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公開日 2007/03/16 15:29
フランス映画祭2007 − フィリップ・リオレ監督に訊く新作「心配しないで」の秘話
「パリ空港の人々」が日本でもヒットしたフィリップ・リオレ監督。フランス映画祭2007に際して来日した監督に、新作「心配しないで」(原題:Je vais bien,ne t'en fais pas)について語ってもらった。
映画は19歳の少女リリが主人公。家を出ている双子の兄弟ロイックを心配して、食事もできなくなったリリを気遣う両親。そんなある日、ロイックからの手紙が届く…。
− 家族をテーマに映画を撮られていますが、その理由を教えて下さい。
私は観客と同じ目線で映画を作りたいと思っています。映画の役も、自分を当てはめながら映画を作っていくんです。だからロビン・フッドのような役は私の映画にはありませんし、刑事モノとかもありません。
「心配しないで」のいいところは、刑事もピストルもでてこない、普通の家族の問題を扱っていても、スリラー的要素があるところだと思います。こういったことは日常にもあるのではないでしょうか。
− 原作の小説と、その作者とはどのようにして出会ったのですか?
オリヴィエ・アダムの小説を読んで気に入り、映画化しようと思いました。なぜなら、本の中にみんなが抱えている共通の問題があって、彼が真実に触れていると感じたからです。この本は実際にあったことをとりあげているんだそうです。彼と協力して脚本を作りました。
− 主人公のリリを演じたメラニー・ロランについては?
主人公の20歳になる少女を役割を演じてくれる女優を探していたんですが、有名な人はすでに大人になっていたりして、見つけられませんでした。幸運にも彼女と出会って、すぐに、これは役にぴったりだと思いました。彼女はあまり知られていない女優ですが、シナリオを深く読む知性があります。
− 撮影をした場所は?
私はパリ地方に住んでいるんですが、脚本を書きながら撮影場所を探しまして、パリ郊外のヴィヌーで撮影することにしました。原作にも忠実にしたので、真実味があると思います。
− 監督の映画では、前作の「灯台守の恋」や今回の作品で海が重要な役割を果たしています。この海はどこですか?
海は私の人生にとって大変大切なものです。人生がうまくいかないと海を見に行っていました。ブルターニュの島にも家を持っています。映画の海は、英仏海峡のドーヴィルから20キロほど離れたところです。
− 監督は録音技師としてのキャリアも長くお持ちです。映画の音に敏感な視聴者のために、この映画の音についてお聞かせください。
はっきりした答えになるかどうかわかりませんが…映画の中で真実に近づくには、自然に近づけるようにしていくべきだと思いました。サウンドトラックというのは作られるもので、本来はないものです。普通、日常に会話をしていても音楽はない。でも、自分の頭の中では、小さい音楽が聴こえているんです。そういう自然さを出そうと考えて作りました。
− それでは、2度目にこの映画を観るときには、そういう音に注意したいと思います。
でも、そこに到達しないでいただきたい。例えば私は「マディソン郡の橋」を観た時に、どうしてこの映画が作られたというテクニカルな面では考えないようにします。感情に流されるままに映画を受けとめて、そのままにするのです。ですから、皆さんもそのようになさってください。
− 2007年 3月15日 六本木全日空ホテルにてインタビュー
(取材・構成 山之内優子)
映画は19歳の少女リリが主人公。家を出ている双子の兄弟ロイックを心配して、食事もできなくなったリリを気遣う両親。そんなある日、ロイックからの手紙が届く…。
− 家族をテーマに映画を撮られていますが、その理由を教えて下さい。
私は観客と同じ目線で映画を作りたいと思っています。映画の役も、自分を当てはめながら映画を作っていくんです。だからロビン・フッドのような役は私の映画にはありませんし、刑事モノとかもありません。
「心配しないで」のいいところは、刑事もピストルもでてこない、普通の家族の問題を扱っていても、スリラー的要素があるところだと思います。こういったことは日常にもあるのではないでしょうか。
− 原作の小説と、その作者とはどのようにして出会ったのですか?
オリヴィエ・アダムの小説を読んで気に入り、映画化しようと思いました。なぜなら、本の中にみんなが抱えている共通の問題があって、彼が真実に触れていると感じたからです。この本は実際にあったことをとりあげているんだそうです。彼と協力して脚本を作りました。
− 主人公のリリを演じたメラニー・ロランについては?
主人公の20歳になる少女を役割を演じてくれる女優を探していたんですが、有名な人はすでに大人になっていたりして、見つけられませんでした。幸運にも彼女と出会って、すぐに、これは役にぴったりだと思いました。彼女はあまり知られていない女優ですが、シナリオを深く読む知性があります。
− 撮影をした場所は?
私はパリ地方に住んでいるんですが、脚本を書きながら撮影場所を探しまして、パリ郊外のヴィヌーで撮影することにしました。原作にも忠実にしたので、真実味があると思います。
− 監督の映画では、前作の「灯台守の恋」や今回の作品で海が重要な役割を果たしています。この海はどこですか?
海は私の人生にとって大変大切なものです。人生がうまくいかないと海を見に行っていました。ブルターニュの島にも家を持っています。映画の海は、英仏海峡のドーヴィルから20キロほど離れたところです。
− 監督は録音技師としてのキャリアも長くお持ちです。映画の音に敏感な視聴者のために、この映画の音についてお聞かせください。
はっきりした答えになるかどうかわかりませんが…映画の中で真実に近づくには、自然に近づけるようにしていくべきだと思いました。サウンドトラックというのは作られるもので、本来はないものです。普通、日常に会話をしていても音楽はない。でも、自分の頭の中では、小さい音楽が聴こえているんです。そういう自然さを出そうと考えて作りました。
− それでは、2度目にこの映画を観るときには、そういう音に注意したいと思います。
でも、そこに到達しないでいただきたい。例えば私は「マディソン郡の橋」を観た時に、どうしてこの映画が作られたというテクニカルな面では考えないようにします。感情に流されるままに映画を受けとめて、そのままにするのです。ですから、皆さんもそのようになさってください。
フィリップ・リオレ Phillipe Lioret 1955年生まれ。R.アルトマン監督「ニューヨーカーの青い鳥」等の録音技師として映画界に入る。93年に手がけた長編「パリ空港の人々」は、S.スピルバーグの「ターミナル」の下敷きとなった。2000年の作品「マドモアゼル」はフランスで大ヒットを記録し、人気監督になった。 |
− 2007年 3月15日 六本木全日空ホテルにてインタビュー
(取材・構成 山之内優子)