公開日 2012/02/07 10:35
シースルーで楽しむ大画面体験 − エプソン“MOVERIO”の画質をチェック
3D/2D両方を視聴
エプソンから発売されたシースルーモバイルビューアー“MOVERIO”の「画質」を評論家の林正儀氏が徹底チェック。シースルーならではのメリットを活かした、斬新な大画面体験の魅力に迫る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
シースルーモバイルビューアー“MOVERIO”を初めて手に取った時、まずはその軽やかなかけ心地とスタイリッシュな外観が気に入った。早速装着して、その映像を視聴してみると、ビルや室内などの背景が透けて見えながら、映像がクッキリと映し出されるのは非常にわくわくする体験だ。画角が23度という設定も適切だと感じた。遠くに視点を移動するほど画像サイズが大きくなるという、視覚効果を活かした大画面体験も面白い。その実感は、まるで宙に大型スクリーンが浮かんでいるような見え方である。シースルーなので視聴中でも周囲の風景が見えて安全であることもそうだが、この未だかつて無い大画面の視聴感が得られることもシースルーならではの大きなメリットであると感じた。
画質のチェックについては、今回は“MOVERIO”のデモ機にプリインストールされていた映画やアニメ、音楽ソースのトレーラーを収録したデモコンテンツやWeb動画を中心に行った。
まずは2D映画の「ワイルドスピード・メガマックス」は明るく爽やかで、ヌケのよい映像の雰囲気が気持ちよい。色再現もナチュラルで、様々な色あいのクルマを描き分ける。その光沢感や質感が美しい。画素的にも十分で、0.52インチの「ULTIMICRON」デバイス(960×RGB×540画素)の特徴を活かしたキメ細やかな映像が実感できた。
爆破シーンなどは明るい環境で視聴しても破綻がない。画像輝度が十分に高く、コントラスト落ちしていないことも不思議だが、これはムラなく高輝度に配光が可能な本機独自のバックライト制御によるものであるという。シースルーながら外光に負けないだけの画面輝度を確保するためのノウハウなど、エプソンならではの光学技術が活きている。
3Dはサイド・バイ・サイドのみ視聴可能だが、元々、左右別々のディスプレイをそれぞれの目で見ているためクロストークが発生しない。これは眼にやさしく快適だ。「タンタンの冒険」は3DのCG作品らしく、みずみずしい精密感と、暗部まで見通しのよい階調描写が印象的。雄大な海をバックにしたユニコーン号の帆の立体感や空間の広がりが気持ちよい。バイクで疾走するシーン、さらに飛行機の動きにも、思わず仰け反ってしまうような立体感があり、興奮させられた。
「ペ・ヨンジュン3D」もステージと客席の距離感がリアルで、なかなかの臨場感だ。音楽ライブの生々しい雰囲気が伝わった。
音の再生環境についてもDolby Mobileの技術を採用しており、イヤホンを使ってサラウンド感のある音が楽しめる。イヤホンとは思えないクリアかつリッチなサラウンドの再現力だ。映画・音楽作品とも豊かな広がり感に満たされ、大画面映像との一体感がアップする。
ネット動画では音楽もののコンテンツをいくつか視聴してみたが、ステージに立つ歌手の肌の存在感や、色とりどりのコスチュームの艶やかな色再現など、楽しく視聴できる画質だ。もちろん映像そのもののクオリティにバラツキはあるものの、“MOVERIO”の再現力そのものには確かな安定感が感じられた。
デジタル一眼で撮った静止画もチェックしてみた。人物や風景、料理などそれぞれがもつ素材感や色調がバランスよく表現される。JPEG画像はmicroSDカードにコピーして、手軽に本機で再生できる使い勝手の良さもポイントが高い。
映像や音楽、写真などのコンテンツは、Androidアプリなどを活用すれば、ほかにも様々な楽しみ方ができるように思う。“MOVERIO”は、これまでにない新しい大画面エンターテインメントの拡大に無限の可能性を秘めた最先端のアイテムだ。ぜひ多くの方々に、洗練された次世代型のシースルーモバイルビューアーの魅力を体験してもらいたい。
林 正儀 プロフィール
工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術系高校の教師というキャリアを持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。
【問い合わせ先】
エプソン 液晶プロジェクター インフォメーションセンター
TEL/050-3155-7010
シースルーモバイルビューアー“MOVERIO”を初めて手に取った時、まずはその軽やかなかけ心地とスタイリッシュな外観が気に入った。早速装着して、その映像を視聴してみると、ビルや室内などの背景が透けて見えながら、映像がクッキリと映し出されるのは非常にわくわくする体験だ。画角が23度という設定も適切だと感じた。遠くに視点を移動するほど画像サイズが大きくなるという、視覚効果を活かした大画面体験も面白い。その実感は、まるで宙に大型スクリーンが浮かんでいるような見え方である。シースルーなので視聴中でも周囲の風景が見えて安全であることもそうだが、この未だかつて無い大画面の視聴感が得られることもシースルーならではの大きなメリットであると感じた。
画質のチェックについては、今回は“MOVERIO”のデモ機にプリインストールされていた映画やアニメ、音楽ソースのトレーラーを収録したデモコンテンツやWeb動画を中心に行った。
まずは2D映画の「ワイルドスピード・メガマックス」は明るく爽やかで、ヌケのよい映像の雰囲気が気持ちよい。色再現もナチュラルで、様々な色あいのクルマを描き分ける。その光沢感や質感が美しい。画素的にも十分で、0.52インチの「ULTIMICRON」デバイス(960×RGB×540画素)の特徴を活かしたキメ細やかな映像が実感できた。
爆破シーンなどは明るい環境で視聴しても破綻がない。画像輝度が十分に高く、コントラスト落ちしていないことも不思議だが、これはムラなく高輝度に配光が可能な本機独自のバックライト制御によるものであるという。シースルーながら外光に負けないだけの画面輝度を確保するためのノウハウなど、エプソンならではの光学技術が活きている。
3Dはサイド・バイ・サイドのみ視聴可能だが、元々、左右別々のディスプレイをそれぞれの目で見ているためクロストークが発生しない。これは眼にやさしく快適だ。「タンタンの冒険」は3DのCG作品らしく、みずみずしい精密感と、暗部まで見通しのよい階調描写が印象的。雄大な海をバックにしたユニコーン号の帆の立体感や空間の広がりが気持ちよい。バイクで疾走するシーン、さらに飛行機の動きにも、思わず仰け反ってしまうような立体感があり、興奮させられた。
「ペ・ヨンジュン3D」もステージと客席の距離感がリアルで、なかなかの臨場感だ。音楽ライブの生々しい雰囲気が伝わった。
音の再生環境についてもDolby Mobileの技術を採用しており、イヤホンを使ってサラウンド感のある音が楽しめる。イヤホンとは思えないクリアかつリッチなサラウンドの再現力だ。映画・音楽作品とも豊かな広がり感に満たされ、大画面映像との一体感がアップする。
ネット動画では音楽もののコンテンツをいくつか視聴してみたが、ステージに立つ歌手の肌の存在感や、色とりどりのコスチュームの艶やかな色再現など、楽しく視聴できる画質だ。もちろん映像そのもののクオリティにバラツキはあるものの、“MOVERIO”の再現力そのものには確かな安定感が感じられた。
デジタル一眼で撮った静止画もチェックしてみた。人物や風景、料理などそれぞれがもつ素材感や色調がバランスよく表現される。JPEG画像はmicroSDカードにコピーして、手軽に本機で再生できる使い勝手の良さもポイントが高い。
映像や音楽、写真などのコンテンツは、Androidアプリなどを活用すれば、ほかにも様々な楽しみ方ができるように思う。“MOVERIO”は、これまでにない新しい大画面エンターテインメントの拡大に無限の可能性を秘めた最先端のアイテムだ。ぜひ多くの方々に、洗練された次世代型のシースルーモバイルビューアーの魅力を体験してもらいたい。
林 正儀 プロフィール
工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術系高校の教師というキャリアを持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。
【問い合わせ先】
エプソン 液晶プロジェクター インフォメーションセンター
TEL/050-3155-7010