公開日 2016/05/25 10:33
いま話題のRoonをラズパイで!ラズパイ・オーディオの「Roon Bridge化」を検証する
海上忍のラズパイ・オーディオ通信(15)
■Raspberry Piで「Roon」を使う意味
近頃オーディオ界隈で話題の「Roon」、Phile-webでも度々取りあげられ人気記事になっていると聞く。ファイル再生やストリーミングなど既存のオーディオ再生系を統合し、洗練されたUIにより“聴く気にさせる”仕掛けの数々は、革命的とまでは言わないまでも新鮮な音楽体験を与えてくれる。PCオーディオの経験があれば導入は容易なだけに、すでに運用しているという向きも多いことだろう。
この「Roon」、Raspberry Piとも相性がいい。ただし、最新型のRaspberry Pi 3といえどPCに比べれば非力なため、コントロールとコア、アウトプットが1台ですべて揃うオールインワン型の「Roon」を動作させるにはスペック的に厳しい。RoonからGUI部分を取り除いた「Roon Server」も、大量の楽曲をデータベース化し管理するというタスクを担うだけに、Raspberry Pi 3には荷が重い。より高性能なSoCを積まないかぎり、Roonという音楽再生系の中心に位置するサーバ(コア)の任は厳しいと言わざるをえない(※)。
(※:2016年5月現在、Linux版でサーバ(Roonコア)として動作可能なのはx86_64バイナリのみで、Raspberry Piで動くARMバイナリはアウトプット(Roon Bridge)としての機能しか備えていない。仮にサーバ機能を備えていたとしても軽快な動作は期待できない、という意味でご理解いただきたい。)
しかし、コアからの信号をネットワーク経由で受け、USB DACなどサウンドデバイスに出力する「Roon Bridge」であれば話は変わる。実際、Raspberry Pi 3/Volumio 2 RC1という環境にRoon Bridgeをインストールしてみたが、音楽再生時のCPU消費率はMPD(ラズパイ・オーディオの心臓部に相当する音楽再生サービス)と大差なく、しかもMPDと併存する環境を構築できた。これまで本連載で紹介してきた機能の数々を生かしつつ、Roon Bridgeとして動作可能ということだ。
では、具体的な導入手順と利用の実際を……とその前に、Raspberry PiをRoon Bridgeとして使うメリットについて説明しておこう。
ひとつは、出力系統をPCと分離できること。オールインワン型の「Roon」はUSB-DACなどの出力先デバイス(Roonでいうところのアウトプット)をPCと一体で運用できるが、USBケーブルの届く範囲という縛りが生じてしまう。しかし、Roon Bridgeとして分けておけば、物理的に離れた場所からも出力できる。DLNAにたとえれば、PCがDMS兼DMC、Raspberry PiがDMRという関係だ。複数の出力先デバイスを切り替えて運用できる、というメリットもある。
もうひとつは、I2SというRaspberry Piならではの出力が可能になること。出力先デバイスは限られるが(参考記事)、GPIOを利用するI2S接続型DACボードのバリエーションが豊富になりつつある現在、Roonの再生系でこのクオリティの音を楽しめるのはうれしい。すでにIQaudIOがRoon Readyの製品を販売しており、もはやRoonはラズパイ・オーディオにおける有力な選択肢だ。
近頃オーディオ界隈で話題の「Roon」、Phile-webでも度々取りあげられ人気記事になっていると聞く。ファイル再生やストリーミングなど既存のオーディオ再生系を統合し、洗練されたUIにより“聴く気にさせる”仕掛けの数々は、革命的とまでは言わないまでも新鮮な音楽体験を与えてくれる。PCオーディオの経験があれば導入は容易なだけに、すでに運用しているという向きも多いことだろう。
この「Roon」、Raspberry Piとも相性がいい。ただし、最新型のRaspberry Pi 3といえどPCに比べれば非力なため、コントロールとコア、アウトプットが1台ですべて揃うオールインワン型の「Roon」を動作させるにはスペック的に厳しい。RoonからGUI部分を取り除いた「Roon Server」も、大量の楽曲をデータベース化し管理するというタスクを担うだけに、Raspberry Pi 3には荷が重い。より高性能なSoCを積まないかぎり、Roonという音楽再生系の中心に位置するサーバ(コア)の任は厳しいと言わざるをえない(※)。
(※:2016年5月現在、Linux版でサーバ(Roonコア)として動作可能なのはx86_64バイナリのみで、Raspberry Piで動くARMバイナリはアウトプット(Roon Bridge)としての機能しか備えていない。仮にサーバ機能を備えていたとしても軽快な動作は期待できない、という意味でご理解いただきたい。)
しかし、コアからの信号をネットワーク経由で受け、USB DACなどサウンドデバイスに出力する「Roon Bridge」であれば話は変わる。実際、Raspberry Pi 3/Volumio 2 RC1という環境にRoon Bridgeをインストールしてみたが、音楽再生時のCPU消費率はMPD(ラズパイ・オーディオの心臓部に相当する音楽再生サービス)と大差なく、しかもMPDと併存する環境を構築できた。これまで本連載で紹介してきた機能の数々を生かしつつ、Roon Bridgeとして動作可能ということだ。
では、具体的な導入手順と利用の実際を……とその前に、Raspberry PiをRoon Bridgeとして使うメリットについて説明しておこう。
ひとつは、出力系統をPCと分離できること。オールインワン型の「Roon」はUSB-DACなどの出力先デバイス(Roonでいうところのアウトプット)をPCと一体で運用できるが、USBケーブルの届く範囲という縛りが生じてしまう。しかし、Roon Bridgeとして分けておけば、物理的に離れた場所からも出力できる。DLNAにたとえれば、PCがDMS兼DMC、Raspberry PiがDMRという関係だ。複数の出力先デバイスを切り替えて運用できる、というメリットもある。
もうひとつは、I2SというRaspberry Piならではの出力が可能になること。出力先デバイスは限られるが(参考記事)、GPIOを利用するI2S接続型DACボードのバリエーションが豊富になりつつある現在、Roonの再生系でこのクオリティの音を楽しめるのはうれしい。すでにIQaudIOがRoon Readyの製品を販売しており、もはやRoonはラズパイ・オーディオにおける有力な選択肢だ。