公開日 2018/01/17 12:08
待望の水樹奈々ハイレゾをCDと比較試聴! 名門ブランドのハイレゾ対応モデルでサウンドレビュー
AKG「K812」「N40」で試聴
ハイレゾ音源配信を望むアーティストの1位に輝いた水樹奈々の個人名義作品が、いよいよハイレゾとなってリリースされる。取り扱いはmora、e-onkyo music、レコチョクなど。
第一弾は1月10日に発売されたおよそ6年ぶりのベストアルバム『THE MUSEUM III』だ。『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズのオープニングテーマ曲や『魔法少女リリカルなのは』シリーズ、『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』、今季放送が始まった『バジリスク〜桜花忍法帖〜』といった作品のテーマ曲が並ぶ。
CDのリリースから一週間後である17日に48kHz/24bitハイレゾ版の配信がスタートしたわけであるが、具体的にCDとの音の違いはどこにあるのか? そして基本的なハイレゾのメリット、『THE MUSEUM III』を含めたアニソンならではのハイレゾの楽しみ方についても紹介してみたい。
■“爽快なヌケの良さ”のCD、“濃密な密度感と伸びやかさ”のハイレゾ
早速だが、今回の本題である水樹奈々のハイレゾはどのように仕上がっているのか。筆者が聴いた限りではファンの心を打つ魅力が込められたサウンドとなっていると感じる。
アルバム全体の試聴に用いたシステムはスピーカー:TAD「TAD-CE1」、プリアンプ:アキュフェーズ「C-2850」、パワーアンプ:アキュフェーズ「A-70」、USB-DAC:LH Labs「Vi DAC」。なお、ハイレゾについての基本的な項目については最後のページにまとめている。少し専門的な話になるが、ハイレゾ音源に共通する基本的な部分となるので、ぜひ読んでみてほしい。
まず基本的なサウンド傾向についてだが、『THE MUSEUM III』がオープニングテーマや主題歌を中心とした構成ということもあり、スピード感あふれるアップテンポな楽曲が中心である。
CDはそのスピード感に重点を置き、シャープでソリッドなボーカルを明瞭に際立たせるようにリズム隊をタイトに引き締め、リズムのアタックをキレ良く鮮明に押し出す。一言で言うなら “爽快なヌケの良さ” が特徴といえるだろう。
キレ良く煌びやかでメリハリを利かしたCDの音は、どんなシステムであってもボーカルの芯の強さや熱量、楽曲で伝えたい思いをよどみなくストレートに聴かせる傾向といえる。
対してのハイレゾ版は、ほぐれの良さを優先したような印象。リズム隊やエレキギターの中低域の密度感が増し、ボーカルも抑揚感や歌い始めの滑らかさ、呼吸の僅かな動きなど、歌の表情が誇張なく伝わってくる。CDではボーカルの凛とした際立ち感をBGMが支えているような雰囲気であったが、こちらはバンドとのアンサンブルを大事にしたグルーヴ感を主体とした印象だ。
ミックスバランスは変わっていないのに、ハイレゾ版のボーカルはバンドの楽器にうまく溶け込みつつもきちんと存在感を放っており、楽曲の世界観を成立させている。声質も肩の力を抜いたような自然で生々しいニュアンスが引き立っており、長時間聴くのであれば断然ハイレゾ版の方が優位であろう。まさにこのハイレゾ版は “濃密な密度感と伸びやかさ” が特徴のサウンドだ。
さて、このより微細で滑らかなサウンド性のハイレゾ版に込められた表現をすくいあげるには、ある程度のクオリティを持つハイレゾ対応機器を用いたほうが、違いが分かりやすいだろう。CDとハイレゾ版の音の差は瞬間的に大きな差が分かるほど明確ではない印象なので、少なくともエントリークラスのハイレゾ対応DAPや1万円クラスのイヤホンくらいのラインから検討はいただきたいところだ。一般的なシステムの場合は瞬発性の良いアンプ、スピーカーが必須だろう。
ここからはアルバムから数曲チョイスし、より細かなレビューを行っていきたい。再生環境としてAKGのプロフェッショナルラインの最上位オープン型ヘッドホン「K812」、およびイヤホンにダイナミック型とBA型ドライバーによるハイブリッド2ウェイ方式のAKG「N40」を用意した。ともにハイレゾ対応モデルとなる。
K812は、プロが音楽制作の現場でも使用できるほどの再生能力を備えたモニタリング用ヘッドホンのフラグシップに位置付けられるモデル。1.5テスラの磁束密度を持つマグネットにより駆動されるドライバーは53mm径と、AKGでも最大サイズだ。
複合材を用いたダイアフラムの中心部は、エアフロー・ドーム構造により空気の流れを制御。ボイスコイルには銅被膜アルミニウムを使用した2層構造を採るなど豪奢な設計で、再生周波数帯域は5Hz〜54kHzを誇る。メッシュ構造のヘッドバンドや全体の軽量化など、長時間のリスニングにも配慮した設計となっている。
N40は、AKGの人気イヤホン「N」シリーズのトップモデル。「K3003」イヤホンの特徴でもあったバランスの良さ、ネットワークを使わないアコースティックなサウンドチューニングによる鮮度の高い素直な空間性を継承しながら、さらにリケーブルにも対応させている。
中高域を担当するバランスド・アーマチュア型ドライバー1基と、低域を担当する8mmダイナミック型ドライバーによる、高域から低域までシームレスなサウンドを持つ新世代ハイブリッド機だ。
第一弾は1月10日に発売されたおよそ6年ぶりのベストアルバム『THE MUSEUM III』だ。『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズのオープニングテーマ曲や『魔法少女リリカルなのは』シリーズ、『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』、今季放送が始まった『バジリスク〜桜花忍法帖〜』といった作品のテーマ曲が並ぶ。
CDのリリースから一週間後である17日に48kHz/24bitハイレゾ版の配信がスタートしたわけであるが、具体的にCDとの音の違いはどこにあるのか? そして基本的なハイレゾのメリット、『THE MUSEUM III』を含めたアニソンならではのハイレゾの楽しみ方についても紹介してみたい。
■“爽快なヌケの良さ”のCD、“濃密な密度感と伸びやかさ”のハイレゾ
早速だが、今回の本題である水樹奈々のハイレゾはどのように仕上がっているのか。筆者が聴いた限りではファンの心を打つ魅力が込められたサウンドとなっていると感じる。
アルバム全体の試聴に用いたシステムはスピーカー:TAD「TAD-CE1」、プリアンプ:アキュフェーズ「C-2850」、パワーアンプ:アキュフェーズ「A-70」、USB-DAC:LH Labs「Vi DAC」。なお、ハイレゾについての基本的な項目については最後のページにまとめている。少し専門的な話になるが、ハイレゾ音源に共通する基本的な部分となるので、ぜひ読んでみてほしい。
まず基本的なサウンド傾向についてだが、『THE MUSEUM III』がオープニングテーマや主題歌を中心とした構成ということもあり、スピード感あふれるアップテンポな楽曲が中心である。
CDはそのスピード感に重点を置き、シャープでソリッドなボーカルを明瞭に際立たせるようにリズム隊をタイトに引き締め、リズムのアタックをキレ良く鮮明に押し出す。一言で言うなら “爽快なヌケの良さ” が特徴といえるだろう。
キレ良く煌びやかでメリハリを利かしたCDの音は、どんなシステムであってもボーカルの芯の強さや熱量、楽曲で伝えたい思いをよどみなくストレートに聴かせる傾向といえる。
対してのハイレゾ版は、ほぐれの良さを優先したような印象。リズム隊やエレキギターの中低域の密度感が増し、ボーカルも抑揚感や歌い始めの滑らかさ、呼吸の僅かな動きなど、歌の表情が誇張なく伝わってくる。CDではボーカルの凛とした際立ち感をBGMが支えているような雰囲気であったが、こちらはバンドとのアンサンブルを大事にしたグルーヴ感を主体とした印象だ。
ミックスバランスは変わっていないのに、ハイレゾ版のボーカルはバンドの楽器にうまく溶け込みつつもきちんと存在感を放っており、楽曲の世界観を成立させている。声質も肩の力を抜いたような自然で生々しいニュアンスが引き立っており、長時間聴くのであれば断然ハイレゾ版の方が優位であろう。まさにこのハイレゾ版は “濃密な密度感と伸びやかさ” が特徴のサウンドだ。
さて、このより微細で滑らかなサウンド性のハイレゾ版に込められた表現をすくいあげるには、ある程度のクオリティを持つハイレゾ対応機器を用いたほうが、違いが分かりやすいだろう。CDとハイレゾ版の音の差は瞬間的に大きな差が分かるほど明確ではない印象なので、少なくともエントリークラスのハイレゾ対応DAPや1万円クラスのイヤホンくらいのラインから検討はいただきたいところだ。一般的なシステムの場合は瞬発性の良いアンプ、スピーカーが必須だろう。
ここからはアルバムから数曲チョイスし、より細かなレビューを行っていきたい。再生環境としてAKGのプロフェッショナルラインの最上位オープン型ヘッドホン「K812」、およびイヤホンにダイナミック型とBA型ドライバーによるハイブリッド2ウェイ方式のAKG「N40」を用意した。ともにハイレゾ対応モデルとなる。
K812は、プロが音楽制作の現場でも使用できるほどの再生能力を備えたモニタリング用ヘッドホンのフラグシップに位置付けられるモデル。1.5テスラの磁束密度を持つマグネットにより駆動されるドライバーは53mm径と、AKGでも最大サイズだ。
複合材を用いたダイアフラムの中心部は、エアフロー・ドーム構造により空気の流れを制御。ボイスコイルには銅被膜アルミニウムを使用した2層構造を採るなど豪奢な設計で、再生周波数帯域は5Hz〜54kHzを誇る。メッシュ構造のヘッドバンドや全体の軽量化など、長時間のリスニングにも配慮した設計となっている。
N40は、AKGの人気イヤホン「N」シリーズのトップモデル。「K3003」イヤホンの特徴でもあったバランスの良さ、ネットワークを使わないアコースティックなサウンドチューニングによる鮮度の高い素直な空間性を継承しながら、さらにリケーブルにも対応させている。
中高域を担当するバランスド・アーマチュア型ドライバー1基と、低域を担当する8mmダイナミック型ドライバーによる、高域から低域までシームレスなサウンドを持つ新世代ハイブリッド機だ。