公開日 2022/08/08 06:30
エソテリック「Grandiosoシリーズ」は外部クロックでさらなる高みへ。「K1X」×「G1X」を自宅でテスト!
<連載>角田郁雄のオーディオSUPREME
オプションでさらなるグレードアップも!Grandioso K1Xをさらに追い込む
オーディオSUPREME、今月のテーマはエソテリックGrandiosoシリーズのさらなるグレードアップについてご紹介しましょう。自宅の2階のリスニングルームでは、世界のいろいろなブランドのモデルたちを組み合わせ、仕事から離れ、趣味としてのオーディオを楽しんでいます。長く愛用できそうなモデルを選ぶことにもこだわっています。
その部屋に、2年ほど前にエソテリックの「Grandioso K1X」が加わりました。選んだ理由は、驚愕級の高精度重量級トランスポート、VRDS-ATLAS(13.5kg)と独自のディスクリート構成のMaster Sound Discrete DACを搭載したことにあります。さらに、強力な電流強化型バッファーESOTERIC-HCLDにより、従来の枠を超えた緻密かつ濃厚な音楽を堪能させてくれたからです。
「Grandioso K1X」は信号の流れが配慮されたその本体レイアウトにも惚れ込み、各基板に精密さも感じました。本体のデザインもエレガントで、光のあたり方で輝きが変化し、まさにオーディオマインドが掻き立てられます。さらに、一体型SACDプレーヤーであるにもかかわらず、オプションによる拡張性を備えていたことも重要な決め手となりました。
そのオプションの第1弾は、外部電源装置「Grandioso PS1」でした。これにより、左右独立でプレーヤー内部のDACとアナログ出力段に個別の高品位電源を供給します。プレーヤー内部の電源は、トランスポート用とデジタル制御用だけが動作し、外部電源が加わることで、トータルで6電源装置により動作させることになります。
私はこの考え方に強く共感し、Grandioso PS1を導入することにしました。導入直後は明らかに解像度や空間描写性が進化し、音に厚みが増してダイナミックレンジの拡張や音の透明度、立ち上がりの向上も実感できました。
しかし、それが約1年も経過すると様子が変わってきます。音が濃厚になり、アナログ再生ともハイレゾ再生とも質感の違う、奏者の実在感に溢れた音楽を堪能させてくれます。音的には、中低域に厚みを感じさせるピラミッドバランス型の音で、高解像度であるのにもかかわらず、それを意識させない濃厚な響きを堪能させてくれます。
往年のアナログ録音によるバーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームスやベートーヴェン、マーラー等の復刻SACD盤を再生すると、あたかもアナログテープレコーダーで再生しているかのような感覚になります。
思い返してみますと、同社はオープンリールテープレコーダーの音を今でも大切にしています。ですから、再生するCDのオリジナルマスターがデジタル録音であるか、アナログ音源であるかにかかわらず、テープレコーダー再生のような滑らかで豊潤な倍音を再現し、テープの再生限界を超える高密度でダイナミックレンジの広い、躍動感に溢れた音楽を実現しているように思えてなりません。この音には、きっとアナログ再生好きの愛好家も惚れ込むことでしょう。