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公開日 2014/12/19 11:00

ドルビーアトモス時代にマッチする新サラウンドスピーカーが仏cabasseから登場

【特別企画】
堀切日出晴
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cabasse社から、ドルビーアトモス時代にマッチする
新サラウンドシステムが日本上陸


オンキヨーマーケティングジャパン株式会社からリリースされ、好評を博しているフランス製cabasse(キャバス)のスピーカー。その先陣を切って6月に登場したのが、球形ボディに同軸2ウェイユニット搭載の「IO2(アイオー2)」と「EOLE3(イオル3)」、フルレンジユニット搭載「ALCYONE2(アルシオーネ2)」の3モデル。さらに、同軸ユニットと17cmウーファーを組み合わせた、コンパクトなブックシェルフ型3ウェイ「MINORCA(ミノルカ)」であった(関連記事)。

高い完成度の音彩で人々を魅了するキャバスだが、「これほどまでに素晴らしいサウンドが再生されるなら、是非とも」と、トールボーイスピーカーとセンタースピーカーを待ち望む声が多く寄せられていた。そして1月中旬、いよいよラインナップに待望のトールボーイとセンタースピーカーが加わる。

MC40シリーズのトールボーイスピーカー「JAVA」

MC40シリーズのセンタースピーカー「CABRERA」

折しも今年は、圧巻の3次元シネソニックを実現する新サラウンド技術「ドルビーアトモス」元年。オンキヨーではこの新たなマルチチャンネル再生を的確に見据えながら、価格帯もリーズナブルなキャバスのベストセラーMC40シリーズ、そのトールボーイスピーカーとセンタースピーカーを国内導入したのである。ホームシアター用マルチチャンネル再生の推奨モデルとなるMC40シリーズでは、前述の「ミノルカ」がサラウンドスピーカーとして組み合わされる。

同軸スピーカーの優れた点は、再生音源のバラつきを抑え、理想の点音源再生に近づけることだ。キャバスでは3つのユニットが同軸上に並んだ、もっとも理想的な内部変換構造を目指した独自のTC23構造を特徴としている。TC23構造はキャバス全製品を支える重要な基軸であり、帯域ごとの時間差を徹底的に抑えて点音源を統一、スムーズな音の広がりを実現しているのである。

Cabasse独自の同軸「TC23構造」。点音源の統一を求めて開発された同軸ユニットだ。

このTC23構造を用いて直接音と反射音の最適なコントロールを可能にした、基幹技術SCS(Spatial Coherent Source)テクノロジーによる同軸ユニットは、もちろんスピーカーの中核として2モデルに搭載されている。3ウェイ・トールボーイの「JAVA(ジャバ)」は、ソフトドームトゥイーターと10cmミッドレンジによる同軸2ウェイ・ユニットと、900Hz以下の低域を受け持つ17cmミッドレンジ・ウーファー2基で構成。3ウェイ・センターの「CABRERA(カブレラ)」も、同型の同軸ユニットとウーファー2基を搭載したモデルとなる。

JAVA、CABRERAに、既に発売中の「MINORCA」を加えることでマルチチャンネルシステムの構築が可能

点音源統一を追求した同軸ユニットの能力を活かすため、ミッドレンジ・ウーファーはクロスオーバー周波数の波長が最少となるポイントに設置されている。低音再生限界はそれぞれ59Hzと70Hzに設定。重低音成分は別筐体のサブウーファーに振り分けることを前提に、実に精密な設計が施されている。

MC40シリーズを「リーズナブルな価格帯」と前述したが、よりお求めやすいスタンダードマルチチャンネルモデル、MT32シリーズも同時リリースされた。2ウェイ・トールボーイの「JERSEY(ジャージー)」 と2ウェイ・センターの「SOCOA(ソコア)」は、27mmミッドレンジ・トゥイーター搭載のフルレンジユニットと17cmミッドレンジ・ウーファー2基で構成。ブックシェルフ型2ウェイ「ANTIGUA(アンティグア)」は、同型フルレンジユニットとウーファー1基を搭載したモデルである。

MT32シリーズのトールボーイスピーカー「JERSEY」。エボニー/ウォルナットと2色を用意


MT32シリーズのセンタースピーカー「SOCOA」(エボニー/ウォルナット)


MT32シリーズのブックシェルフスピーカー「ANTIGUA」(エボニー/ウォルナット)


確かな再生能力と限りない発展性を持ち合わせる

今回はMC40シリーズを主軸に、120インチスクリーンとの組み合わせで試聴を行った。フロントL/C/Rに「ジャバ」と「カブレラ」を配置し、サラウンド/サラウンドバックに「ミノルカ」を4台設置。サブウーファーにはオンキヨーSL-D501(B)を使用し、フロントステージに2台設置した(L/C間、R/C間に1台ずつ)。そしてドルビーアトモス再生に対応するため、軽量球形同軸2ウェイの中核モデルとなる「イオル3」をトップフロント/トップリアとして設置、オンキヨーAVレシーバーTX-NR3030で一括駆動する7.2.4チャンネル構成となる。

トップスピーカーには「EOLE3」を使用した

AVアンプはオンキヨーの今期フラグシップ「TX-NR3030」

ミキシングにハイブリッドアプローチを導入したドルビーアトモスは、試聴空間の上半球360度を網羅する動的なオブジェクトとして、音に明確な定位と方向性を与えることに成功した3次元シネソニックだ。ドルビーアトモス再生システムを組むにあたってお悩みの方も多かろうが、ホームシアターで複数のスピーカーを使ってオブジェクト再生をしていく上で、点音源統一を追求した同軸ユニットの能力を利用することは最適な選択肢と言えよう。

さて、いよいよお手並み拝見である。キャバスはあらゆるジャンルのソフトへの対応力に優れているが、今回は映画作品を中心に数々のブルーレイ・タイトルを鑑賞した。

まずは7.2ch再生で試聴したが、相変わらずヌケのいい、鳴りっぷりの良さに感心してしまう。小音量再生においても同軸スピーカーならではの特長が生かされ、奏でられる音彩も揺るぎない。低域成分をサブウーファーに振り分けたハンデも感じられず、スピーカーの存在がふっと消えた瞬間は感動的であった。

とりわけ声の存在感が素晴らしい。キャバスのように発声に敏感なスピーカーは今では稀少な存在だ。重層的に配置される効果音を緻密に余すところなく描く描写力、音楽が奏でる難易度の高い色彩感や多調性的表現も巧みにこなすのには驚かされた。弦楽器メーカーというルーツを持つがゆえに、引き締まった輪郭ながら豊かな響きを持つ弦楽器の再現性はまさに必聴である。

ドルビーアトモス再生における音の発言力が、また凄い。音場補正が不要とも言える同軸ユニットの実力がさらに発揮され、限られた空間のホームシアターという概念を削除し、全方向的で空間的で触感に満ちた音響世界に置き換えてくれるのだ。オール・キャバス再生によって編み上げられた、継ぎ目のない音の世界観。これは高く評価されるべきだ。

静謐な描写から解き放たれる聴覚スペクタクルの再現まで、いちど耳にしたら決して忘れられぬ音彩を奏でるキャバス。頼もしいトールボーイとセンタースピーカーの登場、そしてドルビーアトモスへの限りない発展性は、あなたのオーディオ・ビジュアル生活をさらなる高みへと導いてくれることだろう。

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