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公開日 2006/06/09 15:13

放送アナリスト・佐藤和俊の「Interop TOKYO 2006」レポート

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ネットワークやインターネット及びブロードバンドソリューションに関する総合展示会「Interop TOKYO 2006」が、本日9日まで開催されている。会場は幕張メッセ。

「Interop TOKYO 2006」の会場

筆者はまだ、ユーロ帰りのまま仕事モードを通しているので、実は体力の限界だが、この木曜日午後一杯会場を歩いて感じたことをレポートしたい。折しも、東洋大教授の松原氏が座長を務め、竹中総務大臣の私的懇談会として開催されていた「放送通信に関する懇談会」が最終答申を出したばかり。会場では、通信にHDTVレベルの放送コンテンツを乗せることが技術的に成熟段階に入ったことを感じさせる展示が揃った。放送と通信の融合ではなく、放送区域というものと、無料テレビ番組モデルの二つのフェーズが変質するブロセスをそこに見ることができた。

非圧縮HDTVライブ中継がデモされた

その意味で面白かったのは、「Interop Media Convergence=IMC TOKYO 2006」コーナーだ。毎年恒例の「ShowNet」は、ついに非圧縮HDTVを複数伝送できるだけのバックボーンを持ち、今までのネットワーク概念をリセットする「NET2.0」を紹介するまでに進化した。

たとえば、在京プロダクションと大阪のABCがNTTコミュニケーションズの回線で結ばれ、非圧縮HDコンテンツがIPレイヤーで伝送され、巨大なストレージに蓄積されてリアルタイム編集する、というようなイメージが想起される。実際にNTT大手町と当地メッセを40Gビットという物凄い回線で結ぶこともトライアルとはいえ提供されているのだから、民放連が地デジを伝送する回線が今月から全てデジタル化され、Cバンドのマイクロ回線がいずれ撤去されたとき、民放間の規制料金時代のネットワーク映像回線料金も、劇的に下がることになるのではなかろうか。

松下電器のブースの模様

さて、メインのInterop展示会場に行くと、松下電器が展示しているH0MEを中心とした展示コーナーが面白かった。「松下小学校」の展示もあり、登下校する子供の安全とネットやIP電話、そして、HDTVを伝送するケーブルテレビサービスといったものが、一つの同軸に束ねられた時、家電を飛び越え、恐らくは住宅そのものに行き着く、将来の松下電器の事業モデルが垣間見えた。どうせならブルーレイに学校安全情報ソフトを入れて再生してほしかったところだが、担当の方に、「それはサーバーから送出されるのです」と言われそうな感じもする。

NECはPLCに関する展示が充実

GyaOもブースを構えた

そして、やはり気力が復活したのは「NEC」ではなかろうか? 特に「電力線ネット=PLC」は、STBを含めていつでもサービス可能となっているのだろう。田舎なら雑音となる干渉波もないだろうから、案外、今後のネットワーク環境の大本命になるかもしれない。なにせ、電源を挿すだけで、ネットに接続できたり地デジ双方向サービスが受けられたりするのだから、受信料問題が一気に解決するかもしれないのだ(あくまで技術的には…)。

インテルのブースではIPTVに関する展示が目立った

インテルのコーナーではここぞとばかりにIPTVのソリューションを見せつけられたが、肝心のHD素材のブレゼンもなく、要はコンテンツの提供やアライアンスが、展示会でもかなり重要となっているのだろう。

以前、福岡取材の時、ホテルの館内IPTVに地上波が変換されて映っていたが、「CASの問題が大きくはだかる日本のデジタルテレビ事情を考えさせられる」という趣旨の話をしていた、隣のアメリカのゲストの会話に耳がダンボになった筆者である。MSのワシントンカンファレンスでも、日本の放送産業の障壁の高さにうんざり、という主旨の話が多かったと聞く。政府や官僚が解決するのではなく、ショーを見る観客=視聴者こそが、エアチェックを含めて自らの権利を訴えていく必要性を痛感した、幕張の一日であった。

(放送アナリスト・佐藤和俊)

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