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ガジェット 公開日 2024/09/04 12:36
より薄く持ちやすくなった、Google折りたたみスマホ「Pixel 9 Pro Fold」レビュー
【連載】佐野正弘のITインサイト 第124回
Googleの新しいスマートフォン「Pixel 9」シリーズの中で、唯一折りたたみタイプのモデルとなるのが「Pixel 9 Pro Fold」だ。Pixelシリーズの折りたたみモデルとしては2023年に発売された「Pixel Fold」以来であり、なおかつ国内ではサムスン電子の「Galaxy Z Fold」シリーズ以外では現在のところ唯一となる、横折りタイプの端末でもある。
それだけに注目度も高いであろうPixel 9 Pro Foldだが、1年を経てどのような進化を遂げているのだろうか。発売前の実機をお借りできたので、実際に触れて確認してみた。
まずはハード面についてだが、Pixael Foldと比べた場合、強化されたポイントの1つはディスプレイサイズだろう。Pixel Foldは内側が7.6インチ、外側が5.8インチのディスプレイを採用していたが、Pixel 9 Pro Foldはそれぞれ8インチ、6.3インチに大型化されている。
ディスプレイが大型化された分、サイズはやや大きくなっているのだが、一方で薄さは開いた状態で5.1mm、閉じた状態でも10.5mmと、かなり薄くなっており、もう1つの大きなポイントとなっている。Pixel Fold(開いた状態で5.8mm、閉じた状態で12.1mm)だけでなく、Galaxy Z Fold6(開いた状態で5.6mm、閉じた状態で12.1mm)と比べても実感できる薄さだ。
この薄さと、アスペクト比20:9という比率のディスプレイを継続採用したことで、閉じた状態での操作は一層やりやすくなったと感じる。さすがに厚さと重量には違いを感じるものの、視認性や操作感としては「Pixel 9 Pro XL」など、大型のスマートフォンにかなり近づいた印象だ。
続いてカメラを確認すると、背面のカメラは4800万画素/F値1.7の広角カメラと1050万画素/F値2.2の超広角カメラ、1080万画素/F値3.1で光学5倍ズーム相当の望遠カメラの3眼構成。Pixel Foldと性能的に大きな違いはなく、同じ「Pixel 9 Pro」シリーズの「Pixel 9 Pro」やPixel 9 Pro XLなどと比べると、超広角・望遠カメラの性能が低く抑えられている。
とはいえ、Pixel 9 Proのように30倍とはいかないまでも、20倍の超解像ズームには対応しているし、加えて折りたたみ構造を生かして三脚不要で固定で撮影したり、背面のカメラを使ってセルフィーを撮影したりすることも可能で、撮影シーンの幅広さは変わっていない。外側のディスプレイで撮影する際、キャラクターを表示して子供などの注意をひく「こっちを見て」なども特徴的な機能といえるだろう。
ちなみに背面のカメラはデザインも大きく変更がなされており、従来のPixelシリーズのように横にカメラが並ぶデザインが一変。カメラが左上に、長方形にまとめられる形で設置されるようになった。折りたたみデバイスであることや、薄さを重視して設計した影響などもあるのかもしれないが、Pixelシリーズとしてのデザインの統一感がやや失われているのはやや気になるところだ。
一方のフロントカメラは内側、外側共に1000万画素/F値2.2へと統一されているのだが、とりわけ内側のフロントカメラは、Pixel Foldのようにベゼル上に設置するのではなく、外側と同様にパンチホール構造を採用しディスプレイ内蔵型へと変更がなされている。その影響からか、Pixel Foldではやや気になった内側ディスプレイのベゼルの太さもかなり改善され、デザイン面ではよりモダンな印象を与えている。
そしてもちろん、Pixel 9シリーズで新たに対応した「一緒に写る」や「オートフレーム」など、AI技術を活用したカメラ関連の新機能はしっかり搭載されている。「編集マジック」など従来の機能と合わせて、カメラを楽しく活用できる点にはかなり力が入れられている。
では性能面はどうか。Pixel 9 Pro Foldが搭載するチップセットは「Tensor G4」で、RAMは16GB。ストレージはモデルによって256GBと512GBのいずれかとなるが、ベースの性能自体はPixel 9 Proシリーズ共通といっていいだろう。
それゆえ、他のPixel 9 Proシリーズと性能面での違いはない。Tensor G4はAI関連の処理高速化、とりわけ「Gemini Nano」を活用したオンデバイスでの生成AI関連処理の高速化が期待されるところなのだが、あいにく日本では、スクリーンショットの内容を分析して情報検索ができる「Pixel Screenshots」や、音声通話の内容を文字起こしして要約もしてくれる「Call Notes」など、オンデバイスの生成AI処理を活用したPixel 9シリーズの新機能がまだ利用できない。
一方で「レコーダー」アプリの文字起こしなど、従来のオンデバイスAIを活用した機能の処理は、実際に比較しても旧機種と大きな違いがない印象だ。そうしたことから少なくとも現時点で、日本ではTensor G4の性能をやや持て余していると感じてしまう。
そこでCPU・GPUといった一般的な性能でTensor G4を評価すると、正直なところ少し前の「ハイエンド向けチップセットくらい」という評価になる。チップセット性能がダイレクトに影響するゲームで確認すると、クアルコムの最新ハイエンド向けとなる「Snapdragon 8 Gen 3」のカスタム版を搭載したGalaxy Z Fold6と比べると、グラフィック設定が低く抑えられる傾向にあるし、AAAクラスのゲームでグラフィックを最高水準に設定してプレイするとフレーム落ちすることも多かった。
そしてゲームプレイ時に問題となるのが、Pixel Foldシリーズの全画面表示に対応していないアプリの場合、内側のディスプレイでも表示領域がかなり狭くなってしまうこと。アプリ毎に「アスペクト比(試験運用版)」を設定すれば全画面表示も可能なのだが、やや手間がかかる上、アプリによっては縦画面表示時にフロントカメラの位置にボタンが重なってしまい、不自由を感じることもあった。
一方で、『Asphalt Legends Unite』のようにPixel Foldシリーズ対応アプリであれば、全画面表示だけでなく、本体を90度折りたたんで上下のディスプレイに異なる内容を表示する「テーブルトップモード」の利用も可能になる。ただ対応アプリ自体がまだ少ないだけに、アプリの対応状況によって見た目や操作の快適さにかなりの差が生じてしまうのは残念なところでもある。
それに加えて、音声アシスタントが「Gemini」に変更されたことで、テーブルトップモードの良い活用事例だった「Googleアシスタント」の「通訳モード」が使えなくなるなど(音声アシスタントをGoogleアシスタントに変更すれば利用はできる)、ソフト面で折りたたみスマートフォンの特性をうまく生かせていない印象を受ける。
それゆえトータルの視点でいえば、「Samsung Notes」に生成AI技術を積極的に取り入れビジネス関連の機能を強化したGalaxy Z Fold6に、現時点では軍配が上がるというのが正直なところだ。Call Notesなど英語でしか利用できないAI関連機能の日本語化など、今後のアップデートによるソフト面の強化が大いに求められるところではないだろうか。
それだけに注目度も高いであろうPixel 9 Pro Foldだが、1年を経てどのような進化を遂げているのだろうか。発売前の実機をお借りできたので、実際に触れて確認してみた。
■大型化されたディスプレイ。カメラ性能もチェック
まずはハード面についてだが、Pixael Foldと比べた場合、強化されたポイントの1つはディスプレイサイズだろう。Pixel Foldは内側が7.6インチ、外側が5.8インチのディスプレイを採用していたが、Pixel 9 Pro Foldはそれぞれ8インチ、6.3インチに大型化されている。
ディスプレイが大型化された分、サイズはやや大きくなっているのだが、一方で薄さは開いた状態で5.1mm、閉じた状態でも10.5mmと、かなり薄くなっており、もう1つの大きなポイントとなっている。Pixel Fold(開いた状態で5.8mm、閉じた状態で12.1mm)だけでなく、Galaxy Z Fold6(開いた状態で5.6mm、閉じた状態で12.1mm)と比べても実感できる薄さだ。
この薄さと、アスペクト比20:9という比率のディスプレイを継続採用したことで、閉じた状態での操作は一層やりやすくなったと感じる。さすがに厚さと重量には違いを感じるものの、視認性や操作感としては「Pixel 9 Pro XL」など、大型のスマートフォンにかなり近づいた印象だ。
続いてカメラを確認すると、背面のカメラは4800万画素/F値1.7の広角カメラと1050万画素/F値2.2の超広角カメラ、1080万画素/F値3.1で光学5倍ズーム相当の望遠カメラの3眼構成。Pixel Foldと性能的に大きな違いはなく、同じ「Pixel 9 Pro」シリーズの「Pixel 9 Pro」やPixel 9 Pro XLなどと比べると、超広角・望遠カメラの性能が低く抑えられている。
とはいえ、Pixel 9 Proのように30倍とはいかないまでも、20倍の超解像ズームには対応しているし、加えて折りたたみ構造を生かして三脚不要で固定で撮影したり、背面のカメラを使ってセルフィーを撮影したりすることも可能で、撮影シーンの幅広さは変わっていない。外側のディスプレイで撮影する際、キャラクターを表示して子供などの注意をひく「こっちを見て」なども特徴的な機能といえるだろう。
ちなみに背面のカメラはデザインも大きく変更がなされており、従来のPixelシリーズのように横にカメラが並ぶデザインが一変。カメラが左上に、長方形にまとめられる形で設置されるようになった。折りたたみデバイスであることや、薄さを重視して設計した影響などもあるのかもしれないが、Pixelシリーズとしてのデザインの統一感がやや失われているのはやや気になるところだ。
一方のフロントカメラは内側、外側共に1000万画素/F値2.2へと統一されているのだが、とりわけ内側のフロントカメラは、Pixel Foldのようにベゼル上に設置するのではなく、外側と同様にパンチホール構造を採用しディスプレイ内蔵型へと変更がなされている。その影響からか、Pixel Foldではやや気になった内側ディスプレイのベゼルの太さもかなり改善され、デザイン面ではよりモダンな印象を与えている。
そしてもちろん、Pixel 9シリーズで新たに対応した「一緒に写る」や「オートフレーム」など、AI技術を活用したカメラ関連の新機能はしっかり搭載されている。「編集マジック」など従来の機能と合わせて、カメラを楽しく活用できる点にはかなり力が入れられている。
■「Tensor G4」搭載の影響は?ゲームプレイでチェック
では性能面はどうか。Pixel 9 Pro Foldが搭載するチップセットは「Tensor G4」で、RAMは16GB。ストレージはモデルによって256GBと512GBのいずれかとなるが、ベースの性能自体はPixel 9 Proシリーズ共通といっていいだろう。
それゆえ、他のPixel 9 Proシリーズと性能面での違いはない。Tensor G4はAI関連の処理高速化、とりわけ「Gemini Nano」を活用したオンデバイスでの生成AI関連処理の高速化が期待されるところなのだが、あいにく日本では、スクリーンショットの内容を分析して情報検索ができる「Pixel Screenshots」や、音声通話の内容を文字起こしして要約もしてくれる「Call Notes」など、オンデバイスの生成AI処理を活用したPixel 9シリーズの新機能がまだ利用できない。
一方で「レコーダー」アプリの文字起こしなど、従来のオンデバイスAIを活用した機能の処理は、実際に比較しても旧機種と大きな違いがない印象だ。そうしたことから少なくとも現時点で、日本ではTensor G4の性能をやや持て余していると感じてしまう。
そこでCPU・GPUといった一般的な性能でTensor G4を評価すると、正直なところ少し前の「ハイエンド向けチップセットくらい」という評価になる。チップセット性能がダイレクトに影響するゲームで確認すると、クアルコムの最新ハイエンド向けとなる「Snapdragon 8 Gen 3」のカスタム版を搭載したGalaxy Z Fold6と比べると、グラフィック設定が低く抑えられる傾向にあるし、AAAクラスのゲームでグラフィックを最高水準に設定してプレイするとフレーム落ちすることも多かった。
そしてゲームプレイ時に問題となるのが、Pixel Foldシリーズの全画面表示に対応していないアプリの場合、内側のディスプレイでも表示領域がかなり狭くなってしまうこと。アプリ毎に「アスペクト比(試験運用版)」を設定すれば全画面表示も可能なのだが、やや手間がかかる上、アプリによっては縦画面表示時にフロントカメラの位置にボタンが重なってしまい、不自由を感じることもあった。
一方で、『Asphalt Legends Unite』のようにPixel Foldシリーズ対応アプリであれば、全画面表示だけでなく、本体を90度折りたたんで上下のディスプレイに異なる内容を表示する「テーブルトップモード」の利用も可能になる。ただ対応アプリ自体がまだ少ないだけに、アプリの対応状況によって見た目や操作の快適さにかなりの差が生じてしまうのは残念なところでもある。
それに加えて、音声アシスタントが「Gemini」に変更されたことで、テーブルトップモードの良い活用事例だった「Googleアシスタント」の「通訳モード」が使えなくなるなど(音声アシスタントをGoogleアシスタントに変更すれば利用はできる)、ソフト面で折りたたみスマートフォンの特性をうまく生かせていない印象を受ける。
それゆえトータルの視点でいえば、「Samsung Notes」に生成AI技術を積極的に取り入れビジネス関連の機能を強化したGalaxy Z Fold6に、現時点では軍配が上がるというのが正直なところだ。Call Notesなど英語でしか利用できないAI関連機能の日本語化など、今後のアップデートによるソフト面の強化が大いに求められるところではないだろうか。