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公開日 2009/01/12 12:21
急増したデモに感じた3D映像実用化への波
折原一也のCES2009レポート
Intenational CES 2009の会場で展示されていた技術のなかで、特に新しい取り組みとして各所で人気を博していたものに「3D」関連の技術がある。昨年秋に行われたCEATEC 2008でパナソニックの行った3Dシアターの展示が大きな契機となったようで、主要メーカー各社のブース内では3D技術に関連するデモが多数実施されていた。
3Dと言うとひと昔前の赤青フィルムのものを想像してしまう人も多いかもしれないが、2005年に「チキン・リトル」3D版の成功によって優れた方式として世界的に広まった“Real D方式”や、「ベオウルフ/呪われし勇者」公開で導入の始まった“ドルビー3D方式”と新世代の技術が登場したことで劇場で支持を集めるようになり、公開作品も増加傾向にある。
日本国内の映画館でも、全国各地にあるワーナー・マイカル(Real D方式)や新宿のバルト9他(ドルビー方式)など3D上映技術を備えた映画館が増えている。映画館の3D上映方式についての説明はまた別の機会へと譲るが、これら劇場への普及と併るかのように、家庭でも3D映像を楽しむための手段へ注目が高まりつつある。
3D関連の展示は、「上映に用いるモニタ及びメガネの種類(この2つは常にセット)」、「映画館向けの作品をHD画質で家庭へと持ち込む際のソースの方式(映画館と同じ両目用の映像そのままの上映は現在では困難なので変換などが必要。これは画質に影響する)」、「ソースの内容(3D作品を家庭用に変換する際のノウハウ)」の3点に分けて考えることができる。
これらをふまえた上で、Intenational CES 2009の会場の3D関連展示を見ていくことにしよう。なお、3D映像にはメガネ不要の直視型の3D映像も存在するので会場で展示されていたものを併せて紹介していく。
■北米でもフルHD 3Dシアターが大盛況のパナソニック
CEATEC 2008でフルHD 3Dシアターのデモを実施していたパナソニックは、CES会場でも同様のデモを実施して人気を集めていた。
デモに用いていたシステムは103インチPDPとBDプレーヤーを使ったもので、赤外線で同期して左右を切り替えるアクティブシャッター方式の3Dメガネを用いる。
そして、BDにはフルHDの映像をそのまま2ch収録して60pで交互に表示するフレームシーケンシャル方式を用いている。これは、映画館と同じ原理のものだが、家庭用としては独自のものだ。
なお、この映像は通常のBDプレーヤーでは再生できないが、デモでは市販モデルからいくつかの機能を減らして3D向けにカスタマイズした製品を使用していた。これらのシステムはCEATEC 2008のものと共通だ。
今回、筆者はスポーツやライブ、演劇といった幅広いジャンルの映像を試聴。その映像は自然な奥行きを感じると共に、通常の映像として見ても精細なもので、大画面という好条件を差し引いても、高い臨場感と同時に細部までの精緻な描写を見せてくれる。CGの映画「BOLT」によるデモの3D空間も自然で、実写にあった前景、背景という区別がはっきりしない自然な奥行きが眼前に広がる様は映画館の3D上映を思わせる出来映えだ。
なお、パナソニックはBD規格への3D映像収録の方式として、今回デモしているフレームシーケンシャル方式の標準化を目指している。これについては詳細を別途記事としてまとめる予定だ。
■ソニーはシアター型のステージと液晶モニタで映画やゲームをデモ
ソニーのブースでは、各種プレゼンテーション用としても使用していた巨大スクリーンを使った3Dシアター上映と、ブース内の一角での液晶モニタによるデモを実施していた。
シアター型のステージは2台のSXRDプロジェクタを2台設置したものによる、一般的な劇場と同じ形で上映。そして、ブース内の一角でデモしていた液晶モニターは、BRAVIAをマイクロポール対応に独自カスタマイズしたもので、デモの再生はBDプレイヤーとゲームにはPS3を用いていた。
ステージでは「3D From Lens to Living Room」のデモを実施。Sony Electronics Incの4k Digital Cinema DirectorであるAndrew Stucker氏と、3D作品制作を行っている3ality社のStece Schklair氏ら制作者側のゲストを招いてのトークセッションや3D作品上映が行われていた。
筆者はその一部しか見ることがなかったが、劇場と同じ巨大スクリーンと上映方式なだけに、立体感、奥行き感はもちろん臨場感と没入感もある。デモとして一部を上映した『U2 3D』は、3Dメガネの種類が異なるドルビー方式と比べて(以前に新宿バルト9でプレス向け試写会として一度鑑賞した記憶頼りではあるが)、若干立体感が控えめに見えた。
また、同じ3Dメガネでそのまま見られる液晶テレビのブースでも、上映していた作品にソニーの技術が現れている。PS3でデモを実施していた『グランツーリスモ5 プロローグ』は、リアルタイムでPS3からレンダリングして出力する3D仕様のGT5を独自開発して再生している。
映画のデモで上映している作品は、グループ会社であるイメージワークスの3D制作のノウハウを生かしたもの。例えば、劇場より小さい家庭用のテレビでは、フレームと画面の境目の部分に違和感を感じたりすることがある。これを解消するために、上手くソニー独自の技術を用いて制作しているのだ。
このデモは画面が40V型クラスと小さめであったものの、確かに実際の映像は精細の低下もほとんど気にならず従来以上の迫力ある映像であった。また、長時間見ていてもあまり疲れず、違和感の小さい3D上映であるとも感じた。
3Dと言うとひと昔前の赤青フィルムのものを想像してしまう人も多いかもしれないが、2005年に「チキン・リトル」3D版の成功によって優れた方式として世界的に広まった“Real D方式”や、「ベオウルフ/呪われし勇者」公開で導入の始まった“ドルビー3D方式”と新世代の技術が登場したことで劇場で支持を集めるようになり、公開作品も増加傾向にある。
日本国内の映画館でも、全国各地にあるワーナー・マイカル(Real D方式)や新宿のバルト9他(ドルビー方式)など3D上映技術を備えた映画館が増えている。映画館の3D上映方式についての説明はまた別の機会へと譲るが、これら劇場への普及と併るかのように、家庭でも3D映像を楽しむための手段へ注目が高まりつつある。
3D関連の展示は、「上映に用いるモニタ及びメガネの種類(この2つは常にセット)」、「映画館向けの作品をHD画質で家庭へと持ち込む際のソースの方式(映画館と同じ両目用の映像そのままの上映は現在では困難なので変換などが必要。これは画質に影響する)」、「ソースの内容(3D作品を家庭用に変換する際のノウハウ)」の3点に分けて考えることができる。
これらをふまえた上で、Intenational CES 2009の会場の3D関連展示を見ていくことにしよう。なお、3D映像にはメガネ不要の直視型の3D映像も存在するので会場で展示されていたものを併せて紹介していく。
■北米でもフルHD 3Dシアターが大盛況のパナソニック
CEATEC 2008でフルHD 3Dシアターのデモを実施していたパナソニックは、CES会場でも同様のデモを実施して人気を集めていた。
デモに用いていたシステムは103インチPDPとBDプレーヤーを使ったもので、赤外線で同期して左右を切り替えるアクティブシャッター方式の3Dメガネを用いる。
そして、BDにはフルHDの映像をそのまま2ch収録して60pで交互に表示するフレームシーケンシャル方式を用いている。これは、映画館と同じ原理のものだが、家庭用としては独自のものだ。
なお、この映像は通常のBDプレーヤーでは再生できないが、デモでは市販モデルからいくつかの機能を減らして3D向けにカスタマイズした製品を使用していた。これらのシステムはCEATEC 2008のものと共通だ。
今回、筆者はスポーツやライブ、演劇といった幅広いジャンルの映像を試聴。その映像は自然な奥行きを感じると共に、通常の映像として見ても精細なもので、大画面という好条件を差し引いても、高い臨場感と同時に細部までの精緻な描写を見せてくれる。CGの映画「BOLT」によるデモの3D空間も自然で、実写にあった前景、背景という区別がはっきりしない自然な奥行きが眼前に広がる様は映画館の3D上映を思わせる出来映えだ。
なお、パナソニックはBD規格への3D映像収録の方式として、今回デモしているフレームシーケンシャル方式の標準化を目指している。これについては詳細を別途記事としてまとめる予定だ。
■ソニーはシアター型のステージと液晶モニタで映画やゲームをデモ
ソニーのブースでは、各種プレゼンテーション用としても使用していた巨大スクリーンを使った3Dシアター上映と、ブース内の一角での液晶モニタによるデモを実施していた。
シアター型のステージは2台のSXRDプロジェクタを2台設置したものによる、一般的な劇場と同じ形で上映。そして、ブース内の一角でデモしていた液晶モニターは、BRAVIAをマイクロポール対応に独自カスタマイズしたもので、デモの再生はBDプレイヤーとゲームにはPS3を用いていた。
ステージでは「3D From Lens to Living Room」のデモを実施。Sony Electronics Incの4k Digital Cinema DirectorであるAndrew Stucker氏と、3D作品制作を行っている3ality社のStece Schklair氏ら制作者側のゲストを招いてのトークセッションや3D作品上映が行われていた。
筆者はその一部しか見ることがなかったが、劇場と同じ巨大スクリーンと上映方式なだけに、立体感、奥行き感はもちろん臨場感と没入感もある。デモとして一部を上映した『U2 3D』は、3Dメガネの種類が異なるドルビー方式と比べて(以前に新宿バルト9でプレス向け試写会として一度鑑賞した記憶頼りではあるが)、若干立体感が控えめに見えた。
また、同じ3Dメガネでそのまま見られる液晶テレビのブースでも、上映していた作品にソニーの技術が現れている。PS3でデモを実施していた『グランツーリスモ5 プロローグ』は、リアルタイムでPS3からレンダリングして出力する3D仕様のGT5を独自開発して再生している。
映画のデモで上映している作品は、グループ会社であるイメージワークスの3D制作のノウハウを生かしたもの。例えば、劇場より小さい家庭用のテレビでは、フレームと画面の境目の部分に違和感を感じたりすることがある。これを解消するために、上手くソニー独自の技術を用いて制作しているのだ。
このデモは画面が40V型クラスと小さめであったものの、確かに実際の映像は精細の低下もほとんど気にならず従来以上の迫力ある映像であった。また、長時間見ていてもあまり疲れず、違和感の小さい3D上映であるとも感じた。