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公開日 2009/09/30 17:44
JVC・ケンウッド、BD再生や高音質ラジオ視聴も楽しめる“Home AVC”「RYOMA」を公開
専用ネットワークサービス「M-LinX」も開発
JVC・ケンウッド・ホールディングス(株)は、本体にHDD/BDドライブやデジタル放送チューナー、FM/AMラジオ、デジタルアンプのほかネットワークコンテンツの再生機能も統合した多機能エンターテインメントプレーヤー「RYOMA(リョーマ)」の開発発表会を開催した。
本機は2008年10月の同社設立記者会見以来(関連ニュース)、「カタ破りをカタチに。」を企業ビジョンに掲げる同社が次世代のオーディオ・ビジュアル製品として、同社執行役員常務 新事業開発センター長の前田悟氏が指揮を執りながら開発を進めてきたモデル。このたび同社の新事業領域を構築する第一弾モデルとして、「RYOMA」の試作機と専用サービス「M-LinX」の開発発表が行われる運びとなった。
「RYOMA」については来年春の商品化が予定されており、価格も未定。本日の発表段階では製品のコンセプトとおおまかな仕様のみが試作機をベースに紹介された。なお、本機に冠されたコードネーム「RYOMA」の由来は、「カタ破り」な偉人の象徴である坂本龍馬より命名されたものであるというが、正式な型番についてはまだ明らかにされなかった。試作機本体には「RYOMA」のロゴマークのみが配されており、JVC、KENWOODいずれのロゴも見つけることはできなかった。
本機にはデジタル放送用チューナーと内蔵HDD/BDドライブによるテレビ番組録画のほか、FM/AMラジオの録音・再生が楽しめる機能が搭載される。またビクターとケンウッド両社が培ってきた高音質技術とノウハウを活かしたデジタルアンプの内蔵も予定されており、本機から直接スピーカーにつないで高音質な音楽再生が楽しめるようになるという。さらにLAN端子も搭載し、インターネット経由で提供される本機専用の新サービス「M-LinX(エム-リンクス)」にも対応する。
本日の発表会では新製品の開発背景や仕様について、新事業開発センター長の前田悟氏が説明を行った。
前田氏は始めに現在のエレクトロニクス業界が置かれている現状について語り「AV機器はいま“AV危機”と言ってもよい状況。新製品を投入しても価格競争とコモディティ化の流れに飲まれ、工場は空洞化してしまい、大手も含めて各メーカーの商品が画一化せざるを得ない危機的な状況にある。一方ではiPodやゲームなど、手頃な価格で欲しくなるような要素を持つ商品にはユーザーの支持が集まる。いまAV機器の商品化において最も大事な要素は知恵であり、プロダクトプランニングだ。ユーザーに“欠乏感”を与え、新しいライフスタイルを提案できる製品を実現すべく、“RYOMA”の開発に着手した」とし、製品の開発背景を紹介した。
「RYOMA」が搭載する最も特徴的な機能について、前田氏は「ラジオの高音質再生」を挙げる。本体にFM/AMラジオチューナーを搭載するほか、難視聴地域でもクリアなラジオ放送が楽しめ、映像や文字情報など付加データも受信できるネットワークサービス「M-LinX」に対応する。「M-LinX」は、同社が独自に開発した放送サービス地域特定技術により、FM/AMラジオ放送と同じ音声をインターネット経由で受信して楽しめるというもの。様々な電波障害による難視聴地域でも、本機ならばノイズのないクリアなラジオ放送を視聴できる点が特徴となる。また音声のほかにも動画や静止画、文字情報などの付加データを同時に活用できる技術や双方向機能も現在開発されている。
前田氏は本機の開発において、ラジオ対応にこだわった理由について触れ「現在商品化されているAV機器は、例えば“テレビはテレビ”、“オーディオはオーディオ”といった具合に、目的別にばらばらの機能を備えるものばかりだ。これはメーカーの組織が事業部ごとに細分化されていることが原因であり、本来ユーザーの目線に立つのであれば、テレビやBDレコーダーでもラジオを聴く楽しみ方が実現されてもよいはずと考えた。またインターネットにもつながることで、今までになかったラジオの楽しみ方も可能になる。“ホームオーディオライフの復活”がRYOMAを開発する上でひとつの大きなテーマだ」と説明する。
またユーザーが手持ちのテレビやレコーダーなどのAV機器に接続して「M-LinX」を楽しめる様にする、コンパクトなFM/AMチューナー「M-LinX Tuner Box」も来春を目処に商品化を予定している。本機の試作機も今日の発表会で披露された。本体寸法は115W×25H×77Dmmと非常にコンパクト。「M-LinX」だけでなく通常のFM/AMラジオ放送も楽しめる。本体にはHDMI出力1基、コンポジット出力1基を搭載する。本機について前田氏は「戦略的な価格設定を実現して、一気に広げたいと考えている。また本機周辺技術のライセンシングも考えている」と語った。
本日の記者発表会では「RYOMA」の試作機によるデモも実施。TOKYO FMと共同で試作したデモコンテンツを使って、「M-LinX」とFMラジオ放送の比較視聴や、BDソフトの再生が行われた。また現在開発中のユーザーインターフェースやリモコンも紹介された。ユーザーインターフェースについては、本機で再生可能な様々な映像・音声コンテンツへのスムーズなアクセスを実現。「観る・聴く・撮る」の各操作にて直感的な操作が可能なデザインが検討されているという。またリモコンについても「本機の多機能をかんたんに使いこなせるよう、力のこもったデザインに仕上げられている」と前田氏は胸を張った。
記者発表会のデモコンテンツを共同製作した(株)エフエム東京からは、常務取締役の黒坂修氏が登壇した。
本機の開発発表に向けて「ラジオの視聴スタイルは今、“車の中”と“オフィス”が最も多く、家でゆっくりといい音でラジオを聴きたいという声はとても少なくなっている。今回発表された“RYOMA”の提案を私たちは本当に嬉しく思っている。例えば都内においても難視聴地域はまだ多くあるが、“M-LinX”はその課題を解決してくれるサービスとして期待できる。私たちコンテンツプロバイダーも、JVC・ケンウッド・ホールディングスの提案に応えていきたいと意気込んでいる」とコメントした。
以下、記者発表会で行われた質疑応答の内容を紹介する。
Q:本日時点では未定とのことだが、RYOMAの価格イメージはどのくらいか。M-LinXは価格体系も含めてどんなサービスになりそうか。
A:今日は開発発表なので、価格については改めて商品発表の時にお伝えしたい。私の希望としては最近のビデオレコーダーの価格にプラスアルファぐらいで実現したいと思っているが、今は全くの白紙。M-LinXのサービスは無料/有料さまざまになると思う。色んなパターンを想定している。
Q:ビクターとケンウッドの、シナジー効果はRYOMAのどんなところに表れているか。
A:私はシナジーという言葉はあまり好きじゃないのだが…。今回はJVC・ケンウッド・HD直下に開発センターができ、統合を契機にどんどん新しい商品を出し続けるチームにしたいと考えている。ビクター、ケンウッドからパッションのあるエンジニアが集まって、一つの目的に対してそれぞれの技術とノウハウを活かして開発できる環境をつくった。数字の結果ではなく、“自分たちがやっていく”という共通の意識を持つことでシナジーが発揮できると考えている。
Q:「M-LinX」のコンテンツはどの程度提供されるのか。パートナーの見通しは。
A:FM TOKYO様にも今回ご協力いただいたが、現在も何社かのパートナー企業と詰めを行っているところ。具体的にいくつのコンテンツが揃えられるかという見通しについては今はまだ具体的に言えない。まずはこのプラットフォームを利用してくれるパートナーを増やしていくことが大事だと思っている。
Q:FMチューナーボックスについてはライセンスも考えているというが、OEM供給のモデルか、あるいは技術そのものを供給して他のメーカーが作れるようにするのか。
A:まずは部品供給のようなかたちからスタートすることになるだろう。技術ライセンスも考えている。当社から可能性を限定してしまうつもりはない、どんなかたちもあり得るだろう。
Q:資本力をもったメーカーがライセンスを受けてしまうと、また大手メーカーが同様の商品をつくって価格競争に陥る危険があるのでは。
A:大手メーカーも現在苦労しており、開発がスムーズに行かない環境にあると考えている。いずれ、当社が先手を打って開発を進めればよいことで、一番大事なのはプロダクトプランニングだ。今回の製品以外にもまだ隠し玉はある。これらを今後先行して商品化して行けばよいことだ。同じ製品を作っている限りは規模の論理になると思うが、新しい商品を常に機動力をもって出し続けることが大事。この目線に立って各社が競い合っていけば、日本のエレクトロニクスはきっと復活する。
Q:「M-LinX」にて、独自開発の放送地域特定技術とあるが、これはどのようなものか。
A:これは秘密だ。
Q:「M-LinX」をJVC・ケンウッド・HDではどのようにビジネス化していくのか。
A:今は具体的には考えていないが、コンテンツに掲載される広告掲載料をシェアする方法もある。通信販売チャンネルなどのマージンをシェアするなど、いろんなビジネスモデルを検討していきたい。
Q:今回の事業を売上げベースでどれくらいの規模に成長させたいと考えている。
A:言葉では幾らでも言えるので、今は意味がないと思う。規模は大きくなればいいなと思うし、私は当たり前のサービスになると期待している。ライセンスで利益を上げていくことも一つのビジネスモデルだろう。
Q:今回のサービスの対象地域は国内のみか。グローバル展開も考えているのか。
A:最初は国内で導入する。できるだけ早く海外展開したい。国ごとにローカライズが必要なので、これらの準備を整えてからになるだろう。実際にもう幾つかの地域では商談に入っていると聞いている。
本機は2008年10月の同社設立記者会見以来(関連ニュース)、「カタ破りをカタチに。」を企業ビジョンに掲げる同社が次世代のオーディオ・ビジュアル製品として、同社執行役員常務 新事業開発センター長の前田悟氏が指揮を執りながら開発を進めてきたモデル。このたび同社の新事業領域を構築する第一弾モデルとして、「RYOMA」の試作機と専用サービス「M-LinX」の開発発表が行われる運びとなった。
「RYOMA」については来年春の商品化が予定されており、価格も未定。本日の発表段階では製品のコンセプトとおおまかな仕様のみが試作機をベースに紹介された。なお、本機に冠されたコードネーム「RYOMA」の由来は、「カタ破り」な偉人の象徴である坂本龍馬より命名されたものであるというが、正式な型番についてはまだ明らかにされなかった。試作機本体には「RYOMA」のロゴマークのみが配されており、JVC、KENWOODいずれのロゴも見つけることはできなかった。
本機にはデジタル放送用チューナーと内蔵HDD/BDドライブによるテレビ番組録画のほか、FM/AMラジオの録音・再生が楽しめる機能が搭載される。またビクターとケンウッド両社が培ってきた高音質技術とノウハウを活かしたデジタルアンプの内蔵も予定されており、本機から直接スピーカーにつないで高音質な音楽再生が楽しめるようになるという。さらにLAN端子も搭載し、インターネット経由で提供される本機専用の新サービス「M-LinX(エム-リンクス)」にも対応する。
本日の発表会では新製品の開発背景や仕様について、新事業開発センター長の前田悟氏が説明を行った。
前田氏は始めに現在のエレクトロニクス業界が置かれている現状について語り「AV機器はいま“AV危機”と言ってもよい状況。新製品を投入しても価格競争とコモディティ化の流れに飲まれ、工場は空洞化してしまい、大手も含めて各メーカーの商品が画一化せざるを得ない危機的な状況にある。一方ではiPodやゲームなど、手頃な価格で欲しくなるような要素を持つ商品にはユーザーの支持が集まる。いまAV機器の商品化において最も大事な要素は知恵であり、プロダクトプランニングだ。ユーザーに“欠乏感”を与え、新しいライフスタイルを提案できる製品を実現すべく、“RYOMA”の開発に着手した」とし、製品の開発背景を紹介した。
「RYOMA」が搭載する最も特徴的な機能について、前田氏は「ラジオの高音質再生」を挙げる。本体にFM/AMラジオチューナーを搭載するほか、難視聴地域でもクリアなラジオ放送が楽しめ、映像や文字情報など付加データも受信できるネットワークサービス「M-LinX」に対応する。「M-LinX」は、同社が独自に開発した放送サービス地域特定技術により、FM/AMラジオ放送と同じ音声をインターネット経由で受信して楽しめるというもの。様々な電波障害による難視聴地域でも、本機ならばノイズのないクリアなラジオ放送を視聴できる点が特徴となる。また音声のほかにも動画や静止画、文字情報などの付加データを同時に活用できる技術や双方向機能も現在開発されている。
前田氏は本機の開発において、ラジオ対応にこだわった理由について触れ「現在商品化されているAV機器は、例えば“テレビはテレビ”、“オーディオはオーディオ”といった具合に、目的別にばらばらの機能を備えるものばかりだ。これはメーカーの組織が事業部ごとに細分化されていることが原因であり、本来ユーザーの目線に立つのであれば、テレビやBDレコーダーでもラジオを聴く楽しみ方が実現されてもよいはずと考えた。またインターネットにもつながることで、今までになかったラジオの楽しみ方も可能になる。“ホームオーディオライフの復活”がRYOMAを開発する上でひとつの大きなテーマだ」と説明する。
またユーザーが手持ちのテレビやレコーダーなどのAV機器に接続して「M-LinX」を楽しめる様にする、コンパクトなFM/AMチューナー「M-LinX Tuner Box」も来春を目処に商品化を予定している。本機の試作機も今日の発表会で披露された。本体寸法は115W×25H×77Dmmと非常にコンパクト。「M-LinX」だけでなく通常のFM/AMラジオ放送も楽しめる。本体にはHDMI出力1基、コンポジット出力1基を搭載する。本機について前田氏は「戦略的な価格設定を実現して、一気に広げたいと考えている。また本機周辺技術のライセンシングも考えている」と語った。
本日の記者発表会では「RYOMA」の試作機によるデモも実施。TOKYO FMと共同で試作したデモコンテンツを使って、「M-LinX」とFMラジオ放送の比較視聴や、BDソフトの再生が行われた。また現在開発中のユーザーインターフェースやリモコンも紹介された。ユーザーインターフェースについては、本機で再生可能な様々な映像・音声コンテンツへのスムーズなアクセスを実現。「観る・聴く・撮る」の各操作にて直感的な操作が可能なデザインが検討されているという。またリモコンについても「本機の多機能をかんたんに使いこなせるよう、力のこもったデザインに仕上げられている」と前田氏は胸を張った。
記者発表会のデモコンテンツを共同製作した(株)エフエム東京からは、常務取締役の黒坂修氏が登壇した。
本機の開発発表に向けて「ラジオの視聴スタイルは今、“車の中”と“オフィス”が最も多く、家でゆっくりといい音でラジオを聴きたいという声はとても少なくなっている。今回発表された“RYOMA”の提案を私たちは本当に嬉しく思っている。例えば都内においても難視聴地域はまだ多くあるが、“M-LinX”はその課題を解決してくれるサービスとして期待できる。私たちコンテンツプロバイダーも、JVC・ケンウッド・ホールディングスの提案に応えていきたいと意気込んでいる」とコメントした。
以下、記者発表会で行われた質疑応答の内容を紹介する。
Q:本日時点では未定とのことだが、RYOMAの価格イメージはどのくらいか。M-LinXは価格体系も含めてどんなサービスになりそうか。
A:今日は開発発表なので、価格については改めて商品発表の時にお伝えしたい。私の希望としては最近のビデオレコーダーの価格にプラスアルファぐらいで実現したいと思っているが、今は全くの白紙。M-LinXのサービスは無料/有料さまざまになると思う。色んなパターンを想定している。
Q:ビクターとケンウッドの、シナジー効果はRYOMAのどんなところに表れているか。
A:私はシナジーという言葉はあまり好きじゃないのだが…。今回はJVC・ケンウッド・HD直下に開発センターができ、統合を契機にどんどん新しい商品を出し続けるチームにしたいと考えている。ビクター、ケンウッドからパッションのあるエンジニアが集まって、一つの目的に対してそれぞれの技術とノウハウを活かして開発できる環境をつくった。数字の結果ではなく、“自分たちがやっていく”という共通の意識を持つことでシナジーが発揮できると考えている。
Q:「M-LinX」のコンテンツはどの程度提供されるのか。パートナーの見通しは。
A:FM TOKYO様にも今回ご協力いただいたが、現在も何社かのパートナー企業と詰めを行っているところ。具体的にいくつのコンテンツが揃えられるかという見通しについては今はまだ具体的に言えない。まずはこのプラットフォームを利用してくれるパートナーを増やしていくことが大事だと思っている。
Q:FMチューナーボックスについてはライセンスも考えているというが、OEM供給のモデルか、あるいは技術そのものを供給して他のメーカーが作れるようにするのか。
A:まずは部品供給のようなかたちからスタートすることになるだろう。技術ライセンスも考えている。当社から可能性を限定してしまうつもりはない、どんなかたちもあり得るだろう。
Q:資本力をもったメーカーがライセンスを受けてしまうと、また大手メーカーが同様の商品をつくって価格競争に陥る危険があるのでは。
A:大手メーカーも現在苦労しており、開発がスムーズに行かない環境にあると考えている。いずれ、当社が先手を打って開発を進めればよいことで、一番大事なのはプロダクトプランニングだ。今回の製品以外にもまだ隠し玉はある。これらを今後先行して商品化して行けばよいことだ。同じ製品を作っている限りは規模の論理になると思うが、新しい商品を常に機動力をもって出し続けることが大事。この目線に立って各社が競い合っていけば、日本のエレクトロニクスはきっと復活する。
Q:「M-LinX」にて、独自開発の放送地域特定技術とあるが、これはどのようなものか。
A:これは秘密だ。
Q:「M-LinX」をJVC・ケンウッド・HDではどのようにビジネス化していくのか。
A:今は具体的には考えていないが、コンテンツに掲載される広告掲載料をシェアする方法もある。通信販売チャンネルなどのマージンをシェアするなど、いろんなビジネスモデルを検討していきたい。
Q:今回の事業を売上げベースでどれくらいの規模に成長させたいと考えている。
A:言葉では幾らでも言えるので、今は意味がないと思う。規模は大きくなればいいなと思うし、私は当たり前のサービスになると期待している。ライセンスで利益を上げていくことも一つのビジネスモデルだろう。
Q:今回のサービスの対象地域は国内のみか。グローバル展開も考えているのか。
A:最初は国内で導入する。できるだけ早く海外展開したい。国ごとにローカライズが必要なので、これらの準備を整えてからになるだろう。実際にもう幾つかの地域では商談に入っていると聞いている。