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公開日 2007/09/02 11:47
<IFA2007レポート:パイオニア>新世代プラズマKUROにマッチする、大本命AVアンプ・スサノオ降臨!
■「KUROって何?」 ヨーロッパの心をつかむ斬新なキービジュアル
パイオニアブースは新世代プラズマテレビ「KURO」一色の様相だ。日本国内での新たなマーケティング戦略を欧州でも展開、プレミアムブランドを目指す。今年はカーAVなどを抑え、ホームAVに特化した展示を行っている。「このブースだけで、KUROを約100台展示しています」(同社説明員)。日本人的にはストレートな意味合いの「KURO」というネーミングも、欧州では漢字ファッションやエキゾチックなイメージなどでプラス印象に受け取られるという。「KUROって何?」という質問から会話が弾むという。
なんといっても目を引くのは日本では使用していないKUROのキービジュアルである。裸の人物の胸に大きく目玉が見開いている。「心(ハート)で感じる視覚表現」という意味合いか。至るところに目玉が出てくる。さらにこの映像のテレビCMもあり、モノクロ動画でさらなるインパクトを出していた。「日本では刺激が強すぎて使用しなかったようです」(現地説明員)。
日本でも展開される、KUROを中心としたホームシアターシステム提案も行われていた。一方はDODEC方式のスピーカーを使ったもので、欧州ではプレーヤーがDVDレコーダーのLXシリーズ(日本未発売)になっていた。もうひとつのホームシアターシステムはハイエンドになって、フロントにS-H810V(799ユーロ)、センターにS-C80(599ユーロ)、リアS-F80(799ユーロ)、サブウーファーS-W250S(999ユーロ)、AVアンプにVSX-LX70(1599ユーロ)、ソース機器はDVDレコーダーのDVR-LX60D(799ユーロ)、BDプレーヤーBDP-LX70 A(1499ユーロ。日本ではLX80相当)というラインナップ。総額100万円を超えるサウンドシステムだ。
■スサノオ降臨。一体型セパレートの提案に、デモブース前は入場待ちのファンで大混雑
多くの人を集めていたのがホームシアターデモルーム前で、デモルームでは新AVサラウンドアンプが世界初披露となった。開発コード名は「SUSANO(スサノオ)」、正式型名は「SC-LX90」となる。VSX-A10(欧州モデル)を引き継ぐ同社フラッグシップとなり、日本でも発表間近、年内発売と予想される。米国はCESデビュー、欧州発売は来春を目指している。日本は未発表なので価格未定だが、欧州では7000ユーロ(110万円〜115万円)。相当なハイエンドモデルとなる。ご存知、スサノオ(ノミコト)は日本神話の神の名である。勇猛な性格でヤマタノオロチを退治したという話から、「いままでにない革新的なマルチチャンネルアンプを作りたいという想いと結びついた」という(同社説明員)。
スサノオ(SC-LX90)は、10チャンネル1400W出力、凄いのはマルチチャンネルをリニアに同時出力できるというスペックだ。普通のマルチチャンネルアンプの場合、たとえば140W×7chとはいっても、各チャンネルすべて同じ出力を保証しているわけではなく、トータル出力である。しかしスサノオは7chなら200W均等に同時出力が可能となる。「ダイレクトエナジーHD」という名前で呼ばれるが、すべてのチャンネルに同じクオリティを求めるならば、これこそが理想である。写真をよく見てもらいたい。シャーシ上下の中央部にスリット(溝)が入っている。このスリットを境にして上がプリアンプ部、下がパワーアンプ部となっている。言ってみれば一体型セパレートアンプ構造なのだ。
■ICE POWER社との協業で生まれたパワー素子で、マルチチャンネル同時駆動を実現
パワーアンプ部はICE POWER社(B&Oの100%子会社)のパワー素子を、パイオニア用にカスタム使用している。これにはエクスクルーシブ(排他的)使用契約を交わしており、パイオニア技術をふんだんに盛り込んだ協業に近いものである。「いままでのクラスでは限界を感じていました。次なるステージを実現するパワー素子を探していたときに、ICE POWERの素性を知り採用を決めました。しかし多くのメーカーも採用するICE POWERではそのまま使えず、互いの技術を持ち寄り、パイオニアスペックに叶うパワー素子に仕上げました。実に協業を始めてから2年という歳月を費やしています」(同社説明員)。具体的には低歪率が特徴で、桁違いの数値を実現しているという。まさに「ICE POWER Powered By PIONEER」と呼ぶのが相応しいだろう。
ICE POWERというとデジタルアンプだが、パイオニアではスサノオをデジタルアンプとは呼ばない。アナログクラスDと呼ぶ。難しい表現だが、「アナログ成分を一切失わないクラスD」と説明される。すべての入力系統をプリアンプで再生成し、パワーアンプへアナログ入力する。DACの直前にSRC(サンプリングレートコンバータ)があり、すべてのチャンネルに内部クロックを使って合わせこむ。ジッターレスの飽くなき低減を追及がテーマだ。
MCACCも進化させ1cm単位の精度で計測が可能になった。フルバンドフェイズコントロールによるEQモードもMCACCに追加した。シンメトリカル(左右対称)ステレオ調整が可能だ。また、フロントパネルには5.1インチのワイド液晶モニターを搭載し、テレビモニターなどがなくてもサラウンドセッティングなどが便利に行える。通常はソース元をモニターするのに使用し、DLNA準拠のネットワークアンプになっており、サーバコンテンツを表示して、再生タイトル(動画・静止画・音声とも)を選択できる。
デモルームでは、BDプレーヤーBDP-LX70A(日本ではBDP-LX80に相当)をソース機器とし、スピーカーはEXシリーズで5.1chサラウンド再生を行っていた。ディズニー欧州の特別な計らいで『パイレーツ・オブ・カリビアン - ワールドエンド』のトレーラーなど、すべてドルビーTrue HD収録のタイトルを使用した。
スサノオに関して興味は尽きないが、日本での発表を待ち、改めて取材に臨みたい(月刊AVレビュー誌で詳細取材予定)。
■LXシリーズは日本に先行して、AVアンプをシリーズラインナップ
さて、そのほかの展示を見ていこう。日本でも展開されるLXシリーズは、KUROに合わせたブラックパネルを持つAVシリーズ。すでに日本より先行してAVアンプ3機種、DVDレコーダー3機種を欧州投入した(DVDレコーダーは日本発売予定なし)。AVアンプは全機種ともHDオーディオ(ドルビーデジタルTrue-HD、DTS-HD Master Audio)のデコード対応、THXセレクト2認証機である。モデルの違いは主に出力数値と、端子数でレベル分けされている。VSX-LX50が150W×7ch、VSX-LX60が170W×7ch、VSX-LX70が180W×7chである。価格は写真キャプションを参照してほしい。
最後にピュアオーディオ商品の新製品について。日本でも発売されている2chステレオに特化した独特のデザインを持つ、SACDプレーヤーPD-D6、プリメインアンプA-A6/A9に新ラインナップが展示された。それぞれがモルトスピーカーと組み合わせて再生されていた。欧州向けのFM/AMチューナーF3とF6、2chSACDプレーヤーの上位機種D9である。チューナーの2モデルはデジタルラジオDABチューナーの搭載の有無の違いである。SACDプレーヤーのPD-D9は日本発表されるかもしれない。
■世界のプレミアムブランドを目指す、SDチャンネル戦略
プレミアムブランドを目指す同社のマーケティングは、販売チャンネルの再構築がテーマであり、それは欧州でも一貫している。SD(セレクタティブ・ディストリビューション)と呼ばれるカテゴライズされたショップにのみ、パイオニア商品は供給される。SD1、SD2というカテゴリーがあり、具体的には「商品展示とデモが正しくできる」「ホームシアターインスタレーションができる」などの条件があり、その代わりに商品の優先供給や、手厚いサポートが約束される。安く大量に売ればいいという量販店は排除される。商品の価値がわかるお客様に、正しい商品説明とサポートで適正な販売を心がけるものだ。
(月刊AVレビュー編集部 永井/Mitsuharu Nagai:AV REVIEW MAGAZINE)
[IFA2007REPORT]
パイオニアブースは新世代プラズマテレビ「KURO」一色の様相だ。日本国内での新たなマーケティング戦略を欧州でも展開、プレミアムブランドを目指す。今年はカーAVなどを抑え、ホームAVに特化した展示を行っている。「このブースだけで、KUROを約100台展示しています」(同社説明員)。日本人的にはストレートな意味合いの「KURO」というネーミングも、欧州では漢字ファッションやエキゾチックなイメージなどでプラス印象に受け取られるという。「KUROって何?」という質問から会話が弾むという。
なんといっても目を引くのは日本では使用していないKUROのキービジュアルである。裸の人物の胸に大きく目玉が見開いている。「心(ハート)で感じる視覚表現」という意味合いか。至るところに目玉が出てくる。さらにこの映像のテレビCMもあり、モノクロ動画でさらなるインパクトを出していた。「日本では刺激が強すぎて使用しなかったようです」(現地説明員)。
日本でも展開される、KUROを中心としたホームシアターシステム提案も行われていた。一方はDODEC方式のスピーカーを使ったもので、欧州ではプレーヤーがDVDレコーダーのLXシリーズ(日本未発売)になっていた。もうひとつのホームシアターシステムはハイエンドになって、フロントにS-H810V(799ユーロ)、センターにS-C80(599ユーロ)、リアS-F80(799ユーロ)、サブウーファーS-W250S(999ユーロ)、AVアンプにVSX-LX70(1599ユーロ)、ソース機器はDVDレコーダーのDVR-LX60D(799ユーロ)、BDプレーヤーBDP-LX70 A(1499ユーロ。日本ではLX80相当)というラインナップ。総額100万円を超えるサウンドシステムだ。
■スサノオ降臨。一体型セパレートの提案に、デモブース前は入場待ちのファンで大混雑
多くの人を集めていたのがホームシアターデモルーム前で、デモルームでは新AVサラウンドアンプが世界初披露となった。開発コード名は「SUSANO(スサノオ)」、正式型名は「SC-LX90」となる。VSX-A10(欧州モデル)を引き継ぐ同社フラッグシップとなり、日本でも発表間近、年内発売と予想される。米国はCESデビュー、欧州発売は来春を目指している。日本は未発表なので価格未定だが、欧州では7000ユーロ(110万円〜115万円)。相当なハイエンドモデルとなる。ご存知、スサノオ(ノミコト)は日本神話の神の名である。勇猛な性格でヤマタノオロチを退治したという話から、「いままでにない革新的なマルチチャンネルアンプを作りたいという想いと結びついた」という(同社説明員)。
スサノオ(SC-LX90)は、10チャンネル1400W出力、凄いのはマルチチャンネルをリニアに同時出力できるというスペックだ。普通のマルチチャンネルアンプの場合、たとえば140W×7chとはいっても、各チャンネルすべて同じ出力を保証しているわけではなく、トータル出力である。しかしスサノオは7chなら200W均等に同時出力が可能となる。「ダイレクトエナジーHD」という名前で呼ばれるが、すべてのチャンネルに同じクオリティを求めるならば、これこそが理想である。写真をよく見てもらいたい。シャーシ上下の中央部にスリット(溝)が入っている。このスリットを境にして上がプリアンプ部、下がパワーアンプ部となっている。言ってみれば一体型セパレートアンプ構造なのだ。
■ICE POWER社との協業で生まれたパワー素子で、マルチチャンネル同時駆動を実現
パワーアンプ部はICE POWER社(B&Oの100%子会社)のパワー素子を、パイオニア用にカスタム使用している。これにはエクスクルーシブ(排他的)使用契約を交わしており、パイオニア技術をふんだんに盛り込んだ協業に近いものである。「いままでのクラスでは限界を感じていました。次なるステージを実現するパワー素子を探していたときに、ICE POWERの素性を知り採用を決めました。しかし多くのメーカーも採用するICE POWERではそのまま使えず、互いの技術を持ち寄り、パイオニアスペックに叶うパワー素子に仕上げました。実に協業を始めてから2年という歳月を費やしています」(同社説明員)。具体的には低歪率が特徴で、桁違いの数値を実現しているという。まさに「ICE POWER Powered By PIONEER」と呼ぶのが相応しいだろう。
ICE POWERというとデジタルアンプだが、パイオニアではスサノオをデジタルアンプとは呼ばない。アナログクラスDと呼ぶ。難しい表現だが、「アナログ成分を一切失わないクラスD」と説明される。すべての入力系統をプリアンプで再生成し、パワーアンプへアナログ入力する。DACの直前にSRC(サンプリングレートコンバータ)があり、すべてのチャンネルに内部クロックを使って合わせこむ。ジッターレスの飽くなき低減を追及がテーマだ。
MCACCも進化させ1cm単位の精度で計測が可能になった。フルバンドフェイズコントロールによるEQモードもMCACCに追加した。シンメトリカル(左右対称)ステレオ調整が可能だ。また、フロントパネルには5.1インチのワイド液晶モニターを搭載し、テレビモニターなどがなくてもサラウンドセッティングなどが便利に行える。通常はソース元をモニターするのに使用し、DLNA準拠のネットワークアンプになっており、サーバコンテンツを表示して、再生タイトル(動画・静止画・音声とも)を選択できる。
デモルームでは、BDプレーヤーBDP-LX70A(日本ではBDP-LX80に相当)をソース機器とし、スピーカーはEXシリーズで5.1chサラウンド再生を行っていた。ディズニー欧州の特別な計らいで『パイレーツ・オブ・カリビアン - ワールドエンド』のトレーラーなど、すべてドルビーTrue HD収録のタイトルを使用した。
スサノオに関して興味は尽きないが、日本での発表を待ち、改めて取材に臨みたい(月刊AVレビュー誌で詳細取材予定)。
■LXシリーズは日本に先行して、AVアンプをシリーズラインナップ
さて、そのほかの展示を見ていこう。日本でも展開されるLXシリーズは、KUROに合わせたブラックパネルを持つAVシリーズ。すでに日本より先行してAVアンプ3機種、DVDレコーダー3機種を欧州投入した(DVDレコーダーは日本発売予定なし)。AVアンプは全機種ともHDオーディオ(ドルビーデジタルTrue-HD、DTS-HD Master Audio)のデコード対応、THXセレクト2認証機である。モデルの違いは主に出力数値と、端子数でレベル分けされている。VSX-LX50が150W×7ch、VSX-LX60が170W×7ch、VSX-LX70が180W×7chである。価格は写真キャプションを参照してほしい。
最後にピュアオーディオ商品の新製品について。日本でも発売されている2chステレオに特化した独特のデザインを持つ、SACDプレーヤーPD-D6、プリメインアンプA-A6/A9に新ラインナップが展示された。それぞれがモルトスピーカーと組み合わせて再生されていた。欧州向けのFM/AMチューナーF3とF6、2chSACDプレーヤーの上位機種D9である。チューナーの2モデルはデジタルラジオDABチューナーの搭載の有無の違いである。SACDプレーヤーのPD-D9は日本発表されるかもしれない。
■世界のプレミアムブランドを目指す、SDチャンネル戦略
プレミアムブランドを目指す同社のマーケティングは、販売チャンネルの再構築がテーマであり、それは欧州でも一貫している。SD(セレクタティブ・ディストリビューション)と呼ばれるカテゴライズされたショップにのみ、パイオニア商品は供給される。SD1、SD2というカテゴリーがあり、具体的には「商品展示とデモが正しくできる」「ホームシアターインスタレーションができる」などの条件があり、その代わりに商品の優先供給や、手厚いサポートが約束される。安く大量に売ればいいという量販店は排除される。商品の価値がわかるお客様に、正しい商品説明とサポートで適正な販売を心がけるものだ。
(月刊AVレビュー編集部 永井/Mitsuharu Nagai:AV REVIEW MAGAZINE)
[IFA2007REPORT]