公開日 2016/12/06 10:20
fidataの最上位オーディオサーバー「HFAS1-X」を聴く − 従来モデルと徹底比較
【特別企画】USB-DAC接続も対応のオーディオNAS
fidataのネットワークオーディオサーバー“HFAS1シリーズ”に、最上位モデル「HFAS1-XS20」が加わった。従来からラインナップされているSSD/HDDモデルと、筐体や電源を強化した“HFAS1-X”ではどのような音のちがいが現れるのか。自身も試聴室でHFAS1を使用する山之内正氏が試聴を行った。
■進化型オーディオサーバーを代表する存在“HFAS1シリーズ”
NASはいまやデータの保存・管理にとどまらず、音源の配信と再生を担うミュージックサーバー&プレーヤーとしての機能が充実し、ネットワークオーディオのなかでこれまで以上に重要な役割を担うようになった。特に、音質対策を徹底したオーディオ専用NASは機能面でもさまざまな工夫を凝らし、使い勝手にも気を配っている。
アイ・オー・データ機器が手がけるfidataブランドの「HFAS1」は、そうした進化型オーディオサーバーを代表する存在だ。音質に主眼を置いて吟味したドライブやアルミを多用した堅固なシャーシ、さらに用途と好みに応じてSSDまたはHDDを選べる自由度の高さなどが評価され、着実に支持を広げている。
音楽データを大量に保存するNASとしての基本機能だけでなく、USB-DACと組み合わせたダイレクト再生など、再生スタイルを広げる機能も充実する。さらに、12月中に予定されているアップデートでは、USB接続の光学ドライブと連携したCDリッピング&CD再生(デジタル出力のみ)にも対応。HFAS1を導入すると、NASを1台追加するのとは別次元の使い勝手が手に入るのだ。
■音質を高めつつ大容量SSD搭載を実現。電源も強化した「HFAS1-X」
そのHFAS1シリーズに上位モデルとして「HFAS1-X」が追加された。現行ラインナップはHDDを積む「HFAS1-H40」(以下、H40)が4TB、SSDモデルの「HFAS1-S10」(以下、S10)が1TBという構成だが、SSDの大容量モデルを期待する声が多く寄せられたことを受け、容量を2TBに倍増した「HFAS1-XS20」(以下、XS20)が新たに投入されることになったのだ。
XS20は、S10のたんなる大容量版ではなく、音質対策を強化したプレミアム仕様として再設計されている。心臓部のドライブは500GBのSSDを左右2台ずつ、計4台搭載することで、トータル2GBの大容量を実現。さらに、従来は1ドライブを載せていたブロックに2台のSSDを重ねて配置し、その2つのドライブにデータを均等に分散させて記録する方式を採用。それによってデータへのアクセスを均等化し、電源負荷の偏りを抑える効果があるという。
また、専用のリニア電源回路で構成した「リニアパワーコンディショナー」を追加することで、スイッチング電源から発生するノイズを大幅に低減する手法を導入したことも注目に値する。独自のドライブ構成の採用、そしてリニア電源の追加という2つの技術改良をまとめて「X-Cluster SSD」と命名し、既存モデルとの違いとしてアピールする。
大容量化にあたってはSSD自体を大容量タイプに変更する方法もあり、実際に複数のドライブで試作を行ったという。しかし、最終的にはS10と同じ500GBのSSDを4台組み合わせる方法を選んでいる。同じメーカーのSSDでも容量によって搭載するメモリーやコントローラーが異なるなど微妙な違いがあるため、たしかに音質が変わることは十分考えられる。
■筐体の剛性を強化して振動対策の面からも音質を向上させた
HFAS1は従来からのモデルにも剛性の高い筐体を採用しているが、今回XS20ではドライブ構成の変更を契機にいっそうの強化を図った。鋼板を2.3mm厚から3.2mm厚に変更したうえで、表面処理や素材自体も見直して、さらに剛性を高めたという。ドライブユニットやRAID基板など基幹部品は鉄とアルミでカバーし、シャーシにリジッドに固定される。
本体の重量も相応に増えていて、実際に持ち上げてみると、外見から想像するよりもずっしりと重さを感じる。SSDモデルの場合、本体内部にはほぼ振動源はないが、スピーカーの音圧など外来振動の影響を受けにくくなる効果が期待でき、音質改善につながる可能性が大きい。ネットワークプレーヤーもそうだが、光学ドライブや大型電源トランスなどの振動源を内部に持たないオーディオ機器でも振動対策には敏感に反応することが多い。fidataのアプローチはまさに正攻法そのものなのである。
■進化型オーディオサーバーを代表する存在“HFAS1シリーズ”
NASはいまやデータの保存・管理にとどまらず、音源の配信と再生を担うミュージックサーバー&プレーヤーとしての機能が充実し、ネットワークオーディオのなかでこれまで以上に重要な役割を担うようになった。特に、音質対策を徹底したオーディオ専用NASは機能面でもさまざまな工夫を凝らし、使い勝手にも気を配っている。
アイ・オー・データ機器が手がけるfidataブランドの「HFAS1」は、そうした進化型オーディオサーバーを代表する存在だ。音質に主眼を置いて吟味したドライブやアルミを多用した堅固なシャーシ、さらに用途と好みに応じてSSDまたはHDDを選べる自由度の高さなどが評価され、着実に支持を広げている。
音楽データを大量に保存するNASとしての基本機能だけでなく、USB-DACと組み合わせたダイレクト再生など、再生スタイルを広げる機能も充実する。さらに、12月中に予定されているアップデートでは、USB接続の光学ドライブと連携したCDリッピング&CD再生(デジタル出力のみ)にも対応。HFAS1を導入すると、NASを1台追加するのとは別次元の使い勝手が手に入るのだ。
■音質を高めつつ大容量SSD搭載を実現。電源も強化した「HFAS1-X」
そのHFAS1シリーズに上位モデルとして「HFAS1-X」が追加された。現行ラインナップはHDDを積む「HFAS1-H40」(以下、H40)が4TB、SSDモデルの「HFAS1-S10」(以下、S10)が1TBという構成だが、SSDの大容量モデルを期待する声が多く寄せられたことを受け、容量を2TBに倍増した「HFAS1-XS20」(以下、XS20)が新たに投入されることになったのだ。
XS20は、S10のたんなる大容量版ではなく、音質対策を強化したプレミアム仕様として再設計されている。心臓部のドライブは500GBのSSDを左右2台ずつ、計4台搭載することで、トータル2GBの大容量を実現。さらに、従来は1ドライブを載せていたブロックに2台のSSDを重ねて配置し、その2つのドライブにデータを均等に分散させて記録する方式を採用。それによってデータへのアクセスを均等化し、電源負荷の偏りを抑える効果があるという。
また、専用のリニア電源回路で構成した「リニアパワーコンディショナー」を追加することで、スイッチング電源から発生するノイズを大幅に低減する手法を導入したことも注目に値する。独自のドライブ構成の採用、そしてリニア電源の追加という2つの技術改良をまとめて「X-Cluster SSD」と命名し、既存モデルとの違いとしてアピールする。
大容量化にあたってはSSD自体を大容量タイプに変更する方法もあり、実際に複数のドライブで試作を行ったという。しかし、最終的にはS10と同じ500GBのSSDを4台組み合わせる方法を選んでいる。同じメーカーのSSDでも容量によって搭載するメモリーやコントローラーが異なるなど微妙な違いがあるため、たしかに音質が変わることは十分考えられる。
■筐体の剛性を強化して振動対策の面からも音質を向上させた
HFAS1は従来からのモデルにも剛性の高い筐体を採用しているが、今回XS20ではドライブ構成の変更を契機にいっそうの強化を図った。鋼板を2.3mm厚から3.2mm厚に変更したうえで、表面処理や素材自体も見直して、さらに剛性を高めたという。ドライブユニットやRAID基板など基幹部品は鉄とアルミでカバーし、シャーシにリジッドに固定される。
本体の重量も相応に増えていて、実際に持ち上げてみると、外見から想像するよりもずっしりと重さを感じる。SSDモデルの場合、本体内部にはほぼ振動源はないが、スピーカーの音圧など外来振動の影響を受けにくくなる効果が期待でき、音質改善につながる可能性が大きい。ネットワークプレーヤーもそうだが、光学ドライブや大型電源トランスなどの振動源を内部に持たないオーディオ機器でも振動対策には敏感に反応することが多い。fidataのアプローチはまさに正攻法そのものなのである。