公開日 2013/07/30 10:21
【レビュー】ダイレクト再生も高音質化、パイオニア「PureRead」対応新ドライブを試す
Mac向けBD/DVD/CDライター
音楽ファンにとってCDのリッピングは手慣れた作業なので、無事に取り込みが終われば中身には疑問を持たないのが普通だろう。だが、動作が中断しなかったからといって読み取ったデータが正しいとは限らない。キズや偏芯などが原因でエラーが発生し、訂正可能な範囲を超えた場合、補間したデータに置き換えられてしまうことがあるからだ。補間の頻度が上がるとノイズなど音質劣化を引き起こすが、気付きにくい変化の場合は特に厄介といえる。
補間の頻度を減らすには読み取り精度を上げる必要があり、そのために開発された技術として、パイオニアの「PureRead」がよく知られている。ディスクの状態に応じて速度など読み取り条件を変えてリトライを繰り返し、正確な読み取りを実現するもので、現在は「PureRead2+」に進化している。
「BDR-XU02JM」は、その最新技術を採り入れたスリムなBDドライブだ。精度アップを実現するディスク条件を以前よりも充実させたのが「PureRead2」で、「PureRead2+」は設定をドライブ側に記憶する機能を追加したバージョンと理解すればいい。また、今回使用したMac用モデルのみ、リアルタイム再生時にもPureReadを適用して読み取り精度を上げる「RealTime Pure Read」機能を積んでいる。バッファーへの先読み時にパラメーター制御を行う高度な技術として注目したい。
PureRead機能検証。
−「PureRead2+」と「RealTime PureRead」の再生音に違いは?
まずは「PureRead2+」の効果を改めて検証しよう。MacBook AirにインストールしたPioneer Drive Utilityを起動後、iTunesでCDの読み込みを開始した。しばらくすると、ステータス画面にエラーの頻度が表示される。エラーなしのPerfectからほぼ修復不能なFatalまで、インジケータの指標は9段階。この表示がBad以下であれば、設定画面でPureReadをオンにすることで改善が期待できるという。傷の多いディスクで実際に試してみると、かなりエラー頻度が多いケースも含め、大半のディスクがPerfectのレベルまで改善され、読み取り精度の向上に成功した。
特に、赤い表示が右側に伸びてBadと表示されたディスクは、PureReadのオン・オフによる音質差が著しい。オンの場合はボーカルやギターのくぐもった感触がなくなり、すっきりと抜けの良いサウンドに生まれ変わるし、オーケストラやピアノ曲は細部の情報量が明らかに向上する。オフの状態でも耳に付くノイズは発生していないのだが、音の鮮度が低く、音場の見通しがよくないなど、本来のクオリティを引き出せていない印象を受ける。
続いて「PureRead2+」と「RealTime PureRead」による再生音に違いがあるか試してみた。今回試した十数枚のディスクでは、RealTime PureReadによるリアルタイム再生と、PureRead2+によってあらかじめリッピングした音を聴き比べても、両者の変化はそれほど大きくなかった。ただし、ディスクの状態によってはリトライ条件が有利な後者の方が大きな改善が期待できる可能性がある。
PureReadはリッピングの精度を向上させる有力なツールだ。ディスクによっては想像以上に音質が改善する例があり、音質劣化の隠れた要因を明らかにする意味も大きい。専用ユーティリティ上で視覚的に効果を把握しやすいなど、使い勝手も向上した。パソコンで聴くことの多い音楽ファンはもちろん、ネットワークプレーヤーのユーザーにも薦められる製品だ。
補間の頻度を減らすには読み取り精度を上げる必要があり、そのために開発された技術として、パイオニアの「PureRead」がよく知られている。ディスクの状態に応じて速度など読み取り条件を変えてリトライを繰り返し、正確な読み取りを実現するもので、現在は「PureRead2+」に進化している。
Pure Readとは? 傷や指紋のついて信号を読み取りづらくなった状態の良くないディスクでも、読み取りのパラメーターを変えてリトライすることで、なるべくデータ補間を行わず記録された信号を忠実に読み取ることを目指した技術。当初Windowsのみだったが、現在はMacにも対応。「PureRead+」ではドライブの電源を切ってもPureRead設定が保存されるようになった。さらに「PureRead2+」では、この設定保存機能は引き継ぎつつ、読み取りに新アルゴリズムを採用。速度制御のパラメーターを追加したり、乱光をやり過ごす場合の取捨選択方法の工夫など、全体的な性能向上を図った。 >>【インタビュー】技術者に訊く「PURE READ」 − 忠実なリッピングと原音再生を目指した機能の詳細を探る |
「BDR-XU02JM」は、その最新技術を採り入れたスリムなBDドライブだ。精度アップを実現するディスク条件を以前よりも充実させたのが「PureRead2」で、「PureRead2+」は設定をドライブ側に記憶する機能を追加したバージョンと理解すればいい。また、今回使用したMac用モデルのみ、リアルタイム再生時にもPureReadを適用して読み取り精度を上げる「RealTime Pure Read」機能を積んでいる。バッファーへの先読み時にパラメーター制御を行う高度な技術として注目したい。
PureRead機能検証。
−「PureRead2+」と「RealTime PureRead」の再生音に違いは?
まずは「PureRead2+」の効果を改めて検証しよう。MacBook AirにインストールしたPioneer Drive Utilityを起動後、iTunesでCDの読み込みを開始した。しばらくすると、ステータス画面にエラーの頻度が表示される。エラーなしのPerfectからほぼ修復不能なFatalまで、インジケータの指標は9段階。この表示がBad以下であれば、設定画面でPureReadをオンにすることで改善が期待できるという。傷の多いディスクで実際に試してみると、かなりエラー頻度が多いケースも含め、大半のディスクがPerfectのレベルまで改善され、読み取り精度の向上に成功した。
特に、赤い表示が右側に伸びてBadと表示されたディスクは、PureReadのオン・オフによる音質差が著しい。オンの場合はボーカルやギターのくぐもった感触がなくなり、すっきりと抜けの良いサウンドに生まれ変わるし、オーケストラやピアノ曲は細部の情報量が明らかに向上する。オフの状態でも耳に付くノイズは発生していないのだが、音の鮮度が低く、音場の見通しがよくないなど、本来のクオリティを引き出せていない印象を受ける。
続いて「PureRead2+」と「RealTime PureRead」による再生音に違いがあるか試してみた。今回試した十数枚のディスクでは、RealTime PureReadによるリアルタイム再生と、PureRead2+によってあらかじめリッピングした音を聴き比べても、両者の変化はそれほど大きくなかった。ただし、ディスクの状態によってはリトライ条件が有利な後者の方が大きな改善が期待できる可能性がある。
PureReadはリッピングの精度を向上させる有力なツールだ。ディスクによっては想像以上に音質が改善する例があり、音質劣化の隠れた要因を明らかにする意味も大きい。専用ユーティリティ上で視覚的に効果を把握しやすいなど、使い勝手も向上した。パソコンで聴くことの多い音楽ファンはもちろん、ネットワークプレーヤーのユーザーにも薦められる製品だ。
山之内 正 Tadashi Yamanouchi 神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、現在もアマチュアオーケストラに所属し、定期演奏会も開催する。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。 |