公開日 2013/04/22 22:55
幅広い音楽に対応するヘッドホン − MONSTER 「NCredible N-TUNE」を聴く
マルチタレント ニック・キャノンとのコラボモデル
■「まさにストリート仕様」なヘッドホン
MONSTERのヘッドホンの新製品と言えば、製品自体のデザインやサウンドはもちろん、「今度は誰とのコラボレーションだろう?」というのも楽しみのひとつ。いままで数々のミュージシャンや著名人、異業種ブランドとのコラボレーションが実現されてきた。
この新モデルNCredible N-TUNEはニック・キャノン氏とのコラボレーションだ。キャノン氏はアメリカにてラッパー、俳優、コメディアン、司会と幅広い活躍を見せ、ストリート・シーンから強く支持されるマルチ・タレント。話題ということで言えば、妻は歌手のあのマライア・キャリーだったりもする。二人の出会いのきっかけが彼女のMVの監督を彼が務めたことだというから、本当に多才だ。MONSTERが白羽の矢を立てたのも実に自然なことだったのだろう。
なおNCredibleシリーズには他に、イヤホンタイプのNCredible N-Ergyも用意されている。
N-TUNEの基本コンセプトは小型軽量でまさにストリート仕様。折りたたみ式ではないのだがヘッドバンドが柔軟かつ丈夫な素材になっていて、バッグに放り込んでおくなどのラフな扱いにも耐えてくれそうだ。
またヘッドバンドの柔軟性は装着感のよさにも貢献している。耳を挟み込む側圧がちょうど適当で、強すぎて嫌な圧迫感を出すことはなく、かといって弱すぎずることもなく、よい具合のちょい強めの挟み込みで固定力を確保してくれる。装着感の面では、本機は耳を覆うアラウンドイヤー型ではなく耳に載せるオンイヤー型なので、イヤーパッドの感触も重要。少し硬めだが硬すぎることはなく、問題ない装着感と十分な遮音性も確保している。
ケーブルは着脱式で左耳側からの片出し。耳元近くに1ボタン対応のリモコン&マイク、Control Talk Universalを装備している。スマートフォンとの組み合わせで、音楽の再生開始と停止、曲のスキップ、電話着信時の通話開始などを操作可能だ。1ボタンなのでボリューム調整はできないが、その分ともてもコンパクトで目立たないリモコンとなっている。
さてルックス面でのポイントは豊富なカラーバリエーション。ブラック、レッド、ブルー、ホワイト、そして数量限定でオレンジの5色が用意される。試聴機はブルーだったが、そのブルーはメタリックでシャイニー。夏に向けて日差しが強くなると、それを受けてさらに輝いてくれそうだ。
■MONSTERらしさとともに柔軟性のある音
そして実際にその音を聴いての印象は、そのデザインや出自からの事前の予想とは違って、意外とソフトで聴きやすい。充実した低音などはMONSTERらしいところだが、ゴリゴリとした迫力で押すのではなく、柔軟性が持ち味だ。
ミシェル・ンデゲオチェロのハードなヒップホップ「Dead Nigga Blvd.(Pt. 1)」ではまず、彼女の声が少し優しくなり、心地よい肉声感を強める。声以外も全体にソフトタッチでウォーム。クリアすぎず、アナログ的というかビンテージ的というか、そういった独特の感触がある。
低音側に耳を移すと、彼女自身が叩き出すヘヴィなベースラインのその音色の図太さを十分に感じられる。このヘッドホンは特別に大口径ではなく、その点では低音再生に若干の不利があるはずなのだが、さすが低音の音作りに長けたMONSTERといったところだ。
ポップユニット相対性理論の「ミス・パラレルワールド」でさらに確認していく。
アナログ的あるいはビンテージ的というところはやはりこのヘッドホンの持ち味だ。例えばベースはゴリッとではなくもこっとしたアタック感で、極端に言えば最近のロック的ではなく往年のモータウン的でさえある。単に普通のハイファイ再生を追求していてはこういった音にはならないだろう。このあたりがストリートで支持されるセンスなのかもしれない。ベースのスタッカートのキレは控えめだが、それがまたグルーブにおおらかさを与えてもいる。またこの曲のハイハットシンバルは基本的にはザクザクと荒っぽいキレなのだが、このヘッドホンで聴くとそこもソフトになる。低音の音色とのマッチングがとれている。
そしてボーカル。やくしまるえつこの声の豊かな倍音は再生するヘッドホンによってはシャープさが目立ちすぎる場合もあるのだが、本機はそこもやはり柔らかく仕上げてくれる。
最後に、宇多田ヒカル「Flavor Of Life - Ballad Version -」のボーカルの表現は特に素晴らしかった。彼女の歌声が柔らかく豊かにブワッと広がる様子を見事に再現してくれる。
ビビッドなカラーリングによる強い存在感に、ベースの効いたストリート系から声を堪能したい女性ボーカルにまで幅広く対応するサウンド。MONSTERのラインナップをさらに充実させる新モデルだ。
<高橋敦>
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。
MONSTERのヘッドホンの新製品と言えば、製品自体のデザインやサウンドはもちろん、「今度は誰とのコラボレーションだろう?」というのも楽しみのひとつ。いままで数々のミュージシャンや著名人、異業種ブランドとのコラボレーションが実現されてきた。
この新モデルNCredible N-TUNEはニック・キャノン氏とのコラボレーションだ。キャノン氏はアメリカにてラッパー、俳優、コメディアン、司会と幅広い活躍を見せ、ストリート・シーンから強く支持されるマルチ・タレント。話題ということで言えば、妻は歌手のあのマライア・キャリーだったりもする。二人の出会いのきっかけが彼女のMVの監督を彼が務めたことだというから、本当に多才だ。MONSTERが白羽の矢を立てたのも実に自然なことだったのだろう。
なおNCredibleシリーズには他に、イヤホンタイプのNCredible N-Ergyも用意されている。
N-TUNEの基本コンセプトは小型軽量でまさにストリート仕様。折りたたみ式ではないのだがヘッドバンドが柔軟かつ丈夫な素材になっていて、バッグに放り込んでおくなどのラフな扱いにも耐えてくれそうだ。
またヘッドバンドの柔軟性は装着感のよさにも貢献している。耳を挟み込む側圧がちょうど適当で、強すぎて嫌な圧迫感を出すことはなく、かといって弱すぎずることもなく、よい具合のちょい強めの挟み込みで固定力を確保してくれる。装着感の面では、本機は耳を覆うアラウンドイヤー型ではなく耳に載せるオンイヤー型なので、イヤーパッドの感触も重要。少し硬めだが硬すぎることはなく、問題ない装着感と十分な遮音性も確保している。
ケーブルは着脱式で左耳側からの片出し。耳元近くに1ボタン対応のリモコン&マイク、Control Talk Universalを装備している。スマートフォンとの組み合わせで、音楽の再生開始と停止、曲のスキップ、電話着信時の通話開始などを操作可能だ。1ボタンなのでボリューム調整はできないが、その分ともてもコンパクトで目立たないリモコンとなっている。
さてルックス面でのポイントは豊富なカラーバリエーション。ブラック、レッド、ブルー、ホワイト、そして数量限定でオレンジの5色が用意される。試聴機はブルーだったが、そのブルーはメタリックでシャイニー。夏に向けて日差しが強くなると、それを受けてさらに輝いてくれそうだ。
■MONSTERらしさとともに柔軟性のある音
そして実際にその音を聴いての印象は、そのデザインや出自からの事前の予想とは違って、意外とソフトで聴きやすい。充実した低音などはMONSTERらしいところだが、ゴリゴリとした迫力で押すのではなく、柔軟性が持ち味だ。
ミシェル・ンデゲオチェロのハードなヒップホップ「Dead Nigga Blvd.(Pt. 1)」ではまず、彼女の声が少し優しくなり、心地よい肉声感を強める。声以外も全体にソフトタッチでウォーム。クリアすぎず、アナログ的というかビンテージ的というか、そういった独特の感触がある。
低音側に耳を移すと、彼女自身が叩き出すヘヴィなベースラインのその音色の図太さを十分に感じられる。このヘッドホンは特別に大口径ではなく、その点では低音再生に若干の不利があるはずなのだが、さすが低音の音作りに長けたMONSTERといったところだ。
ポップユニット相対性理論の「ミス・パラレルワールド」でさらに確認していく。
アナログ的あるいはビンテージ的というところはやはりこのヘッドホンの持ち味だ。例えばベースはゴリッとではなくもこっとしたアタック感で、極端に言えば最近のロック的ではなく往年のモータウン的でさえある。単に普通のハイファイ再生を追求していてはこういった音にはならないだろう。このあたりがストリートで支持されるセンスなのかもしれない。ベースのスタッカートのキレは控えめだが、それがまたグルーブにおおらかさを与えてもいる。またこの曲のハイハットシンバルは基本的にはザクザクと荒っぽいキレなのだが、このヘッドホンで聴くとそこもソフトになる。低音の音色とのマッチングがとれている。
そしてボーカル。やくしまるえつこの声の豊かな倍音は再生するヘッドホンによってはシャープさが目立ちすぎる場合もあるのだが、本機はそこもやはり柔らかく仕上げてくれる。
最後に、宇多田ヒカル「Flavor Of Life - Ballad Version -」のボーカルの表現は特に素晴らしかった。彼女の歌声が柔らかく豊かにブワッと広がる様子を見事に再現してくれる。
ビビッドなカラーリングによる強い存在感に、ベースの効いたストリート系から声を堪能したい女性ボーカルにまで幅広く対応するサウンド。MONSTERのラインナップをさらに充実させる新モデルだ。
<高橋敦>
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。