HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2008/02/05 20:57
VIERA春モデルの一部仕様が明らかに − コントラスト3万対1、色域をDCIレベルに
松下電器産業(株)は本日、同社のプラズマテレビ“VIERA”に搭載しているPDPを製造する松下プラズマディスプレイ(株)尼崎工場にて、事業戦略説明会と第4工場の見学会を開催した。
事業戦略説明会の中で、パナソニックAVCネットワークス社社長の坂本俊弘氏は、同社がこの春発売する“VIERA”の仕様について言及。新材料や新プロセス、新たなセル構造、新たな駆動方式を採用した「Neo PDP技術」を搭載し、省エネ化や高画質化、低コスト化を実現することを検討しているという。
これらの技術はいずれも、坂本氏が1月に行われたInternational CESのキーノートスピーチ(関連ニュース)で明らかにしていたもの。具体的に国内製品への採用が語られたのは今回が初めて。
■新VIERAはコントラスト比30,000対1を実現
VIERA春モデルに搭載される予定の新技術を具体的に紹介していこう。まず、省電力化・高効率化では、新たな蛍光体の開発や新プロセスの導入により、発光効率を2倍に向上、同一輝度の場合の消費電力は約1/2となる。また、発光効率向上をピーク輝度のアップに振り分ければ、これまでよりさらに鮮やかな映像の実現が可能になる。ただし坂本氏によると、VIERAの春モデルではこの技術の一部が搭載される見込みで、実際に発光効率を2倍に高めた商品の投入は2009年になる予定という。
また「高画質化」というキーワードでは、色域を、デジタルテレビのHDTV規格レベルから、デジタルシネマ標準のDCIレベルにまで引き上げ、黄色や金色、深紅といった、HDTV規格では表現しづらい色の再現を可能にする。
さらに、パネルの新材料開発により予備放電の発光量をさらに低減させ、暗所コントラスト比を最大30,000対1にまで引き上げた「新リアルブラック駆動方式」も搭載する。これまでの同社製品の暗所コントラスト比は最大10,000対1程度だったので、一気に数値が跳ね上がることになる。
■シングルスキャン化で製造コスト低減
パネル駆動方式も進化。これまで同社は、42V型のフルHDモデルについて、パネルの上下に駆動回路を配置する「ダブルスキャン方式」を採用していたが、これをパネルの下だけに搭載する「シングルスキャン方式」に改め、駆動回路部のコストを半減する。
坂本氏は、大画面薄型テレビについて、今後は液晶の方がプラズマより優位に立つとの一部報道に対し、「これらはすべて、製造コストでプラズマが液晶に負けるという前提の上に立っている。今回のシングルスキャン化により、コスト面でも勝っていく」と反論。また、PDPの売り上げが鈍化しているのでは、という記者の質問に対しては、「昨日、昨年10〜12月期のDisplay Searchの集計がまとまったが、PDPは前年比で162%の売り上げを記録している。また、LGが再び32インチのPDPを発売して売れているというデータもある。さらに今後1年〜1年半程度のあいだで、あるサイズのLCDが不足してくるはずだ」とし、プラズマテレビ売り上げの失速を強く否定した。
さらに坂本氏は、International CESで公開した150インチの4K2Kプラズマテレビと、50V型で厚さ24.7mmの超薄型プラズマテレビについて、いずれも2009年の発売を検討している、と表明。超薄型テレビについては、「他社は最薄部を競っているようだが、当社の試作機は背面がフルフラットになっている」とし、考え方の違いを強調した。
そのほか、60GHzのミリ波帯を用いるワイヤレス映像伝送技術「Wireless HD」についても、対応製品を2009年に発売すると説明。米SiBEAM社の技術を一部に使用し、送信部と受信部のあいだを人が横切っても、電波の方向を変えることで干渉を抑える「ビームステアリング技術」を搭載していることも明らかにした。
また、5月に発売されるVIERA北米モデルに、Youtube視聴機能やPicasaへのアクセス機能を搭載した「VIERA CAST」を搭載することや、CATVのSTBをテレビに内蔵した北米向け製品なども紹介された。
坂本氏は、これらの製品群や技術により、「テレビを核に家族全員が集まる『デジタル囲炉裏』を実現させたい」と力強く語った。
■尼崎第5工場のマザーガラスは42V型16面取り
また坂本氏は、2009年5月に稼働予定の尼崎第5工場についても、今回初めてマザーガラスのサイズを発表。サイズは2,280×3,920mmで、42V型のパネルを16面取ることができる。今年稼働開始した第4工場は8面取りなので、第5工場では大幅に生産の効率化が図れることになる。
坂本氏は「参考までに、液晶パネルの第10世代のマザーガラスは2,850×3,050mm。第5工場のガラスサイズはこれを上回る」と説明。なお、第10世代の液晶パネル工場は、シャープが大阪府堺市に「21世紀型コンビナート」として2009年に稼働を目指している(関連ニュース)。
第5工場では、ガラスサイズだけでなく、生産リードタイムやプロセス数も改善。生産リードタイムは第1工場比で53%程度に低減し、1.8日でパネルを製造することができるという。またプロセス数も、第1工場では60以上あったプロセスを67%程度にまで抑え、「PDP生産の大幅合理化が可能になる」とした。
(Phile-web編集部)
事業戦略説明会の中で、パナソニックAVCネットワークス社社長の坂本俊弘氏は、同社がこの春発売する“VIERA”の仕様について言及。新材料や新プロセス、新たなセル構造、新たな駆動方式を採用した「Neo PDP技術」を搭載し、省エネ化や高画質化、低コスト化を実現することを検討しているという。
これらの技術はいずれも、坂本氏が1月に行われたInternational CESのキーノートスピーチ(関連ニュース)で明らかにしていたもの。具体的に国内製品への採用が語られたのは今回が初めて。
■新VIERAはコントラスト比30,000対1を実現
VIERA春モデルに搭載される予定の新技術を具体的に紹介していこう。まず、省電力化・高効率化では、新たな蛍光体の開発や新プロセスの導入により、発光効率を2倍に向上、同一輝度の場合の消費電力は約1/2となる。また、発光効率向上をピーク輝度のアップに振り分ければ、これまでよりさらに鮮やかな映像の実現が可能になる。ただし坂本氏によると、VIERAの春モデルではこの技術の一部が搭載される見込みで、実際に発光効率を2倍に高めた商品の投入は2009年になる予定という。
また「高画質化」というキーワードでは、色域を、デジタルテレビのHDTV規格レベルから、デジタルシネマ標準のDCIレベルにまで引き上げ、黄色や金色、深紅といった、HDTV規格では表現しづらい色の再現を可能にする。
さらに、パネルの新材料開発により予備放電の発光量をさらに低減させ、暗所コントラスト比を最大30,000対1にまで引き上げた「新リアルブラック駆動方式」も搭載する。これまでの同社製品の暗所コントラスト比は最大10,000対1程度だったので、一気に数値が跳ね上がることになる。
■シングルスキャン化で製造コスト低減
パネル駆動方式も進化。これまで同社は、42V型のフルHDモデルについて、パネルの上下に駆動回路を配置する「ダブルスキャン方式」を採用していたが、これをパネルの下だけに搭載する「シングルスキャン方式」に改め、駆動回路部のコストを半減する。
坂本氏は、大画面薄型テレビについて、今後は液晶の方がプラズマより優位に立つとの一部報道に対し、「これらはすべて、製造コストでプラズマが液晶に負けるという前提の上に立っている。今回のシングルスキャン化により、コスト面でも勝っていく」と反論。また、PDPの売り上げが鈍化しているのでは、という記者の質問に対しては、「昨日、昨年10〜12月期のDisplay Searchの集計がまとまったが、PDPは前年比で162%の売り上げを記録している。また、LGが再び32インチのPDPを発売して売れているというデータもある。さらに今後1年〜1年半程度のあいだで、あるサイズのLCDが不足してくるはずだ」とし、プラズマテレビ売り上げの失速を強く否定した。
さらに坂本氏は、International CESで公開した150インチの4K2Kプラズマテレビと、50V型で厚さ24.7mmの超薄型プラズマテレビについて、いずれも2009年の発売を検討している、と表明。超薄型テレビについては、「他社は最薄部を競っているようだが、当社の試作機は背面がフルフラットになっている」とし、考え方の違いを強調した。
そのほか、60GHzのミリ波帯を用いるワイヤレス映像伝送技術「Wireless HD」についても、対応製品を2009年に発売すると説明。米SiBEAM社の技術を一部に使用し、送信部と受信部のあいだを人が横切っても、電波の方向を変えることで干渉を抑える「ビームステアリング技術」を搭載していることも明らかにした。
また、5月に発売されるVIERA北米モデルに、Youtube視聴機能やPicasaへのアクセス機能を搭載した「VIERA CAST」を搭載することや、CATVのSTBをテレビに内蔵した北米向け製品なども紹介された。
坂本氏は、これらの製品群や技術により、「テレビを核に家族全員が集まる『デジタル囲炉裏』を実現させたい」と力強く語った。
■尼崎第5工場のマザーガラスは42V型16面取り
また坂本氏は、2009年5月に稼働予定の尼崎第5工場についても、今回初めてマザーガラスのサイズを発表。サイズは2,280×3,920mmで、42V型のパネルを16面取ることができる。今年稼働開始した第4工場は8面取りなので、第5工場では大幅に生産の効率化が図れることになる。
坂本氏は「参考までに、液晶パネルの第10世代のマザーガラスは2,850×3,050mm。第5工場のガラスサイズはこれを上回る」と説明。なお、第10世代の液晶パネル工場は、シャープが大阪府堺市に「21世紀型コンビナート」として2009年に稼働を目指している(関連ニュース)。
第5工場では、ガラスサイズだけでなく、生産リードタイムやプロセス数も改善。生産リードタイムは第1工場比で53%程度に低減し、1.8日でパネルを製造することができるという。またプロセス数も、第1工場では60以上あったプロセスを67%程度にまで抑え、「PDP生産の大幅合理化が可能になる」とした。
(Phile-web編集部)