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公開日 2007/01/10 21:04
松下電器、2007年度経営方針説明会開催 − 大坪社長が目指す“グローバルエクセレンス”とは
松下電器産業(株)は本日、2007年度の経営方針説明会を実施した。大阪の本会場、東京の第1、第2会場を中継でつないで行われた本説明会には同社社長の大坪文雄氏が出席。2009年度までの中期計画を中心に、経営方針の説明を行った。
まず初めに大坪氏は、2004年から2006年の間に実施した「躍進21計画」について振り返った。営業利益率5%以上、連結CCM(キャピタル・コスト・マネジメント)ゼロ以上を目標にした同計画は、初年度より数々の取り組みを実施し、着実な前進を実現することができたと説明した。
次に同氏は、松下グループが目指す「グローバルエクセレンス」について説明。売上高10兆円以上(60%以上は海外)、営業利益率10%以上、ROE(株主資本利益率)10%以上、グローバルシェアNo.1の商品比率が30%以上であることが「グローバルエクセレンス」であると定義し、「これを継続的にクリアしていきたい」と語った。
この「グローバルエクセレンス」を実現するために掲げたのが2009年度までの中期計画「GP3計画」。この計画では売上高10兆円、ROE 10%を2009年度の経営目標としており、「躍進21計画」で経営指標としていた「営業利益率/CCM」を「売り上げ/ROE」にフェーズチェンジすることで、収益を伴った着実な成長を図っていくという。
「GP3計画」の具体策としてまず挙げられたのが海外での大増販。同社が主戦場として位置付ける欧米では、薄型テレビを核としたデジタルAV分野に注力するとともに、有力な量販店との協業を拡大。合計3,100億円の増販を狙っていく。中国を含めたアジアでは、テレビ/デジカメに加え、白物家電などを重要商材と位置付け、3,100億円の増販を目標としている。さらに、エマージング市場への取り組みとして「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」+ベトナムを重点国とし、2,000億円の増販を目指す。
「GP3計画」のもう1つの施策は、「ABCDカルテット」と名付けられた4つの事業戦略。ABCDの「D」、デジタルAV事業ではTVを中心とした「TVセントリックの世界」を提案し大きな成長を目指す。大坪氏は「薄型テレビは絶対に負けられない事業。プラズマの強みを徹底的に訴求し、37型以上の薄型テレビ市場でシェア25%を獲得する」と目標を語った。また同氏は、兵庫県尼崎市に「プラズマパネル第5工場」を建設することをほぼ決定したと説明。2009年度の稼働を予定している同工場では、42型換算で月産100万台(第4工場の約2倍)を実現するという。
デジタルAV事業ではデジカメへの取り組みも強化。「確固たるカメラブランドへの成長」を目指し、2009年度にグローバルシェア15%、ブランドトップ3を狙う。
デジタルAV事業ではさらに、ハイビジョンムービー、Blu-rayを第3、第4の事業の柱として打ち立て、2009年度のシェア目標をハイビジョンムービーで40%、BDで35%と設定した。
新たな中期計画には「モノづくり立社の実現」という計画も盛り込まれた。「モノづくりイノベーション本部」を4月1日に設置し、開発からマーケティングまでのプロセスにおける各部門のノウハウの共有化を図っていくという。
大坪氏は最後に、2007年度の社内向け経営スローガンを「打って出る!」としたことを発表。「未知の事業・領域などにも積極的に挑戦していきたい」と語った。
以下に、本説明会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。
Q.経営指標をROEに替える理由は?
A.「グローバルエクセレンス」であるがどうかが判りやすい指標としてROEを使うことにした。社内では2009年度の営業利益率の目標を8%としている。
Q.海外では現在に比べどれくらいの増販をみこんでいるか?
A.成長の大半は海外と考えている。1兆円の増販の内、7割が海外、3割が国内となる。
Q.プラズマの第5工場を尼崎にした決め手は? 県や市からの補助金は出るのか?
A.まだ尼崎に最終決定したというわけではないが、第3、第4工場の近くに建てることにより集中オペレーションによる高効率化が図れる。また、工場間のノウハウの共有化も効率的に行うことができる。補助金に関しては、額の大小が決め手になるということはない。建設地決定の1つの要素になるだけだ。
Q.第5工場の建設予定地は関西電力の跡地か?
A.「第3、第4工場に隣接する」、「建設がほぼ決定している」ということしか発表できない。
Q.茨木の第1、第2工場を閉鎖するのではという報道に関して真偽は?
A.長い期間が経てば閉鎖するという可能性もあるが、現在のところその予定はない。
Q.日本ビクターの再建に関してどう考えているか?
A.企業価値を高めるためにいろいろ方策を考えることは必要だ。私(大坪氏)の中では明確な考えを持っているが、現段階では話せない。
Q.2009年度の事業部門ごとの目標を教えて欲しい。
A.具体的には発表できない。AVC分野での競争が激しく、同分野で目標を達成するのが最重要だと考えている。
Q.PDPへの投資は収益性の悪化を招くという懸念があるが、順調に進んでいるのか?
A.2006年度はAVC部門のかなりの割合がPDPだったが、当初の計画通り推移している。懸命なコストダウンなどを行った結果、マーケットの価格競争には着いていくことができていると思う。
Q.市場で勝ち残っていくための売価の維持をどのように行っていくか? またブランド力の形成に何が必要と考えているか?
A.エマージングマーケットと呼ばれる大型量販店との関係の再構築により、海外での増販を図りたい。ブランドに関しては「Panasonic」を徹底的にアピールしていく。
Q.「GP3」の売上高10兆円、ROE 10%を達成する大きな決め手は?
A.徹底的に売り切るということ。製品を販売店などに訴求する「営業」をしっかりとやっていきたい。加えて、細かいコストにも常にこだわっていきたい。
Q.薄型テレビは37型以上に注力しているが、それ以下のサイズの戦略は?
A.グローバルでは37型以上の売り上げが大幅に伸びており、37型以上で勝つことが重要であると考えている。
Q.M&Aについてどう考えているか?
A.将来をにらみ、重要となっていくであろうことは自分たちで考え、自分たちで生産していくのがメーカーの原則だ。しかし、より効率的に事業を進められる場合はM&Aという手法も考えていく。
Q.海外展開においてBRICsにベトナムを加えたのはなぜ?
A.これまで中国に生産拠点を多くつくってきたが、現在、松下グループとしてベトナムにも生産拠点をつくっている。その地でつくられたものをその地で売るというのは大事なことなので、資料にはベトナムを加えた。
(Phile-web編集部)
まず初めに大坪氏は、2004年から2006年の間に実施した「躍進21計画」について振り返った。営業利益率5%以上、連結CCM(キャピタル・コスト・マネジメント)ゼロ以上を目標にした同計画は、初年度より数々の取り組みを実施し、着実な前進を実現することができたと説明した。
次に同氏は、松下グループが目指す「グローバルエクセレンス」について説明。売上高10兆円以上(60%以上は海外)、営業利益率10%以上、ROE(株主資本利益率)10%以上、グローバルシェアNo.1の商品比率が30%以上であることが「グローバルエクセレンス」であると定義し、「これを継続的にクリアしていきたい」と語った。
この「グローバルエクセレンス」を実現するために掲げたのが2009年度までの中期計画「GP3計画」。この計画では売上高10兆円、ROE 10%を2009年度の経営目標としており、「躍進21計画」で経営指標としていた「営業利益率/CCM」を「売り上げ/ROE」にフェーズチェンジすることで、収益を伴った着実な成長を図っていくという。
「GP3計画」の具体策としてまず挙げられたのが海外での大増販。同社が主戦場として位置付ける欧米では、薄型テレビを核としたデジタルAV分野に注力するとともに、有力な量販店との協業を拡大。合計3,100億円の増販を狙っていく。中国を含めたアジアでは、テレビ/デジカメに加え、白物家電などを重要商材と位置付け、3,100億円の増販を目標としている。さらに、エマージング市場への取り組みとして「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」+ベトナムを重点国とし、2,000億円の増販を目指す。
「GP3計画」のもう1つの施策は、「ABCDカルテット」と名付けられた4つの事業戦略。ABCDの「D」、デジタルAV事業ではTVを中心とした「TVセントリックの世界」を提案し大きな成長を目指す。大坪氏は「薄型テレビは絶対に負けられない事業。プラズマの強みを徹底的に訴求し、37型以上の薄型テレビ市場でシェア25%を獲得する」と目標を語った。また同氏は、兵庫県尼崎市に「プラズマパネル第5工場」を建設することをほぼ決定したと説明。2009年度の稼働を予定している同工場では、42型換算で月産100万台(第4工場の約2倍)を実現するという。
デジタルAV事業ではデジカメへの取り組みも強化。「確固たるカメラブランドへの成長」を目指し、2009年度にグローバルシェア15%、ブランドトップ3を狙う。
デジタルAV事業ではさらに、ハイビジョンムービー、Blu-rayを第3、第4の事業の柱として打ち立て、2009年度のシェア目標をハイビジョンムービーで40%、BDで35%と設定した。
新たな中期計画には「モノづくり立社の実現」という計画も盛り込まれた。「モノづくりイノベーション本部」を4月1日に設置し、開発からマーケティングまでのプロセスにおける各部門のノウハウの共有化を図っていくという。
大坪氏は最後に、2007年度の社内向け経営スローガンを「打って出る!」としたことを発表。「未知の事業・領域などにも積極的に挑戦していきたい」と語った。
以下に、本説明会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。
Q.経営指標をROEに替える理由は?
A.「グローバルエクセレンス」であるがどうかが判りやすい指標としてROEを使うことにした。社内では2009年度の営業利益率の目標を8%としている。
Q.海外では現在に比べどれくらいの増販をみこんでいるか?
A.成長の大半は海外と考えている。1兆円の増販の内、7割が海外、3割が国内となる。
Q.プラズマの第5工場を尼崎にした決め手は? 県や市からの補助金は出るのか?
A.まだ尼崎に最終決定したというわけではないが、第3、第4工場の近くに建てることにより集中オペレーションによる高効率化が図れる。また、工場間のノウハウの共有化も効率的に行うことができる。補助金に関しては、額の大小が決め手になるということはない。建設地決定の1つの要素になるだけだ。
Q.第5工場の建設予定地は関西電力の跡地か?
A.「第3、第4工場に隣接する」、「建設がほぼ決定している」ということしか発表できない。
Q.茨木の第1、第2工場を閉鎖するのではという報道に関して真偽は?
A.長い期間が経てば閉鎖するという可能性もあるが、現在のところその予定はない。
Q.日本ビクターの再建に関してどう考えているか?
A.企業価値を高めるためにいろいろ方策を考えることは必要だ。私(大坪氏)の中では明確な考えを持っているが、現段階では話せない。
Q.2009年度の事業部門ごとの目標を教えて欲しい。
A.具体的には発表できない。AVC分野での競争が激しく、同分野で目標を達成するのが最重要だと考えている。
Q.PDPへの投資は収益性の悪化を招くという懸念があるが、順調に進んでいるのか?
A.2006年度はAVC部門のかなりの割合がPDPだったが、当初の計画通り推移している。懸命なコストダウンなどを行った結果、マーケットの価格競争には着いていくことができていると思う。
Q.市場で勝ち残っていくための売価の維持をどのように行っていくか? またブランド力の形成に何が必要と考えているか?
A.エマージングマーケットと呼ばれる大型量販店との関係の再構築により、海外での増販を図りたい。ブランドに関しては「Panasonic」を徹底的にアピールしていく。
Q.「GP3」の売上高10兆円、ROE 10%を達成する大きな決め手は?
A.徹底的に売り切るということ。製品を販売店などに訴求する「営業」をしっかりとやっていきたい。加えて、細かいコストにも常にこだわっていきたい。
Q.薄型テレビは37型以上に注力しているが、それ以下のサイズの戦略は?
A.グローバルでは37型以上の売り上げが大幅に伸びており、37型以上で勝つことが重要であると考えている。
Q.M&Aについてどう考えているか?
A.将来をにらみ、重要となっていくであろうことは自分たちで考え、自分たちで生産していくのがメーカーの原則だ。しかし、より効率的に事業を進められる場合はM&Aという手法も考えていく。
Q.海外展開においてBRICsにベトナムを加えたのはなぜ?
A.これまで中国に生産拠点を多くつくってきたが、現在、松下グループとしてベトナムにも生産拠点をつくっている。その地でつくられたものをその地で売るというのは大事なことなので、資料にはベトナムを加えた。
(Phile-web編集部)