公開日 2012/12/19 12:02
入力からアンプまでデジタル伝送!ロジテックの本格派Bluetoothスピーカーの実力を検証
【特別企画】手頃な価格のapt-X/AAC対応モデル3機種登場
入力からアンプまでデジタル伝送できる
Bluetoothスピーカーが登場
いま、Bluetoothによるワイヤレス再生が盛り上がっている。もちろんそれには、Bluetooth接続をメインの音楽再生手段としているAndroidなどのスマートフォンが急激に普及しつつあることが主要因ではあるのだが、同時に、音質の良さにも注目が集まっているのだ。
これまでのBluetooth製品は、そのほとんどがA2DPというオーディオプロファイルの、SBCというコーデックを使用していた。しかしながら、こちらはBluetoothの低速データレートに対応する規格であるため、それに合わせて音楽データを再圧縮していたり、その圧縮率もかなり高かったりと、音質的なボトルネックとなってしまう傾向があった。それが、最新の製品では高速データレートに対応するAACやaptXなどのコーデックを搭載、格段のハイクオリティサウンドを提供してくれるようになり始めたのだ。
ロジテックのデスクトップスピーカー「LBT-AVSP3000」も、そんな高音質コーデックに対応した1台。Bluetooth3.0に対応し、オーディオ用コーデックもAACとaptXの両方を搭載することで、格段にクオリティが向上したワイヤレス再生を実現しているという。しかし、「LBT-AVSP3000」のメリットはAACとaptXに対応しているだけではない。クオリティアップしたサウンドを活かすべく、システムに様々な工夫を凝らしているのだ。
まず内部回路では、Bluetooth経由で送られてきたデジタル信号をICでデジタル音楽データへと変換、そのままデジタルアンプへと伝送するシステムを採用している。実はこれが素晴らしかったりする。実のところ、一般的なBluetoothスピーカーでは、各パーツの仕様の問題から、音楽データをいちどアナログ変換し、それをまたデジタル信号変換してアンプに伝送するというシステムが大半となっている。いちどDA→ADという課程が入る(食料品でいえば最終的な解凍の前にいちど解凍→冷凍をするという余計な1工程が入るようなもの)ため、どうしても音質劣化が生じてしまうのだが、「LBT-AVSP3000」ではそれを回避することで、さらなる音質向上を実現しているのだ。
また、本体には、本格スピーカーによく使われているMDF素材をチョイス。いっぽうのスピーカーユニットは、2.5インチ口径のホワイトパルプコーンを採用するフルレンジユニットを搭載し、バスレフキャビネットに合わせたチューニングを施すなど、ピュアオーディオスピーカーと同じ手法の、手の込んだ作りを施すことによって、さらなる高品位サウンドを追求しているという。
ユーザビリティーの面でも、「LBT-AVSP3000」はなかなかの注目株だ。たとえば入力は、Bluetoothのほかにステレオミニ端子や、microUSBのB端子によるUSBオーディオ機能(48kHz/16bitまで対応)なども用意されており、PCスピーカーとしても大いに活用できるようになっている。また、左右スピーカーがセパレートされているので、設置の自由度も高い。こういった使い勝手の良さは、ありがたいかぎりだ。
さて、実際のサウンドを確認すべく、MacBookProをaptX接続して試聴してみたところ、一聴してそのクオリティに驚いた。もちろん、前もってスペック的な優位性は確認していたので、ある程度の期待をしつつ試聴をスタートしたのだが、そのハードルをしっかりと飛び越えてくれる、クリアで輪郭のはっきりした質感の高いサウンドを聴かせてくれたのだ。
音色傾向は、十分に確保された解像度感を活かし、丁寧で繊細な表現をしてくれるタイプ。おかげで女性ヴォーカルは、高域側の倍音がきれいに整った、伸びやかな歌声を聴かせてくれる。いっぽうで、クラシックギターなども、響きがとても美しく聴こえる。音場的な広がり感も良く、表現も丁寧かつ細やかなので、アコースティック系、特に小編成のクラシックなどをよく聴く人には、ベストなチョイスとなりそうだ。
お手頃価格のaptX/AAC対応モデルもラインナップ
今回の取材ではもうひとつ、「LBT-AVSP500」も試聴することができた。こちらもAACとaptXに両対応(もちろんBluetooth3.0にも対応)する、コンパクトサイズのBluetoothスピーカーで、外観のテイストは全く異なるものの、システム的には「LBT-AVSP3000」の弟分といえるモデルだ。なお、こちらに搭載されているスピーカーユニットは70mm口径で、筐体もバスレフ構造ではなく、背面にパッシブラジエーターが搭載されている。
さて、試聴は同じくMacBookProを使用した。もちろん接続コーデックはaptXだ。「LBT-AVSP3000」とはずいぶん雰囲気が異なる、ヌケが良く元気なサウンド。アンプへの接続がデジタルではないためか、解像度感とダイレクト感は劣るが、メリハリの良い音色傾向のため、まったく気にならない。特にハードロックやJ-POPなどとは相性が良く、ややハスキーなヴォーカルやアタックの強いリズムパートが、ノリの良さをさらに高めてくれている。
また、ユニークに感じたのが低域の演出だ。パッシブラジエーターを採用するためか、量感はそれほどないものの、芯がとてもしっかりしているのだ。そのため、スピーカースタンドなどに置くよりも、一般的なテーブルに置いた方が低域が程よく広がって、整った帯域バランスのサウンドになってくれるのだ。使われ方を良く研究した、見事なチューニングだと思う。
このようにaptX対応のBluetoothスピーカーは、十分にオーディオ的な楽しみを満喫できるレベルに達していることを確認できた。なかでもこの2製品、特に「LBT-AVSP3000」は、PC周辺機器とはレベルの異なる、オーディオ機器としてのクオリティを持ち合わせている製品だと感じることができた。ワイヤレスの使い勝手やコストパフォーマンスも踏まえると、相当に魅力的な製品だ。
◆野村ケンジ プロフィール
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。
Bluetoothスピーカーが登場
いま、Bluetoothによるワイヤレス再生が盛り上がっている。もちろんそれには、Bluetooth接続をメインの音楽再生手段としているAndroidなどのスマートフォンが急激に普及しつつあることが主要因ではあるのだが、同時に、音質の良さにも注目が集まっているのだ。
これまでのBluetooth製品は、そのほとんどがA2DPというオーディオプロファイルの、SBCというコーデックを使用していた。しかしながら、こちらはBluetoothの低速データレートに対応する規格であるため、それに合わせて音楽データを再圧縮していたり、その圧縮率もかなり高かったりと、音質的なボトルネックとなってしまう傾向があった。それが、最新の製品では高速データレートに対応するAACやaptXなどのコーデックを搭載、格段のハイクオリティサウンドを提供してくれるようになり始めたのだ。
ロジテックのデスクトップスピーカー「LBT-AVSP3000」も、そんな高音質コーデックに対応した1台。Bluetooth3.0に対応し、オーディオ用コーデックもAACとaptXの両方を搭載することで、格段にクオリティが向上したワイヤレス再生を実現しているという。しかし、「LBT-AVSP3000」のメリットはAACとaptXに対応しているだけではない。クオリティアップしたサウンドを活かすべく、システムに様々な工夫を凝らしているのだ。
ロジテック Bluetoothスピーカー LBT-AVSP3000 ¥OPEN(直販サイト価格 ペア・税込9,980円) AACとaptXに対応したBluetooth3.0対応スピーカー。3.5mmステレオミニジャックやUSB-mini端子も用意し、有線接続も可能だ。入力されたデジタル信号をアンプまでデジタルのまま伝送することが可能。S/N比を高め、音源に忠実な再生ができるという。さらに、キャビネットにオーディオ用スピーカーにも用いられるMDF材を使用するなどのこだわりも投入されている。 |
まず内部回路では、Bluetooth経由で送られてきたデジタル信号をICでデジタル音楽データへと変換、そのままデジタルアンプへと伝送するシステムを採用している。実はこれが素晴らしかったりする。実のところ、一般的なBluetoothスピーカーでは、各パーツの仕様の問題から、音楽データをいちどアナログ変換し、それをまたデジタル信号変換してアンプに伝送するというシステムが大半となっている。いちどDA→ADという課程が入る(食料品でいえば最終的な解凍の前にいちど解凍→冷凍をするという余計な1工程が入るようなもの)ため、どうしても音質劣化が生じてしまうのだが、「LBT-AVSP3000」ではそれを回避することで、さらなる音質向上を実現しているのだ。
また、本体には、本格スピーカーによく使われているMDF素材をチョイス。いっぽうのスピーカーユニットは、2.5インチ口径のホワイトパルプコーンを採用するフルレンジユニットを搭載し、バスレフキャビネットに合わせたチューニングを施すなど、ピュアオーディオスピーカーと同じ手法の、手の込んだ作りを施すことによって、さらなる高品位サウンドを追求しているという。
ユーザビリティーの面でも、「LBT-AVSP3000」はなかなかの注目株だ。たとえば入力は、Bluetoothのほかにステレオミニ端子や、microUSBのB端子によるUSBオーディオ機能(48kHz/16bitまで対応)なども用意されており、PCスピーカーとしても大いに活用できるようになっている。また、左右スピーカーがセパレートされているので、設置の自由度も高い。こういった使い勝手の良さは、ありがたいかぎりだ。
さて、実際のサウンドを確認すべく、MacBookProをaptX接続して試聴してみたところ、一聴してそのクオリティに驚いた。もちろん、前もってスペック的な優位性は確認していたので、ある程度の期待をしつつ試聴をスタートしたのだが、そのハードルをしっかりと飛び越えてくれる、クリアで輪郭のはっきりした質感の高いサウンドを聴かせてくれたのだ。
音色傾向は、十分に確保された解像度感を活かし、丁寧で繊細な表現をしてくれるタイプ。おかげで女性ヴォーカルは、高域側の倍音がきれいに整った、伸びやかな歌声を聴かせてくれる。いっぽうで、クラシックギターなども、響きがとても美しく聴こえる。音場的な広がり感も良く、表現も丁寧かつ細やかなので、アコースティック系、特に小編成のクラシックなどをよく聴く人には、ベストなチョイスとなりそうだ。
お手頃価格のaptX/AAC対応モデルもラインナップ
今回の取材ではもうひとつ、「LBT-AVSP500」も試聴することができた。こちらもAACとaptXに両対応(もちろんBluetooth3.0にも対応)する、コンパクトサイズのBluetoothスピーカーで、外観のテイストは全く異なるものの、システム的には「LBT-AVSP3000」の弟分といえるモデルだ。なお、こちらに搭載されているスピーカーユニットは70mm口径で、筐体もバスレフ構造ではなく、背面にパッシブラジエーターが搭載されている。
ロジテック Bluetoothスピーカー LBT-AVSP500 ¥OPEN(直販サイト価格 ペア・税込6,980円) Bluetooth3.0対応スピーカー。AACとaptXにも対応している。内蔵アンプは8W+8Wで、パッシブラジエーターも搭載する。また3.5mmのステレオミニ入力も備え、アナログソースも入力できる。 |
さて、試聴は同じくMacBookProを使用した。もちろん接続コーデックはaptXだ。「LBT-AVSP3000」とはずいぶん雰囲気が異なる、ヌケが良く元気なサウンド。アンプへの接続がデジタルではないためか、解像度感とダイレクト感は劣るが、メリハリの良い音色傾向のため、まったく気にならない。特にハードロックやJ-POPなどとは相性が良く、ややハスキーなヴォーカルやアタックの強いリズムパートが、ノリの良さをさらに高めてくれている。
また、ユニークに感じたのが低域の演出だ。パッシブラジエーターを採用するためか、量感はそれほどないものの、芯がとてもしっかりしているのだ。そのため、スピーカースタンドなどに置くよりも、一般的なテーブルに置いた方が低域が程よく広がって、整った帯域バランスのサウンドになってくれるのだ。使われ方を良く研究した、見事なチューニングだと思う。
このようにaptX対応のBluetoothスピーカーは、十分にオーディオ的な楽しみを満喫できるレベルに達していることを確認できた。なかでもこの2製品、特に「LBT-AVSP3000」は、PC周辺機器とはレベルの異なる、オーディオ機器としてのクオリティを持ち合わせている製品だと感じることができた。ワイヤレスの使い勝手やコストパフォーマンスも踏まえると、相当に魅力的な製品だ。
ロジテック Bluetoothスピーカー LBT-MPSPP50 ¥OPEN(直販サイト価格 ペア・税込5,980円) そのほかロジテックでは、さらに手頃な価格のaptX/AAC対応Bluetoothスピーカー「LBT-MPSPP50」もラインナップしている。本体サイズ65W×54.6Hmm、質量約200gというコンパクトボディで、ホワイト/シルバー、ホワイト/レッド、ブラック/レッドの3バリエーションを用意。バッテリー内蔵型で、最大約6時間の連続再生が可能だ。本体底面にマグネットを内蔵し、底面同士を合わせてコンパクトに持ち運ぶことができるのも特徴となる。 |
◆野村ケンジ プロフィール
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。