公開日 2023/01/30 06:30
抜群の定位、目を閉じても敵が見えた。「Razer BlackShark V2 Pro」はエンタメ全般で尖り性能を発揮する
<ゲーミング特集2022>
ゲーミングブランドとして第一線を走るRazer。その豊富なラインナップから、人気シリーズ「BlackShark」のワイヤレス対応ゲーミングヘッドセット「Razer BlackShark V2 Pro」を取り上げたい。
同社独自のHyperSpeed ワイヤレス技術(2.4GHz)による低遅延かつ安定したワイヤレス接続を実現するとともに、3.5mmの有線接続もサポート。PCやゲーム機など様々なハードに組み合わせられるため使い勝手が良い。また、この遅延性能については、FPSゲームもまったくストレスなくプレイできるレベルだ。
50mm径のTRIFORCE チタンドライバーは、高音/中音/低音をそれぞれカスタムチューニングし、まるで3つのドライバーで構成されているかのような再現性を実現するという特許技術によるもので、最高のeスポーツ向けクオリティだと謳う。バーチャル7.1chサラウンド技術「THX Spatial Audio」への対応も特徴で、人気タイトルにマッチしたプロファイルも用意する。
質量は320gと、ワイヤレスモデルということもあり超軽量ではないが、通気性に優れたイヤークッションや厚みのあるヘッドバンドのおかげか、装着していて重さを意識することはない。軽量モデルでたまにある、直接フレームが頭に当たるような痛みも感じず、快適だ。
ゲームでサウンドをチェックしてみると、とにかく定位の再現性と分離に優れており、方向性を掴むのに適したチューニングが施されているようだ。サウンドのバランスとしてはデフォルトでは低域にパワーがあり、逆に高域側は少し引っ込んでいるような印象。これは「Razer Synapse」アプリからイコライジングして調整することもできる。少しこもったようなところがあるが、聴き分けには影響を与えないように思う。
『Apex Legends』では、特に上下方向を含む位置関係を認識するのに力を発揮した。水平360度のどこに敵がいるのかは、そのほかのモデルでも音で認識できるのだが、本機ではそこに高さ軸の情報が加わることで、位置把握の精度が格段にアップする。
これでしばらくプレイしたあと、普段使いのモデルに戻したところ、例えば1つの建物で屋根に登ったり飛び降りたりしながら撃ち合うシーンで敵を見失ってしまうようなことが続出した。取材が終わったあとも、勝つためにまた本機を手にしたほど、上下方向の表現力の差は大きかった。なお、使っているなかで味方の足音も大きく感じられ、いつの間にか敵が近くにきたと勘違いすることがあった。各種の銃が鳴らす発射音も、良くも悪くもかなり聴き取れるようになるため、本機が伝えてくるサウンドと音の情報量に慣れる必要はある。
『エルデンリング』などオープンワールド系のタイトルでは、画面内外に広がる世界のなかに配置された音が次々と耳に飛び込んでくる。まるで視覚でマップを確認するかのように、聴覚で正確な情報を感じ取れる。ただし分離が良いからこそ、その音によってゲームの世界観にどっぷり浸ることよりも、プレイしやすさの向上が体感しやすいモデルであるとも言える。
映像コンテンツの視聴ではこの傾向がどう働くのか。やはり1つ1つの音がそれぞれ独立して聴こえるような印象で、これが没入感につながるかは人それぞれに異なるかもしれない。ただ一方で、バランスよく渾然一体としたサウンドを鳴らすタイプのモデルとは違う発見や楽しみ方がある。
例えばNetflixで独占配信される『西部戦線異状なし』では、過酷な戦場を泥まみれになって駆け抜ける兵士の息遣いやセリフがハッキリと聴き取れる。テレビのスピーカーで視聴した際には、画面に写る兵士のハァハァという荒い息は聴こえていても、激しい場面を描いた1シーンとして眺めるばかりで、その声色にまで注意が向かなかった。しかしそれが、本機で視聴して初めて、「この人はこんな声をしていたのか」という考えが意識にのぼった。
『ミッドサマー』では一見穏やかな村のなかで聴こえる、焚き火や風、鳥の囀りなど自然の音が、まるで浮かび上がるように耳に入ってくる。没入感につながるかは人それぞれと書いたのはこういった点で、その場にいれば聴こえるだろう音が切り取られたように届くため、臨場感が得られるのだが、筆者はついひとつひとつの音に注意してしまって集中が途切れることがあった。逆にアニメ作品などでBGMやSEとセリフがしっかり分離して聴き取れるため、声の演技やお気に入りの劇伴を存分に楽しむような視聴ができる。
本機は音の定位と分離に尖った性能があり、音楽リスニング向けモデルとは違うゲーミングヘッドセットらしい音作りであることがわかる。万能型でこれ一台あればいい、というタイプではないが、それだけ本機ならではという個性を持っているということ。ゲームプレイにはもちろんのこと、コンテンツの違った側面を見つけることのできるサウンドを、ヘッドホンファンにも試してみてほしい。
同社独自のHyperSpeed ワイヤレス技術(2.4GHz)による低遅延かつ安定したワイヤレス接続を実現するとともに、3.5mmの有線接続もサポート。PCやゲーム機など様々なハードに組み合わせられるため使い勝手が良い。また、この遅延性能については、FPSゲームもまったくストレスなくプレイできるレベルだ。
50mm径のTRIFORCE チタンドライバーは、高音/中音/低音をそれぞれカスタムチューニングし、まるで3つのドライバーで構成されているかのような再現性を実現するという特許技術によるもので、最高のeスポーツ向けクオリティだと謳う。バーチャル7.1chサラウンド技術「THX Spatial Audio」への対応も特徴で、人気タイトルにマッチしたプロファイルも用意する。
質量は320gと、ワイヤレスモデルということもあり超軽量ではないが、通気性に優れたイヤークッションや厚みのあるヘッドバンドのおかげか、装着していて重さを意識することはない。軽量モデルでたまにある、直接フレームが頭に当たるような痛みも感じず、快適だ。
上下左右360度、音の発生位置がハッキリと掴める
ゲームでサウンドをチェックしてみると、とにかく定位の再現性と分離に優れており、方向性を掴むのに適したチューニングが施されているようだ。サウンドのバランスとしてはデフォルトでは低域にパワーがあり、逆に高域側は少し引っ込んでいるような印象。これは「Razer Synapse」アプリからイコライジングして調整することもできる。少しこもったようなところがあるが、聴き分けには影響を与えないように思う。
『Apex Legends』では、特に上下方向を含む位置関係を認識するのに力を発揮した。水平360度のどこに敵がいるのかは、そのほかのモデルでも音で認識できるのだが、本機ではそこに高さ軸の情報が加わることで、位置把握の精度が格段にアップする。
これでしばらくプレイしたあと、普段使いのモデルに戻したところ、例えば1つの建物で屋根に登ったり飛び降りたりしながら撃ち合うシーンで敵を見失ってしまうようなことが続出した。取材が終わったあとも、勝つためにまた本機を手にしたほど、上下方向の表現力の差は大きかった。なお、使っているなかで味方の足音も大きく感じられ、いつの間にか敵が近くにきたと勘違いすることがあった。各種の銃が鳴らす発射音も、良くも悪くもかなり聴き取れるようになるため、本機が伝えてくるサウンドと音の情報量に慣れる必要はある。
『エルデンリング』などオープンワールド系のタイトルでは、画面内外に広がる世界のなかに配置された音が次々と耳に飛び込んでくる。まるで視覚でマップを確認するかのように、聴覚で正確な情報を感じ取れる。ただし分離が良いからこそ、その音によってゲームの世界観にどっぷり浸ることよりも、プレイしやすさの向上が体感しやすいモデルであるとも言える。
映像コンテンツの視聴ではこの傾向がどう働くのか。やはり1つ1つの音がそれぞれ独立して聴こえるような印象で、これが没入感につながるかは人それぞれに異なるかもしれない。ただ一方で、バランスよく渾然一体としたサウンドを鳴らすタイプのモデルとは違う発見や楽しみ方がある。
例えばNetflixで独占配信される『西部戦線異状なし』では、過酷な戦場を泥まみれになって駆け抜ける兵士の息遣いやセリフがハッキリと聴き取れる。テレビのスピーカーで視聴した際には、画面に写る兵士のハァハァという荒い息は聴こえていても、激しい場面を描いた1シーンとして眺めるばかりで、その声色にまで注意が向かなかった。しかしそれが、本機で視聴して初めて、「この人はこんな声をしていたのか」という考えが意識にのぼった。
『ミッドサマー』では一見穏やかな村のなかで聴こえる、焚き火や風、鳥の囀りなど自然の音が、まるで浮かび上がるように耳に入ってくる。没入感につながるかは人それぞれと書いたのはこういった点で、その場にいれば聴こえるだろう音が切り取られたように届くため、臨場感が得られるのだが、筆者はついひとつひとつの音に注意してしまって集中が途切れることがあった。逆にアニメ作品などでBGMやSEとセリフがしっかり分離して聴き取れるため、声の演技やお気に入りの劇伴を存分に楽しむような視聴ができる。
本機は音の定位と分離に尖った性能があり、音楽リスニング向けモデルとは違うゲーミングヘッドセットらしい音作りであることがわかる。万能型でこれ一台あればいい、というタイプではないが、それだけ本機ならではという個性を持っているということ。ゲームプレイにはもちろんのこと、コンテンツの違った側面を見つけることのできるサウンドを、ヘッドホンファンにも試してみてほしい。