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公開日 2020/10/31 07:30

ハイレゾ再生はさらなる高みへ。DELAハブや外部クロックの導入で“衝撃的なシステムアップ”を体感

<連載>角田郁雄のオーディオSUPREME
角田郁雄
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■電源を強化したネットワークハブ。ハイレゾ再生への効果を自宅で検証

読者の皆さま、お元気でしょうか。なかなか晴々とした気分になりませんね。私は、今のところ元気で仕事と音楽を楽しんでいるところです。

今私が検討を進めているのは、どうしたらハイレゾ再生がもっと高品位化されるだろうか? ということです。そうこう考えている最中、メルコシンクレッツはDELAブランドから、驚きの50セット限定ネットワークハブ(スイッチングハブとも呼ばれる)「S10」を発売しました。この製品は、S100を大幅に進化させた製品で、私はこれに興味津々。ちょっと試したいという気持ちになりました。

電源別筐体となるDELAのネットワークスイッチ「S10」。価格は600,000円/税抜

最初に、本製品の主な特徴を紹介しましょう。まず、そのデザインですが、ミュージックライブラリー(NAS)「N10」「N100」、オプティカルディスクドライブ「D10」「D100」などと統一され、まさに、ハーフサイズのコンポーネントスタイルを鮮明にしていることが魅力です。

そして、驚くことは、なんと一般的なスイッチング電源を内蔵したネットワークハブではなく、電源を別筐体とし、ちょっとしたCDプレーヤーやDACまで駆動できそうな大型リングトロイダルトランス、容量の大きなフィルターコンデンサー、高品位な整流回路を採用したマッシブなアナログ電源を構成していることです。本体内部も精密に構成され、放熱器を兼ねたアルミシールドされたCPUが中央に配置されていて、各LANポートとの伝送距離も最短にしているようです。

S10の内部。左が本体、右が電源部。大型トロイダルトランスやコンデンサーで、電源部にもこだわった設計がなされている

そのポートですが、100Mbps固定設定のLANポートと、1Gbps対応のLANポート、先進の光接続にも対応する SFPポートが搭載されていて、通信速度やケーブル媒体の違いによる変化が楽しめます。さらにリアパネル中央にはLED消灯スイッチを搭載し、各ポートの動作確認LED点滅駆動の通信への影響を排除することができます。フロントパネルには通電動作を表示する電源LEDのみ搭載しています(LEDは点滅した時に、特に多くの微小ノイズを発生させます)。

S10のリアパネル。上が本体、下が電源部。本体の左4つが100Mbps、中央4つが1Gbps、右の縦に2つあるのがSFPポート

各筐体も確認すると、厚みのあるアルミ材をふんだんに使用した、このサイズとしては重量級仕様です。また、強固な脚部も備え、微細振動をも徹底排除する構造となっています。

■音の透明度が高まり、楽器の倍音成分が豊富に現れてくる

現在私は、初代のミュージックライブラリー「N1Z」をアップグレードしながら使用し、このLAN出力をダイレクトに愛用のdCS Vivaldiデジタルプレイバックシステムの Upsampler(アップサンプリングできるデジタル・コントローラー。デジタル信号のハブのような機器)に接続しています。なので、S10を導入してもあまり効果がないのでは? と予測していました。余分な回路を通過するわけですからね。

dCSのVivaldiシリーズ、DELAのN1ZとS10の組み合わせ

しかしながら、実際にN1ZとVivaldi Upsamplerからの2本のLANケーブルをS10に接続し再生すると、信じられないほど音の透明度が高まり、ノイズフロアに埋もれていた微弱音までも浮き上がった印象を受けました。弱音が浮き上がると、当然のことですが、楽器や声の倍音成分が豊富になります。豊かな響きになるわけですね。

判断しやすい音としては、シンバルやトランペットなどの金属系の楽器の響きを聴くと分かりやすいでしょう。クラシック好きなら、ヴァイオリンやチェロの胴の響きを確認すると、木質感を鮮明にしていることも分かるはずです。

試聴楽曲 カラヤン、ベルリン・フィルによる『シューマン:交響曲全集』

そしてヴォーカルを聴いてみると、巧みな声使いやブレス、そして、歌い手の声質を一層リアルに再現してくれます。もう一つの大きな特徴は、再生する音源に内包する空間を存分に描写してくれ、録音の優れた音源を再生すると、スタジオステージやホールの広さや奥行き感をよく表現してくれます。

試聴楽曲 HOFF EMSEMBLEの『Quiet Winter Night』

これは、高精度で近傍位相ノイズの少ない10MHzマスタークロックジェネレーターを、dCSのVivaldiに接続した時とまったく同様の感覚です。S10は、マッシブなノイズの少ないアナログ電源で駆動されているので、S100と比べて見るとよりクリーンで、アナログ的な滑らかさや厚みのある音質を実現し、弱音再現性の高い、高解像度再生を実感します。ダイナミックレンジも拡張され、一気にシステムがアップグレードした印象を受けます。取りはずしたくなくなりますね。

なお、先にお話したポートの件ですが、同社の説明によると、Wi-Fiルーターなどのインターネット回線と同社のミュージックライブラリー(NAS)間のLAN接続には、1Gbpsポートを使用し、ネットワークプレーヤーの多くは、100Mbpsポートが多いので、100Mbpsポートに接続することがベストとのことです(例:LINN)。また、一部のネットワークプレーヤーでは、1Gbpsポートを採用していることもあり(例:エソテリック)、その場合は、1Gbpsポートに接続することが大切とのことです。

次ページ話題の光アイソレートも実践!

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