公開日 2015/07/03 13:11
【第7回】ラックスマンの真空管フォノイコ「EQ-500」でレコードの情報量をとことん引き出す
角田郁雄のオーディオSUPREME
角田郁雄氏がハイエンドからスモールオーディオまでを実際に使い、その魅力をレポートしていく「角田郁雄のオーディオSUPREME(シュープリーム)」。今回はラックスマンの真空管フォノイコライザー「EQ-500」を用いたアナログレコード再生について紹介していく。
■カートリッジの能力を最大限引き出す様々な機能を搭載した管球式フォノイコライザー
私はハイレゾを推進している一方で、普段はCDやSACDを楽しんでいるし、さらにLPレコード再生も行っている。そして最近はアナログプレーヤーやカートリッジ、フォノイコライザーの新作が続々と発売されていて、今号の『analog』誌を読んでいてもワクワクしてしまった。個人的には今、フォノイコライザーに関心があって、半導体方式のみならず、管球式のフォノイコライザーも使っている。管球式の魅力は、楽器や声の倍音を格別豊かに再現すること。エレクトリックギターのリヴァーブも鮮やかに再現できるので、ギターアンプにはいまだに真空管が使われているほどだ。
そんな中で最近特に気になったのは、創業90周年を迎えたラックスマンの管球式フォノイコライザー「EQ-500」だ。新製品リリースの写真を見て、出力メーターと多数のスイッチがついたブラスター・ホワイトの精密なデザインに好感を持ち、すぐにでも聴いてみたいと思った。発表からしばらくして、この4月に試聴することができた。
その機能、そして内部技術が素晴らしい。フロントパネルには左右2つの出力メーターを搭載し、ファンクションが充実している。まずトグル・スイッチでは、アンバランス/バランスの出力モード切替、位相反転、ハイ/ロー・カット、メーターの制御などができる。
カートリッジから魅力的な音を引き出してくれるのが、5つの円形のセレクターだ。ゲイン、入力インピーダンス、入力キャパシターの切替、MM/MC・high/MC・lowのカートリッジ選択、3系統の入力選択が可能で、充実した豊富な機能に私の心はすっかり引き込まれた。
また、EQ-500は入力トランス(昇圧トランス)の直後にインピーダンスコントロールを備えており、一般的には47kΩで固定されているところを、このモデルでは30kHzΩ〜100kHzΩまで連続可変できる。合わせて入力キャパシター切替セレクターも備え、0/50/100/150/200/300pFの6段階の切替が可能だ。しかもこの両機能は、MM/MCカートリッジの両方で使用できるのだから素晴らしい。従来ではお目にかかれなかったマニアックな機能で、操作して追い込むことで、愛用するカートリッジから好みの音質を探り出すことができる。
また、再生中に「アーティキュレーター」というスイッチをオンにすると、カートリッジと入力トランスの消磁が行え、音の歪み感が減り、カートリッジの本来の持ち味が発揮できる。この機能も実に良い。まさに熟練のアナログ再生マニアのオーディオマインドを掻き立てる仕様で、もちろん私もこれらの機能にぞっこん惚れた。
■全段真空管方式とした無帰還CR型増幅回路を採用
オーディオマインドが掻き立てられるのは、内部技術も同様だ。フロントから見ると、左右の回路が完全に前後にセパレート配置され、初段と2段目に低歪みでインピーダンスの低いSRPP回路を採用し、その中間にCR型イコライザーを配置。終段には、パラレル構成による低インピーダンスのカソードフォロア回路を採用し、全段無帰還CR型イコライザーを構成している。
真空管は、スロバキアのJJ製「ECC83(12AX7)」2本、「ECC82(12AU7)」1本を各チャンネルに使用するが、それぞれ特性を選別したラックスマン仕様品だ。入出力には、独自に開発したというスーパーパーマロイ製入出力トランスを搭載。2系統のMC入力においては、贅沢にもトランスを独立配置(左右1個ずつ×2系統:合計4個)し、MMを含めた3系統の入力それぞれにアース端子を設けている。ダブル、トリプルアームを使う方にとっては、すっきりとしたアース接続ができて便利である。
■カートリッジの能力を最大限引き出す様々な機能を搭載した管球式フォノイコライザー
私はハイレゾを推進している一方で、普段はCDやSACDを楽しんでいるし、さらにLPレコード再生も行っている。そして最近はアナログプレーヤーやカートリッジ、フォノイコライザーの新作が続々と発売されていて、今号の『analog』誌を読んでいてもワクワクしてしまった。個人的には今、フォノイコライザーに関心があって、半導体方式のみならず、管球式のフォノイコライザーも使っている。管球式の魅力は、楽器や声の倍音を格別豊かに再現すること。エレクトリックギターのリヴァーブも鮮やかに再現できるので、ギターアンプにはいまだに真空管が使われているほどだ。
そんな中で最近特に気になったのは、創業90周年を迎えたラックスマンの管球式フォノイコライザー「EQ-500」だ。新製品リリースの写真を見て、出力メーターと多数のスイッチがついたブラスター・ホワイトの精密なデザインに好感を持ち、すぐにでも聴いてみたいと思った。発表からしばらくして、この4月に試聴することができた。
その機能、そして内部技術が素晴らしい。フロントパネルには左右2つの出力メーターを搭載し、ファンクションが充実している。まずトグル・スイッチでは、アンバランス/バランスの出力モード切替、位相反転、ハイ/ロー・カット、メーターの制御などができる。
カートリッジから魅力的な音を引き出してくれるのが、5つの円形のセレクターだ。ゲイン、入力インピーダンス、入力キャパシターの切替、MM/MC・high/MC・lowのカートリッジ選択、3系統の入力選択が可能で、充実した豊富な機能に私の心はすっかり引き込まれた。
また、EQ-500は入力トランス(昇圧トランス)の直後にインピーダンスコントロールを備えており、一般的には47kΩで固定されているところを、このモデルでは30kHzΩ〜100kHzΩまで連続可変できる。合わせて入力キャパシター切替セレクターも備え、0/50/100/150/200/300pFの6段階の切替が可能だ。しかもこの両機能は、MM/MCカートリッジの両方で使用できるのだから素晴らしい。従来ではお目にかかれなかったマニアックな機能で、操作して追い込むことで、愛用するカートリッジから好みの音質を探り出すことができる。
また、再生中に「アーティキュレーター」というスイッチをオンにすると、カートリッジと入力トランスの消磁が行え、音の歪み感が減り、カートリッジの本来の持ち味が発揮できる。この機能も実に良い。まさに熟練のアナログ再生マニアのオーディオマインドを掻き立てる仕様で、もちろん私もこれらの機能にぞっこん惚れた。
■全段真空管方式とした無帰還CR型増幅回路を採用
オーディオマインドが掻き立てられるのは、内部技術も同様だ。フロントから見ると、左右の回路が完全に前後にセパレート配置され、初段と2段目に低歪みでインピーダンスの低いSRPP回路を採用し、その中間にCR型イコライザーを配置。終段には、パラレル構成による低インピーダンスのカソードフォロア回路を採用し、全段無帰還CR型イコライザーを構成している。
真空管は、スロバキアのJJ製「ECC83(12AX7)」2本、「ECC82(12AU7)」1本を各チャンネルに使用するが、それぞれ特性を選別したラックスマン仕様品だ。入出力には、独自に開発したというスーパーパーマロイ製入出力トランスを搭載。2系統のMC入力においては、贅沢にもトランスを独立配置(左右1個ずつ×2系統:合計4個)し、MMを含めた3系統の入力それぞれにアース端子を設けている。ダブル、トリプルアームを使う方にとっては、すっきりとしたアース接続ができて便利である。