HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2007/02/28 10:31
日常のドラマをみつめるドキュメンタリー映像 − ポレポレ東中野で伊勢真一作品特集
ひとつの家族を25年間記録した映画「ありがとう」の監督、伊勢真一さんの作品特集が、ポレポレ東中野で3月2日(金)まで好評上映中だ。
「ありがとう」(2006年)は、障害があっても周囲を明るくしてしまう奈緒ちゃんが、自立への道を歩むまでの25年間を追い、昨年度、各地で静かな感動をよんだ作品。
「奈緒ちゃん」(1995年)は、シリーズ第1弾。撮影を担当したベテランカメラマン瀬川順一さんは「このフィルムには幸せが写っている」とつぶやいたという。
瀬川カメラマンは、戦前の松竹、東宝で数々の劇映画の名作を撮影した名カメラマンだ。その瀬川さんの人生と瀬川さんが一生かけて考えた問題を追い、戦中、戦後の映画人の生き方の貴重な記録ともなっている作品が「ルーペ」。伊勢監督のプロデュース作品としては、山本起也監督の「ツヒノスミカ」、岩手県早池峰山の山奥でたくましく生きるばあちゃんの姿を記録し、数々の国際映画祭で評価された澄川嘉彦監督の「タイマグラばあちゃん」もあわせて上映されている。
26日の「ありがとう」上映後トークで伊勢監督は、「作り手がああしたこうしたというのはニの次、三の次。奈緒ちゃん一家の力がそのまま伝わればと思っています」と話した。
「今は、家族が向き合わないと言ったりするけれど、向き合うみたいなことをしなくても、横に並んでいる感じでいいのが家族かもしれない。奈緒ちゃんは撮影し始めた頃から今も、本当にそうだなあとびっくりするようなことを教えてくれる。今はお父さんは定年になり、奈緒ちゃんの送り迎えのときに、奈緒ちゃんからたばこを一箱もらう。お母さんとお父さんの関係も変わっていく。家族の形はそれぞれちがうし、変わっていきます。ドキュメンタリーを見ず嫌いの人っているんじゃないかなあと思いますけれど、ただそばで長く見ていることの感動を伝えるドキュメンタリーをもっと、多くの人にぜひ見ていただきたい。」
家族を題材にしている映画は数々あるけれど、プロの映画人が本当に自分の身近な人たちにカメラを向けて作品にした映画は大変少ない。
身近な対象には、現実の自分の存在が現れるので、フィクションを本領とする映画人には、難しいことなのかもしれない。
今回上映されている映画は、映画人たちが自分の身近な存在に対して、内心の心の声に注意深く耳をかたむけながらカメラを向けた貴重な映像作品群だ。
東京での上映はポレポレ東中野で3月2日(金)まで。詳細はこちら
ポレポレ東中野:http://www.mmjp.or.jp/pole2/
東京での上映後、大阪他各地(鳥取、京都、宮城、山形、高知、横浜、岩手等)でも映画上映会が開催される。詳細は、いせフィルム:http://www2.odn.ne.jp/ise-film/まで。
(取材・文 山之内優子)
「ありがとう」(2006年)は、障害があっても周囲を明るくしてしまう奈緒ちゃんが、自立への道を歩むまでの25年間を追い、昨年度、各地で静かな感動をよんだ作品。
「奈緒ちゃん」(1995年)は、シリーズ第1弾。撮影を担当したベテランカメラマン瀬川順一さんは「このフィルムには幸せが写っている」とつぶやいたという。
瀬川カメラマンは、戦前の松竹、東宝で数々の劇映画の名作を撮影した名カメラマンだ。その瀬川さんの人生と瀬川さんが一生かけて考えた問題を追い、戦中、戦後の映画人の生き方の貴重な記録ともなっている作品が「ルーペ」。伊勢監督のプロデュース作品としては、山本起也監督の「ツヒノスミカ」、岩手県早池峰山の山奥でたくましく生きるばあちゃんの姿を記録し、数々の国際映画祭で評価された澄川嘉彦監督の「タイマグラばあちゃん」もあわせて上映されている。
26日の「ありがとう」上映後トークで伊勢監督は、「作り手がああしたこうしたというのはニの次、三の次。奈緒ちゃん一家の力がそのまま伝わればと思っています」と話した。
「今は、家族が向き合わないと言ったりするけれど、向き合うみたいなことをしなくても、横に並んでいる感じでいいのが家族かもしれない。奈緒ちゃんは撮影し始めた頃から今も、本当にそうだなあとびっくりするようなことを教えてくれる。今はお父さんは定年になり、奈緒ちゃんの送り迎えのときに、奈緒ちゃんからたばこを一箱もらう。お母さんとお父さんの関係も変わっていく。家族の形はそれぞれちがうし、変わっていきます。ドキュメンタリーを見ず嫌いの人っているんじゃないかなあと思いますけれど、ただそばで長く見ていることの感動を伝えるドキュメンタリーをもっと、多くの人にぜひ見ていただきたい。」
家族を題材にしている映画は数々あるけれど、プロの映画人が本当に自分の身近な人たちにカメラを向けて作品にした映画は大変少ない。
身近な対象には、現実の自分の存在が現れるので、フィクションを本領とする映画人には、難しいことなのかもしれない。
今回上映されている映画は、映画人たちが自分の身近な存在に対して、内心の心の声に注意深く耳をかたむけながらカメラを向けた貴重な映像作品群だ。
東京での上映はポレポレ東中野で3月2日(金)まで。詳細はこちら
ポレポレ東中野:http://www.mmjp.or.jp/pole2/
東京での上映後、大阪他各地(鳥取、京都、宮城、山形、高知、横浜、岩手等)でも映画上映会が開催される。詳細は、いせフィルム:http://www2.odn.ne.jp/ise-film/まで。
(取材・文 山之内優子)