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日本時間11日未明に開催されたGoogle I/Oでは、機体の新型Pixelスマートフォンやタブレットよりも、AI技術に多くの時間が割かれていた。この記事では基調講演で発表されたAI技術をかいつまんでおさらいする。
■PaLM 2
Google I/Oの基調講演では、新しい大規模言語モデルである「PaLM 2」が発表された。OpenAIのGPT-4などのライバルとなるPaLM 2は「論理と推論に関する広範なトレーニングのおかげで、PaLM 2モデルはその分野においてより強力になっている」と説明され、さらにコーディング、翻訳を含む、テキストベースのさまざまなタスクにおいて、昨年4月に発表された初代のPaLMよりはるかに優れると説明されている。
また、PaLM 2は「100種類超の言語テキストでトレーニング」されており、基調講演ではドイツ語の「Ich verstehe nur Bahnhof」という言葉を例に挙げ、直訳すると「駅しかわからない」(全くわからない、という意味)になるこの慣用句を、PaLM 2はきちんと解釈し、「I don’t understand what you’re saying(何を言っているのかわからない)」、または英語の慣用句である「It’s all Greek to me(どれもギリシャ語)」といった出力を提案できるとした。
PaLM 2の言語モデルは、用途に応じてその規模的に4種類が用意され、最も軽量なものはスマートフォンに搭載して動作させられるほどだという。ただし、動作テストには「最新の携帯電話」を使用しているとのことだ。
■Google フォトにMagic Editor機能
Googleフォトのサービスには、AIを用いた新しい編集機能「Magic Editor」が追加された。この機能を使えば、難しい操作なしに、写真の気に入らない部分の修正が可能になる。基調講演では、滝の前に立っている人物を素早く切り取って移動・サイズ変更し、背景の曇り空を青空に変えたり、画面から見切れている被写体を中央に寄せたりするデモが披露された。
特に被写体を中央に寄せるデモでは、元の写真のフレーム外にあるオブジェクトをきちんと補って描画しているところが印象的だ。ただ、よくよく画像を見てみれば、1枚目の写真ではバッグのストラップに不自然なしわが入っていたり、2枚目だと動かしたベンチの脚の影が元の位置に残っていたりする。それでも、ひと目見た程度では気づかない程度のものであり、iPhoneやAndroidスマートフォンの写真編集機能も含め、この分野でのAI技術の進歩をうかがわせるものと言えそうだ。
Googleは、この機能は今年後半に「アーリーアクセス版」として「一部の機種」で利用可能になるとしている。
■Google Bard が誰でも利用可能に
Googleが提供するAIチャットボット「Bard」は、順番待ちリストに登録している、いないに関わらず、すべての人に開放される。また、日本語と韓国語のサポートが新たに追加。英語を使用する必要はあるものの、世界180ヵ国で利用可能になることも発表された。
さらに、Bardを利用した出力をGoogleドキュメントやGmailにエクスポートできる機能のほか、ビジュアル検索への対応、ダークモードといった新機能が追加されている。
Bardはクエリーの結果に画像を添付して表示することも可能になった。基調講演のデモでは、「ニューオーリンズ旅行でお勧めの観光スポットはどこ?」という質問の例を挙げ、オーデュボン動物園など、いくつかのお勧め候補をリストアップ、Google 画像検索で得られるような写真を表示してみせた。
この機能はAdobeのAI画像ジェネレーター「Firefly」を使用し、「いまから数ヵ月のあいだに」提供される予定とのことだ。そのほか、Bardはレストラン予約サービスのOpenTableや、食料品の特急配送サービスInstacartといった、サードパーティサービスとの統合も予定されているとのことだ。
なお、Googleは「Bard」がまだ実験的なものであり、Google検索を代替するものではないとしている。
■Google Workspace用のAIツールスイート「Duet AI」
Googleは今年3月、Workspace向けに提供する一連のAI機能「Duet AI」を発表した。この機能は、マイクロソフトがOfficeアプリケーションを横断的に支援するAIアプリケーションとして発表している「Microsoft 365 Copilot」のGoogle Workspace版とでも言うべきものだ。
そして今回のGoogle I/Oでは、この一連の機能が「Duet AI」とリブランドしたことを明らかにした。Duet AIは、Googleの生産性向上アプリ向けのさまざまなAIツールをカバーし、Gmailのメールひな形生成、スライド用画像の生成、Meetを使ったミーティングの概要文の生成といった機能が提供される。またGoogleアプリ間でドキュメント内容を理解して要約し、質問に回答する「Sidekick」機能が新しく予告された。
ただし、これらの機能は当面「Google Workspace Labs」のテスター向けに提供されることになっている。いち早く試したい場合はWorkspace Labsに登録し、順番待ちリストに参加しなければならない。
■Google検索にはAI活用の「snapshots」
Google検索の利用において、Search Generative Experience(SGE)と呼ばれる新機能をオプトインすると、一部の検索文に対して、検索結果の最上部に AI を活用した回答が表示されるようになる。
このsnapshots機能は、検索結果に常に表示されるわけではなく、Googleのアルゴリズムが標準の検索結果よりも有用だと判断した場合にのみ表示される。このとき、従来の検索結果はsnapshotsの下に表示されるので、狭いスマートフォンの画面などでは、snapshotsだけで画面が一杯になり、従来のウェブページへのリンクで表される検索結果に気づかないユーザーも出てきそうだ。
なお、政治や健康に関する情報の場合はAIが誤った情報を拡散するリスクを避けるため、スナップショットには現れない。Googleは、snapshots機能もあくまで実験としての提供だと強調している。
■AndroidにAI活用の新機能「Magic Compose」
Androidスマートフォンには、デフォルトのメッセージ アプリ用の新機能「Magic Compose」が用意された。これは受信したメッセージに対して自動的に返信内容のテキストを生成するもので、ユーザー本人が書いたように見えるようカスタマイズしたり、仕事のために簡潔なビジネス文書風にしたりできるという。
この機能は夏頃にベータ版として登場する。そのほか、一部のPixel端末限定となるが、ホーム画面などに使用する壁紙をAIで生成する機能も用意される。また端末のライブラリー内の写真に3D効果を付けて壁紙にすることも可能になる。
Source: Google(1), (2, YouTube)
■PaLM 2
Google I/Oの基調講演では、新しい大規模言語モデルである「PaLM 2」が発表された。OpenAIのGPT-4などのライバルとなるPaLM 2は「論理と推論に関する広範なトレーニングのおかげで、PaLM 2モデルはその分野においてより強力になっている」と説明され、さらにコーディング、翻訳を含む、テキストベースのさまざまなタスクにおいて、昨年4月に発表された初代のPaLMよりはるかに優れると説明されている。
また、PaLM 2は「100種類超の言語テキストでトレーニング」されており、基調講演ではドイツ語の「Ich verstehe nur Bahnhof」という言葉を例に挙げ、直訳すると「駅しかわからない」(全くわからない、という意味)になるこの慣用句を、PaLM 2はきちんと解釈し、「I don’t understand what you’re saying(何を言っているのかわからない)」、または英語の慣用句である「It’s all Greek to me(どれもギリシャ語)」といった出力を提案できるとした。
PaLM 2の言語モデルは、用途に応じてその規模的に4種類が用意され、最も軽量なものはスマートフォンに搭載して動作させられるほどだという。ただし、動作テストには「最新の携帯電話」を使用しているとのことだ。
■Google フォトにMagic Editor機能
Googleフォトのサービスには、AIを用いた新しい編集機能「Magic Editor」が追加された。この機能を使えば、難しい操作なしに、写真の気に入らない部分の修正が可能になる。基調講演では、滝の前に立っている人物を素早く切り取って移動・サイズ変更し、背景の曇り空を青空に変えたり、画面から見切れている被写体を中央に寄せたりするデモが披露された。
特に被写体を中央に寄せるデモでは、元の写真のフレーム外にあるオブジェクトをきちんと補って描画しているところが印象的だ。ただ、よくよく画像を見てみれば、1枚目の写真ではバッグのストラップに不自然なしわが入っていたり、2枚目だと動かしたベンチの脚の影が元の位置に残っていたりする。それでも、ひと目見た程度では気づかない程度のものであり、iPhoneやAndroidスマートフォンの写真編集機能も含め、この分野でのAI技術の進歩をうかがわせるものと言えそうだ。
Googleは、この機能は今年後半に「アーリーアクセス版」として「一部の機種」で利用可能になるとしている。
■Google Bard が誰でも利用可能に
Googleが提供するAIチャットボット「Bard」は、順番待ちリストに登録している、いないに関わらず、すべての人に開放される。また、日本語と韓国語のサポートが新たに追加。英語を使用する必要はあるものの、世界180ヵ国で利用可能になることも発表された。
さらに、Bardを利用した出力をGoogleドキュメントやGmailにエクスポートできる機能のほか、ビジュアル検索への対応、ダークモードといった新機能が追加されている。
Bardはクエリーの結果に画像を添付して表示することも可能になった。基調講演のデモでは、「ニューオーリンズ旅行でお勧めの観光スポットはどこ?」という質問の例を挙げ、オーデュボン動物園など、いくつかのお勧め候補をリストアップ、Google 画像検索で得られるような写真を表示してみせた。
この機能はAdobeのAI画像ジェネレーター「Firefly」を使用し、「いまから数ヵ月のあいだに」提供される予定とのことだ。そのほか、Bardはレストラン予約サービスのOpenTableや、食料品の特急配送サービスInstacartといった、サードパーティサービスとの統合も予定されているとのことだ。
なお、Googleは「Bard」がまだ実験的なものであり、Google検索を代替するものではないとしている。
■Google Workspace用のAIツールスイート「Duet AI」
Googleは今年3月、Workspace向けに提供する一連のAI機能「Duet AI」を発表した。この機能は、マイクロソフトがOfficeアプリケーションを横断的に支援するAIアプリケーションとして発表している「Microsoft 365 Copilot」のGoogle Workspace版とでも言うべきものだ。
そして今回のGoogle I/Oでは、この一連の機能が「Duet AI」とリブランドしたことを明らかにした。Duet AIは、Googleの生産性向上アプリ向けのさまざまなAIツールをカバーし、Gmailのメールひな形生成、スライド用画像の生成、Meetを使ったミーティングの概要文の生成といった機能が提供される。またGoogleアプリ間でドキュメント内容を理解して要約し、質問に回答する「Sidekick」機能が新しく予告された。
ただし、これらの機能は当面「Google Workspace Labs」のテスター向けに提供されることになっている。いち早く試したい場合はWorkspace Labsに登録し、順番待ちリストに参加しなければならない。
■Google検索にはAI活用の「snapshots」
Google検索の利用において、Search Generative Experience(SGE)と呼ばれる新機能をオプトインすると、一部の検索文に対して、検索結果の最上部に AI を活用した回答が表示されるようになる。
このsnapshots機能は、検索結果に常に表示されるわけではなく、Googleのアルゴリズムが標準の検索結果よりも有用だと判断した場合にのみ表示される。このとき、従来の検索結果はsnapshotsの下に表示されるので、狭いスマートフォンの画面などでは、snapshotsだけで画面が一杯になり、従来のウェブページへのリンクで表される検索結果に気づかないユーザーも出てきそうだ。
なお、政治や健康に関する情報の場合はAIが誤った情報を拡散するリスクを避けるため、スナップショットには現れない。Googleは、snapshots機能もあくまで実験としての提供だと強調している。
■AndroidにAI活用の新機能「Magic Compose」
Androidスマートフォンには、デフォルトのメッセージ アプリ用の新機能「Magic Compose」が用意された。これは受信したメッセージに対して自動的に返信内容のテキストを生成するもので、ユーザー本人が書いたように見えるようカスタマイズしたり、仕事のために簡潔なビジネス文書風にしたりできるという。
この機能は夏頃にベータ版として登場する。そのほか、一部のPixel端末限定となるが、ホーム画面などに使用する壁紙をAIで生成する機能も用意される。また端末のライブラリー内の写真に3D効果を付けて壁紙にすることも可能になる。
Source: Google(1), (2, YouTube)