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公開日 2011/11/25 16:48
ラトル×ベルリン・フィル白熱の演奏がBlu-ray 3Dで楽しめる!『ベルリン・フィル 3D in シンガポール』発売
ラトル氏記者会見の模様もレポート
11月23日より、サイモン・ラトル指揮/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏を収めたBlu-ray 3D『ベルリン・フィル 3D in シンガポール ラフマニノフ:交響的舞曲&マーラー:交響曲第1番「巨人」』がEMIから発売されている(品番:TOXW-4001・価格:税込5,800円)。
本タイトルは2010年にシンガポールで行われた公演を3Dで撮影したもので、(株)NHKメディアテクノロジーと独ユーロアーツ・ミュージック・インターナショナル社などが共同で制作。舞台上での演奏をクレーンやレールなどの映画用機材も利用して撮影しており、演奏者に肉薄したダイナミックな3D映像を楽しめるのが特徴となっている。なお、3Dでの視聴はもちろん、通常のBDとして2D再生することも可能。3D再生環境を持っている方もそうでない方も楽しめる作品となっている。
また音声は、元ベルリンフィル専属音楽プロデューサーであるクリストファー・オルダー氏が担当し、5.1chで収めている。
収録されている曲は、マーラーの交響曲第1番「巨人」と、ラフマニノフの「交響的舞曲」だ。
「『ベルリン・フィル 3D in シンガポール ラフマニノフ:交響的舞曲&マーラー:交響曲第1番「巨人」』は、まさしく新たな旅の始まりと言っていいでしょう」と、都内で開催された記者会見で語ったサイモン・ラトル氏。
「3D撮影をしてみないかという話が来て、即座に『やってみよう』ということになりました。シンガポールでの撮影が決まり、本番の数ヶ月前からテストを行いました。最初撮影したのはたった7分間の映像でしたが、あっという間に魅了されましたね。“聴くこと”に“視覚”が与える影響の大きさに気付かされ、驚きました。映像と演奏を合わせて体験することで、プレイヤーひとりひとりがより身近になるように思えたのです。滴る汗のしずくや、体型の崩れまでもつぶさに見て取ることができるので、団員のなかにはジムに行かないと…!と焦った人もいるかも知れませんね(笑)。
3D映像という新たな視点を得ることで、音楽についても新たな視点を手に入れられることでしょう。これはいじり回してできあがった映像ではなく、まさしく“ライブ”なのです。ですから多少の演奏の凹凸はあるかも知れませんが、一瞬一瞬をとらえた映像だからこそのものだと考えます。今回発売されるBlu-ray 3Dは、これからの未来を見せてくれる可能性であると感じました」と、新たな取り組みについての手応えを語った。
広報担当も務める首席チェロ奏者 オラフ・マニンガー氏も「ベルリンフィルは、演奏会をインターネット配信する『デジタルコンサートホール』、EMIとの録音、FacebookやYouTubeを使った広報活動を行っていますが、3Dプロジェクトもこういったメディアプロジェクトの要素のひとつ。今回のようにさまざまな関係者が寄り添って新たな取り組みを行ってクラシックを盛り上げていくことが、将来のために必要なことだと感じます」と展望を述べた。
本作に収録された曲のひとつであるマーラーは、2011年に没後100年を迎えた作曲家だ。
「2010年は生誕150年、2011年は没後100年ということで、この2年間クラシック業界はマーラーイヤーでした。ベルリンフィルもマーラーの交響曲全てをプログラムに取り上げましたが、この素晴らしい機会をとおし、マーラーと様々な作曲家の作品を組み合わせて新たな視点を示せたのは大変嬉しいことでした。例えばマーラーとパーセルを組み合わせた時は、時代も大きく異なる二者の共通項を提示し、マーラーの作品をまた違った角度から楽しんでいただくことができたのではないかと思います」(ラトル氏)
「15ヶ月間で、マーラーの交響曲を1番から9番まで順を追って取り上げられたことにも意味があったと思います」と、首席ホルン奏者のシュテファン・ドール氏も語る。「曲解釈という面でも新たな次元にのぼることができましたし、作品を追うごとにマーラーの音楽が発展していく様を体感することができました」
そしてマニンガー氏も「ひとつの曲を演奏することは、建物のひとつの部屋だけを見るようなものですが、マーラーの交響曲全てを取り上げることで、建物全ての部屋を知ることができました。まるで、ひとつひとつの部屋の扉を順番に開いていくような面白さがありましたね。ラトルと一緒に、マーラーの交響曲という建物全体を体験できたことは、我々の音楽を豊かにしてくれたと思います」と感想を語った。
なお、『ベルリン・フィル 3D in シンガポール ラフマニノフ:交響的舞曲&マーラー:交響曲第1番「巨人」』の3D映像はソニーの“Livespire”配給作品として全国の映画館で11月中旬より順次上映中。上映スケジュールはこちらをご参照いただきたい。
◇ ◇ ◇
なおラトル氏、マニンガー氏、ドール氏は、記者会見の冒頭で日本についての思いも下記のように語ってくれた。
「前回の来日から3年が経ちますが、その間に日本は大変厳しい出来事に見舞われました。日本はとても大切な国であり、私たちの心はいつも日本のみなさまと共にあります。これまでベルリンフィルをサポートしてくれた日本を、私たちが逆に支える時が来たのだと、そう思っています。共通言語である『音楽』が、私たちをつないでくれると信じています」(ラトル氏)
「ひとりの音楽家として、日本を襲った悲劇に心を痛めています。ドイツで日本の痛ましい出来事をうかがい、演奏を通して皆さんを支えられたら…という思いを強くしてきました。3月16日から18日の定期公演で、プログラムをウェーベルン『夏の風のなかで』からルトスワフワスキの『弦楽のための哀悼曲』に変更したのも、そういった思いからです(関連ニュース)。この模様は『デジタルコンサートホール』でも中継しましたが、日本で直接皆さんにお会いすることも大切だと考え、今回のサントリーホールでの演奏会に臨んでいます。今回の来日の意義深さを改めて感じている次第です」(マニンガー氏)
「今回は日本人作曲家・細川俊夫氏のホルン協奏曲《開花の時》をプログラムに取り上げています。この作品をいま日本で演奏できることに、非常に象徴的な意味を感じています。日本の皆さんの反応が楽しみです。前回の来日から3年という月日が経ちましたが、次回はぜひこれほど間を置かずに来日したいですし、多くの演奏会をできるよう、期待しています」(ドール氏)
本タイトルは2010年にシンガポールで行われた公演を3Dで撮影したもので、(株)NHKメディアテクノロジーと独ユーロアーツ・ミュージック・インターナショナル社などが共同で制作。舞台上での演奏をクレーンやレールなどの映画用機材も利用して撮影しており、演奏者に肉薄したダイナミックな3D映像を楽しめるのが特徴となっている。なお、3Dでの視聴はもちろん、通常のBDとして2D再生することも可能。3D再生環境を持っている方もそうでない方も楽しめる作品となっている。
また音声は、元ベルリンフィル専属音楽プロデューサーであるクリストファー・オルダー氏が担当し、5.1chで収めている。
収録されている曲は、マーラーの交響曲第1番「巨人」と、ラフマニノフの「交響的舞曲」だ。
「『ベルリン・フィル 3D in シンガポール ラフマニノフ:交響的舞曲&マーラー:交響曲第1番「巨人」』は、まさしく新たな旅の始まりと言っていいでしょう」と、都内で開催された記者会見で語ったサイモン・ラトル氏。
「3D撮影をしてみないかという話が来て、即座に『やってみよう』ということになりました。シンガポールでの撮影が決まり、本番の数ヶ月前からテストを行いました。最初撮影したのはたった7分間の映像でしたが、あっという間に魅了されましたね。“聴くこと”に“視覚”が与える影響の大きさに気付かされ、驚きました。映像と演奏を合わせて体験することで、プレイヤーひとりひとりがより身近になるように思えたのです。滴る汗のしずくや、体型の崩れまでもつぶさに見て取ることができるので、団員のなかにはジムに行かないと…!と焦った人もいるかも知れませんね(笑)。
3D映像という新たな視点を得ることで、音楽についても新たな視点を手に入れられることでしょう。これはいじり回してできあがった映像ではなく、まさしく“ライブ”なのです。ですから多少の演奏の凹凸はあるかも知れませんが、一瞬一瞬をとらえた映像だからこそのものだと考えます。今回発売されるBlu-ray 3Dは、これからの未来を見せてくれる可能性であると感じました」と、新たな取り組みについての手応えを語った。
広報担当も務める首席チェロ奏者 オラフ・マニンガー氏も「ベルリンフィルは、演奏会をインターネット配信する『デジタルコンサートホール』、EMIとの録音、FacebookやYouTubeを使った広報活動を行っていますが、3Dプロジェクトもこういったメディアプロジェクトの要素のひとつ。今回のようにさまざまな関係者が寄り添って新たな取り組みを行ってクラシックを盛り上げていくことが、将来のために必要なことだと感じます」と展望を述べた。
本作に収録された曲のひとつであるマーラーは、2011年に没後100年を迎えた作曲家だ。
「2010年は生誕150年、2011年は没後100年ということで、この2年間クラシック業界はマーラーイヤーでした。ベルリンフィルもマーラーの交響曲全てをプログラムに取り上げましたが、この素晴らしい機会をとおし、マーラーと様々な作曲家の作品を組み合わせて新たな視点を示せたのは大変嬉しいことでした。例えばマーラーとパーセルを組み合わせた時は、時代も大きく異なる二者の共通項を提示し、マーラーの作品をまた違った角度から楽しんでいただくことができたのではないかと思います」(ラトル氏)
「15ヶ月間で、マーラーの交響曲を1番から9番まで順を追って取り上げられたことにも意味があったと思います」と、首席ホルン奏者のシュテファン・ドール氏も語る。「曲解釈という面でも新たな次元にのぼることができましたし、作品を追うごとにマーラーの音楽が発展していく様を体感することができました」
そしてマニンガー氏も「ひとつの曲を演奏することは、建物のひとつの部屋だけを見るようなものですが、マーラーの交響曲全てを取り上げることで、建物全ての部屋を知ることができました。まるで、ひとつひとつの部屋の扉を順番に開いていくような面白さがありましたね。ラトルと一緒に、マーラーの交響曲という建物全体を体験できたことは、我々の音楽を豊かにしてくれたと思います」と感想を語った。
なお、『ベルリン・フィル 3D in シンガポール ラフマニノフ:交響的舞曲&マーラー:交響曲第1番「巨人」』の3D映像はソニーの“Livespire”配給作品として全国の映画館で11月中旬より順次上映中。上映スケジュールはこちらをご参照いただきたい。
なおラトル氏、マニンガー氏、ドール氏は、記者会見の冒頭で日本についての思いも下記のように語ってくれた。
「前回の来日から3年が経ちますが、その間に日本は大変厳しい出来事に見舞われました。日本はとても大切な国であり、私たちの心はいつも日本のみなさまと共にあります。これまでベルリンフィルをサポートしてくれた日本を、私たちが逆に支える時が来たのだと、そう思っています。共通言語である『音楽』が、私たちをつないでくれると信じています」(ラトル氏)
「ひとりの音楽家として、日本を襲った悲劇に心を痛めています。ドイツで日本の痛ましい出来事をうかがい、演奏を通して皆さんを支えられたら…という思いを強くしてきました。3月16日から18日の定期公演で、プログラムをウェーベルン『夏の風のなかで』からルトスワフワスキの『弦楽のための哀悼曲』に変更したのも、そういった思いからです(関連ニュース)。この模様は『デジタルコンサートホール』でも中継しましたが、日本で直接皆さんにお会いすることも大切だと考え、今回のサントリーホールでの演奏会に臨んでいます。今回の来日の意義深さを改めて感じている次第です」(マニンガー氏)
「今回は日本人作曲家・細川俊夫氏のホルン協奏曲《開花の時》をプログラムに取り上げています。この作品をいま日本で演奏できることに、非常に象徴的な意味を感じています。日本の皆さんの反応が楽しみです。前回の来日から3年という月日が経ちましたが、次回はぜひこれほど間を置かずに来日したいですし、多くの演奏会をできるよう、期待しています」(ドール氏)