公開日 2021/07/11 12:00
ヒゲダンライブの“熱”はお家でどこまで再現できる? ドルビーアトモスでの生配信を体験した
ライブの裏で行われた実験をレポート
2021年6月23、24日、横浜のぴあアリーナMMにてOfficial髭男dism(ヒゲダン)のライブ『Official髭男dism Road to 「one - man tour 2021-2022」』が開催された。
ヒゲダンにとって、実に1年4ヶ月ぶりとなる有観客ライブ。歓声こそまだあげられないものの、久しぶりのリアルライブに参戦するヒゲダンファンたちは、重い雨雲も吹き飛ばすほどの盛り上がりを見せていた。
そんな静かな熱狂の最中、バックステージでは、とある実験が行われていた。今まさに公演中のライブを、ドルビーアトモス音声(イマーシブオーディオ)でリアルタイム配信する、というものだ。
イマーシブオーディオでは、視聴者の前や後ろ、上にスピーカーを配置する、もしくは仮想的に置くことで、さながら包み込まれるような感覚が得られる。昨今は情勢もありライブのリアルタイム配信が当たり前になってきているが、そのほとんどはステレオによるもの。それを家庭用に販売されているイマーシブオーディオシステムでやってみるとどうなるか、音楽レーベルや配信業者といった業界関係者に体験してもらいたい、という考えから実現した試みだ。
はたしてイマーシブオーディオ配信でライブの熱量をどこまで再現できるのか、その模様をレポートする。なお、ここから先は一部ライブの内容に言及する箇所があるため、一切の前情報なしでこれからオンライン配信を楽しみたいという方は注意していただきたい。
■包み込むように鳴り響く拍手は“まさにライブ会場そのもの”
会場裏手の駐車場に停められたトレーラーが、今回のリアルタイム配信の会場だ。ライブの機材搬入車をそのまま流用したもので、デノンの協力により5.1.4chのシステムを構築。AVアンプはデノンの「AVC-X8500HA」、スピーカーは5.1chにB&Wの“700シリーズ”、ハイト用のスピーカーにはDALIの「ALTECO C1」を用いている。また、ドルビーアトモス対応サウンドバー「DENON HOME SOUND BAR 550」も用意され、手軽なシステムではどのように聴こえるかも体験できるようになっていた。
同敷地内にはTBSアクト(TACT)の中継車が停められており、ここでリアルタイムでの音声ミックスを実施。ミックスされた音声はトレーラーへと送られ、専用の機材でドルビーアトモス 5.1.4chへのエンコードと、別で送られてきた映像との同期が行われる。
実際のライブ配信であれば、この状態で各配信プラットフォーム会社へ回線が渡されるが、今回はその場でデコードし、AVアンプへと送り込んで再生する。つまりは「実際のライブからリアルタイム配信用の素材を作り、家庭のシステムで再生されるまで」の一連の流れを、コンパクトに再現しているわけだ。
久しぶりの有観客ライブということもあり、エンコードなどの作業を担当したポニーキャニオンエンタープライズのMAエンジニア・村上智広氏が拍手を雨音と勘違いする一幕を挟みつつ、いよいよライブがスタート。実際、万雷の拍手が前から後ろから、そして上から聞こえてくるさまは、本当にアリーナにいるかのようで、メンバーが登場する前から一気に引き込まれてしまう。
「I LOVE...」から始まった楽曲においてもイマーシブオーディオの効果は如実で、ライブ特有の、空気中に音が満ちるような雰囲気がかなり高いレベルで再現されている。「旅は道連れ」のように賑やかな曲も楽しいが、個人的には「Pretender」ラストの、ピアノだけが響き渡るところなどに、特にイマーシブが活きてくるように感じた。
今回はステレオ再生との切り替えも可能だったので途中で何度か試してみたが、イマーシブオーディオと比較すると、ステレオではどうしても“その場に自分もいるような空気感”までは再現しきれていないように思える。それこそついさっきまでライブ会場にいたのに、外につまみ出されてモニター越しにライブを見せられているような感覚だ。
全体を通して最も印象的だったのは、「『こんなことあったね』と笑って言える日が来るまで頑張りましょう」というメッセージとともにスタートした「Stand By You」だ。この曲はBメロにハンドクラップとハモリのパートがある、言わばオーディエンス参加型の曲なのだが、自分の周囲で一斉にクラップが鳴り響く様は、まさにライブの現場そのもの。別会場にいながら現地にいるような感覚に加え、現在の情勢も相まってか、“離れても繋がっている”感覚を強く感じさせてくれた。
ヒゲダンにとって、実に1年4ヶ月ぶりとなる有観客ライブ。歓声こそまだあげられないものの、久しぶりのリアルライブに参戦するヒゲダンファンたちは、重い雨雲も吹き飛ばすほどの盛り上がりを見せていた。
そんな静かな熱狂の最中、バックステージでは、とある実験が行われていた。今まさに公演中のライブを、ドルビーアトモス音声(イマーシブオーディオ)でリアルタイム配信する、というものだ。
イマーシブオーディオでは、視聴者の前や後ろ、上にスピーカーを配置する、もしくは仮想的に置くことで、さながら包み込まれるような感覚が得られる。昨今は情勢もありライブのリアルタイム配信が当たり前になってきているが、そのほとんどはステレオによるもの。それを家庭用に販売されているイマーシブオーディオシステムでやってみるとどうなるか、音楽レーベルや配信業者といった業界関係者に体験してもらいたい、という考えから実現した試みだ。
はたしてイマーシブオーディオ配信でライブの熱量をどこまで再現できるのか、その模様をレポートする。なお、ここから先は一部ライブの内容に言及する箇所があるため、一切の前情報なしでこれからオンライン配信を楽しみたいという方は注意していただきたい。
■包み込むように鳴り響く拍手は“まさにライブ会場そのもの”
会場裏手の駐車場に停められたトレーラーが、今回のリアルタイム配信の会場だ。ライブの機材搬入車をそのまま流用したもので、デノンの協力により5.1.4chのシステムを構築。AVアンプはデノンの「AVC-X8500HA」、スピーカーは5.1chにB&Wの“700シリーズ”、ハイト用のスピーカーにはDALIの「ALTECO C1」を用いている。また、ドルビーアトモス対応サウンドバー「DENON HOME SOUND BAR 550」も用意され、手軽なシステムではどのように聴こえるかも体験できるようになっていた。
同敷地内にはTBSアクト(TACT)の中継車が停められており、ここでリアルタイムでの音声ミックスを実施。ミックスされた音声はトレーラーへと送られ、専用の機材でドルビーアトモス 5.1.4chへのエンコードと、別で送られてきた映像との同期が行われる。
実際のライブ配信であれば、この状態で各配信プラットフォーム会社へ回線が渡されるが、今回はその場でデコードし、AVアンプへと送り込んで再生する。つまりは「実際のライブからリアルタイム配信用の素材を作り、家庭のシステムで再生されるまで」の一連の流れを、コンパクトに再現しているわけだ。
久しぶりの有観客ライブということもあり、エンコードなどの作業を担当したポニーキャニオンエンタープライズのMAエンジニア・村上智広氏が拍手を雨音と勘違いする一幕を挟みつつ、いよいよライブがスタート。実際、万雷の拍手が前から後ろから、そして上から聞こえてくるさまは、本当にアリーナにいるかのようで、メンバーが登場する前から一気に引き込まれてしまう。
「I LOVE...」から始まった楽曲においてもイマーシブオーディオの効果は如実で、ライブ特有の、空気中に音が満ちるような雰囲気がかなり高いレベルで再現されている。「旅は道連れ」のように賑やかな曲も楽しいが、個人的には「Pretender」ラストの、ピアノだけが響き渡るところなどに、特にイマーシブが活きてくるように感じた。
今回はステレオ再生との切り替えも可能だったので途中で何度か試してみたが、イマーシブオーディオと比較すると、ステレオではどうしても“その場に自分もいるような空気感”までは再現しきれていないように思える。それこそついさっきまでライブ会場にいたのに、外につまみ出されてモニター越しにライブを見せられているような感覚だ。
全体を通して最も印象的だったのは、「『こんなことあったね』と笑って言える日が来るまで頑張りましょう」というメッセージとともにスタートした「Stand By You」だ。この曲はBメロにハンドクラップとハモリのパートがある、言わばオーディエンス参加型の曲なのだが、自分の周囲で一斉にクラップが鳴り響く様は、まさにライブの現場そのもの。別会場にいながら現地にいるような感覚に加え、現在の情勢も相まってか、“離れても繋がっている”感覚を強く感じさせてくれた。
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