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公開日 2011/11/02 16:12
【更新】ソニー、テレビ事業の収益改善プランを発表 − 販売目標半減、次世代テレビの開発推進
2,000万台体制へ
ソニー(株)は本日、2011年度第2四半期の連結業績結果を発表。平井一夫副社長が登壇し、テレビ事業の収益改善プランを発表した。
収益改善プランは全体として、販売量やシェアよりも収益性を重視する内容となっている。
同社では従来、2012年度に市場シェア20%、販売台数4,000万台を目標として掲げていたが、2011年度の販売台数見込みを2,000万台に下方修正する。また先進国を中心にモデル数の削減も行い効率化を図る。
同社は今年7月にテレビ事業の方針転換を発表。当初2,700万台としていた目標を2,200万台程度に減らす計画を発表していた(関連ニュース)。
今回の収益改善プランではさらに販売台数見込みを引き下げ、2,000万台程度にする。平井氏は「販売台数を伸ばさず、フラットであることを前提にした、かなり踏み込んだプランだ」とした。
■2013年度の黒字化に「不退転の決意で取り組む」
プランに沿って設備の減損やモデル数の削減などを実施することで、今年度のテレビ事業は売上高8,750億円、営業損失1,750億円を見込む。
平井氏はプランについて「テレビ事業を取り巻く環境や認識を徹底的に分析した結果。今期中に実施できるものはすべて手を打つ。設備の減損やモデル数の削減などを行うため今期は大幅な赤字となるが、将来の黒字化のためには必要な措置」と理解を求めた。
今回の施策実施により、2012年度にはテレビ事業の営業赤字を半減させ、2013年度の黒字化を目指す。平井氏は2013年度の黒字化について「必達目標という認識で、不退転の決意で取り組む」と述べた。
平井氏は今回の収益改善プランを立てた背景について「テレビ事業はソニーにとって欠かすことの出来ない事業であることに変わりはないが、7期連続の赤字を計上したことに強い危機感を覚えた」と説明した。
また事業が予定通りに収益を上げられなかった理由については「業界成長に明らかな鈍化が見られ、先進国はマイナス成長に陥った。同時にパネルの調達も供給不足から供給過剰になった。4,000万台体制を目指す方針を策定していた際の前提条件が大きく変化した」とした。さらに「現実問題として、円高ウォン安という為替の問題も大きかった」と付け加えた。
平井氏は、このタイミングで事業の大規模な軌道修正を発表した背景についても説明。「特に今年に入り、市場が急速に減速してきた。私がコンシューマー系の商品全体を統括するようになって、今後どう事業展開を行うか考えていく中で、プランの修正に着手し、今回の軌道修正に至った」とした。
さらに今回の収益改善プランは「ソニーグループ全体で進めるもの」(平井氏)であることも強調。他部門とも連携しながら収益改善を行う考えを示した。
■「次世代テレビ」開発を進めることを明言
今期の、減損処理分などを除いたテレビ事業の赤字額は約1,250億円。この赤字分を2013年度までになくす必要があるが、平井氏はこのうち約4割を、液晶パネル関連の調達コスト削減でまかなうとしている。
平井氏は「パネル調達については、サムスンとの合弁であるS-LCD社でフル生産となっていないことに問題がある。S-LCD社とは、両社にとってよりメリットのある方策を議論しているところだ」と説明。ただし提携の解消や出資の引き下げなど、具体的な方策については言及しなかった。
もう一つの収益向上の柱が、商品力強化とオペレーションの改善だ。商品力強化では「次世代テレビ」の開発を進めることを明言。平井氏は「いまの液晶パネルから次世代パネルへ変わる時代が必ずやってくるが、そのときに業界をリードできる製品を作れるよう、次世代テレビの開発を推進していく。競合他社もいらっしゃるので、今日時点では、これ以上詳しくは言えない」とした。
商品強化ではそのほか、X-Realityでおなじみの超解像エンジンの強化に、引き続き力を入れる。「パネルはコモディティー化していくが、ソニーは付加価値である画質、音質を高める技術を持っている」(平井氏)。
また平井氏は「当然のことだが」と前置きしつつ、「お客様に喜ばれる商品をスピーディーに開発し、売れるだけの量を適正な原価で生産し、しかも安く販売することが基本」と説明。「逆に言うと、ここに改善余地があったと言えるのではないか」と振り返り、今後、これらの基本に立ち返ってビジネス展開を図る考えを示した。
またオペレーションでは、販売会社「SGA」の削減やマレーシアへ開発を移管することで研究費も効率化。間接コストの削減もあわせて行っていく。
■3事業部体制でテレビ事業を展開
なお昨日発表した、テレビ関連部門の再編についても詳細を説明。TV第1事業部、TV第2事業部、TV第3ビジネス部門を新設することをあらためて紹介した。
TV第1事業部は内製設計の部門で、品質改善と徹底的な商品力強化で付加価値を高める。一方、TV第2事業部はODMでの商品開発を担当。平井氏は「内製と切り離すことでこれまでの常識にとらわれず、ムダを排除したオペレーションが行える」とした。TV第3ビジネス部門は次世代テレビを開発し、展開する部門となる。
平井氏はまた、収益改善プランについて「聖域のない再構築を行う」とし、人員の適正化も図ると明言。ただし「最適化を考えているが、最適化が即刻、人員の削減に直結するとは認識していない。他部門への再配置などもあると考える」と述べた。
ソニーでは今後も、日本国内でのテレビ製造を続けるが、これについて平井氏は持論を展開。「テレビのような商品は、製造にかなり高い技術力が必要。製造工程の工夫を図るだけでなく、画質を高める作業も必要になってくる」とし、「モノづくりがソニーのDNA。この部分もすべて外に出すと、差異化ポイントがなくなりマイナスにしか働かない。設計に加え、製造においても一部は日本で行うのが正しいと考えている」とした。
■ソニエリ買収で4スクリーンでの成長戦略を描く
同時に平井氏は、「事業を縮小するだけでなく、成長戦略を実行することも着実に、迅速に行いたい」とし、テレビだけでなくモバイル機器やネットワークサービスを含めた総合的な展開を行い、さらに統合UX(ユーザーエクスペリエンス)の提供も、そのうちの柱にしていく考えを強調した。
この戦略の柱の一つが、先日発表されたソニー・エリクソンの完全子会社化だ。平井氏は「ソニーのネットワーク製品の中で、スマートフォンの戦略的重要性が著しく高まっている」と子会社化の理由を改めて説明。完全子会社化することで「開発やオペレーションスピードを上げ、特に北米に置けるプレゼンス、シェアを高めていきたい」とした。
また完全子会社化により「SONY」ブランドでのマーケティングの共通化を行ったり、PSN、SOEなどコンテンツ事業との連携も、より強固なものになると説明。スマートフォン事業を取り込むことで「タブレット、スマートフォン、テレビ、PCの『4スクリーン戦略』のためのデバイスが整う」と、その意義をアピールした。
なお平井氏は、同社全体におけるテレビの位置づけについても説明。「今後も様々なアウトプットデバイスが生まれていくだろうが、家庭の中でコンテンツを楽しむ際、テレビは成長戦略に欠かせない非常に重要な柱の一つ。将来的にもこれが変わるということは考えていない。4スクリーン戦略の一翼を今後も担っていくだろう」と述べた。
収益改善プランは全体として、販売量やシェアよりも収益性を重視する内容となっている。
同社では従来、2012年度に市場シェア20%、販売台数4,000万台を目標として掲げていたが、2011年度の販売台数見込みを2,000万台に下方修正する。また先進国を中心にモデル数の削減も行い効率化を図る。
同社は今年7月にテレビ事業の方針転換を発表。当初2,700万台としていた目標を2,200万台程度に減らす計画を発表していた(関連ニュース)。
今回の収益改善プランではさらに販売台数見込みを引き下げ、2,000万台程度にする。平井氏は「販売台数を伸ばさず、フラットであることを前提にした、かなり踏み込んだプランだ」とした。
■2013年度の黒字化に「不退転の決意で取り組む」
プランに沿って設備の減損やモデル数の削減などを実施することで、今年度のテレビ事業は売上高8,750億円、営業損失1,750億円を見込む。
平井氏はプランについて「テレビ事業を取り巻く環境や認識を徹底的に分析した結果。今期中に実施できるものはすべて手を打つ。設備の減損やモデル数の削減などを行うため今期は大幅な赤字となるが、将来の黒字化のためには必要な措置」と理解を求めた。
今回の施策実施により、2012年度にはテレビ事業の営業赤字を半減させ、2013年度の黒字化を目指す。平井氏は2013年度の黒字化について「必達目標という認識で、不退転の決意で取り組む」と述べた。
平井氏は今回の収益改善プランを立てた背景について「テレビ事業はソニーにとって欠かすことの出来ない事業であることに変わりはないが、7期連続の赤字を計上したことに強い危機感を覚えた」と説明した。
また事業が予定通りに収益を上げられなかった理由については「業界成長に明らかな鈍化が見られ、先進国はマイナス成長に陥った。同時にパネルの調達も供給不足から供給過剰になった。4,000万台体制を目指す方針を策定していた際の前提条件が大きく変化した」とした。さらに「現実問題として、円高ウォン安という為替の問題も大きかった」と付け加えた。
平井氏は、このタイミングで事業の大規模な軌道修正を発表した背景についても説明。「特に今年に入り、市場が急速に減速してきた。私がコンシューマー系の商品全体を統括するようになって、今後どう事業展開を行うか考えていく中で、プランの修正に着手し、今回の軌道修正に至った」とした。
さらに今回の収益改善プランは「ソニーグループ全体で進めるもの」(平井氏)であることも強調。他部門とも連携しながら収益改善を行う考えを示した。
■「次世代テレビ」開発を進めることを明言
今期の、減損処理分などを除いたテレビ事業の赤字額は約1,250億円。この赤字分を2013年度までになくす必要があるが、平井氏はこのうち約4割を、液晶パネル関連の調達コスト削減でまかなうとしている。
平井氏は「パネル調達については、サムスンとの合弁であるS-LCD社でフル生産となっていないことに問題がある。S-LCD社とは、両社にとってよりメリットのある方策を議論しているところだ」と説明。ただし提携の解消や出資の引き下げなど、具体的な方策については言及しなかった。
もう一つの収益向上の柱が、商品力強化とオペレーションの改善だ。商品力強化では「次世代テレビ」の開発を進めることを明言。平井氏は「いまの液晶パネルから次世代パネルへ変わる時代が必ずやってくるが、そのときに業界をリードできる製品を作れるよう、次世代テレビの開発を推進していく。競合他社もいらっしゃるので、今日時点では、これ以上詳しくは言えない」とした。
商品強化ではそのほか、X-Realityでおなじみの超解像エンジンの強化に、引き続き力を入れる。「パネルはコモディティー化していくが、ソニーは付加価値である画質、音質を高める技術を持っている」(平井氏)。
また平井氏は「当然のことだが」と前置きしつつ、「お客様に喜ばれる商品をスピーディーに開発し、売れるだけの量を適正な原価で生産し、しかも安く販売することが基本」と説明。「逆に言うと、ここに改善余地があったと言えるのではないか」と振り返り、今後、これらの基本に立ち返ってビジネス展開を図る考えを示した。
またオペレーションでは、販売会社「SGA」の削減やマレーシアへ開発を移管することで研究費も効率化。間接コストの削減もあわせて行っていく。
■3事業部体制でテレビ事業を展開
なお昨日発表した、テレビ関連部門の再編についても詳細を説明。TV第1事業部、TV第2事業部、TV第3ビジネス部門を新設することをあらためて紹介した。
TV第1事業部は内製設計の部門で、品質改善と徹底的な商品力強化で付加価値を高める。一方、TV第2事業部はODMでの商品開発を担当。平井氏は「内製と切り離すことでこれまでの常識にとらわれず、ムダを排除したオペレーションが行える」とした。TV第3ビジネス部門は次世代テレビを開発し、展開する部門となる。
平井氏はまた、収益改善プランについて「聖域のない再構築を行う」とし、人員の適正化も図ると明言。ただし「最適化を考えているが、最適化が即刻、人員の削減に直結するとは認識していない。他部門への再配置などもあると考える」と述べた。
ソニーでは今後も、日本国内でのテレビ製造を続けるが、これについて平井氏は持論を展開。「テレビのような商品は、製造にかなり高い技術力が必要。製造工程の工夫を図るだけでなく、画質を高める作業も必要になってくる」とし、「モノづくりがソニーのDNA。この部分もすべて外に出すと、差異化ポイントがなくなりマイナスにしか働かない。設計に加え、製造においても一部は日本で行うのが正しいと考えている」とした。
■ソニエリ買収で4スクリーンでの成長戦略を描く
同時に平井氏は、「事業を縮小するだけでなく、成長戦略を実行することも着実に、迅速に行いたい」とし、テレビだけでなくモバイル機器やネットワークサービスを含めた総合的な展開を行い、さらに統合UX(ユーザーエクスペリエンス)の提供も、そのうちの柱にしていく考えを強調した。
この戦略の柱の一つが、先日発表されたソニー・エリクソンの完全子会社化だ。平井氏は「ソニーのネットワーク製品の中で、スマートフォンの戦略的重要性が著しく高まっている」と子会社化の理由を改めて説明。完全子会社化することで「開発やオペレーションスピードを上げ、特に北米に置けるプレゼンス、シェアを高めていきたい」とした。
また完全子会社化により「SONY」ブランドでのマーケティングの共通化を行ったり、PSN、SOEなどコンテンツ事業との連携も、より強固なものになると説明。スマートフォン事業を取り込むことで「タブレット、スマートフォン、テレビ、PCの『4スクリーン戦略』のためのデバイスが整う」と、その意義をアピールした。
なお平井氏は、同社全体におけるテレビの位置づけについても説明。「今後も様々なアウトプットデバイスが生まれていくだろうが、家庭の中でコンテンツを楽しむ際、テレビは成長戦略に欠かせない非常に重要な柱の一つ。将来的にもこれが変わるということは考えていない。4スクリーン戦略の一翼を今後も担っていくだろう」と述べた。