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公開日 2007/08/09 19:57
村瀬孝矢の新“VIERA”ファーストインプレッション
パナソニック薄型テレビ秋の新製品が発表された。すでにフルHD化していた65V型から42V型までのプラズマテレビを一斉にモデルチェンジしたほか、新たに37V型のフルHD液晶テレビを追加したのが目玉と言える。
特にフルHD化について、37V型はプラズマでは難しいことから、今回、液晶の採用した点を特筆したい。これでVIERAのフルラインアップ体制が整った。また同時に普及タイプの「PZ70」シリーズにフルHD版の50V型、42V型を投入したことも注目される。機能を若干抑えたことで価格を下げ、普及にはずみをつける狙いだ。PZ70シリーズの42V型モデル「TH-42PZ70」は店頭での予想売価が35万円程度で、購入しやすい価格といえる。
なお、今回から春モデル「PZ700」で採用した映り込みを抑えた低反射クリアパネルをすべてのモデルに広げたのも特徴の一つである。
●ドアホンとの連動など新機軸も盛り込まれた
最上位のPZ750シリーズは、10,000対1というハイコントラストパネルの採用、そして3ウエイ6スピーカー化による音質改善、アクトビラのハイビジョン動画に対応、ドアホンとの連携性、それに従来から継承した19ch12時間分の番組表機能など、より性能と使いやすさを高めた。特にドアホンとの連携は、松下電器が薄型テレビに求められる機能として、これまでの画質、音質はもちろん、今後は機能性や使い勝手が重要になると考えていることが読み取れる。
ハイコントラスト化について説明すると、ピーク輝度は既存機種でもほぼ満足できる水準にあることから、今後は黒浮きをいかに抑えるかがポイントで、今秋のライバルモデルもこの観点からコントラスト比の向上を競っている。ちなみに、PZ750シリーズのハイコントラスト化は、プラズマ発光に欠かせない予備放電を再度見直し、きめ細かに制御する新アルゴリズムにより黒浮きを抑えたことで実現した。
また、3ウェイ6スピーカーの採用は、前モデルが2ウェイ4スピーカーで小型だったことから、一部で弱点と指摘されたことへの対応策と見ることができる。新しくトゥイーターを採用したほか、ウーファーもパッシブウーファー化して容積を仮想的に高め、再生帯域の拡大を図った。
ドアホン対応についても少し説明すると、来客があると即座に視聴中の画面を脇に退かせて2画面表示となり、右脇にドアホンの映像が表示されるというもの。押し売りなどの場合、応対せずに画面を元に戻すこともできる。ちなみに映像の伝送はPLCで行い、配線工事も不要と、設置性の良さもアピールしている。
その他、むろんビエラリンクにも対応しており、DVDレコーダーなどとの連携操作も従来どおり対応している。消費電力に関してはPZ700シリーズと同等で、例えば42型フルHDモデルのPZ750は498Wの定格消費電力である。
●パイオニア“KURO”との比較
先週発表されたパイオニアのハイコントラスト(20,000対1)モデル“KURO"との比較が注目されるところだろう。視聴インプレッションは、発表会場で「TH-50PZ750SK」を中心に見た印象で述べてみる。視聴環境も異なり、同じソースで見比べたのではないので断言はできないものの、しっかり黒が締まっている印象で、PZ750もなかなか優れていると感心した。
画作りそのものはメーカーの主張が込められるものなので、むろん同じではない。クッキリ、シャキっとした画作りがPZ750の特徴のようだ。原色を鮮やかに表現し、ダイナミックな印象を受けた。
低反射クリアパネルの効果も大きく、照明下でのコントラストの良さも印象に残った。また、映画ソースの再生でも、黒オビ部分の浮きがより少なくなった印象で、ホームシアター用として使用するのに十分な資質を備えている。もっとも、全体のノイズ感からくる滑らかさではパイオニアの方に分があるような印象も受けた。なお、会場では残念ながら37型フルHD液晶モデルの映像は見ることができなかった。
黒浮きが大きく改善されたプラズマテレビが立て続けに発表されたことで、また薄型テレビが新たな画質領域に踏み込んだことは間違いない。今秋のディスプレイ市場を大いに賑わすことになるだろう。
(村瀬孝矢)
執筆者プロフィール
オーディオ専門誌「ラジオ技術」誌の編集を経て、1978年よりフリーでA&V評論やコンサルティング活動を始める。1991年にAV& Cの普及を目指したAVC社を設立。1998年よりプロジェクター専門誌「PROJECTORS」誌を編集、発行。日本画質学会副会長も務める。
特にフルHD化について、37V型はプラズマでは難しいことから、今回、液晶の採用した点を特筆したい。これでVIERAのフルラインアップ体制が整った。また同時に普及タイプの「PZ70」シリーズにフルHD版の50V型、42V型を投入したことも注目される。機能を若干抑えたことで価格を下げ、普及にはずみをつける狙いだ。PZ70シリーズの42V型モデル「TH-42PZ70」は店頭での予想売価が35万円程度で、購入しやすい価格といえる。
なお、今回から春モデル「PZ700」で採用した映り込みを抑えた低反射クリアパネルをすべてのモデルに広げたのも特徴の一つである。
●ドアホンとの連動など新機軸も盛り込まれた
最上位のPZ750シリーズは、10,000対1というハイコントラストパネルの採用、そして3ウエイ6スピーカー化による音質改善、アクトビラのハイビジョン動画に対応、ドアホンとの連携性、それに従来から継承した19ch12時間分の番組表機能など、より性能と使いやすさを高めた。特にドアホンとの連携は、松下電器が薄型テレビに求められる機能として、これまでの画質、音質はもちろん、今後は機能性や使い勝手が重要になると考えていることが読み取れる。
ハイコントラスト化について説明すると、ピーク輝度は既存機種でもほぼ満足できる水準にあることから、今後は黒浮きをいかに抑えるかがポイントで、今秋のライバルモデルもこの観点からコントラスト比の向上を競っている。ちなみに、PZ750シリーズのハイコントラスト化は、プラズマ発光に欠かせない予備放電を再度見直し、きめ細かに制御する新アルゴリズムにより黒浮きを抑えたことで実現した。
また、3ウェイ6スピーカーの採用は、前モデルが2ウェイ4スピーカーで小型だったことから、一部で弱点と指摘されたことへの対応策と見ることができる。新しくトゥイーターを採用したほか、ウーファーもパッシブウーファー化して容積を仮想的に高め、再生帯域の拡大を図った。
ドアホン対応についても少し説明すると、来客があると即座に視聴中の画面を脇に退かせて2画面表示となり、右脇にドアホンの映像が表示されるというもの。押し売りなどの場合、応対せずに画面を元に戻すこともできる。ちなみに映像の伝送はPLCで行い、配線工事も不要と、設置性の良さもアピールしている。
その他、むろんビエラリンクにも対応しており、DVDレコーダーなどとの連携操作も従来どおり対応している。消費電力に関してはPZ700シリーズと同等で、例えば42型フルHDモデルのPZ750は498Wの定格消費電力である。
●パイオニア“KURO”との比較
先週発表されたパイオニアのハイコントラスト(20,000対1)モデル“KURO"との比較が注目されるところだろう。視聴インプレッションは、発表会場で「TH-50PZ750SK」を中心に見た印象で述べてみる。視聴環境も異なり、同じソースで見比べたのではないので断言はできないものの、しっかり黒が締まっている印象で、PZ750もなかなか優れていると感心した。
画作りそのものはメーカーの主張が込められるものなので、むろん同じではない。クッキリ、シャキっとした画作りがPZ750の特徴のようだ。原色を鮮やかに表現し、ダイナミックな印象を受けた。
低反射クリアパネルの効果も大きく、照明下でのコントラストの良さも印象に残った。また、映画ソースの再生でも、黒オビ部分の浮きがより少なくなった印象で、ホームシアター用として使用するのに十分な資質を備えている。もっとも、全体のノイズ感からくる滑らかさではパイオニアの方に分があるような印象も受けた。なお、会場では残念ながら37型フルHD液晶モデルの映像は見ることができなかった。
黒浮きが大きく改善されたプラズマテレビが立て続けに発表されたことで、また薄型テレビが新たな画質領域に踏み込んだことは間違いない。今秋のディスプレイ市場を大いに賑わすことになるだろう。
(村瀬孝矢)
執筆者プロフィール
オーディオ専門誌「ラジオ技術」誌の編集を経て、1978年よりフリーでA&V評論やコンサルティング活動を始める。1991年にAV& Cの普及を目指したAVC社を設立。1998年よりプロジェクター専門誌「PROJECTORS」誌を編集、発行。日本画質学会副会長も務める。