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公開日 2019/06/13 19:38

Amazon Music、音声リクエストの第3位は「アンパンマン」。Alexaが音楽体験を子供にまで広げる

最新機能「いいね」も明日から開始
編集部:小澤貴信
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Amazonが展開する音楽ストリーミングサービスAmazon Musicは、本日13日に記者説明会を開催。Amazonが提供する音声認識サービスAmazon Alexaとの組み合わせによる新音声機能や、Amazon Musicの今後の展望について説明を行った。

Amazon Musicのレネ・ファスコ氏(左)と清水志野氏(右)

説明会では、Amazon Musicデジタル音楽事業本部 本部長のレネ・ファスコ氏、同 シニアプロダクトマネージャーの清水志野氏が登壇。ファスコ氏は主にAlexaに関わる音声認識サービスの利用状況やAmazon Musicの展望について、清水氏は新機能を含む音声機能について説明を行った。

Amazon Musicは、「Prime Music」と「Amazon Music Unlimited」という2つのサービスから構成されている。Prime Musicは、Amazonプライム会員向けの特典に含まれており、会員は追加料金なしで利用可能。Amazon Prime Musicは月額980円(プライム会員は月額780円)で、Prime Musicの機能に加え、約6,500万曲を聴き放題で楽しめる。

Amazon Music Unlimitedは月額980円で6500万曲が聴き放題となる

冒頭でファスコ氏は、「Alexaは音楽を楽しむための親友」と述べ、Amazon Musicにおける音声アシスタント機能(以下、音声機能)に大きな力を注いでいることを紹介。まず、音声機能を取り巻く状況について解説した。

スマートスピーカーやスマートフォンを含む音声アシスタント対応デバイスの販売台数は、2019年時点で33億台、2023年には80億台に達すると予測をされている。一方、2018年の日本のスマートスピーカー市場は世界シェアのわずか3%であり、「未だ導入期」であるとした。対して、サービス展開が2年以上先行したアメリカでは、2018年の世界シェアは64%となっている。

音声アシスタント搭載デバイスの販売台数の予想

スマートスピーカーの世界シェアを示すグラフ
 
また、スマートスピーカーなどが備える音声機能の中で最もよく使われているのは、音楽再生が68%と最も多いという。さらに、52%のユーザーが自宅リビングでデバイスを使っており、65%のユーザーが以前より音楽を頻繁に聴くようになったと回答。53%のユーザーが音声機能によって新しい音楽を見つけることができたと答えたという結果も紹介された。

音声機能で最も利用されているのは音楽再生だという

音声機能を用いた音楽再生は、アメリカではすでに利用率が6割を超えている

ファスコ氏はこれらを踏まえて、「(音声機能の登場以前の)これまでのリビングでは、映像コンテンツやゲームが楽しまれていた一方で、家族で音楽を聴く習慣はあまりなかった。音声機能の登場が、子供も含めた家族で音楽を楽しむという体験をもたらしたといえる」と述べた。

Amazon Alexaをはじめとする音声機能を使う人が増えている理由としては、「スマートフォンなどから音楽を再生する場合、検索やプレイリストの編集など面倒なステップが必要だが、音声機能を使えば、例えば “90年代のミスチルの曲をかけて” と話かければ、数秒後にはプレイリストが自動生成されて再生が始まる」と述べた。

音楽再生のプロセスを、アプリ操作と音声操作で比較

また音声機能によって、音楽の試聴傾向が変わったという。その変化を具体的に示す3点の事例が挙げられた。

1つ目は、子供を含む若年層が音声機能を利用して音楽を聴いていることだ。その好例として、日本におけるAmazon Musicのサービスで、「アンパンマン」が音声リクエストの第3位であることが挙げられた。

2つ目に、ジャンル別の音声リクエストではジャズが最も多いことが挙げられた。アプリからの検索ではJ-POPが最も多いが、音声検索ではジャズが最も多いのだという。特に夕方の時間帯でのリクエストが多く、リラックスしたい時間にジャズを流すユーザーが多いと分析。音声機能が気分に応じて好きな曲をかけるという試聴傾向を生んでいるとした。

3つ目に、「朝に合う音楽」という新しいジャンルが生まれつつあることが紹介された。これは気分や時間帯に応じて聴きたい音楽を音声機能を通じてリクエストされた結果であり、音声機能がこれまでになかった新しいカテゴリーを作り出しているとした。

このように、音声機能が音楽のリスニングスタイルを変えつつあるが、この変化はアーティストにとってもプラスになるとファスコ氏は述べた。

清水氏は、2018年3月の音声機能提供開始から追加されてきた様々な音声機能を、実際にAmazon Alexaデバイスの「Echo」を用いて、デモンストレーションを行いながら紹介した。

清水氏がEchoを通じて音声操作を実演

Amazon Musicは、音声機能のアップデートを継続的に行ってきた。直近の2019年5月には、音声機能で再生開始した楽曲の曲名/アーティストを教えてくれる「Song ID機能」、登録したアーティストの新譜が聴けるようになると通知してくれる「新譜お知らせ」機能が追加された。

Amazon Musicの機能追加年表

そして明日6月14日からは、「アレクサ、この曲いいね」「アレクサ、このプレイリスト好きじゃない」といったように再生中のアルバムやプレイリストの好みをAlexaに伝えることで、Alexaがユーザーの好みを学習する機能(「いいね」機能)が追加されることも発表された。

清水氏は「元気がでる曲をかけて」「朝に合う曲をかけて」といったワードによって気分やムードに応じた選曲を行ってくれることも音声機能の主要な使い方であるとして実演。その他にも主要な音声機能として、「最近聴いてない曲」「最近聴いた曲」を再生してくれる機能、「この曲と似た曲をかけて」といった類似曲再生も紹介した。

なお、Alexaデバイスに対応した音楽ストリーミングサービスはSpotifyなど他にもあるが、上記の機能はAmazon MusicとAlexaの組み合わせで使えるものとなる(他サービスにおいて同様の機能が用意されている場合もある)。

こうした音声機能については、やはり日本語のローカライズというのは大きなチャンレンジになった。Alexaは音声を文字化して意味を認識し、コマンドとして実行するが、同じ音でも漢字・カタカナ・ひらがなが混在する日本語では、独特の音声認識の難しさがあるのだという。さらには、「ミスチル」「ドリカム」といった短縮したアーティスト名も識別する必要がある。ファスコ氏は「バックグラウンドの部分で、日本独自に対応しなければいけないところがたくさんある。それらについては、継続的に努力を重ねて改善している」と述べていた。

ファスコ氏はAmazon Musicの今後の展望についても言及。さらにカタログを充実させていくこと、音声機能をさらに直感的なものにしていくことを具体的な目標として挙げた。また、日本独自の取り組みとして、アーティストとのリレーションにも力を入れていきたいとした。さらに、「音楽ストリーミングはモバイルからホームへと進化してきたが、次は自動車分野といかに融合させていくのかがテーマになる」と付け加えた。

質疑応答では、Amazon Musicで学習された内容を他のAmazonのサービスに反映したり、逆に反映されたりということはあるのかという質問があがった。これについては「Amazonで購入したCDの情報をAmazon Musicのパーソナライズに利用することはあるが、基本的には他のカテゴリーのサービスには、学習の内容は反映されない」とのことだった。

また、現在のAmazon Musicのサービス加入者数は非公開とのことだったが、「利用者数は順調に伸びている」とのことだった。

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