公開日 2017/11/23 10:04
クロスゾーンの“頭外定位”ヘッドホン「CZ-1」で、ロック&ポップスのライブ映像BDを堪能する
【特別企画】大画面と組み合わせてパーソナルコンサートホールを構築
CROSSZONE(クロスゾーン)の「CZ-1」は、独自技術によってヘッドホンにおける『頭内定位』の問題を解決、あたかもスピーカーで聴くような音場・音場再現を実現したヘッドホンである。このCZ-1を音楽BDの視聴に活用することで、ライブステージを間近で見るような臨場感が得られる。まさに“パーソナルコンサートホール”とも呼ぶべきこのCZ-1を用いた音楽体験の魅力を、2回にわたってお伝えしていく本企画。第1回目は、小原由夫氏がCZ-1を使って、ロック/ポップスのライブ映像を収録した最新&注目BDを試聴。そのサウンドを分析した。
■「CZ-1」の音場再現力/頭外定位が映像視聴でも活きる
ヘッドホンの利点は、耳の近くに発音源があることで微細な音が聴き取りやすく、使用時に周囲に迷惑をかけにくいという点だ。つまり、パーソナルユースで音楽を楽しむのにうってつけというわけである。
ただし、最大の問題がある。それは「音場」「音像」が頭の中にできる『頭内定位』現象だ。スピーカーに対峙して音楽を聴く場合、音楽は基本的に前方に定位する。ヘッドホンはそれとは違う形で再現されるわけで、その点をヘッドホンを忌み嫌う音楽ファン、オーディオマニアは指摘するわけだ。
しかし、クロスゾーンがリリースした「CZ-1」は、そうした問題をほぼクリアした画期的なヘッドホンだ。一方のイヤーカップ内に反対チャンネルの音を微小に混ぜ合わせ、部屋にスピーカーを置いた時に反射や反響を経て届く音も少量ブレンド。3つのドライバーユニットの取付け角度と位置を吟味したことで、頭内(脳内)に音場ができるのではなく、あたかも額の辺りに音像が結ばれ、音場が形成されるように感じるのだ。
こうしたアプローチは、過去にはデジタル信号処理などの“電気仕掛け”で可能とした例があったが、CZ-1はそれを完全なアコースティカルな手法で実現。そこが画期的なのである。また、マグネシウムダイキャスト製のヘッドバンドや、トーションバネを利用した側圧調整など、長時間の使用でも疲れにくい機構も新規開発している。
今回はこのCZ-1を映像機器と組み合わせ、“パーソナルコンサートホール”とも呼ぶべきシステムを構築して、ロックやポップスのライヴ映像作品を“独り占め”で楽しんでみようという企画だ。
■55型有機ELテレビと組み合わせて最新の音楽BDを聴く
パーソナルユースを想定して今回用意したのは、以下のようなシステムだ。パナソニックの有機ELテレビ「TH-55EZ950」と同社のUHD BDプレーヤー「DMP-UB900」はHDMIケーブルで接続して映像を出力する。一方でDMP-UB900の光デジタル出力をヘッドホンアンプ内蔵USB-DACのパイオニア「U-05」へ入力して、U-05のヘッドホンアンプでCZ-1を鳴らした。
今回のシステムは一例であり、もしもこの組み合わせをさらにパワフルにグレードアップするとしたら、テレビやUHD-BDプレーヤーは最新型なので、ヘッドホンアンプを替えてみてもいいだろう。なぜなら、このカテゴリーの進歩は著しいからだ。
例えば、今ならばオーストリアのヘッドホンアンプ専業メーカーBURSON AUDIOの「Conductor V2+」などがおもしろそうだ。純A級のアナログアンプを採用し、内蔵DSB-DACは最新の音楽ファイルフォーマットに準拠している。
■井上陽水の美しい声をホールトーンに至るまで忠実に再現
さて、まず最初に観たのが、『井上陽水コンサート2015/UC2』。陽水が近年推し進めてきたカヴァーソングを中心とした、15年12月、東京国際フォーラムでの収録である。私にとって陽水は、中学生の頃から聴き続けてきた、いわば神様的存在。あの独特の艶かしい美声が、昭和歌謡や他のシンガーソングライターが手掛けた数々の名曲を歌いこなしている。
例えば「有楽町で逢いましょう」は、フランク永井の大ヒット曲だ。CZ-1で聴く陽水のその歌唱は、ヴォーカルの前方定位と画面とのマッチングが良好で、伴奏との自然な一体感を感じる。あの声が実にセクシーに感じられ、男ながらウットリしてしまうのだ。透明で艶やかな声の高域、あるいは凄腕のサポートミュージシャン揃いのリズムセクションに、CZ-1の2ウェイドライバーの真価が発揮された。コーラスの女性2人のハーモニーもよく、演奏全体がリッチなホールトーンを伴って立体的に感じられた。
■「CZ-1」の音場再現力/頭外定位が映像視聴でも活きる
ヘッドホンの利点は、耳の近くに発音源があることで微細な音が聴き取りやすく、使用時に周囲に迷惑をかけにくいという点だ。つまり、パーソナルユースで音楽を楽しむのにうってつけというわけである。
ただし、最大の問題がある。それは「音場」「音像」が頭の中にできる『頭内定位』現象だ。スピーカーに対峙して音楽を聴く場合、音楽は基本的に前方に定位する。ヘッドホンはそれとは違う形で再現されるわけで、その点をヘッドホンを忌み嫌う音楽ファン、オーディオマニアは指摘するわけだ。
しかし、クロスゾーンがリリースした「CZ-1」は、そうした問題をほぼクリアした画期的なヘッドホンだ。一方のイヤーカップ内に反対チャンネルの音を微小に混ぜ合わせ、部屋にスピーカーを置いた時に反射や反響を経て届く音も少量ブレンド。3つのドライバーユニットの取付け角度と位置を吟味したことで、頭内(脳内)に音場ができるのではなく、あたかも額の辺りに音像が結ばれ、音場が形成されるように感じるのだ。
こうしたアプローチは、過去にはデジタル信号処理などの“電気仕掛け”で可能とした例があったが、CZ-1はそれを完全なアコースティカルな手法で実現。そこが画期的なのである。また、マグネシウムダイキャスト製のヘッドバンドや、トーションバネを利用した側圧調整など、長時間の使用でも疲れにくい機構も新規開発している。
今回はこのCZ-1を映像機器と組み合わせ、“パーソナルコンサートホール”とも呼ぶべきシステムを構築して、ロックやポップスのライヴ映像作品を“独り占め”で楽しんでみようという企画だ。
■55型有機ELテレビと組み合わせて最新の音楽BDを聴く
パーソナルユースを想定して今回用意したのは、以下のようなシステムだ。パナソニックの有機ELテレビ「TH-55EZ950」と同社のUHD BDプレーヤー「DMP-UB900」はHDMIケーブルで接続して映像を出力する。一方でDMP-UB900の光デジタル出力をヘッドホンアンプ内蔵USB-DACのパイオニア「U-05」へ入力して、U-05のヘッドホンアンプでCZ-1を鳴らした。
今回のシステムは一例であり、もしもこの組み合わせをさらにパワフルにグレードアップするとしたら、テレビやUHD-BDプレーヤーは最新型なので、ヘッドホンアンプを替えてみてもいいだろう。なぜなら、このカテゴリーの進歩は著しいからだ。
例えば、今ならばオーストリアのヘッドホンアンプ専業メーカーBURSON AUDIOの「Conductor V2+」などがおもしろそうだ。純A級のアナログアンプを採用し、内蔵DSB-DACは最新の音楽ファイルフォーマットに準拠している。
■井上陽水の美しい声をホールトーンに至るまで忠実に再現
さて、まず最初に観たのが、『井上陽水コンサート2015/UC2』。陽水が近年推し進めてきたカヴァーソングを中心とした、15年12月、東京国際フォーラムでの収録である。私にとって陽水は、中学生の頃から聴き続けてきた、いわば神様的存在。あの独特の艶かしい美声が、昭和歌謡や他のシンガーソングライターが手掛けた数々の名曲を歌いこなしている。
例えば「有楽町で逢いましょう」は、フランク永井の大ヒット曲だ。CZ-1で聴く陽水のその歌唱は、ヴォーカルの前方定位と画面とのマッチングが良好で、伴奏との自然な一体感を感じる。あの声が実にセクシーに感じられ、男ながらウットリしてしまうのだ。透明で艶やかな声の高域、あるいは凄腕のサポートミュージシャン揃いのリズムセクションに、CZ-1の2ウェイドライバーの真価が発揮された。コーラスの女性2人のハーモニーもよく、演奏全体がリッチなホールトーンを伴って立体的に感じられた。
次ページ3.5mという通常より長めのケーブルでリラックスした視聴を可能に