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公開日 2008/09/24 14:39

「SE102-K」が低価格でも高品位な理由 − 米SHURE担当者 独占インタビュー

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カナル型イヤホンの大手ブランドSHUREから、新製品「SE102-K」(関連ニュース)の発売に合わせ、同社テクニカル・アンド・エデュケーショナル・コミュニケーターのクリス・ライアンズ氏が来日した。インタビューの時間をいただけたので、新製品の話題を中心にお話をうかがった。

●SEシリーズは世界中で予想以上の売り上げを記録

−−SEシリーズを発売してから一年半ほど経ちましたが、手応えはどうでしょう?

ライアンズ氏:世界中で予測を超える売り上げで、大変な成功に満足しています。SEシリーズで新たに導入したフューチャーは好評です。長さを調整できるモジュラーケーブルと、装着のしやすさと遮音性の両方に優れたソフト・フォーム・イヤパッドは、ユーザーの皆様から高い評価をいただいています。

米SHURE クリス・ライアンズ氏

SHURE SEシリーズのラインナップ

−−他に、最近の動向でポイントとなるようなことはありますか?

ライアンズ氏:iPhone発売が当社にとって追い風となっています。音楽再生機能を持った携帯電話は以前からあったのですが、その機能はあまり認知されておらず、それほど使われていませんでした。

しかしiPhoneによって、携帯電話で音楽を聴くというスタイルが以前よりずっと一般的になりました。そこにビジネスのチャンスが広がったのです。

●SHURE品質のiPhone対応アダプター「Music Phone Adapter」

−−そこでSHUREが投入したのがマイクとリモコンスイッチを内蔵した延長ケーブル、「Music Phone Adapter(以下MPA-3C)」(関連ニュース)ですね。

「Music Phone Adapter(MPA-3C)」

イヤホンとマイクの両方の技術を持つSHUREにとってまさに得意分野の製品だと思います。iPhoneが発表されたとき「これはチャンスだ!」とすぐさま開発を開始したのでは?



高橋氏の質問に答えるライアンズ氏
ライアンズ氏:そうですね。いわゆるスマートフォン(高機能携帯電話)に向けたマイク付きケーブルの開発は以前から進めていましたが、iPhoneの発表で開発は一気に加速しました。

もちろん私たちはそもそもマイクのメーカーなので、ただ普通にマイクを増設しただけの平凡な製品を出すわけにはいきません。ですからMPA-3Cのマイク部分にはいくつかの技術が投入されています。

ひとつは人の声の周波数帯域をしっかり拾うように調整された高性能マイクを使うこと。もうひとつ、風の音などのノイズをできるかぎり取り込まないようにする技術も採用しています。

−−自分の声をクリアに相手に届けることができる、と。SHUREイヤホンと組み合わせれば相手の声もクリアに聴き取れて、通話環境はより快適になるのでしょうね。

●新製品「SE102-K」は高品質・低価格のエントリーモデル

−−ではもうひとつの新製品、SE102-Kについてお話を聞かせてください。1万円を切る、SHUREとしてはかなり挑戦的な価格設定ですね。SHUREがこの価格帯に製品を投入する意図は何でしょう?

SEシリーズながら1万円を切る価格設定が話題の「SE102-K」

SE102-K投入は、消費者のSHUREブランド認知を高めるのも狙いの一つ

ライアンズ氏:SHUREユーザーの裾野を広げるためです。例えば若年層にも私たちの製品を聴いてもらいたい。そのためにこの価格帯に製品を投入することにしました。

もちろん品質を下げて価格を安くするのではなく、品質は高く保ったままに価格を下げることが大切でした。

私たちのリサーチの結果、当社のイヤホンを購入していただいた方は、当社のさらに上位のモデルも追加購入してくれる率が高いことがわかっています。高品質・低価格のエントリーモデルを提供することで、そのようなSHUREファンが増えてくれることを期待しているのです。

−−1万円前後という価格帯は日本市場では、様々なメーカーの多くの製品が投入されている激戦区です。しかし実際にSE102-Kの音を聴かせてもらって、その中に入っても説得力を持つ製品だと思いました。

ライアンズ氏:そう感じていただけたなら狙い通りです。この価格帯の製品では、音の細部までを聴き取ることができる製品は多くはありません。私たちは上位モデルと同じように、このSE102-Kでもそのような再現性を実現しています。

●ベストセラーモデル「E2c」をリファインした「SE102-K」

−−SE102-Kの外観や仕様を見ると、EシリーズのE2cとの共通点が多いですね。この2製品のつながりを教えてください。


SE102-Kを詳しく解説するライアンズ氏
ライアンズ氏:E2cは本来はプロフェッショナル向けの製品であったにも関わらず一般のユーザーにも受け入れられた、当社のベストセラー製品でした。そのE2cで好評だった部分を生かしつつ、様々な面を進化させたのがSE102-Kです。

まずはもちろん音質です。当社の“ゴールデンイヤーズ”と呼ばれる熟練エンジニアが再チューニングを施し、音質はさらに向上しています。先ほどお話しした通り、上位モデルにも通じる再現性を実現しているのです。

そして同時に、SEシリーズに共通する扱いやすい仕様を導入しました。モジュラーケーブルやソフト・フレックス・イヤパッドなどです。

−−上位モデルで好評のソフト・フォーム・イヤパッドが使えないのは残念ですが、ソフト・フレックス・イヤパッドの装着感と遮音性も十分に満足できるものですね。

ライアンズ氏:装着性と遮音性を共に高いレベルで実現するのは難しいことで、私たちは常にその研究を行っています。ソフト・フレックス・イヤパッドもその成果です。E2cに付属していた硬めのフレックス・イヤパッドから、装着感はぐっと改善されています。

−−そうですね。カナル型イヤホンの中でも優れた部類の遮音性を維持したまま、装着感も向上していると思います。

ライアンズ氏:あと遮音性を特に求める方には、オプションですがフォーム・イヤパッドも用意しています。


ライアンズ氏に正しい装着方法を見せてもらった。こうすると音質がさらに高まるのだという
もうひとつ、ユーザーの皆様にぜひお伝えしておきたいことがあります。SEシリーズの装着方法についてです。普通のイヤホンはそのまま耳に差し込んでケーブルを下に垂らしますよね。でもSEシリーズでは、その装着方法では本来の音を発揮できません。

耳の穴の角度に合わせて上の方から角度を付けてイヤパッドを耳の穴に挿入して、ケーブルは耳の上に引っ掛けてください。こうすると音がダイレクトに耳の中に届くようになります。正しく付けていただくことで音は格段に良くなりますよ。

(インタビュー・構成:高橋敦)

高橋敦プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。

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