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公開日 2013/02/25 18:56
アイキューブド研究所、大画面4Kプロジェクター向け映像高精細化技術「ISVC」発表
「脳が感動する映像」を創造
I³(アイキューブド)研究所(株)は、大画面スクリーンにプロジェクターを使って映像を投写する際、「光の刺激」を元に人間の映像認知率を高め、高精細映像を作り出す技術「ISVC(Intelligent Spectacle Vision Creation:脳内感動創造)」を開発。記者向けの技術説明会を開催した。
アイキューブド研究所は、ソニーのA³研究所を母体としており、2009年8月にパートナー企業とともに独自技術の研究開発を行う、オープンプラットフォーム型の研究開発企業として事業をスタートさせた。画像信号処理に関する独自の研究開発をはじめ、映像を軸とした住空間や都市空間の研究開発を産業横断的に取り組んでいる。同社の代表取締役社長である近藤哲二郎氏はソニーのA³研究所の所長として、1997年に映像信号の帯域を増やして解像度を高めるクリエーション技術「DRC(Digital Reality Creation)」を開発した経歴を持つ。
その後、2011年5月にはアイキューブド研究所にて新技術「ICC(Integrated Congnitie Creation:統合脳内創造)」を発表。人間の視覚的認知において「光の刺激」が脳にもたらす効果に着目し、自然界で光の反射がもたらす光景を高精細ディスプレイ上で再現することで、人間の映像認知率を高め、引いては高精細な4K映像をつくり出す技術を提案してきた。シャープ(株)はICCとの共同開発により、同技術を採用した60V型の4Kテレビ“ICC PURIOS”(関連ニュース)を、今年2月20日に発売したばかりだ。
今回同社が発表した「ISVC」技術は、基幹コンセプトである光クリエーション技術をさらに進化させ、ホームシアターから商業空間用まで様々なプロジェクターを使った大画面にも、高精細な映像を実現するために開発されたものだ。
同社の提案する光クリエーションは、映像に映し出されている場に実際にいるかのような光刺激をディスプレイ上に再現することで、人間の脳の負荷を低減させ、その余力を“脳が感動する”ことへと導く技術。新しい「ISVC」技術では画面全体に潜在するエネルギーを引き出し、大画面映像の体験時にも現実空間にいるのと同等の感動をもたらすことを狙いとしている。
家庭用テレビをターゲットにした「ICC」技術では、映像の高周波成分を最適処理することで映像の解像感を高めることを実現した。「ISVC」技術では「加えて映像の“低周波成分”をコントロールすることで、迫力ある大画面映像を創り出す」と近藤氏は語る。
技術のターゲットになるのはプロジェクターによる大画面映像。大型スクリーンに映像を投写する際、低周波信号を最適に処理することで映像の基本的な構図をしっかりと描き出す。例えば自然の風景映像などは被写体が持つ圧倒的な存在感や、壮大な広がり感を画面全体で再現する。また被写体細部についても忠実に再現できるよう解像感も高めている。
「ISVC」技術を開発した背景について近藤氏は「一粒ずつの画素が忠実に再現されることも大事だが、映像の広大さが再現されたうえで高精細であることも重要。例えば富士山の風景などは、稜線の綺麗なカーブが再現された上にディティール感が加わると、そこで初めて人間の脳が感動するスペクタクルな映像になる。大きな映像の規則性を再現するための“低周波”をピュアに、美しく再現することがISVC技術のメインコンセプト。自然界に存在する光景が持つ構図を、映像上で自然に再現するための光クリエーション技術を提案したいと考えた」と説明する。
同社は今回の説明会で、記者向けに新技術をいち早く紹介したが、今後は「ISVC」技術をコア技術の一つに据え、4K対応ホームプロジェクターやビジネスプロジェクターのメーカーなどをはじめ、産業分野ごとにパートナー企業を募っていくという。
今後の手応えについて近藤氏は「ICCは発表後の反響がとても良かった。ISVCにも期待をかけたい。商品化についてはパートナーの持っているデバイスとの摺り合わせが必要になるため、現時点で議論することは尚早と考えるが、技術面での準備はできているので、普通に考えれば、採用いただいてから1年から1年半で最終商品になるレベルだと思う」とした。「昨今はディスプレイの高精細化が進み、人間の目が知覚できる画像情報は既に人間の能力を超えている。これからは情報量ばかりを追求するのではなく、映像信号処理が脳にもたらす“感動”を基軸に、映像空間に新しい価値を提供しなければならないと考えている。ISVCにより、映像が人間の創造性に与えるモチベーションの第一歩を提唱したい」と意気込みを語った。
本日の記者説明会では「ISVC」技術の映像デモンストレーションも行われた。会場には既に商品化されている4K対応プロジェクターと2台の160インチサイズのスクリーンが用意され、それぞれに同じハイビジョンカメラで撮影したデモソースが投写された。2台のスクリーンの片側には従来の超解像技術により4Kアップコンバート処理を施した映像が映し出され、もう一方側に「ISVC」技術による処理を施した映像を表示。互いを比較して視聴することができた。大自然の風景を撮影したデモ映像では、山並みの力強い稜線が力強く描かれ、水面や木の葉に反射する太陽光のきらめきもより輝かしく感じられる。大きな画面に表示される映像のディティール感も、全体的に精細度が高まり、映像への没入感や臨場感の高さが感じられた。
別室にて450インチの大型スクリーンを使って上映されたデモンストレーションも、富士山と本栖湖をハイビジョンカメラで撮影したソースを使い、従来の4K超解像アップコンバート技術と「ISVC」技術を比較。「ISVC」の映像は圧倒的な富士山の迫力や、力強い光の再現が特徴的なだけでなく、紅葉のディティールや湖畔に並ぶボートの船体に記された文字のシャープネスも高まっており、映像全体のリアリティが一段と向上したように実感できた。
アイキューブド研究所は、ソニーのA³研究所を母体としており、2009年8月にパートナー企業とともに独自技術の研究開発を行う、オープンプラットフォーム型の研究開発企業として事業をスタートさせた。画像信号処理に関する独自の研究開発をはじめ、映像を軸とした住空間や都市空間の研究開発を産業横断的に取り組んでいる。同社の代表取締役社長である近藤哲二郎氏はソニーのA³研究所の所長として、1997年に映像信号の帯域を増やして解像度を高めるクリエーション技術「DRC(Digital Reality Creation)」を開発した経歴を持つ。
その後、2011年5月にはアイキューブド研究所にて新技術「ICC(Integrated Congnitie Creation:統合脳内創造)」を発表。人間の視覚的認知において「光の刺激」が脳にもたらす効果に着目し、自然界で光の反射がもたらす光景を高精細ディスプレイ上で再現することで、人間の映像認知率を高め、引いては高精細な4K映像をつくり出す技術を提案してきた。シャープ(株)はICCとの共同開発により、同技術を採用した60V型の4Kテレビ“ICC PURIOS”(関連ニュース)を、今年2月20日に発売したばかりだ。
今回同社が発表した「ISVC」技術は、基幹コンセプトである光クリエーション技術をさらに進化させ、ホームシアターから商業空間用まで様々なプロジェクターを使った大画面にも、高精細な映像を実現するために開発されたものだ。
同社の提案する光クリエーションは、映像に映し出されている場に実際にいるかのような光刺激をディスプレイ上に再現することで、人間の脳の負荷を低減させ、その余力を“脳が感動する”ことへと導く技術。新しい「ISVC」技術では画面全体に潜在するエネルギーを引き出し、大画面映像の体験時にも現実空間にいるのと同等の感動をもたらすことを狙いとしている。
家庭用テレビをターゲットにした「ICC」技術では、映像の高周波成分を最適処理することで映像の解像感を高めることを実現した。「ISVC」技術では「加えて映像の“低周波成分”をコントロールすることで、迫力ある大画面映像を創り出す」と近藤氏は語る。
技術のターゲットになるのはプロジェクターによる大画面映像。大型スクリーンに映像を投写する際、低周波信号を最適に処理することで映像の基本的な構図をしっかりと描き出す。例えば自然の風景映像などは被写体が持つ圧倒的な存在感や、壮大な広がり感を画面全体で再現する。また被写体細部についても忠実に再現できるよう解像感も高めている。
「ISVC」技術を開発した背景について近藤氏は「一粒ずつの画素が忠実に再現されることも大事だが、映像の広大さが再現されたうえで高精細であることも重要。例えば富士山の風景などは、稜線の綺麗なカーブが再現された上にディティール感が加わると、そこで初めて人間の脳が感動するスペクタクルな映像になる。大きな映像の規則性を再現するための“低周波”をピュアに、美しく再現することがISVC技術のメインコンセプト。自然界に存在する光景が持つ構図を、映像上で自然に再現するための光クリエーション技術を提案したいと考えた」と説明する。
同社は今回の説明会で、記者向けに新技術をいち早く紹介したが、今後は「ISVC」技術をコア技術の一つに据え、4K対応ホームプロジェクターやビジネスプロジェクターのメーカーなどをはじめ、産業分野ごとにパートナー企業を募っていくという。
今後の手応えについて近藤氏は「ICCは発表後の反響がとても良かった。ISVCにも期待をかけたい。商品化についてはパートナーの持っているデバイスとの摺り合わせが必要になるため、現時点で議論することは尚早と考えるが、技術面での準備はできているので、普通に考えれば、採用いただいてから1年から1年半で最終商品になるレベルだと思う」とした。「昨今はディスプレイの高精細化が進み、人間の目が知覚できる画像情報は既に人間の能力を超えている。これからは情報量ばかりを追求するのではなく、映像信号処理が脳にもたらす“感動”を基軸に、映像空間に新しい価値を提供しなければならないと考えている。ISVCにより、映像が人間の創造性に与えるモチベーションの第一歩を提唱したい」と意気込みを語った。
本日の記者説明会では「ISVC」技術の映像デモンストレーションも行われた。会場には既に商品化されている4K対応プロジェクターと2台の160インチサイズのスクリーンが用意され、それぞれに同じハイビジョンカメラで撮影したデモソースが投写された。2台のスクリーンの片側には従来の超解像技術により4Kアップコンバート処理を施した映像が映し出され、もう一方側に「ISVC」技術による処理を施した映像を表示。互いを比較して視聴することができた。大自然の風景を撮影したデモ映像では、山並みの力強い稜線が力強く描かれ、水面や木の葉に反射する太陽光のきらめきもより輝かしく感じられる。大きな画面に表示される映像のディティール感も、全体的に精細度が高まり、映像への没入感や臨場感の高さが感じられた。
別室にて450インチの大型スクリーンを使って上映されたデモンストレーションも、富士山と本栖湖をハイビジョンカメラで撮影したソースを使い、従来の4K超解像アップコンバート技術と「ISVC」技術を比較。「ISVC」の映像は圧倒的な富士山の迫力や、力強い光の再現が特徴的なだけでなく、紅葉のディティールや湖畔に並ぶボートの船体に記された文字のシャープネスも高まっており、映像全体のリアリティが一段と向上したように実感できた。