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公開日 2017/01/18 08:00
ホンダ「倒れないバイク」はなぜ作られた? 開発者に聞いた“真の目的”
CESでデビューした画期的技術
バイクや自転車、どちらも停止すれば自ずと倒れるもの。そんな常識を覆す画期的な技術「Honda Riding Assist」がバイクのトップメーカー「ホンダ」によって公開された。
初公開の場となったのはCES2017の同社ブース。ステージの端から誰も乗ってないバイクが登場すると、会場は一瞬どよめき立った。そのまま中央ステージまでたどり着くと、今度は割れんばかりの拍手喝采。驚きと賛辞が入り交じり、まさに「Honda Riding Assist」は世界に向け注目のデビューとなったのである。
そもそも、どうしてこんなことができるのか。同社はこれまで二足歩行ロボット「ASIMO」や一輪走行を実現した「UNI-CUB」を開発してきたが、実はこの技術が活かされているのだという。
開発担当者は「大型のジャイロケーターを搭載すれば立たせることは簡単にできるが、それではバイクとして成り立たない大きさになってしまう」と話す。バイクはカーブで車体を傾ける必要があり、大型のジャイロケーターを積んでいると、それが邪魔になるというわけだ。
では、どのような仕組みでバイクは立っていられるのか。ホンダのホームページで公開されている動画映像を見ると、バイクがキョロキョロと左右を確認するかのようにハンドルを振るような仕草をしている。実はこれがバランスを取るための手段なのだという。「ステアリングの部分にモーターがあり、ステアリングを切りながらバランスを取るようにしている。これは人間が自転車に乗ったときと同じような動きと思っていい」(開発担当者)。
この自立、どのぐらいまでの圧力に耐えられるのかも聞いてみた。
「横からドンと押せば倒れるが、それは通常のバイクに乗っているときでも同じ。人がバイクに乗ってスピードを落としていった時でも、不安なく自立したまま維持できるというイメージを持ってもらえればいい、対応できる速度域は3〜4km/h程度以下で、歩行する速度に付いて来るのもこの対応によって実現した」(開発担当者)。
では、この“自立”させる目的は何だったのか。なぜバイクでの自動走行を目指したのだろうか。これについて同じ担当者は「将来は(二輪車の自動運転が)あるかもしれないが、この技術はそれを目的にはしていない」と話す。「自立したままずっと立たせておくことが目的ではなく、停車する際の不安定さや転倒リスクを軽減するのが最大の目的」という。
「バイクはスピードが出ているときはすごく楽しいが、渋滞などでゆっくり走ると、特にエントリーユーザーや年配者、女性などはバランスを取るのが難しくなる。これがバイクのネガティブなイメージにつながり、需要低迷の要因にもなっている。これを取り除くことこそ、バイクの裾野を広げるのに必要」という考えから開発をスタートさせたという。
世間ではつい“自立する”ことに注目が集まりがちだが、開発のベースには、より扱いやすいバイクを世の中に提供し、少しでもバイクの楽しさを知ってもらいたいという開発者の強い想いがあったようだ。
なお「Honda Riding Assist」は、CES2017の公式アワードパートナーであるEngadgetによるBest of CES2017の「Best Innovation」および「Best Automotive Technology」を受賞。また米国Popular Mechanics誌が主催するBest of CESの「Editors' Choice Awards」も受賞し、Honda Riding AssistはCES2017で合計3つの賞を受賞している。
初公開の場となったのはCES2017の同社ブース。ステージの端から誰も乗ってないバイクが登場すると、会場は一瞬どよめき立った。そのまま中央ステージまでたどり着くと、今度は割れんばかりの拍手喝采。驚きと賛辞が入り交じり、まさに「Honda Riding Assist」は世界に向け注目のデビューとなったのである。
そもそも、どうしてこんなことができるのか。同社はこれまで二足歩行ロボット「ASIMO」や一輪走行を実現した「UNI-CUB」を開発してきたが、実はこの技術が活かされているのだという。
開発担当者は「大型のジャイロケーターを搭載すれば立たせることは簡単にできるが、それではバイクとして成り立たない大きさになってしまう」と話す。バイクはカーブで車体を傾ける必要があり、大型のジャイロケーターを積んでいると、それが邪魔になるというわけだ。
では、どのような仕組みでバイクは立っていられるのか。ホンダのホームページで公開されている動画映像を見ると、バイクがキョロキョロと左右を確認するかのようにハンドルを振るような仕草をしている。実はこれがバランスを取るための手段なのだという。「ステアリングの部分にモーターがあり、ステアリングを切りながらバランスを取るようにしている。これは人間が自転車に乗ったときと同じような動きと思っていい」(開発担当者)。
この自立、どのぐらいまでの圧力に耐えられるのかも聞いてみた。
「横からドンと押せば倒れるが、それは通常のバイクに乗っているときでも同じ。人がバイクに乗ってスピードを落としていった時でも、不安なく自立したまま維持できるというイメージを持ってもらえればいい、対応できる速度域は3〜4km/h程度以下で、歩行する速度に付いて来るのもこの対応によって実現した」(開発担当者)。
では、この“自立”させる目的は何だったのか。なぜバイクでの自動走行を目指したのだろうか。これについて同じ担当者は「将来は(二輪車の自動運転が)あるかもしれないが、この技術はそれを目的にはしていない」と話す。「自立したままずっと立たせておくことが目的ではなく、停車する際の不安定さや転倒リスクを軽減するのが最大の目的」という。
「バイクはスピードが出ているときはすごく楽しいが、渋滞などでゆっくり走ると、特にエントリーユーザーや年配者、女性などはバランスを取るのが難しくなる。これがバイクのネガティブなイメージにつながり、需要低迷の要因にもなっている。これを取り除くことこそ、バイクの裾野を広げるのに必要」という考えから開発をスタートさせたという。
世間ではつい“自立する”ことに注目が集まりがちだが、開発のベースには、より扱いやすいバイクを世の中に提供し、少しでもバイクの楽しさを知ってもらいたいという開発者の強い想いがあったようだ。
なお「Honda Riding Assist」は、CES2017の公式アワードパートナーであるEngadgetによるBest of CES2017の「Best Innovation」および「Best Automotive Technology」を受賞。また米国Popular Mechanics誌が主催するBest of CESの「Editors' Choice Awards」も受賞し、Honda Riding AssistはCES2017で合計3つの賞を受賞している。