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公開日 2007/05/30 19:03

ボーズ、血管の脈動までシミュレートできる測定機器「ElectroForce」を国内導入

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米ボーズ・コーポレーションは、医療や食品など素材測定機器のブランド「BOSE ElectroForce」の日本拠点として、ボーズ・エレクトロフォース・システムズグループ日本支社を設置し、国内で素材測定機器市場に参入する。

ボーズでは、車両用サスペンション(関連ニュース)など、本業の音響機器とは一見かけ離れた分野の製品開発も手がけている。このサスペンションは凹凸の激しい道でも快適な走行が行えるというもので、その技術の要となるのはリニア電磁モーター。このモーターには、スピーカーの動作原理をそのまま当てはめることができるため、技術のベースは同じものと言える。

リニア電磁モーターの応用例として、ボーズは車両用サスペンションを2004年に発表した

エレクトロフォースの概要

今回の素材測定機器にも、このリニア電磁モーターの技術が活用されている。素材の測定では、微妙な力で素材を引っ張ったり、ねじったり、押したりなどの動作が必要となる場合がある。従来の油圧駆動では、このような動作を行うことが難しかったほか、機器のメンテナンスも必要となるなど効率が悪かった。BOSE ElectroForceの測定機器は、駆動をリニアモーターで行っており、微少な力を加えることが容易に行えるほか、非接触方式なのでメンテナンスフリーというメリットも生まれる。

製品の応用範囲は幅広い。まず材料開発分野では、ナノ素材やエンジニアリング・プラスチックなどの耐久試験などが行える。これには「3100」「3200」といった製品が活躍する。

左が測定機器「3100」。ソフトウェアも独自開発のものを使用する

材料試験では、粘性や弾性などの数値化が容易に行える

生体材料や人工組織の研究にも利用できる。たとえば、血管を拡張する「ステント」という針金状の製品は、長期間体内で使用されるため、高い耐久性が求められる。ElectroForceであれば、3ヶ月程度で10年相当の耐久テストが行え、迅速に試験結果を明らかにすることができる。

ステントの耐久性をテストする試験機器

10年の耐久試験を3ヶ月程度で完了できる

また、脊椎の補強材など生体材料についても、背骨の代表的な動きをシミュレートすることで、実物と同じように荷重をかけた試験を行うことが可能。

バイオ関連への応用も行える。現在、再生医療という言葉が脚光を浴びており、人工素材や幹細胞から培養した組織などを使って損傷した生体を再生させる研究が盛んに行われている。研究対象である組織をテストする際には、実際の人体の動きをシミュレートすることが求められるが、ElectroForceはこの要求にも応えることができる。血管の拍動など、微妙な動きを真似ることで、組織をそのまま保存した場合に比べ、培養のスピードを飛躍的に高めることができるのだという。

血管の脈動をシミュレート可能なモデル

体内環境をシミュレートするため、試験機器には微妙な動きが求められる

本日行われた記者向け説明会で、ボーズ(株)代表取締役社長の佐倉住嘉氏は、「この装置を初めて見て、とにかく『すごいな』と感じた。平たく言えば、細胞をだます『細胞欺瞞装置』だ。脈拍までコントロールできるというのは驚きだ」と製品の能力をアピールした。またボーズ(株)広報部の井上克也氏は、「自動車サスペンションは、電磁式リニアモーターという『人工筋肉』でこれまでにない製品を作り上げた。今回の測定器は、この人工筋肉を測定機器に組み込んだもの」と説明。ElectroForceが、試験時間の短縮など様々なメリットをもたらすと述べた。

ボーズ(株)代表取締役社長の佐倉住嘉氏

ボーズ(株)広報部の井上克也氏

【問い合わせ先】
ボーズ・エレクトロフォース・システムズグループ 日本支社
TEL/03-5489-1503

(Phile-web編集部)

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