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公開日 2008/07/10 20:48

第3回・私的録音録画小委員会が開催 − iPod/ダビング10課金への議論は平行線

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文化庁は7日、第3回著作権分科会 私的録音録画小委員会を開催した。本委員会は06年の発足以来、機器等の製造メーカー、コンテンツ権利者団体代表、有識者などが集い「私的録音・録画補償金制度」の在り方について議論を交わしてきた。


第3回目 文化審議会 著作権分科会私的録音録画小委員会
補償金制度をめぐっては、課金対象の拡大を求める権利者側と制度自体の縮小・廃止を求めるメーカー側で意見が対立してきた。

今年5月に行われた第2回の同小委員会で、文化庁が「音楽CDからの録音」、「無料デジタル放送の録画」にも制度を拡大する改正案を提出。iPodやダビング10対応のHDDレコーダー等も新たに課金対象となるというこの改正案に対し、メーカー側から反対意見が続出した。

前回提出された文化庁の改定案では、著作権保護技術が機能している場合には原則として課金の必要はないとしつつも、PCからの複製が可能で著作権保護技術が有効に機能していない「音楽CDからの録音」、著作権保護技術は有効に機能しているがダビング10の施行によりユーザーのコンテンツ利用頻度を高める「無料デジタル放送からの録画」について、当面は補償金制度で対処するとしている。

本日開催された小委員会では、JEITA側の意見を受けて、より具体的な内容に修正された改定案を文化庁が再度提出した。

文化庁はJEITAから指摘のあった補償金制度を縮小するという将来の構想について具体的に説明。補償金制度の廃止時期については、「音楽CDに代わって次世代オーディオの台頭や、またはダビング10の変更など新たな著作権保護技術が機能するようになったときに、制度の廃止条件が整うものと考える」としている。また「あらかじめ制度の存続期限を決定してしまうのは、この条件が技術の発展状況や市場の調整等に委ねられるものであるため適切ではないが、適切なタイミングで制度の有効性について検証することは必要と考えている」と述べた。

そのほか補償金制度の対象を「音楽CDからの録音」「無料デジタル放送の録画」以外にも拡大するのではないか、補償金制度における補償金額は今後減少していくのか、といった懸念に対して、Q&A方式の書類を用意しひとつひとつに回答を提示した。

(社)電子情報技術産業協会 常務理事の長谷川委員は、この文化庁の姿勢に対しては評価をするものの、ダビング10という著作権保護技術を搭載しているものに対してまで課金対象とするのは権利者の二重利得である、文化庁の権利を縮小するという道筋が明確に示されていない、といった以前からの主張を崩すことはなかった。

その後の自由な質疑応答の場では、各界代表者からの様々な意見交換がなされた。


権利者側、メーカー側からの意見が噴出した本日の小委員会について「パンドラの箱をあけてしまったようだ」とコメントした中山主査(右から2番目)
IT・音楽ジャーナリストの津田委員は、「著作権保護技術のDRMが機能している製品については課金しない、もしくは課金した製品にはユーザーが私的にコンテンツを使用する際の自由度を広げる、この2択になるのではないか」と自身の見解を述べた。

(社)日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センターの椎名委員は「権利者側はこれまで私的録音録画制度に関してサイレンスを守ってきたつもりだ。無料デジタル放送については、DRM技術を認め、汎用機については課金対象から外すことを認めてきた。我々はこの2点でもう十分妥協している」と主張。

河村委員は「消費者の代表として申し上げると、補償金制度の縮小・廃止という方向性には賛成だ。ダビング10には補償金はいらないと考えている」と述べた。

分科会終了後、平行線をたどる議論に対して、文化庁担当者は「コンセンサスに物事を決めるためにはお互いに妥協することが必要。今後この審議会で本当に結論を出す気があるのか双方に確認していきたい」と述べた。次回の小委員会は遅くとも今秋には開催するという。それまで議論は持ち越しとなった。

(Phile-web編集部)

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