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公開日 2011/11/04 11:21
【更新】キヤノン、映画撮影用カメラ“Cinema EOS”「EOS C300」を発売 − 4K対応機も開発中
マーティン・スコセッシ監督らもラブコール
キヤノンは、映画製作用のカメラ「Cinema EOS」シリーズを発表した。
同社のカメラは、2008年にデジタル一眼レフ「EOS 5D Mark II」を発表し、ハリウッドなどのメジャースタジオで使われてきた。Cinema EOSはこの成功を受け、初めから映画製作用に開発されたモデルとなる。
「2009年にCinema EOSプロジェクトをスタート。ハリウッドのEOS 5D Mark IIのユーザーからニーズや改善点などを吸い上げて製品にフィードバックすべく徹底調査を実施し、2年間かけてデザインや技術要素検討を行ってきた」(同社イメージコミュニケーション事業本部 電子映像事業部長・枝窪弘雄氏)とのことだ。
カメラボディはEFマウントの「EOS C300」とPLマウントの「EOS C300 PL」の2種類を用意。どちらも価格はオープンだが150万円前後で販売し、C300は2012年1月下旬、C300 PLは2012年3月下旬に発売する予定。
撮像素子にはスーパー35mmサイズの、8.29メガピクセルCMOSセンサーを採用した。1,920×1,080ピクセルのフルHD映像が撮影でき、水平走査線数は1,000本以上。CMOSセンサーの読み出し速度が高速なため、動体歪みを抑える効果も得られる。なお映像処理プロセッサーは「DIGIC DV III」を採用している。
また4:2:2のカラーサンプリングにも対応。MPEG-2 422@HLでの撮影に対応し、クロマエッジのジャギーを抑制。最大記録ビットレートは約50Mbps。フレームレートは59.41i、50.00i、 29.97p、25.00p、23.98p、24.00pモードに対応している。
動画/音声記録フォーマットは、業界標準として用いられているオープンソースのMXF (Material eXchange Format)。本体には2つのCFカードスロットを装備し、同時に2本の動画データを、2枚のCFカードへ記録できる。
また、HD/SD-SDI動画出力端子も備えるほか、別売のワイヤレスファイルトランスミッター「WFT-E6B」にも対応している。こちらを使用するとスマートフォンやタブレットなどとWi-Fiで接続し、ブラウザ上で撮影開始/ショートマーク付与/メタデータ入力などを簡単に行える。「フレームレートが1fpsのためモニタリングには適さないが、画角などの確認にも便利」(同社説明員)とのことだ。
■Cinema EOS用「4K EF Cinema Lens」7本も発表
また、同時にCinema EOS用の「4K EF Cinema Lens」7本も発表。すべて4K動画撮影にも対応する光学性能を備えている。
ズームレンズは4本で14.5mmから300mmまでをカバー。また単焦点レンズも24mm、50mm、85mmの3種類を用意する。
さらに同社は、4K撮影に対応した一眼レフカメラを開発中であることも発表した。35mmフルサイズのCMOSセンサーを備え、4K映像を24Pで撮影することが可能。Motion JPEGで記録する。なお、これ以上の詳細やモデル名、仕様、発売時期などはまだ決定していない。本日はモックアップのみの展示となった。
■「『Cinema EOS』シリーズで映像製作に革命を起こす」− 発表会詳報
同社は本日都内で開催された会見に先駆けて、ハリウッドのパラマウントシアターにて新製品発表会を開いた。同社会長兼CEOの御手洗冨士夫氏が出席し、ハリウッドの映画制作者の前でスピーチを行った。
御手洗氏は「『EOS 5D Mark II』がキヤノンの映像業界進出へのきっかけとなった。『Cinema EOS』シリーズは軽くてコンパクト。画質ももちろん素晴らしく、低価格なことも特徴だ。このシリーズが映画製作に革命を起こし、映像表現・映像創造を新たなレベルへ引き上げるものになると自信を持っている。これはキヤノンにとっても歴史的な一歩の始まりだ。キヤノンは“カメラは人間の目を拡張するもの”という考えのもと、色再現や人肌の表現に注力してきた。デジタル化が猛烈に進んでいるなかだからこそ、フィルムの自然な雰囲気や温かみを再現できるよう努力を続けてきている。『Cinema EOS』シリーズは、キヤノンの哲学を体現するものと言えるだろう。映像業界のみなさんに受け入れていただきながら、ともに映像表現の新たな可能性を探りたい」と意気込みを語る。
なお、キヤノンは1973年にシネマズームレンズでアカデミー賞 化学技術部門賞を獲得したことがあるとのこと。「そこから現在までの間には、長い道のりがあった」と振り返る御手洗氏。「写真や映像には物語があり、それが生む感動は人の人生を変えてしまうほどの力を持っている。キヤノンは40年ぶりにハリウッドに戻ってきた。感動の物語を紡ぎ出せるキヤノンの製品『Cinema EOS』シリーズで、さまざまな物語を語り尽くして欲しい」と締めくくった。
続いてキヤノンマーケティングジャパン(株)代表取締役社長 川崎正己氏が登壇。「Cinema EOS」シリーズのマーケティング戦略について発表した。
「御手洗会長も申し上げたとおり、『Cinema EOS』シリーズは映像製作分野において歴史的とも言える製品だと思う」と自信を見せる川崎氏。
「キヤノンは2015年に連結売上高8,500億円以上の実現を目指しているが、そのために重要なのが“事業創造で新しい道を切り拓くこと”。『Cinema EOS』シリーズは、その一翼を担うものである。イメージコミュニケーション事業の第二の柱として、B2B事業を積極的に伸ばしていきたい」と戦略を語る。
「デジタルシネマ対応映画館は増加している。CM制作分野は、制作費減少によるダウンサイジングが機材のデジタル化を推し進めている。ここが『Cinema EOS』シリーズのメインターゲットとするところだ。現在映像編集作業はほぼデジタル化しており、今後は映像撮影分野でも、デジタルシネマカメラが急速に普及していくと見ている。『EOS 5D Mark II』の動画撮影機能はプロの方々から高い評価をいただき、CMやPV、短編映画などの撮影にも使っていただいている。しかし、使い勝手という点では改善点があり、期待に沿いきれなかった部分もあったと思う。その点『Cinema EOS』シリーズは動画撮影に特化することで優れた操作性を実現しており、きっとご満足いただけるものと思う」(川崎氏)。
同社は「Cinema EOS」シリーズの投入に併せ、同シリーズの販売用組織を2012年1月に新設。システム提案やサポート活動を行っていくという。
「キヤノンは全ての事業分野でナンバーワンになるという目標を掲げている。2015年には、デジタルカメラ市場で40%以上のシェア獲得を目指したい。既存商品群に、コンテンツ制作向け製品を加えることでB2Bを拡大。2015年は売上100億円を目指す考えだ」と展望を明らかにした。
■マーティン・スコセッシ監督らが「Cinema EOS」シリーズにラブコール
発表会では、ハリウッドの監督らが「Cinema EOS」シリーズにラブコールを送った。
ハリウッドで開かれた発表会に登場したマーティン・スコセッシ監督は、「1960年代初頭は16mm/35mmカメラなどが登場し、映画製作界が目覚ましく進化していく非常に魅力的な時代だった。新機材の登場で我々の感覚も間違いなく進化し、世界中で映画の新しい波が生まれた。そしていま、誰もが映画製作を行える時代が到来している。全人類が映像・映画に対する深く熱い情熱を持っているのは、それが言葉では表現できないものを実現する方法であり、我々を人類の過去とつなぐ大切な架け橋のひとつだからであることは疑いの余地がない。古代、中世、ルネッサンスと、我々の表現方法は進化してきた。我々は、ストーリーを語り、描き、集め、構成し…そして撮影しなくてはならない存在だ。キヤノンが作り上げた新しいツールは、映画人とその映像の世界の距離を近づけ、より深い関係にしてくれると心から信じている。未来に生きる全ての映画人を代表し、キヤノンに感謝する」と熱い思いを語った。
また、「Cinema EOS」シリーズを使って、サム・ニコルソン氏、リチャード・クルード氏、フェリックス・アルカラ氏の3監督がショートムービーを製作。キヤノンのスペシャルサイトにて本編はもちろんメイキングも公開されており、「Cinema EOS」シリーズの実力を体感できるものとなっている。
同社のカメラは、2008年にデジタル一眼レフ「EOS 5D Mark II」を発表し、ハリウッドなどのメジャースタジオで使われてきた。Cinema EOSはこの成功を受け、初めから映画製作用に開発されたモデルとなる。
「2009年にCinema EOSプロジェクトをスタート。ハリウッドのEOS 5D Mark IIのユーザーからニーズや改善点などを吸い上げて製品にフィードバックすべく徹底調査を実施し、2年間かけてデザインや技術要素検討を行ってきた」(同社イメージコミュニケーション事業本部 電子映像事業部長・枝窪弘雄氏)とのことだ。
カメラボディはEFマウントの「EOS C300」とPLマウントの「EOS C300 PL」の2種類を用意。どちらも価格はオープンだが150万円前後で販売し、C300は2012年1月下旬、C300 PLは2012年3月下旬に発売する予定。
撮像素子にはスーパー35mmサイズの、8.29メガピクセルCMOSセンサーを採用した。1,920×1,080ピクセルのフルHD映像が撮影でき、水平走査線数は1,000本以上。CMOSセンサーの読み出し速度が高速なため、動体歪みを抑える効果も得られる。なお映像処理プロセッサーは「DIGIC DV III」を採用している。
また4:2:2のカラーサンプリングにも対応。MPEG-2 422@HLでの撮影に対応し、クロマエッジのジャギーを抑制。最大記録ビットレートは約50Mbps。フレームレートは59.41i、50.00i、 29.97p、25.00p、23.98p、24.00pモードに対応している。
動画/音声記録フォーマットは、業界標準として用いられているオープンソースのMXF (Material eXchange Format)。本体には2つのCFカードスロットを装備し、同時に2本の動画データを、2枚のCFカードへ記録できる。
また、HD/SD-SDI動画出力端子も備えるほか、別売のワイヤレスファイルトランスミッター「WFT-E6B」にも対応している。こちらを使用するとスマートフォンやタブレットなどとWi-Fiで接続し、ブラウザ上で撮影開始/ショートマーク付与/メタデータ入力などを簡単に行える。「フレームレートが1fpsのためモニタリングには適さないが、画角などの確認にも便利」(同社説明員)とのことだ。
■Cinema EOS用「4K EF Cinema Lens」7本も発表
また、同時にCinema EOS用の「4K EF Cinema Lens」7本も発表。すべて4K動画撮影にも対応する光学性能を備えている。
ズームレンズは4本で14.5mmから300mmまでをカバー。また単焦点レンズも24mm、50mm、85mmの3種類を用意する。
さらに同社は、4K撮影に対応した一眼レフカメラを開発中であることも発表した。35mmフルサイズのCMOSセンサーを備え、4K映像を24Pで撮影することが可能。Motion JPEGで記録する。なお、これ以上の詳細やモデル名、仕様、発売時期などはまだ決定していない。本日はモックアップのみの展示となった。
■「『Cinema EOS』シリーズで映像製作に革命を起こす」− 発表会詳報
同社は本日都内で開催された会見に先駆けて、ハリウッドのパラマウントシアターにて新製品発表会を開いた。同社会長兼CEOの御手洗冨士夫氏が出席し、ハリウッドの映画制作者の前でスピーチを行った。
御手洗氏は「『EOS 5D Mark II』がキヤノンの映像業界進出へのきっかけとなった。『Cinema EOS』シリーズは軽くてコンパクト。画質ももちろん素晴らしく、低価格なことも特徴だ。このシリーズが映画製作に革命を起こし、映像表現・映像創造を新たなレベルへ引き上げるものになると自信を持っている。これはキヤノンにとっても歴史的な一歩の始まりだ。キヤノンは“カメラは人間の目を拡張するもの”という考えのもと、色再現や人肌の表現に注力してきた。デジタル化が猛烈に進んでいるなかだからこそ、フィルムの自然な雰囲気や温かみを再現できるよう努力を続けてきている。『Cinema EOS』シリーズは、キヤノンの哲学を体現するものと言えるだろう。映像業界のみなさんに受け入れていただきながら、ともに映像表現の新たな可能性を探りたい」と意気込みを語る。
なお、キヤノンは1973年にシネマズームレンズでアカデミー賞 化学技術部門賞を獲得したことがあるとのこと。「そこから現在までの間には、長い道のりがあった」と振り返る御手洗氏。「写真や映像には物語があり、それが生む感動は人の人生を変えてしまうほどの力を持っている。キヤノンは40年ぶりにハリウッドに戻ってきた。感動の物語を紡ぎ出せるキヤノンの製品『Cinema EOS』シリーズで、さまざまな物語を語り尽くして欲しい」と締めくくった。
続いてキヤノンマーケティングジャパン(株)代表取締役社長 川崎正己氏が登壇。「Cinema EOS」シリーズのマーケティング戦略について発表した。
「御手洗会長も申し上げたとおり、『Cinema EOS』シリーズは映像製作分野において歴史的とも言える製品だと思う」と自信を見せる川崎氏。
「キヤノンは2015年に連結売上高8,500億円以上の実現を目指しているが、そのために重要なのが“事業創造で新しい道を切り拓くこと”。『Cinema EOS』シリーズは、その一翼を担うものである。イメージコミュニケーション事業の第二の柱として、B2B事業を積極的に伸ばしていきたい」と戦略を語る。
「デジタルシネマ対応映画館は増加している。CM制作分野は、制作費減少によるダウンサイジングが機材のデジタル化を推し進めている。ここが『Cinema EOS』シリーズのメインターゲットとするところだ。現在映像編集作業はほぼデジタル化しており、今後は映像撮影分野でも、デジタルシネマカメラが急速に普及していくと見ている。『EOS 5D Mark II』の動画撮影機能はプロの方々から高い評価をいただき、CMやPV、短編映画などの撮影にも使っていただいている。しかし、使い勝手という点では改善点があり、期待に沿いきれなかった部分もあったと思う。その点『Cinema EOS』シリーズは動画撮影に特化することで優れた操作性を実現しており、きっとご満足いただけるものと思う」(川崎氏)。
同社は「Cinema EOS」シリーズの投入に併せ、同シリーズの販売用組織を2012年1月に新設。システム提案やサポート活動を行っていくという。
「キヤノンは全ての事業分野でナンバーワンになるという目標を掲げている。2015年には、デジタルカメラ市場で40%以上のシェア獲得を目指したい。既存商品群に、コンテンツ制作向け製品を加えることでB2Bを拡大。2015年は売上100億円を目指す考えだ」と展望を明らかにした。
■マーティン・スコセッシ監督らが「Cinema EOS」シリーズにラブコール
発表会では、ハリウッドの監督らが「Cinema EOS」シリーズにラブコールを送った。
ハリウッドで開かれた発表会に登場したマーティン・スコセッシ監督は、「1960年代初頭は16mm/35mmカメラなどが登場し、映画製作界が目覚ましく進化していく非常に魅力的な時代だった。新機材の登場で我々の感覚も間違いなく進化し、世界中で映画の新しい波が生まれた。そしていま、誰もが映画製作を行える時代が到来している。全人類が映像・映画に対する深く熱い情熱を持っているのは、それが言葉では表現できないものを実現する方法であり、我々を人類の過去とつなぐ大切な架け橋のひとつだからであることは疑いの余地がない。古代、中世、ルネッサンスと、我々の表現方法は進化してきた。我々は、ストーリーを語り、描き、集め、構成し…そして撮影しなくてはならない存在だ。キヤノンが作り上げた新しいツールは、映画人とその映像の世界の距離を近づけ、より深い関係にしてくれると心から信じている。未来に生きる全ての映画人を代表し、キヤノンに感謝する」と熱い思いを語った。
また、「Cinema EOS」シリーズを使って、サム・ニコルソン氏、リチャード・クルード氏、フェリックス・アルカラ氏の3監督がショートムービーを製作。キヤノンのスペシャルサイトにて本編はもちろんメイキングも公開されており、「Cinema EOS」シリーズの実力を体感できるものとなっている。