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公開日 2008/05/26 18:02
テレビ、使いこなせていますか? − 成蹊大教授・窪田氏に訊く視聴環境と画質の関係
テレビ選びは大きな関心ごとだが、
実は購入後のテレビの調整の方が大切だってご存じでした?
調整次第でテレビライフはグンと向上するぞ!
現代のテレビはたいへん性能が高く、多機能である。主要メーカーのテレビのほとんどは、画質に複数のモードを搭載し、ユーザーの好みや観るコンテンツによって調整できるようになっている。だが、この高性能と多機能を薄型テレビを持っている人が使いこなせているのか、というと、必ずしもそうではないらしい。むしろ、性能を享受できていない人の方が多いというのである。
一般家庭における薄型テレビの視聴環境と画質との関係に詳しい成蹊大学理工学部教授、窪田 悟氏にお話を伺った。
窪田 悟(KUBOTA SATORU)
成蹊大学理工学部エレクトロメカニクス学科教授。情報機器などのエルゴノミクスやユーザビリティに関する研究に従事する。映像情報メディア学会、人間工学会、照明学会など会員。
「テレビを買うとき、皆さん家電店で見比べていると思うのですが、そのときの映像はあまり比較の意味がありません。というのも、家電店の照明は極めて明るい蛍光灯を用いていて、家庭の照明のほぼ10倍の明るさ。テレビの映像もそこで映えるようにほとんどがダイナミックモードに設定されています。工場出荷時のデフォルトもダイナミックモードに設定されていることが多いんです。
大半の人は家庭に届いた状態のまま、テレビを使用するんですね。ダイナミックモードは、映像がギラついて目が疲れやすくなるばかりか、無駄な電力を消費することになります。
まず、モードを調整しなおすことが必要です。人間の目は、年齢や個人によって画質の感じ方が違います。個々に観やすい映像やモードに設定しなおすことが必要ですね。最近は部屋の明るさに合わせて映像の明るさを自動的に調節する機能を搭載した機種が多くなっています。この機能を有効に利用することはもちろん、自動調節だけに頼らずに自分にとって好ましい画質に調整することも大切です」。
薄型大画面テレビ普及の加速を受けて、テレビ視聴に関する人間工学的な調査を始めた窪田氏は、主に一般家庭のテレビの視聴条件と望ましい表示条件との関係を調べている。薄型テレビを導入している家庭に出向き、光環境や視聴位置、部屋のレイアウトなどを計測し、分析する。その調査結果を実験室で再現し、好ましい画質の条件を追究している。研究結果はメーカー各社のテレビ開発に役立ててもらっているそうだ。
「テレビ映像の画質は、実際にテレビを視聴する場所の光環境、すなわち照明や外光に依存します。画面の見かけの大きさによっても必要な明るさやコントラストは異なります。つまり、視聴距離や視聴角度によっても画質調整が必要です。また、光環境がテレビの映像に及ぼす影響は、ブラウン管、液晶、プラズマといったディスプレイ技術によって異なります。
これからは省エネという意味からも環境と視聴者に合わせた画質調整が重要になってきます。ユーザーの皆さんでもぜひ積極的にテレビを使いこなしていただきたいですね」。
映像機器の画質調整はAVファンの間では常識だが、普段使いのテレビでも、万人にとってそれぞれ好ましい画質、そうでない画質は存在する。まずはお手持ちのテレビのチェックするところから始めてみてはいかがだろうか。
(ホームシアターファイル編集部)
実は購入後のテレビの調整の方が大切だってご存じでした?
調整次第でテレビライフはグンと向上するぞ!
現代のテレビはたいへん性能が高く、多機能である。主要メーカーのテレビのほとんどは、画質に複数のモードを搭載し、ユーザーの好みや観るコンテンツによって調整できるようになっている。だが、この高性能と多機能を薄型テレビを持っている人が使いこなせているのか、というと、必ずしもそうではないらしい。むしろ、性能を享受できていない人の方が多いというのである。
一般家庭における薄型テレビの視聴環境と画質との関係に詳しい成蹊大学理工学部教授、窪田 悟氏にお話を伺った。
窪田 悟(KUBOTA SATORU)
成蹊大学理工学部エレクトロメカニクス学科教授。情報機器などのエルゴノミクスやユーザビリティに関する研究に従事する。映像情報メディア学会、人間工学会、照明学会など会員。
「テレビを買うとき、皆さん家電店で見比べていると思うのですが、そのときの映像はあまり比較の意味がありません。というのも、家電店の照明は極めて明るい蛍光灯を用いていて、家庭の照明のほぼ10倍の明るさ。テレビの映像もそこで映えるようにほとんどがダイナミックモードに設定されています。工場出荷時のデフォルトもダイナミックモードに設定されていることが多いんです。
大半の人は家庭に届いた状態のまま、テレビを使用するんですね。ダイナミックモードは、映像がギラついて目が疲れやすくなるばかりか、無駄な電力を消費することになります。
まず、モードを調整しなおすことが必要です。人間の目は、年齢や個人によって画質の感じ方が違います。個々に観やすい映像やモードに設定しなおすことが必要ですね。最近は部屋の明るさに合わせて映像の明るさを自動的に調節する機能を搭載した機種が多くなっています。この機能を有効に利用することはもちろん、自動調節だけに頼らずに自分にとって好ましい画質に調整することも大切です」。
薄型大画面テレビ普及の加速を受けて、テレビ視聴に関する人間工学的な調査を始めた窪田氏は、主に一般家庭のテレビの視聴条件と望ましい表示条件との関係を調べている。薄型テレビを導入している家庭に出向き、光環境や視聴位置、部屋のレイアウトなどを計測し、分析する。その調査結果を実験室で再現し、好ましい画質の条件を追究している。研究結果はメーカー各社のテレビ開発に役立ててもらっているそうだ。
「テレビ映像の画質は、実際にテレビを視聴する場所の光環境、すなわち照明や外光に依存します。画面の見かけの大きさによっても必要な明るさやコントラストは異なります。つまり、視聴距離や視聴角度によっても画質調整が必要です。また、光環境がテレビの映像に及ぼす影響は、ブラウン管、液晶、プラズマといったディスプレイ技術によって異なります。
これからは省エネという意味からも環境と視聴者に合わせた画質調整が重要になってきます。ユーザーの皆さんでもぜひ積極的にテレビを使いこなしていただきたいですね」。
映像機器の画質調整はAVファンの間では常識だが、普段使いのテレビでも、万人にとってそれぞれ好ましい画質、そうでない画質は存在する。まずはお手持ちのテレビのチェックするところから始めてみてはいかがだろうか。
(ホームシアターファイル編集部)