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公開日 2023/10/16 18:07
Bluetoothが今年で25周年。幹部が語る “成功の理由”、次の25年に向けた取り組み
「25年前と比べて生活の利便性が多く向上」
ワイヤレスオーディオなどで知られるBluetoothが、今年で25周年を迎えた。この節目にあたり、記者説明会が都内で実施された。
説明会では、Bluetooth SIGのCMO(最高マーケティング責任者)を務める、ケン・コルドラップ氏が登壇。Bluetooth SIG(Special Interest Group)は1998年9月に設立され、Bluetoothの技術および関連商標を管理する非営利団体となる。
当初は「ほんの数社が集まり、ローパワーのワイヤレス規格を設定しようという、ある意味、ささやかな目標を持って始めたグループ」だったと語るコルドラップ氏。現在は世界中に浸透しているBluetoothだが、「当時はおそらく誰も、25年後に今のような成功を収めることになるとは考えていなかった」と語る。
コルドラップ氏はBluetooth SIGについて、「他の機関とは比較にならないくらい幅広い責任・守備範囲を誇っている」と説明。標準化・製品認証・ライセンス管理・業界団体の役割を1つの団体で担っていると述べた。一方、Wi-Fiやセルラー通信の団体については、これらの責任が分割されているという。
Bluetooth SIGでは、機能強化などのために、だいたい50件以上の規格策定のプログラムが動いているとのこと。コルドラップ氏は、Bluetooth SIGは「世界でも最大規模の商標・特許のライセンスを管理している機関」だと話し、保有しているBluetooth技術のクロスライセンスは4万以上だと説明した。
さらに認証機関としては、企業が作ったBluetooth搭載製品に対して、認証に合致しているか、準拠しているかの認定も行っている。2022年は、7万以上の製品が新たに認証を取得したそうだ。また今年だけみても、Bluetoothを搭載した製品の出荷台数は50億台をすでに超えている。これは業界で最も多い数字とのことで、出荷台数ではWi-Fiより3割多く、セルラーとの比較では3倍になるという。
このように25年で大きく普及したBluetoothの技術だが、コルドラップ氏によると、その根底には3つの大きな潮流があったという。ワイヤレスオーディオ、コネクテッドコンシューマーエレクトロニクス、コネクテッド産業の3つだ。
1つめのワイヤレスオーディオは、いわばBluetoothの原点であり、「オーディオ機器をコードで繋がなればいけない、その煩わしさを開放したい」という思いから始まったという。最初の製品となるヘッドセットを皮切りに、自動車に搭載されるハンズフリーの通話機能、ヘッドホンやスピーカーなどのオーディオへと展開。最近ではBluetoothを搭載した補聴器も登場してきている。
次のコネクテッドコンシューマーエレクトロニクスは、10年ほど前からフォーカスを置くようになったとのこと。コルドラップ氏は「ありとあらゆるIoTデバイス全てを繋ぐことが可能」「毎年数百の製品が接続されるようになっている」と述べているように、ワイヤレスのマウスやキーボード、フィットネス機器や健康機器、子どものおもちゃなど、今日では多くのデバイスがBluetoothに対応している。
最後のコネクテッド産業は、最近になって拡大させていこうと取り組み始めたもの。たとえば工場の稼働停止時間を削減するため、稼働をモニタリングすることで予知保全が行える。またビルの電力ネットワークをBluetoothで管理することにより、従来から70%ほど節電できた事例もあるという。直近では、小売店舗の電子値札(ESL)システムにBluetoothを導入しており、これが業界標準になりつつあるようだ。
これらの分野について、ワイヤレスオーディオでは13億台以上、コンシューマーエレクトロニクス関連では16億台以上、産業向けには2億台以上の製品が今年だけで出荷される予測となっている。いずれも成長を続け、2027年にはワイヤレスオーディオが16億台以上、コンシューマーエレクトロニクス関連が29億台以上、産業向けは7億台以上になるという。
「Bluetoothは過去25年、技術に立脚した進化を遂げてきた」とコルドラップ氏。この25年の間で通信速度は2倍以上、通信距離は4倍以上に拡大してきた。さらにメッシュの技術を導入することで、数百のデバイスを相互に接続して、情報をやり取りできるように。AoA/AoDといった方向検知機能により、屋内でのロケーション機能が向上し、人の動きも検知可能となった。新たなオーディオ技術として、Bluetooth LE Audioも開発されている。
今後の進化として、近いうちに「高精度距離測定」「データスループットの向上」「Bluetooth LEの高周波数帯対応」が予定されているとのこと。このうち高精度距離測定については、来年の前半には搭載製品が出てくる予定だという。後の2つについては、1 - 2年のサイクルで出てくるとしている。
高精度距離測定は、プラスマイナス10%の精度を目指している。つまり、20mの距離で20cmくらいのプラスマイナスが目標となる。これにより、デジタルキー、持ち物の探索システム、資産追跡システムもBluetoothで実現できるようになるという。
データスループットの向上では、Bluetooth LEのスループットを最大8Mbpsに高める取り組みとなる。これにより、ゲームのコントローラーはより高速に応答できるようになり、健康機器ではより高速なデータ同期が行えるようになる。もちろん音楽体験も向上するという。さらにBluetooth LEでは、周波数帯域を現在の2.4GHz帯から、5GHzもしくは6Hz帯に拡張しようと取り組んでいるとのことだ。
「過去25年においてBluetoothの技術がその成功を収めてきたその背後には、常にテクノロジーをイノベーションしよう、今あるものをより良くしようという取り組みがあった」とコルドラップ氏はコメント。例として上記の周波数帯域の拡張を挙げ、これによって「さらにイノベーションの波が今後の25年にも続いていくことになると考えている」と述べた。
また、コルドラップ氏は「ありとあらゆるものを繋ぎ、世界の人々にコネクションを提供し、世界のより多くの人々の生活により良い影響をもたらすようなソリューションを提供しようということで取り組んできた」と25年の活動を振り返る。そして、「これは自信を持って言えることだが、Bluetoothのおかげで25年前と比べて生活の利便性が多く向上し、それを使う人々のメリットも大きく向上している」と締めくくった。
説明会では、Bluetooth SIGのCMO(最高マーケティング責任者)を務める、ケン・コルドラップ氏が登壇。Bluetooth SIG(Special Interest Group)は1998年9月に設立され、Bluetoothの技術および関連商標を管理する非営利団体となる。
当初は「ほんの数社が集まり、ローパワーのワイヤレス規格を設定しようという、ある意味、ささやかな目標を持って始めたグループ」だったと語るコルドラップ氏。現在は世界中に浸透しているBluetoothだが、「当時はおそらく誰も、25年後に今のような成功を収めることになるとは考えていなかった」と語る。
コルドラップ氏はBluetooth SIGについて、「他の機関とは比較にならないくらい幅広い責任・守備範囲を誇っている」と説明。標準化・製品認証・ライセンス管理・業界団体の役割を1つの団体で担っていると述べた。一方、Wi-Fiやセルラー通信の団体については、これらの責任が分割されているという。
Bluetooth SIGでは、機能強化などのために、だいたい50件以上の規格策定のプログラムが動いているとのこと。コルドラップ氏は、Bluetooth SIGは「世界でも最大規模の商標・特許のライセンスを管理している機関」だと話し、保有しているBluetooth技術のクロスライセンスは4万以上だと説明した。
さらに認証機関としては、企業が作ったBluetooth搭載製品に対して、認証に合致しているか、準拠しているかの認定も行っている。2022年は、7万以上の製品が新たに認証を取得したそうだ。また今年だけみても、Bluetoothを搭載した製品の出荷台数は50億台をすでに超えている。これは業界で最も多い数字とのことで、出荷台数ではWi-Fiより3割多く、セルラーとの比較では3倍になるという。
■3つの柱で技術拡大、今後も成長してく予測
このように25年で大きく普及したBluetoothの技術だが、コルドラップ氏によると、その根底には3つの大きな潮流があったという。ワイヤレスオーディオ、コネクテッドコンシューマーエレクトロニクス、コネクテッド産業の3つだ。
1つめのワイヤレスオーディオは、いわばBluetoothの原点であり、「オーディオ機器をコードで繋がなればいけない、その煩わしさを開放したい」という思いから始まったという。最初の製品となるヘッドセットを皮切りに、自動車に搭載されるハンズフリーの通話機能、ヘッドホンやスピーカーなどのオーディオへと展開。最近ではBluetoothを搭載した補聴器も登場してきている。
次のコネクテッドコンシューマーエレクトロニクスは、10年ほど前からフォーカスを置くようになったとのこと。コルドラップ氏は「ありとあらゆるIoTデバイス全てを繋ぐことが可能」「毎年数百の製品が接続されるようになっている」と述べているように、ワイヤレスのマウスやキーボード、フィットネス機器や健康機器、子どものおもちゃなど、今日では多くのデバイスがBluetoothに対応している。
最後のコネクテッド産業は、最近になって拡大させていこうと取り組み始めたもの。たとえば工場の稼働停止時間を削減するため、稼働をモニタリングすることで予知保全が行える。またビルの電力ネットワークをBluetoothで管理することにより、従来から70%ほど節電できた事例もあるという。直近では、小売店舗の電子値札(ESL)システムにBluetoothを導入しており、これが業界標準になりつつあるようだ。
これらの分野について、ワイヤレスオーディオでは13億台以上、コンシューマーエレクトロニクス関連では16億台以上、産業向けには2億台以上の製品が今年だけで出荷される予測となっている。いずれも成長を続け、2027年にはワイヤレスオーディオが16億台以上、コンシューマーエレクトロニクス関連が29億台以上、産業向けは7億台以上になるという。
■Bluetoothの背後には「技術」がある
「Bluetoothは過去25年、技術に立脚した進化を遂げてきた」とコルドラップ氏。この25年の間で通信速度は2倍以上、通信距離は4倍以上に拡大してきた。さらにメッシュの技術を導入することで、数百のデバイスを相互に接続して、情報をやり取りできるように。AoA/AoDといった方向検知機能により、屋内でのロケーション機能が向上し、人の動きも検知可能となった。新たなオーディオ技術として、Bluetooth LE Audioも開発されている。
今後の進化として、近いうちに「高精度距離測定」「データスループットの向上」「Bluetooth LEの高周波数帯対応」が予定されているとのこと。このうち高精度距離測定については、来年の前半には搭載製品が出てくる予定だという。後の2つについては、1 - 2年のサイクルで出てくるとしている。
高精度距離測定は、プラスマイナス10%の精度を目指している。つまり、20mの距離で20cmくらいのプラスマイナスが目標となる。これにより、デジタルキー、持ち物の探索システム、資産追跡システムもBluetoothで実現できるようになるという。
データスループットの向上では、Bluetooth LEのスループットを最大8Mbpsに高める取り組みとなる。これにより、ゲームのコントローラーはより高速に応答できるようになり、健康機器ではより高速なデータ同期が行えるようになる。もちろん音楽体験も向上するという。さらにBluetooth LEでは、周波数帯域を現在の2.4GHz帯から、5GHzもしくは6Hz帯に拡張しようと取り組んでいるとのことだ。
「過去25年においてBluetoothの技術がその成功を収めてきたその背後には、常にテクノロジーをイノベーションしよう、今あるものをより良くしようという取り組みがあった」とコルドラップ氏はコメント。例として上記の周波数帯域の拡張を挙げ、これによって「さらにイノベーションの波が今後の25年にも続いていくことになると考えている」と述べた。
また、コルドラップ氏は「ありとあらゆるものを繋ぎ、世界の人々にコネクションを提供し、世界のより多くの人々の生活により良い影響をもたらすようなソリューションを提供しようということで取り組んできた」と25年の活動を振り返る。そして、「これは自信を持って言えることだが、Bluetoothのおかげで25年前と比べて生活の利便性が多く向上し、それを使う人々のメリットも大きく向上している」と締めくくった。