公開日 2021/09/10 06:30
アニソンも洋楽ロックも手応え十分! マランツ「30シリーズ」の“懐の深さ”を堪能
【特別企画】2000年以降の名盤を3人の評論家がセレクト
■昨今の音楽との相性の良さに注目したい30シリーズ(生形)
マランツから登場したSACD/ネットワークプレーヤー「SACD 30n」、そしてプリメインアンプ「MODEL 30」。デザイン、音質、機能性、と全方位での新しい方向性を、30万円代というミドルエントリークラスで、これほど高い完成度で打ち出したモデルは他に例を見ないと言っても過言ではないだろう。そんな新たな可能性を秘めたこの30シリーズの持ち味を徹底的に紐解くべく、本稿では、いつにも増して多彩なジャンルの音楽ソースでその実力を検証してみたい。
SACD 30n、MODEL 30が打ち出すポイントは、従来のオーディオファン以外にも強く訴求可能なデザイン性や、SACDからネットワーク、そして、ストリーミング再生までをカバーする広範な機能性という部分に加えて、やはりその「音質」がもっとも重要かつ特徴的だと言えるだろう。
それは、コンポーネントの組み合わせにおける、幅広い機器と合わせ易い親和性の高さに加えて、とりわけ昨今のワイドレンジかつニュートラルな音楽ソースとの相性の良さにあると筆者は考えている。オーディオ機器として、音楽を美しく楽しませるサウンドの趣向を備えながら、あくまで音楽ソース本来の表現バランスは遵守する。これは、多様なソース、多様な嗜好を満足させる上で必要な要素であり、また昨今の優れたオーディオ機器が備える、ある種のトレンドではないかと筆者は考える。
同時にそれは、音楽ソースにも言えることだと感じる。ハイレゾという概念が浸透し始めたことで、マジョリティ向けの音楽ソースでも、充分なダイナミックレンジを確保したり、ハイレゾフォーマットを活かした情報量やナチュラリティを備えたものが、少なからず増えてきている様相を確認できるからだ。
音圧競争に終止符が打たれたと言われて久しいが、マスタリング段階においても、ダイナミック・イコライザーやラウドネス・コントローラーなどのソフトウェアの普及によって、ダイナミックレンジと音圧感を手軽かつ的確に両立することが可能となったことが大きいのではないかと推察する。勿論、DAWソフトウェアなど制作ツールのトランスペアレンシーの進歩向上も大きいだろう。それだけに、再生するオーディオ機器側も、その音楽ソースのポテンシャルをナチュラルに活かす性能が問われているように思うのだ。
■全方位からオーディオの新たな価値観や魅力を訴求
それに対応するのが、まさにこのSACD 30n、MODEL 30ではないだろうか。SACD 30nであれば、先述したように、音楽を美しく楽しませる、僅かにメリハリあるサウンドを備えていることが非常に魅力的である。
その名の通り、CDやSACDによるディスク再生は勿論として、ネットワーク再生からストリーミング再生、それらの有線及び無線でのアクセス、さらにはBluetoothから良質なヘッドホンまで、現代の多様なリスニングシーンにおけるあらゆるソースを網羅していることが特徴だ。とりわけ、Amazon Music HDに対応する数少ない機種の中で、このクラスのクオリティの再生能力を持ったものは、国内においてこの価格帯ではほかに望めないほどだろう。
また、デジタルプレーヤーの心臓部でもあるDAC回路には、同社が上位シリーズSA-10やSA-12、SA-12 OSEで投入してきた、マランツが誇るライナー・フィンク氏設計のオリジナル・ディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering」が投入されていることが何よりもの特徴である。
加えて同社は、マランツ謹製のオリジナルDACを、満を持して初めてこの「SACD 30n」のような複合機に搭載した上で、マランツ史上最高のネットワーク再生音質を実現したと明言している。同社サウンドマスターの尾形好宣氏によると「ディスク再生に比べてクロック面で不利になりがちなネットワークやストリーミング再生でも、ジッターの叩き直し等にもコストを掛けたことで、廉価モデルでは実現できなかったクオリティを確保した」という。これは、マランツがこれまでネットワークプレーヤーで高い評価を得てきたことや、様々な機能が統合されるAVアンプ機器でも市場を席巻する実力を持っているからこそ実現できたことだと言えるだろう。
ストリーミングやネットワーク再生であっても、SACD再生に劣らない確固たる再生音質を確保し、なおかつ同一筐体上でそれらを両立共存させようとする、強い力の入れ具合が伝わるポイントである。
一方で、MODEL 30で特に注目したいのは、その着実な低域のグリップ力と颯爽たる音質である。昨今のポピュラーミュージック・ソースは、超低域方向までを十分に含んだソースも増えてきているが、その超低域をしっかりと深く沈み込ませるだけでなく、余韻を実にタイトに締めて奏でるのである。加えて、中低域の量感が意図的にタイトにしてあるようにも感じるのだが、それが、音数の多い現代的なソースをスマートなプロポーションで再現する魅力を持っていると感じさせる。
こちらも、かねてより同社の上位機、PM-10、PM-12、そして、PM-12 OSEで培って来たClass-Dパワーアンプ構成のノウハウが注ぎ込まれているのだ。肝としては、効率よくスペースファクターに優れるClass-Dアンプ構成によってパワーアンプ部の空間を大幅に省スペース化し、プリアンプ部へ十二分なスペースを確保して高い音質クオリティを確保していることが大きなポイントと言える。
以上、これらが実現する音質が、高いデザイン性と多様なソースに対応する機能性と組み合わさることによって、まさに全方位からオーディオの新たな価値観や魅力を広く訴求するポテンシャルを具現化するのである。
マランツから登場したSACD/ネットワークプレーヤー「SACD 30n」、そしてプリメインアンプ「MODEL 30」。デザイン、音質、機能性、と全方位での新しい方向性を、30万円代というミドルエントリークラスで、これほど高い完成度で打ち出したモデルは他に例を見ないと言っても過言ではないだろう。そんな新たな可能性を秘めたこの30シリーズの持ち味を徹底的に紐解くべく、本稿では、いつにも増して多彩なジャンルの音楽ソースでその実力を検証してみたい。
SACD 30n、MODEL 30が打ち出すポイントは、従来のオーディオファン以外にも強く訴求可能なデザイン性や、SACDからネットワーク、そして、ストリーミング再生までをカバーする広範な機能性という部分に加えて、やはりその「音質」がもっとも重要かつ特徴的だと言えるだろう。
それは、コンポーネントの組み合わせにおける、幅広い機器と合わせ易い親和性の高さに加えて、とりわけ昨今のワイドレンジかつニュートラルな音楽ソースとの相性の良さにあると筆者は考えている。オーディオ機器として、音楽を美しく楽しませるサウンドの趣向を備えながら、あくまで音楽ソース本来の表現バランスは遵守する。これは、多様なソース、多様な嗜好を満足させる上で必要な要素であり、また昨今の優れたオーディオ機器が備える、ある種のトレンドではないかと筆者は考える。
同時にそれは、音楽ソースにも言えることだと感じる。ハイレゾという概念が浸透し始めたことで、マジョリティ向けの音楽ソースでも、充分なダイナミックレンジを確保したり、ハイレゾフォーマットを活かした情報量やナチュラリティを備えたものが、少なからず増えてきている様相を確認できるからだ。
音圧競争に終止符が打たれたと言われて久しいが、マスタリング段階においても、ダイナミック・イコライザーやラウドネス・コントローラーなどのソフトウェアの普及によって、ダイナミックレンジと音圧感を手軽かつ的確に両立することが可能となったことが大きいのではないかと推察する。勿論、DAWソフトウェアなど制作ツールのトランスペアレンシーの進歩向上も大きいだろう。それだけに、再生するオーディオ機器側も、その音楽ソースのポテンシャルをナチュラルに活かす性能が問われているように思うのだ。
■全方位からオーディオの新たな価値観や魅力を訴求
それに対応するのが、まさにこのSACD 30n、MODEL 30ではないだろうか。SACD 30nであれば、先述したように、音楽を美しく楽しませる、僅かにメリハリあるサウンドを備えていることが非常に魅力的である。
その名の通り、CDやSACDによるディスク再生は勿論として、ネットワーク再生からストリーミング再生、それらの有線及び無線でのアクセス、さらにはBluetoothから良質なヘッドホンまで、現代の多様なリスニングシーンにおけるあらゆるソースを網羅していることが特徴だ。とりわけ、Amazon Music HDに対応する数少ない機種の中で、このクラスのクオリティの再生能力を持ったものは、国内においてこの価格帯ではほかに望めないほどだろう。
また、デジタルプレーヤーの心臓部でもあるDAC回路には、同社が上位シリーズSA-10やSA-12、SA-12 OSEで投入してきた、マランツが誇るライナー・フィンク氏設計のオリジナル・ディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering」が投入されていることが何よりもの特徴である。
加えて同社は、マランツ謹製のオリジナルDACを、満を持して初めてこの「SACD 30n」のような複合機に搭載した上で、マランツ史上最高のネットワーク再生音質を実現したと明言している。同社サウンドマスターの尾形好宣氏によると「ディスク再生に比べてクロック面で不利になりがちなネットワークやストリーミング再生でも、ジッターの叩き直し等にもコストを掛けたことで、廉価モデルでは実現できなかったクオリティを確保した」という。これは、マランツがこれまでネットワークプレーヤーで高い評価を得てきたことや、様々な機能が統合されるAVアンプ機器でも市場を席巻する実力を持っているからこそ実現できたことだと言えるだろう。
ストリーミングやネットワーク再生であっても、SACD再生に劣らない確固たる再生音質を確保し、なおかつ同一筐体上でそれらを両立共存させようとする、強い力の入れ具合が伝わるポイントである。
一方で、MODEL 30で特に注目したいのは、その着実な低域のグリップ力と颯爽たる音質である。昨今のポピュラーミュージック・ソースは、超低域方向までを十分に含んだソースも増えてきているが、その超低域をしっかりと深く沈み込ませるだけでなく、余韻を実にタイトに締めて奏でるのである。加えて、中低域の量感が意図的にタイトにしてあるようにも感じるのだが、それが、音数の多い現代的なソースをスマートなプロポーションで再現する魅力を持っていると感じさせる。
以上、これらが実現する音質が、高いデザイン性と多様なソースに対応する機能性と組み合わさることによって、まさに全方位からオーディオの新たな価値観や魅力を広く訴求するポテンシャルを具現化するのである。
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