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公開日 2011/10/06 16:01

注目のCAV大型スピーカー「DX-8」を藤岡誠が聴く − “画期的な再現性”にはオーディオファンも魅了される

ソースの種類に関係ない“聴き心地”の良さ
藤岡 誠
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中国のオーディオブランドは、高いコストパフォーマンスゆえに日本市場でも近年その存在感を増しているが、その中でも「CAV(Computer Audio Video)」ブランド(日本ではCAVジャパンがコントロール)の躍進には目を見張るものがある。しかしその一方、ピュアオーディに特化したファンやマニアの評価は必ずしも一様ではないように私は思う。

ところが、“速報”としてここで紹介する本格的3ウェイ・フロアー型スピーカーシステムの新型「DX-8」は、そうしたハイエンドユーザー層はもとよりオーディオ専門店筋に於いてもCAVのブランドイメージを一気に高めることになりそうな予感がする。


「DX-8」
聴こえはワイドバンドそのもの。低域方向は突出した再現性を持つ。ほんの一例を挙げれば“きちんと収録されているソフト”が条件だが、R.シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』の有名な「日の出(導入部)」のパイプオルガンの低域は部屋の床を這ってくるような低重心。とにかく、並外れた最低域方向への伸張と音圧が流れ出てくる。オーディオファンやマニアは、その画期的再現性に魅了されるはずだ。

また、音楽のスペクトラムで重要な中域周辺の質感も良好。フォルテピアノを聴くと、それはリアルな質感で決して現代ピアノ風な響きにならないし、声楽曲 − 例えば、ソプラノも歌い手が奇妙に若返ったような聴こえにはならず子音や息継ぎも強調されない。高音楽器の質感も繊細。ヴァイオリンなどでは基音と倍音の関係に破綻がなくスムーズである。そして天井方向へ伸びるホールトーンも自然な滞空時間があるから、聴くソースの種類に関係なく実に“聴き心地”がいい。単価でいえば確かに高額製品だが内容や以上のような聴こえのポテンシャルからいえばコストパフォーマンスが高く大注目に値すると私は思っている。

なお、2個のウーファーは並列駆動でユニットはEton社(ドイツ)のHexacone(ヘキサコーン)ハニカム振動板。ミッドレンジとトゥイーターはこれもドイツのAcuuton社製でセラミック振動板が採用されている。キャビネットは背面ダクトのバスレフ方式で極めて強固。仕上げは落ち着きのあるウォルナットバール(胡桃材の根元材)で過飾さがなく好感を持つ。


2個のウーファーは並列駆動でユニットはEton社(ドイツ)のHexacone(ヘキサコーン)ハニカム振動板を採用している

背面にバスレフポートを備える

<藤岡 誠>
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。

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