公開日 2021/07/01 06:30
イヤホン初心者にも「間違いない」選択肢。JVCの完全ワイヤレス「HA-A11T」レビュー
前モデルから様々な面で機能を強化
■期待以上に「間違いない」低価格帯完全ワイヤレス
多くの音楽ファンにとって現実的な選択肢となる、エントリー価格帯の完全ワイヤレスイヤホン。新鋭から大手までの様々な製品が溢れているがだからこそ、どれを選べばいいのか不安に感じるイヤホンビギナーも増えているかもしれない。
そんな方にも「ここの製品なら安心!」とおすすめしやすいブランドのひとつがJVC。かつてのビクターとケンウッドが統合された株式会社JVCケンウッド製品のブランドだ。日本のオーディオのド真ん中を担ってきた老舗であり、音響だけではなく無線など幅広い技術による製品を展開。さらにはレコード会社として日本の音楽の発展にも寄与してきた企業でもあるので、オーディオと音楽の分野においての信頼度は絶大だ。安心しかない。
そのJVCのエントリークラス完全ワイヤレスイヤホン最新製品が、ここで紹介する「HA-A11T」。予想実売価格は税込6,500円前後。
基本フォーマットは2019年10月発売の「HA-A10T」から継承している。本体やケースの形もそうだし、誤動作を避けてあえてタッチ式ではなくフィジカルなボタンを採用している点もそうだ。
その上で、いくつかの大きな強化が施されている。
まず誰にとっても嬉しいのは連続再生時間の強化。ここは特に「大幅」強化と強調しておきたいレベルだ。
●HA-A10T:本体約4時間+ケースで2.5回充電=約14時間
●HA-A11T:本体約8時間+ケースで2.5回充電=約28時間
と、まさに倍増されている。合わせてクイック充電も、15分充電で1時間再生から、10分充電で1時間再生に進化した。
この再生時間倍増は主に採用チップの省電力化などのおかげのようで、イヤホンやケースの大きさには目立った違いはない。着け心地や携帯性はこれまで通り維持されているわけだ。
現在では一般的になってきた外音取り込み機能も、そのニーズに応える形で新たに搭載。右イヤホンの1回クリックで呼び出せる。
こちらの「タッチ&トーク」機能の特徴は、外音を取り込む際に音楽再生を停止はせずに、再生音量をぐっと下げて外音メインに調整してくれること。再生を止めるタイプとどちらがよいかは好み次第かと思うが、音楽好きにはこちらの方がしっくりくるのではないか。もちろん、人の声を中心に外音の聞き取りやすさも問題なしだ。
音質に関わる面として、aptXコーデックへの対応も見逃せない。同じくaptXに対応するAndroidスマートフォンとの組み合わせであれば、SBCコーデックでの接続よりも高音質を期待できる。
そのほか、左右独立伝送技術「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」に対応し、対応スマートフォンとの組み合わせでは接続のさらなる安定や低遅延が実現され、片耳使用も可能。高性能マイクとcVc通話ノイズキャンセリング機能でテレワーク対応強化。引き続きIPX5防水にも対応し、おおよそ隙のない仕様となっている。
唯一の弱点と言わざるを得ないのは、充電端子がmicroUSBのままであること。最新のスマートフォン等と充電ケーブルを共用することができないのは少し不便だ。そこが気になるかどうかは、各自の状況次第だろう。microBとUSB-Cの二又ケーブルなども販売されているので、そういったものを活用して使いやすくするのもアリだ。
サウンドは、まずaptX対応DAPとの組み合わせでチェックした。
全体の印象として、解像感や繊細さにも逆にパワフルさにもどちらにも寄りすぎることのなく、整えすぎず荒削りすぎず、過不足のないバランス型と感じた。
YOASOBI「怪物」は、シンセによると思われるメインリフのエッジの効いた音色にインパクトがある曲。このイヤホンはそのエッジを十分に感じさせつつ、しかし耳障りにギザギザさせてしまうこともなく、ちょうどよいエッジ感で届けてくれる。
空間の広がり表現は控えめなのだが、音数の多いこの曲でも、ごちゃごちゃした感じにならないのもポイント。前述の適度なエッジもあり、ひとつひとつの音の抜け感が確保されているおかげだろうか。J-POPらしい情報量の多さにもしっかり対応してくれる。
星野源「不思議」ではベースラインの表現が見事。大柄なボリューム感で存在を主張するのではなく、音色の濃さやくっきり感でフレーズを届けてくれる。演奏における音のトメハネのコントロールも十分再現されており、ベースがグルーヴの要になっていることもよくわかる。
バンドサウンド的に全体のなじみがよいこともポイント。それでいて例えば、意識的に耳を向ければ長岡さんのギターの印象的なフレーズも演奏ニュアンスまで見えてくるなど、全体のなじみと細部の描写のバランスも良好だ。
最後に、iPhoneとの組み合わせでSBCコーデックでのサウンドもチェックした。ボーカルの抜けなどが少し弱くなる気はしたが、全体の大まかな印象が変わるほどではない。iPhoneユーザーも安心して選択肢に入れて欲しい。
安心の老舗ブランドが好評モデルをアップデートし、完成度を高めた新モデルならさらに安心、と思いつつ試してみたわけだが、やはりというか、期待以上に「間違いない製品」だった。完全ワイヤレスイヤホン選びに迷ったときこそ目を向けてみてほしいモデルだ。
多くの音楽ファンにとって現実的な選択肢となる、エントリー価格帯の完全ワイヤレスイヤホン。新鋭から大手までの様々な製品が溢れているがだからこそ、どれを選べばいいのか不安に感じるイヤホンビギナーも増えているかもしれない。
そんな方にも「ここの製品なら安心!」とおすすめしやすいブランドのひとつがJVC。かつてのビクターとケンウッドが統合された株式会社JVCケンウッド製品のブランドだ。日本のオーディオのド真ん中を担ってきた老舗であり、音響だけではなく無線など幅広い技術による製品を展開。さらにはレコード会社として日本の音楽の発展にも寄与してきた企業でもあるので、オーディオと音楽の分野においての信頼度は絶大だ。安心しかない。
そのJVCのエントリークラス完全ワイヤレスイヤホン最新製品が、ここで紹介する「HA-A11T」。予想実売価格は税込6,500円前後。
基本フォーマットは2019年10月発売の「HA-A10T」から継承している。本体やケースの形もそうだし、誤動作を避けてあえてタッチ式ではなくフィジカルなボタンを採用している点もそうだ。
その上で、いくつかの大きな強化が施されている。
まず誰にとっても嬉しいのは連続再生時間の強化。ここは特に「大幅」強化と強調しておきたいレベルだ。
●HA-A10T:本体約4時間+ケースで2.5回充電=約14時間
●HA-A11T:本体約8時間+ケースで2.5回充電=約28時間
と、まさに倍増されている。合わせてクイック充電も、15分充電で1時間再生から、10分充電で1時間再生に進化した。
この再生時間倍増は主に採用チップの省電力化などのおかげのようで、イヤホンやケースの大きさには目立った違いはない。着け心地や携帯性はこれまで通り維持されているわけだ。
現在では一般的になってきた外音取り込み機能も、そのニーズに応える形で新たに搭載。右イヤホンの1回クリックで呼び出せる。
こちらの「タッチ&トーク」機能の特徴は、外音を取り込む際に音楽再生を停止はせずに、再生音量をぐっと下げて外音メインに調整してくれること。再生を止めるタイプとどちらがよいかは好み次第かと思うが、音楽好きにはこちらの方がしっくりくるのではないか。もちろん、人の声を中心に外音の聞き取りやすさも問題なしだ。
音質に関わる面として、aptXコーデックへの対応も見逃せない。同じくaptXに対応するAndroidスマートフォンとの組み合わせであれば、SBCコーデックでの接続よりも高音質を期待できる。
そのほか、左右独立伝送技術「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」に対応し、対応スマートフォンとの組み合わせでは接続のさらなる安定や低遅延が実現され、片耳使用も可能。高性能マイクとcVc通話ノイズキャンセリング機能でテレワーク対応強化。引き続きIPX5防水にも対応し、おおよそ隙のない仕様となっている。
唯一の弱点と言わざるを得ないのは、充電端子がmicroUSBのままであること。最新のスマートフォン等と充電ケーブルを共用することができないのは少し不便だ。そこが気になるかどうかは、各自の状況次第だろう。microBとUSB-Cの二又ケーブルなども販売されているので、そういったものを活用して使いやすくするのもアリだ。
サウンドは、まずaptX対応DAPとの組み合わせでチェックした。
全体の印象として、解像感や繊細さにも逆にパワフルさにもどちらにも寄りすぎることのなく、整えすぎず荒削りすぎず、過不足のないバランス型と感じた。
YOASOBI「怪物」は、シンセによると思われるメインリフのエッジの効いた音色にインパクトがある曲。このイヤホンはそのエッジを十分に感じさせつつ、しかし耳障りにギザギザさせてしまうこともなく、ちょうどよいエッジ感で届けてくれる。
空間の広がり表現は控えめなのだが、音数の多いこの曲でも、ごちゃごちゃした感じにならないのもポイント。前述の適度なエッジもあり、ひとつひとつの音の抜け感が確保されているおかげだろうか。J-POPらしい情報量の多さにもしっかり対応してくれる。
星野源「不思議」ではベースラインの表現が見事。大柄なボリューム感で存在を主張するのではなく、音色の濃さやくっきり感でフレーズを届けてくれる。演奏における音のトメハネのコントロールも十分再現されており、ベースがグルーヴの要になっていることもよくわかる。
バンドサウンド的に全体のなじみがよいこともポイント。それでいて例えば、意識的に耳を向ければ長岡さんのギターの印象的なフレーズも演奏ニュアンスまで見えてくるなど、全体のなじみと細部の描写のバランスも良好だ。
最後に、iPhoneとの組み合わせでSBCコーデックでのサウンドもチェックした。ボーカルの抜けなどが少し弱くなる気はしたが、全体の大まかな印象が変わるほどではない。iPhoneユーザーも安心して選択肢に入れて欲しい。
安心の老舗ブランドが好評モデルをアップデートし、完成度を高めた新モデルならさらに安心、と思いつつ試してみたわけだが、やはりというか、期待以上に「間違いない製品」だった。完全ワイヤレスイヤホン選びに迷ったときこそ目を向けてみてほしいモデルだ。