公開日 2011/02/08 10:35
好みの音質をフルカスタマイズできるヘッドホン − TDK Life on Record「TH-ST800」を聴く
岩井喬氏が速報レビュー
イメーションが取り扱うTDK Life on Recordブランドから、イコライジング機能を搭載したオーバーヘッドタイプのヘッドホン「TH-ST800」が発売される。今回は本機が搭載した機能の使いこなしと、サウンドの評価に岩井喬氏が挑む。
TDK Life on Recordのオーディオ技術を結集したプレミアムモデル
TDK Life on Recordブランドから、アクティブ方式(単4型電池×2を左側イヤーカップ部に収納)のEQコントロールを搭載したプレミアムシリーズのオーバーヘッド型ヘッドホンが登場した。Φ50mmドライバーを搭載したオンイヤースタイルの密閉型となっており、シュリンクレザー素材による装飾とシャンパンゴールド&マットシルバーの金属素材の組み合わせによって、質感の高いデザインを獲得している。
肌触りの良いブレイデッド(編み被覆)・ケーブル中央部にバックライト付き液晶ディスプレイが装備され、高域・低域をそれぞれ±5段階(±7.5dB)幅で細やかに調整できるEQコントローラーを搭載。右側のイヤーカップ部には回転式のボリュームコントロールが装備されており、中央のロゴ部を押すことでミュートも働く。
作動時のディスプレイにはビジュアライザー(画面左側から低域〜高域のレベルゲージが入力信号に応じて動く視覚的機能。上下方向の中央部で0位置分割され、上がLch、下がRch側の表示となっている)が採用され、機能性の高さも魅力の一つだ。ボリュームコントロールを触っているときはスライダー表示に切り替わるほか、ミュート時も個別表示となるので、オペレーションの判別がしやすくなっている。
同社の音響研究開発部門である“Acoustic Research Lab”によって、独自のレファレンス評価基準を基にサウンドチューニングが施されており、コストパフォーマンスの高い本格派モデルとして仕上げられている。伸び良い豊かな低域と、バランスの良い爽やかな倍音感を持つ中高域から構成されたサウンドで、明瞭度も高くどんなジャンルも心地良く聴かせてくれる。
またシームレスなEQコントロールによって、細やかなサウンド調整ができる点も好ましい。フラットな特性に戻す場合もEQスイッチの長押しで即座に対応できるので、親切な仕様である。
■試聴ソース
・ユーベル・スダーン/東京交響楽団『ブルックナー:交響曲第7番』(N&F:NF21202、略称:ブルックナー)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(ユニバーサル:UCCU-9407、略称:オスカー)
・『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』(F.I.X.:KIGA2、略称:AP)
・デイヴ・メニケッティ『MENIKETTI』(DREAM CATCHER:CRIDE35、略称:メニケ)
TH-ST800のサウンドを試聴する
「ブルックナー」の管弦楽器はすっきりとした細身の響きで、ローエンドはゆったりとしたハーモニーが広がる。「AP」のストリングスもハーモニーの厚みが中心で、弦のハリ艶良いディティールを感じることができた。全体的に温かみのある音色で、ボーカルは口元は太く広がるが、厚みのあるボトムの余韻は伸びやかな特性を持っている。
「オスカー」のピアノは甘い軽快なトーンで、ウッドベースの胴鳴りは穏やかな響きを持つ。弦のハリは弾力感に溢れ、スネアもふっくらとした余韻が響く。「メニケ」のディストーションギターサウンドは軽やかで、キックドラムやベースは太くリッチな厚みがある。どっしりとした音像で、ボーカルのハスキーなトーンは倍音の輪郭感が中心となる。
電源を切った場合は通常のヘッドホンと同じようにパッシブな仕様となる。その場合のサウンドも基本的なトーンはアクティブ動作時と同じ傾向であり、外部アンプを使って楽しむ場合も安心して楽しむことができる。
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●ドライバー:50mm口径 ●再生周波数帯域:20Hz〜20kHz ●音圧感度:97±3dB SPL/mW@1kHz ●入力インピーダンス:200±10%Ω(EQ ON時)、50Ω(EQ OFF時) ●コード長:1.22m
【筆者紹介】
岩井 喬:1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。
TDK Life on Recordのオーディオ技術を結集したプレミアムモデル
TDK Life on Recordブランドから、アクティブ方式(単4型電池×2を左側イヤーカップ部に収納)のEQコントロールを搭載したプレミアムシリーズのオーバーヘッド型ヘッドホンが登場した。Φ50mmドライバーを搭載したオンイヤースタイルの密閉型となっており、シュリンクレザー素材による装飾とシャンパンゴールド&マットシルバーの金属素材の組み合わせによって、質感の高いデザインを獲得している。
肌触りの良いブレイデッド(編み被覆)・ケーブル中央部にバックライト付き液晶ディスプレイが装備され、高域・低域をそれぞれ±5段階(±7.5dB)幅で細やかに調整できるEQコントローラーを搭載。右側のイヤーカップ部には回転式のボリュームコントロールが装備されており、中央のロゴ部を押すことでミュートも働く。
作動時のディスプレイにはビジュアライザー(画面左側から低域〜高域のレベルゲージが入力信号に応じて動く視覚的機能。上下方向の中央部で0位置分割され、上がLch、下がRch側の表示となっている)が採用され、機能性の高さも魅力の一つだ。ボリュームコントロールを触っているときはスライダー表示に切り替わるほか、ミュート時も個別表示となるので、オペレーションの判別がしやすくなっている。
同社の音響研究開発部門である“Acoustic Research Lab”によって、独自のレファレンス評価基準を基にサウンドチューニングが施されており、コストパフォーマンスの高い本格派モデルとして仕上げられている。伸び良い豊かな低域と、バランスの良い爽やかな倍音感を持つ中高域から構成されたサウンドで、明瞭度も高くどんなジャンルも心地良く聴かせてくれる。
またシームレスなEQコントロールによって、細やかなサウンド調整ができる点も好ましい。フラットな特性に戻す場合もEQスイッチの長押しで即座に対応できるので、親切な仕様である。
■試聴ソース
・ユーベル・スダーン/東京交響楽団『ブルックナー:交響曲第7番』(N&F:NF21202、略称:ブルックナー)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(ユニバーサル:UCCU-9407、略称:オスカー)
・『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』(F.I.X.:KIGA2、略称:AP)
・デイヴ・メニケッティ『MENIKETTI』(DREAM CATCHER:CRIDE35、略称:メニケ)
TH-ST800のサウンドを試聴する
「ブルックナー」の管弦楽器はすっきりとした細身の響きで、ローエンドはゆったりとしたハーモニーが広がる。「AP」のストリングスもハーモニーの厚みが中心で、弦のハリ艶良いディティールを感じることができた。全体的に温かみのある音色で、ボーカルは口元は太く広がるが、厚みのあるボトムの余韻は伸びやかな特性を持っている。
「オスカー」のピアノは甘い軽快なトーンで、ウッドベースの胴鳴りは穏やかな響きを持つ。弦のハリは弾力感に溢れ、スネアもふっくらとした余韻が響く。「メニケ」のディストーションギターサウンドは軽やかで、キックドラムやベースは太くリッチな厚みがある。どっしりとした音像で、ボーカルのハスキーなトーンは倍音の輪郭感が中心となる。
電源を切った場合は通常のヘッドホンと同じようにパッシブな仕様となる。その場合のサウンドも基本的なトーンはアクティブ動作時と同じ傾向であり、外部アンプを使って楽しむ場合も安心して楽しむことができる。
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●ドライバー:50mm口径 ●再生周波数帯域:20Hz〜20kHz ●音圧感度:97±3dB SPL/mW@1kHz ●入力インピーダンス:200±10%Ω(EQ ON時)、50Ω(EQ OFF時) ●コード長:1.22m
【筆者紹介】
岩井 喬:1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。