jp/tvf

(取材:報告・山之内優子)

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