• ブランド
    特設サイト
公開日 2011/12/05 20:19

エソテリックのSACD/CDプレーヤー「K-05」音質レポート

鈴木 裕
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■薄型でスタイリッシュに登場

ちょっと考えれば出してくることは十分に予想の範囲内だったが、実際に登場したK-05にはショックを受けた。カッコイイのだ。基本的なデザインはK-01/03の意匠を踏襲しながらも、高さ方向が薄くなってやけにスタイリッシュに見えた。見てから言うのもおこがましいが、デジタルプレーヤーとしては、K-05のほうが相場の形だし、クレバーな感じがする。

K-05

それに対して、筆者はK-03のオーナーであるので言わせてもらえば、あの上下方向の分厚さや奥行きの深さ。そして実際に持って腰にかなり堪える27kgという重さはプレーヤー離れしている。やりすぎである。もちろん、そのやりすぎが好きで使っているのだが、たとえば高校時代の友人から「何かいいSACDプレーヤーないかな」と訊かれたときに推薦するにはK-05のほうが挙げやすいのもまた事実。

とはいえ、もちろんオーディオである。どんな方向性の音で、どんなクオリティの音楽表現力なのか。それを知らないで薦めるわけにはいかない。

■概要:K-01/03の設計思想を受け継ぎX-05の後継機というポジション

縁あって、発表前にK-05を聴くことができた。音決めの最終段階を迎えているとはいえ、まだ市販バージョンでないことをお断りした上で、その音や製品の成り立ちについてレポートしてみたい。

正面から見たところ

まずそのポジショニング。カタチからいうと、SACD/CDトランスポートのP-05にDAC部を入れたようにも見えるが、K-05はX-05の後継機だ。ということで48万円(税別)だったX-05よりももう少し上の、50万円代中盤の値段になりそうとのこと。発表は12月上旬を予定している(編集部註:その後、577,500円/税込だと発表)。

中身はまさにK-01/03の設計思想を受け継いでいて、基本的な回路構成も踏襲。Audio 4proの32bitのDACチップを使い、電源部は大型のトロイダルトランスと多数のコンデンサーで構成し、丁寧に作り込まれている。

また、メカについては定評のあるVDRS-NEO(VMK-MK-5)を採用。徹底的に高信頼化、静音化を図ったターンテーブルを持つメカだ。このメカニズムはP-05にもX-05にも使われていて、このメカゆえに実現できたボディ高とも言えそうだ。

ワードシンク機能により、外部からのワードクロックに同期。エソテリックのG-0RbやG-03Xといったマスタークロックジェネレーターとの接続により、一層の高音質化を狙えるようになっている。また192kHz/24bit・アシンクロナス伝送対応のUSBを含む3系統のデジタル入力端子を装備したのもトピックかもしれない。

■比較視聴:Kシリーズに通じる自然な音楽表現

ソフトをかけ替えながらX-05とKK-05を交互に聴いていくというAB比較を行った。アンプはI-03、スピーカーはタンノイDC10 Tだ。

背面端子部

こうやって厳密に聴いてしまうと設計時期の違い、狙っている音の差が極めて明確だ。X-05はシャープな高音を持ち、最低限の押し出しもエッジー。オーディオ的な情報量を豊富に聴かせながらも特有の世界観を持っている。個性的な音である。以前のエソテリックブランドの音は確かにこちらの方向性だった。

それに対してK-05は、K-01/03に感じられる、全体にナチュラルなトーンで、音楽を表現することに徹している。

例えば、エリック・クラプトンの「アンプラグド」。X-05では、アコースティックギターの音色のテンションやクラプトンの歌声自体やそのボーカルコントロールの精妙さに耳がいく。音像自体はフォーカスが合って小さい傾向だ。

ここからK-05に替えると、全体的に落ち着いた音調になり、ライブをやっている場の空気感がよく出てくる。その臨場感全体で、人肌の音楽を聴かせてくれるような感じがある。

SACDのソフトから、インバル指揮チェコ・フィルによる「マーラー交響曲第5番」を聴いたときのパフォーマンスの差も大きかった。冒頭のトランペットのソロから音が重なっていく部分。X-05ではマイクがより近くに感じられ、トランペットそのものに焦点を当てている感じ。

それに対して、K-05ではステージの上のひとつとして、周囲の空気感とともにトランペットを描き、トゥッティ(総奏)になったときでもトランペットは浮いた存在にならない。ステージの床や壁、そこに反射するホールトーンの見え方も秀逸だ。

このあたりのハイファイ再生のど真ん中、ナチュラルな再現性についてはK-05のパフォーマンスは明らかに高い。最終的な音の味付けをしている段階ということだが、成熟度が上がっていることは阿智が以内。

値段からすると、K-03とK-05の価格差と音の差の関係も気になる。もし、デジタルプレーヤーの購入を考えている方はK-05の音を聴いてから、ということは言えそうだ。その結果、さらに迷うことになっても致し方ないかもしれない。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX