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公開日 2019/11/22 18:43
パナソニック、テレビ事業「他社協業も視野に構造改革」も「やめる必要はさらさらない」。アプライアンス社の中期戦略説明で言及
アプライアンス全体で「くらしアップデート」に取り組む
パナソニックは、全社および各カンパニーの事業方針を説明する「Panasonic IR Day 2019」を開催。各カンパニーの発表から、テレビ事業などを含む領域を担当するアプライアンス社 社長の品田正弘氏によるプレゼンテーション内容をレポートする。
「アプライアンス社2019年度下期および中期的な取り組み」と題されたプレゼンで示された、2019年度上期実績と下期の業績見通しは上図のとおり。品田氏は「特に調整後営業利益を重視し、対前年+28億円達成を目指している」とコメントした。
アプライアンスの課題が明確に。構造改革とリソース集中で改善図る
中期的取り組みでは、18年度までの中期3ヶ年の総括で「これまで進めた家電総本山化を経て将来に向けた事業課題が明確になった」とし、収益性の観点からは「製販連結経営体制を構築したが、経営体質課題が顕在化。環境によらず、継続的に収益を上げられる体質への変革が必要」と認識。成長性の観点からは「業界平均以上に成長を加速する枠組みとリソース集中が課題」と指摘した。
これらを踏まえての課題として、「重点領域の空調・空質、食品流通と白物家電への集中」と「不採算事業の方向づけと成長領域へのリソースリフト」の2点を挙げた。
あらためてアプライアンス社が中長期的に目指す姿とは、「これまで家電を通じてゆたかな暮らしの実現を果たしてきた経験とお客様からの信頼を踏まえ、これからの時代での暮らしへの役立ちが次の成長の柱」とし、「人生100年時代により長く豊かに生きるための本質的価値の提供が求められる中、心と体の健やかさをお届けし、幸せの実現を目指す」と定める。
そこで新たな戦略事業領域として、「くらしインフラ」「くらしアプライアンス」を定義。「くらしインフラ」は調和された空気による新たな空間価値の提供、「くらしアプライアンス」は、家電だけでなくサービスも含めた新たなくらし価値の提供、が目的となる。
アプライアンスの事業環境について、下のような図を示す。業界において収益性、成長性ともプラスの領域にあるのは空調、食品流通、白物家電で、投資・強化すべき領域とする。一方収益性がプラスでも成長性がマイナスとなっている黒物家電については転地が必要な領域と指摘。パナソニックのポジション(図の右下)はほとんど業界と同様で、「テレビが成長性も収益性もマイナスになったために構造改革が必要なフェーズに移行した」とした。
この状況を踏まえた中期ポートフォリオ戦略とは。「くらしインフラ」事業はパナソニックの基幹事業と位置付けられており、属するのはエアコンなどの<空調冷熱ソリューションズ>と<食品流通>。ここは投資領域として積極投資で事業成長を図り収益拡大を目指す。
テレビ事業は他社協業も視野に構造改革を
「くらしアプライアンス」事業はパナソニックの共創事業と位置付けられる。属するのは白物家電などの<ホームアプライアンス>と、テレビやイメージング商品などの<スマートライフネットワーク>。ホームアプライアンスは強化領域とし、家電商品の売り方など事業構造の変革で利益成長を図る。スマートライフネットワークは転地・構造改革領域とし、不採算事業の方向付けで構造的な収益改善を目指す。転地・構造改革で捻出したリソースは、投資領域、強化領域にシフトさせる。
中期で目指す姿は、下図のとおり。2018年度-2021年度は変革の中期と位置づけ、収益構造の変革を図る。売上は追わず収益性改善を最優先させる。経営体質強化と不採算事業の構造改革、先行投資を行う。
空調冷熱ソリューションは成長投資を加速、収益拡大させる。スマートライフネットワークは不採算事業の構造改革で資産を圧縮。「メリハリのきいたポートフォリオで収益構造を改善する」。
不採算事業と位置付けられたテレビ事業の方向づけも説明された。「考え方を変え、自前主義より転換を図って他社協業をふくむ構造改革を進める」という。事業環境の変化にも触れ、「需要を喚起してきた技術進化が停滞し市場が縮小。中国メーカーの価格攻勢による価格下落、急激な環境変化にパナソニックは対応しきれていない」との認識を明らかにした。
テレビ事業の構造改革の方針は、「開発・製造・販売で現場規模に合わせて体制を最適化する。他社協業を念頭に置き、自社の開発生産における絞り込みを進める」とし、この中期中に完遂させるとした。
「くらしアプライアンス」事業の成長戦略では、パナソニックの強みである多様な商品ラインナップに加え、IoTやソフトを強化。「提供価値は、商品が持つポテンシャルをハードとソフトの両面で引き出し、ひとりひとりにふさわしい快適な体験を提供、心と体のすこやかさを実現すること」としてまず日本から、B to C、B to B to Cの新たな収益構造を構築する。
くらしアプライアンス領域の日本におけるパナソニックのポジションは、「住空間におけるどの領域でも幅広い商品で高いシェアを獲得している」と認識。その上で、ハードウェアによる本質的価値の追求、シュトウェアによるユーザーエクスペリエンスの実現、共創による事業強化、の3つを改革の内容として掲げた。
日本ではテレビをやめる必要はさらさらない
品田氏はさらにテレビ事業での協業など構造改革について、次のような考えを示した。「テレビ事業最大の資産はパナソニックのブランド。自社のテクノロジーの使い方はもちろん、ブランドの資産をどう使って補間関係をどうするか、時間軸で考える。テクノロジー優先で付加価値の高い上位機種領域は、日本では寡占化しているのでやめる必要はさらさらなく、開発コストをかけしっかりと商品の枠組みを考える。またブラジルなどはテレビ販売のウェイトが下がり、冷蔵庫と洗濯機が伸びている。テレビは赤字ではなくお客様にささるという観点から商材として必要。相対的に販売レベルの低いアジア、事業立地が悪化しているインドなどと、それぞれ内容が違い国内外でも区分けは簡単にできない。ひとつひとつの地域をしっかり考え、お客様と向きあって戦略を考える」。
「アプライアンス社2019年度下期および中期的な取り組み」と題されたプレゼンで示された、2019年度上期実績と下期の業績見通しは上図のとおり。品田氏は「特に調整後営業利益を重視し、対前年+28億円達成を目指している」とコメントした。
アプライアンスの課題が明確に。構造改革とリソース集中で改善図る
中期的取り組みでは、18年度までの中期3ヶ年の総括で「これまで進めた家電総本山化を経て将来に向けた事業課題が明確になった」とし、収益性の観点からは「製販連結経営体制を構築したが、経営体質課題が顕在化。環境によらず、継続的に収益を上げられる体質への変革が必要」と認識。成長性の観点からは「業界平均以上に成長を加速する枠組みとリソース集中が課題」と指摘した。
これらを踏まえての課題として、「重点領域の空調・空質、食品流通と白物家電への集中」と「不採算事業の方向づけと成長領域へのリソースリフト」の2点を挙げた。
あらためてアプライアンス社が中長期的に目指す姿とは、「これまで家電を通じてゆたかな暮らしの実現を果たしてきた経験とお客様からの信頼を踏まえ、これからの時代での暮らしへの役立ちが次の成長の柱」とし、「人生100年時代により長く豊かに生きるための本質的価値の提供が求められる中、心と体の健やかさをお届けし、幸せの実現を目指す」と定める。
そこで新たな戦略事業領域として、「くらしインフラ」「くらしアプライアンス」を定義。「くらしインフラ」は調和された空気による新たな空間価値の提供、「くらしアプライアンス」は、家電だけでなくサービスも含めた新たなくらし価値の提供、が目的となる。
アプライアンスの事業環境について、下のような図を示す。業界において収益性、成長性ともプラスの領域にあるのは空調、食品流通、白物家電で、投資・強化すべき領域とする。一方収益性がプラスでも成長性がマイナスとなっている黒物家電については転地が必要な領域と指摘。パナソニックのポジション(図の右下)はほとんど業界と同様で、「テレビが成長性も収益性もマイナスになったために構造改革が必要なフェーズに移行した」とした。
この状況を踏まえた中期ポートフォリオ戦略とは。「くらしインフラ」事業はパナソニックの基幹事業と位置付けられており、属するのはエアコンなどの<空調冷熱ソリューションズ>と<食品流通>。ここは投資領域として積極投資で事業成長を図り収益拡大を目指す。
テレビ事業は他社協業も視野に構造改革を
「くらしアプライアンス」事業はパナソニックの共創事業と位置付けられる。属するのは白物家電などの<ホームアプライアンス>と、テレビやイメージング商品などの<スマートライフネットワーク>。ホームアプライアンスは強化領域とし、家電商品の売り方など事業構造の変革で利益成長を図る。スマートライフネットワークは転地・構造改革領域とし、不採算事業の方向付けで構造的な収益改善を目指す。転地・構造改革で捻出したリソースは、投資領域、強化領域にシフトさせる。
中期で目指す姿は、下図のとおり。2018年度-2021年度は変革の中期と位置づけ、収益構造の変革を図る。売上は追わず収益性改善を最優先させる。経営体質強化と不採算事業の構造改革、先行投資を行う。
空調冷熱ソリューションは成長投資を加速、収益拡大させる。スマートライフネットワークは不採算事業の構造改革で資産を圧縮。「メリハリのきいたポートフォリオで収益構造を改善する」。
不採算事業と位置付けられたテレビ事業の方向づけも説明された。「考え方を変え、自前主義より転換を図って他社協業をふくむ構造改革を進める」という。事業環境の変化にも触れ、「需要を喚起してきた技術進化が停滞し市場が縮小。中国メーカーの価格攻勢による価格下落、急激な環境変化にパナソニックは対応しきれていない」との認識を明らかにした。
テレビ事業の構造改革の方針は、「開発・製造・販売で現場規模に合わせて体制を最適化する。他社協業を念頭に置き、自社の開発生産における絞り込みを進める」とし、この中期中に完遂させるとした。
「くらしアプライアンス」事業の成長戦略では、パナソニックの強みである多様な商品ラインナップに加え、IoTやソフトを強化。「提供価値は、商品が持つポテンシャルをハードとソフトの両面で引き出し、ひとりひとりにふさわしい快適な体験を提供、心と体のすこやかさを実現すること」としてまず日本から、B to C、B to B to Cの新たな収益構造を構築する。
くらしアプライアンス領域の日本におけるパナソニックのポジションは、「住空間におけるどの領域でも幅広い商品で高いシェアを獲得している」と認識。その上で、ハードウェアによる本質的価値の追求、シュトウェアによるユーザーエクスペリエンスの実現、共創による事業強化、の3つを改革の内容として掲げた。
日本ではテレビをやめる必要はさらさらない
品田氏はさらにテレビ事業での協業など構造改革について、次のような考えを示した。「テレビ事業最大の資産はパナソニックのブランド。自社のテクノロジーの使い方はもちろん、ブランドの資産をどう使って補間関係をどうするか、時間軸で考える。テクノロジー優先で付加価値の高い上位機種領域は、日本では寡占化しているのでやめる必要はさらさらなく、開発コストをかけしっかりと商品の枠組みを考える。またブラジルなどはテレビ販売のウェイトが下がり、冷蔵庫と洗濯機が伸びている。テレビは赤字ではなくお客様にささるという観点から商材として必要。相対的に販売レベルの低いアジア、事業立地が悪化しているインドなどと、それぞれ内容が違い国内外でも区分けは簡単にできない。ひとつひとつの地域をしっかり考え、お客様と向きあって戦略を考える」。