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公開日 2023/10/10 21:00

NHK、次期3ヶ年は赤字見込みも「受信料は値下げ額を堅持」。2024年度からの経営計画公表

「信頼がすべての源」
編集部:小野佳希
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NHKは、2024年度-2026年度の経営計画案を策定。意見募集(パブリックコメント)を行うことを決定し、メディア向けの説明会を実施した。

NHKのロゴ

■値下げした受信料額を堅持



収支面では、今月からスタートした受信料値下げを受けて、来年2024年からの3ヶ年はいずれの年も赤字を見込む。例えば2024年度の受信料収入は、今年度と比べて430億円減を見込んでおり、トータルでの事業収入6,021億円(今年度比419億円減)、事業支出6,591億円(同129億円減)で、570億円の赤字予算を組んでいる。

2024-2026年度の収支計画表

ただし、こうした状況でも受信料を値上げするようなことはせず、「値下げを行った受信料額を堅持していく」とし、この3年間においては「受信料体系の変更は実施しない」と説明。減収となるなかでも事業規模を段階的に縮小しながら、2027年度の収支均衡を目指すという。なお、いずれの年度も不足分を還元原資(積立金)から補填する形で計画的に対応、解消していく。

事業規模縮小に関する具体例のひとつが、BS放送のチャンネル削減およびラジオのチャンネル削減。BS放送は現在のBSプレミアムをBS1と統合する形で2024年度から2波化し、ラジオについても現在のR1(第1)とR2(第2)のAM2波を1波に統合し、2026年度から新FMとの2波体制にすることが決まっている。

なお、ラジオの放送波削減については、「聴取者の利便性をしっかり考えながら今後を検討していく」と説明。現在放送している番組がどうなるかなど具体的なことはまだ決まっていないが、AMからFMへの移行、インターネット配信への移行など様々な方法を含めて「今とまったく同じボリュームというのは物理的に難しいが、何がふさわしいかを含めて利便性を維持できるよう検討していく」とした。

こうしたコンテンツ総量の削減に加え、設備投資の大幅削減などによって、1,000億円規模の支出削減を図るとのこと。「この規模の削減は初めて。3年すべて赤字という計画は過去になかったと思う」という。

一方、収入面ではの柱となる受信料については、デジタルや書面、対面など様々な形で視聴者との接点を設けて時代に即した“新たな営業アプローチ”を推進することで、現在の水準を維持した支払い率を目指すと説明。また、インターネット配信業者への番組販売による海外展開や、関連団体からの受取配当金増加など、受信料以外の副次収入の拡大も目指していくとした。

■「信頼がすべての源」



NHKでは、次期3ヶ年の経営計画策定にあたり、放送法に定められている「健全な民主主義の発達に資する」ことが究極の使命であり、そのために今、日本の公共放送であるNHKに何が求められているのかを改めて検討したという。

その上で、フェイクニュースなどの問題が生じている現代においても信頼できる基本的な情報を提供すること、民主主義の基盤である多角的な視点の確保へ貢献すること、この2点が活動の基軸であると位置づけた。

情報の多元性確保については、民放との二元体制が基幹であるとし、その体制維持に600億円規模の予算を用意。一部の施設をNHK民放が共用する「共同利用型モデル」の導入による効率化で民放のコスト削減なども図るとした。

そして、これらの計画を達成するためには「信頼がすべての源」であると説明。番組づくりの現場力を強化するとともに、例えば監査委員会ですべての稟議書を査閲するなどのガバナンス強化策にも触れ、視聴者・国民から信頼される組織運営を行っていくとした。

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