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公開日 2020/01/09 11:26
<CES>ドルビーが送り出す新音楽表現「Dolby Atmos Music」とは? 誕生の経緯とメリットを訊く
Dolby Musicのディレクターにインタビュー
米ラスベガスで開催の「CES 2020」において、Dolbyがプライベートブースを展開。同ブースにて、「Dolby Atmos Music(ドルビーアトモスミュージック)」が誕生した経緯やそのメリットについて、Dolby MusicのディレクターであるTim Pryde氏に話を伺った。
Dolby Atmos Musicは、音楽をイマーシブの3Dサラウンドで楽しめる技術。Pryde氏は、「楽器、パート、ミックスといった音の構成要素を空間の中に自由に任意の場所に配置できるという新しい表現方法」だと説明する。
ベースとなるDolby Atmosは劇場向けの規格として誕生し、その後はテレビやサウンドバーといった民生用でも展開。そしてこれからは、Dolby Atmos Musicも加わり、ミュージシャンの表現手段として音楽コンテンツの体験も広げていく。
なお、日本では音楽ストリーミングサービス「Amazon Music HD」で配信されており、Amazonのスマートスピーカー「Echo Studio」を使用することで3Dオーディオを体験することが可能。アメリカではこれに加えてTIDALでも配信され、スマートフォンやPC、タブレットなどでも楽しめるという。
もともと映画向けだったDolby Atmosだが、音楽再生用としてローンチしたきっかけは何だったのだろうか。Pryde氏の話では、早い段階から音楽再生として使用する構想はあったというが、実現するまでには多くの経緯をたどってきたという。
まずはテストとして、一番相性が良いというEDMを使用して世界中でテスト。東京ではageHaというクラブにDolby Atmosを仮導入してDJパフォーマンスを行ってみたところ、アーティストや来場者から、とてもよい反応が得られたと説明する。
そこで、多くのアーティストに提案したところ、エルトン・ジョンの楽曲「ロケットマン」のサウンドエンジニアであるグレッグ・ペニー氏が興味を示したとのこと。その後、ロケットマンをDolby Atmosでリミックスすると、とても良い結果になったという。
その後、ユニバーサルミュージックに持ち込んだところ好評であり、「既存のカタログもこれでミックスしたら再評価されたり、ファンが広がるんじゃないか」ということに。これが同社がDolby Atmos Musicを制作するきっかけになったという。
その後、サウンドエンジニアのジャイルズ・マーティン氏がビートルズ『サージェント・ペパーズ』の50周年を契機に、Dolby Atmosを用いたリミックスを制作。発売記念として、全米のドルビーシネマ劇場で再生を行った。
スクリーンに何も映さない暗い空間で、アルバムをまるごと再生するという試みだったが、観客は泣いたり笑ったりと、大きな反響が得られた。そこで「ステレオよりも人の心に届くなにかがあるのではないか」と掴み、「もっと他の楽曲でも試したい」と感じたという。
これをきっかけに、ユニバーサルミュージックがもつ様々なスタジオのうち、ロサンゼルスのキャピトル・レコードにミックス環境を協力して設置。また最近ではワーナーとも協業を行ったことで、2つのスタジオにおいてDolby Atmosでのミックスが行えるようになっている。
なお、現在はAmazon Music HDとTIDALで配信されているDolby Atmos Music楽曲だが、どのように提供するかについては、いくつか課題があったという。当初はBDディスクをはじめ、先述のようにクラブで再生したり、ドルビーシネマの映画館において『ボヘミアン・ラプソディ』『ロケットマン』といった楽曲を再生するという手段しかなかったとのこと。
音楽ストリーミングという手段もあるが、そうするとコンテンツも少なく、より多くのクリエイターが制作できるような環境を作る必要があったという。そこで、ProTools、Cubase、Logicといった音楽業界で使われている制作ツールがDolby Atmosをサポートすることで、新たなツールを覚えることなく制作ができるようになった。
そしてついに昨年、Amazon Music HDがスタートし、より多くのユーザーにDolby Atmos Musicが届けられるように。DolbyとAmazonは2年前からEcho Studioについて協業を行ってきたため、Echo Studioの発売と同時にDolby Atmos Musicを配信開始できたという。
Dolby Atmos Musicの本質について、「様々な音源を動かしたり、動かさなかったり、前方に定位するようにしたりと、アーティストの意図通りに再現できることだ」とPryde氏は説く。また、「高価なシステムはもちろんだが、手の出しやすい価格のEcho Studioでも十分にイマーシブサウンドを楽しめることに興奮している。ぜひ体験してみて欲しい」と強調した。
Dolby Atmos Musicは、音楽をイマーシブの3Dサラウンドで楽しめる技術。Pryde氏は、「楽器、パート、ミックスといった音の構成要素を空間の中に自由に任意の場所に配置できるという新しい表現方法」だと説明する。
ベースとなるDolby Atmosは劇場向けの規格として誕生し、その後はテレビやサウンドバーといった民生用でも展開。そしてこれからは、Dolby Atmos Musicも加わり、ミュージシャンの表現手段として音楽コンテンツの体験も広げていく。
なお、日本では音楽ストリーミングサービス「Amazon Music HD」で配信されており、Amazonのスマートスピーカー「Echo Studio」を使用することで3Dオーディオを体験することが可能。アメリカではこれに加えてTIDALでも配信され、スマートフォンやPC、タブレットなどでも楽しめるという。
もともと映画向けだったDolby Atmosだが、音楽再生用としてローンチしたきっかけは何だったのだろうか。Pryde氏の話では、早い段階から音楽再生として使用する構想はあったというが、実現するまでには多くの経緯をたどってきたという。
まずはテストとして、一番相性が良いというEDMを使用して世界中でテスト。東京ではageHaというクラブにDolby Atmosを仮導入してDJパフォーマンスを行ってみたところ、アーティストや来場者から、とてもよい反応が得られたと説明する。
そこで、多くのアーティストに提案したところ、エルトン・ジョンの楽曲「ロケットマン」のサウンドエンジニアであるグレッグ・ペニー氏が興味を示したとのこと。その後、ロケットマンをDolby Atmosでリミックスすると、とても良い結果になったという。
その後、ユニバーサルミュージックに持ち込んだところ好評であり、「既存のカタログもこれでミックスしたら再評価されたり、ファンが広がるんじゃないか」ということに。これが同社がDolby Atmos Musicを制作するきっかけになったという。
その後、サウンドエンジニアのジャイルズ・マーティン氏がビートルズ『サージェント・ペパーズ』の50周年を契機に、Dolby Atmosを用いたリミックスを制作。発売記念として、全米のドルビーシネマ劇場で再生を行った。
スクリーンに何も映さない暗い空間で、アルバムをまるごと再生するという試みだったが、観客は泣いたり笑ったりと、大きな反響が得られた。そこで「ステレオよりも人の心に届くなにかがあるのではないか」と掴み、「もっと他の楽曲でも試したい」と感じたという。
これをきっかけに、ユニバーサルミュージックがもつ様々なスタジオのうち、ロサンゼルスのキャピトル・レコードにミックス環境を協力して設置。また最近ではワーナーとも協業を行ったことで、2つのスタジオにおいてDolby Atmosでのミックスが行えるようになっている。
なお、現在はAmazon Music HDとTIDALで配信されているDolby Atmos Music楽曲だが、どのように提供するかについては、いくつか課題があったという。当初はBDディスクをはじめ、先述のようにクラブで再生したり、ドルビーシネマの映画館において『ボヘミアン・ラプソディ』『ロケットマン』といった楽曲を再生するという手段しかなかったとのこと。
音楽ストリーミングという手段もあるが、そうするとコンテンツも少なく、より多くのクリエイターが制作できるような環境を作る必要があったという。そこで、ProTools、Cubase、Logicといった音楽業界で使われている制作ツールがDolby Atmosをサポートすることで、新たなツールを覚えることなく制作ができるようになった。
そしてついに昨年、Amazon Music HDがスタートし、より多くのユーザーにDolby Atmos Musicが届けられるように。DolbyとAmazonは2年前からEcho Studioについて協業を行ってきたため、Echo Studioの発売と同時にDolby Atmos Musicを配信開始できたという。
Dolby Atmos Musicの本質について、「様々な音源を動かしたり、動かさなかったり、前方に定位するようにしたりと、アーティストの意図通りに再現できることだ」とPryde氏は説く。また、「高価なシステムはもちろんだが、手の出しやすい価格のEcho Studioでも十分にイマーシブサウンドを楽しめることに興奮している。ぜひ体験してみて欲しい」と強調した。