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公開日 2013/11/08 11:00

ソニーの本格サウンドバー「HT-ST7」「HT-ST3」音質大検証

【特別企画】リビングでもマンションでもかんたん本格サラウンド
野村ケンジ
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エントリー〜ミドルクラスのサウンドバーでヒットを飛ばしたソニーが、満を持して高級価格帯の本格モデル「HT-ST7」(関連ニュース)を投入した。リアル7.1chスピーカーを搭載して高音質化を成し遂げたほか、波面制御技術を搭載し、音像を大きな波面状に広げることで広いスイートスポットを実現したことも大きな特長だ。

ソニーから高級サウンドバー − 音質と広い聴取エリアを両立

この1〜2年、ホームシアターの世界では一体型サラウンドシステム、いわゆるサウンドバーと呼ばれる製品が高い注目を集めている。面倒な設定が要らず、テレビの前にポンと置くだけですぐに使い始められる手軽さに加え、エントリー〜ミドルクラスの製品のサウンドクオリティが大幅に向上したこと、Bluetooth搭載によってスマートフォンから手軽に音楽再生が楽しめるようになったことなどから、製品としての魅力が格段にアップし、ブームを巻き起こしているのだ。

しかしながら、これまで注目されていたのは、主にエントリー〜ミドル級の製品。本格ホームシアターへの架け橋となるような音質重視の高級モデルの選択肢はあまり無かった。そんな状況のなか、何とソニーから、音質を徹底追求したプレミアムモデル「HT-ST7」「HT-ST3」が登場した。

HT-ST7。サウンドバー部には、65mmグラスファイバーコーンの磁性流体スピーカーユニットを7基と、20mmソフトドームトゥイーター2基を搭載している

HT-ST3。HT-ST7の音響設計を踏襲しながら、より省スペースにスマートな設置ができるよう開発されたモデル。「波面制御技術」「S-Masterデジタルアンプ」などの主要技術を本機も搭載している

これは、非常に嬉しいことだ。というのも、サウンドバーはエントリーモデルが中心で、本格シアターを楽しむためにはAVアンプと大型スピーカーを用いたシステムへ一気にステップアップする必要があったからだ。

実際、ソニーもこれまでエントリーの「HT-CT260」、ミドルクラスの「HT-CT660」等をラインナップしてきたが、本格ホームシアターとの間に空白ゾーンがあったことも事実。そこに「HT-ST7」「HT-ST3」が登場し、高級サウンドバーという貴重なカテゴリーを作ってくれたのだ。

高級シアターバーには「もっといい音でホームシアターを楽しみたいけど設置するスペースがない」「本格シアターシステムはすでにあるがリビング用にサブシステムが欲しい」などのニーズがある。こういったニーズを満たす製品が登場してくれたのは、ありがたい限りだ。

しかもこの2モデルは、「波面制御技術」という画期的な新技術を搭載している。この技術により、音の密度やエネルギー感が高まるだけでなく、豊かな音の広がりが得られる。さらに聴く場所を選ばない、広いスイートスポットを実現していることも特長だ。

以上の効果は目覚ましいものがある。たとえば寝転んで視聴してもしっかりとした音で楽しめる。またスイートスポットが広いため、家族が横に並んで見るのもOK。さらに、壁反射に依存しない方法のため、部屋の形状によって効果が左右されないのも利点だ。

波面制御技術。部屋の形状に左右されず、密度あるエネルギッシュなサウンドが広いスイートスポットで楽しめる。複数人での同時視聴でも、全員がベストの条件で聴くことができる

<HT-ST7のプロフィール>
音の波を緻密に制御 − 迫力と広い音場を実現

ここからは個別に製品を見ていこう。まずソニー製サウンドバーの新フラグシップ「HT-ST7」は、両端に2ウェイスピーカーを、中央部分に5基のフルレンジスピーカーを配置する7.1ch対応サウンドバー。サブウーファーはワイヤレス接続で、スマートに設置できることも特長だ。

設置イメージ。サブウーファーはワイヤレス接続のため、スマートかつスタイリッシュに接続することが可能だ

とはいえ、最大のポイントといえばやはり音質に関するテクノロジーだろう。「HT-ST7」には、「高密度 Sound Stage」と総称される独自のフロントサラウンド技術や、7.1ch独立駆動の「S-Masterデジタルアンプ」、スピーカーユニット技術を結集した。

複数のスピーカーを直線上に並べた「アレイスピーカー」配置によって、高精度に指向性を制御しつつ、それぞれの音の波を融合することで迫力のサラウンドと広いリスニングエリアを両立している。またスピーカーユニットにはダンパーをなくした「磁性流体」サスペンション構造を採用。音のひずみを抑え、省スペース性も実現した。

磁性流体スピーカー。ソニー独自開発の磁性流体をサスペンションに採用。ユニット径も65mmと大きく、歪みが少ない伸びやかな音を実現した

サウンドエフェクトについてもソニー独自の技術が盛り込まれている。ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントなどに協力を仰ぎ、微細な効果音までもしっかり再現しつつ、セリフがしっかり聞こえるチューニングを施したほか、深夜の視聴に最適な「サウンドオプティマイザー」や人の声の明瞭度を調整する「VOICE切り替え」機能など、質だけでなく聴かせ方にも配慮している。

<HT-ST7の音質レポート>
置くだけで上質な音場が出現 − フラグシップにふさわしい品位

実際のサウンドはというと、お見事!と言いたくなるほど豊かな臨場感にまず引かれる。例えばアクション映画を見ると、縦横無尽に駆け回る映画館顔負けの迫力サウンドが大きく広がっているのと同時に、細やかな部分まで余さず拾い上げてくれる情報量の多さによって、リアリティの高い音場感が堪能できるのだ。

HT-ST7の仕上げをチェックする野村氏。「高級モデルにふさわしい質の高い仕上げも魅力」と評価

ワイヤレスサブウーファーが生み出す低域も、迫力十分なうえにフォーカス感も良好。おかげで、映像の世界にどっぷりと浸かり込むことができる。また情報量の多さ、解像度感の高さによって、クラシックのライブ映像なども存分に楽しめる。これは大変嬉しい。

リスニングエリアの広さに関しても、かなり優秀だ。様々な位置で試聴を行ってみたが、音色/音場があまり変わらず、迫力のサラウンドを楽しむことができる。ポンと置くだけでここまで上質なサラウンド空間が再現できるのは、本当に素晴らしい。サウンドクオリティ、特にサラウンド空間の表現においては、フラグシップの名にふさわしい上質さを持ち合わせるモデルだ。

【HT-ST7のポイント】

(1)リアル7chスピーカーの本格派モデル
7.1chぶんのリアルスピーカーを搭載した本格派モデルで、広いリビングでも十分活用できる実力を備える


(2)広いリスニングエリアで“どこでも高音質”
波面制御技術で広いリスニングエリアを実現したHT-ST7なら、聴いている誰もがベストなサウンドを楽しめる



(3)ワイヤレスサブウーファーで設置性バツグン
HT-ST7のサブウーファーはワイヤレスなので、置きたい場所へかんたんに設置できる。ケーブルを取り回す必要がなく、部屋の美観も損ねない


次ページ非常にスリムな「HT-ST3」

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